ノルウェーの研究者がOpus 5の堂々巡りをゲームにした
ノルウェーのビジネススクールに勤めるミロシュ・ノヴォヴィッチ氏がブラウザゲームOpusfivedを公開した。プレイヤーの目標はECサイトの「カートに追加」ボタンを青色に変えるだけだ。画面には3つのコマンドが並び、どれかを選んでClaudeに指示を送る。
1番シンプルな「ボタンを青色にする」を送るとClaudeは確かにボタンを青くする。ところが隣の「キャンセル」ボタンまで一緒に青くなる。Claudeは「共有カラー値に適用したのでホバー時も無効時も青が維持される」と報告する。しかし求めた結果にはなっていない。なぜ全部青いのかと指摘すると今度は23体のエージェントを起動して原因を調べ始める。各エージェントの報告を延々と並べた末に「調査を終えるのが早すぎた」と認めるが肝心の色は直らない。

- 7月AnthropicがClaude Opus 5を発表。Fable 5と同等の性能を半分の価格で提供
- 9/10ノヴォヴィッチ氏がOpusfivedを公開。GIGAZINEが紹介しHacker Newsでも話題に
ゲームは手作りだがHacker Newsの共感は本物だった
ゲーム中のClaudeの返答はすべてノヴォヴィッチ氏が自身の体験をもとに手書きしたスクリプトだ。裏で本物のClaude Opus 5は動いていない。それでもHacker Newsでは大きな共感を集めた。
あるユーザーは「検証があまりに細かすぎてモデルの使用を中止せざるを得ないケースが増えている。Opusは特に検証が細かく本題から外れてしまうAIのひとつだ」と書いている。二重三重に確認を重ねるうちに作業が前に進まなくなる経験はClaude以外のモデルでも報告されている。ゲーム画面には「使用制限に近づいています」という警告まで出る演出があり開発者の苛立ちをよく映している。

業務コード修正でも確認が多すぎて手が止まる
実務のコード修正でもClaudeが過剰に確認を重ねて手が止まるという声は開発者の間で根強い。Claude Opus 5は2026年7月にAnthropicが発表したモデルで先行するFable 5と同等の性能を半分の価格で使える。コーディング用途で選ぶ人は多いが、1行直すだけの依頼にAIが周辺コードまで検証して想定外の変更を加える場面がある。
ゲームでもボタンを指定色にできたと思ったら色がグラデーションになったり下部に「利用規約」リンクが突然出現したりする。指示を出すたびに報告が長くなるのも現場と同じだ。ゲームが描く堂々巡りは誇張ではなく実際に起きている問題そのものだ。
「それ以外は触らないで」の1行で回り道は減る
ゲームの3番目のコマンドに入っている「それ以外のボタンには触らないでください」という制約文は実務でも効く。プロンプトの末尾に変更対象を限定する1文を足すとAIが余計なファイルを触る頻度は下がりやすい。
ただし完全には防げない。安全確認を減らせばリスクが増える。厳しくすれば使い勝手が落ちる。このトレードオフはAI開発各社にとって続く課題だ。Anthropicも過剰な確認を減らす方向で改良を進めているがまだ道半ばだ。ゲームに勝てるかどうかはぜひ自分の目で確かめてほしい。
- Hacker News
- 米Y Combinatorが運営する技術系の掲示板サイト。プログラマーやスタートアップ関係者が集まりIT関連の話題を議論する。略称HN
AIの安全設計と使い勝手のバランスはまだ決着していない。確認を減らせば暴走のリスクが上がり増やせば開発者の手が止まる。Opusfivedはその矛盾を笑いに変えたが笑っている場合でもない。プロンプトに制約を明示する工夫で多少は緩和できるがモデル側の改良が本質的な解決になる。
- Opusfivedは本物のClaude Opus 5と話しているのか
- 本物のClaude Opus 5は動いていない。作者のノヴォヴィッチ氏が自身の体験をもとに手書きしたスクリプトだ。ゲーム内のAIの返答はすべて事前に用意されている。ただし実際のClaude Opus 5でも同様の堂々巡りが起きることがあるとHacker Newsのユーザーが報告している。
- Claude以外のAIでも同じ過剰確認の問題はあるのか
- Claude以外でも報告されている。Hacker Newsでは最近のAIモデル全般が物事を二重三重にチェックしたがる傾向があるという声が上がっている。OpenAIのGPT-6 Astraも安全確認の度合いが話題になった。モデルの安全設計と使い勝手のバランスはAI業界全体の課題だ。
この記事の出典
補助資料
- [1]GIGAZINEこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月11日
