ChatGPTの使用量の上限とは別物 止まるのは会話一覧の読み込み
ChatGPTを開いたら「リクエストが多すぎます」というダイアログが出て、会話が読めなくなった。日本語の文面はこうだ。
「リクエストの頻度が高すぎます。お客様のデータを保護するため、会話へのアクセスを一時的に制限しています。数分待ってから、もう一度お試しください」
英語版は「Too many requests. You’re making requests too quickly. We’ve temporarily limited access to your conversations to protect your data. Please wait a few minutes before trying again.」となる。
この画面を見て「使いすぎた」と考える人は多い。ところが止まっているのはメッセージの送信ではない。会話の一覧を読みに行く通信のほうだ。

OpenAIの開発リポジトリ openai/codex に、この点を突き止めた報告が残っている。2026年7月12日の追記で、報告者はこう書いた。いま配信されているChatGPTのクライアントを調べて分かったことがある。認証つきの会話履歴リクエスト「GET /backend-api/conversations」がHTTP 429を受け取ったときに、あのダイアログが出る。

429はサーバーが「短い時間にリクエストが多すぎる」と返すときの番号だ。つまりあの画面は、メッセージを何通送ったかではなく会話の一覧を何回取りに行ったかで出る。
だからメッセージを1通も送っていなくても出る。同じ報告者は、プロンプトを送る前にこの制限がかかったと書いている。会話を開こうとしただけで止まった、という報告も別にある。

2026年8月14日の報告には、こう書かれている。これは通常のモデル利用の上限には見えない。制限がかかるのはチャットそのものへのアクセスだ、と。報告者はChatGPT Proの契約者で、自動化や大量送信はしていないという。
2026年8月15日の報告も同じ趣旨だ。制限されたのはモデルのメッセージや使用量ではなく、会話履歴そのものへのアクセスだった。作業の途中で目的のチャットが開けなくなったと書いている。
Workタブの作業も巻き込まれる
影響はチャットだけにとどまらない。2026年8月14日の報告は、この制限がWorkのタスクに効いてくる点を問題にしている。Workのタスクは会話の中身を参照しながら進む。その会話が開けなくなると途中で止まるか、必要な文脈を読めないまま進むことになる。
ChatGPTの画面上部にChatとWorkのタブが並ぶようになったのは、2026年7月7日(米国時間)の発表からだ。もともとCoworkという名前で出ていた機能が、Chatと同じホーム画面へまとめられた。会話の読み込みが止まると、チャットの続きだけでなくこちらの作業も道連れになる。
2つの制限はここが違う
ChatGPTには本来の使用量の上限もある。プランごとに枠があり、5時間や7日の単位でリセットされる。こちらとは仕組みも直し方もまったく違う。
止まるものと戻り方の違い
| 使用量の上限 | リクエストが多すぎます | |
|---|---|---|
| 止まるもの | 新しいメッセージの送信 | 会話の一覧と履歴の読み込み |
| 何で決まるか | 送ったメッセージの量 | 短い時間に出した通信の数 |
| 画面の表示 | 次に使える時刻が出る | 「数分待って」としか出ない |
| 戻るまで | 5時間や7日の枠でリセット | 数分から10分ほど |
| プランを上げると | 枠が広がる | 変わらない |
見分け方はかんたんだ。次に使える時刻が画面に出ていれば使用量の上限。「数分待ってから」としか書いていなければ、会話の読み込みが止められているほうになる。
- 6/11openai/codex にこの文言を含む報告が初めて立つ
- 6/16サイドバーのスクロールで出るとOpenAI公式コミュニティに投稿
- 7/12会話履歴のリクエストが429を受けたときに出ると特定される
- 8/8macOSアプリの更新後、2時間42分で429が567件と報告
- 9/1使用量に残りがあるのに制限されると新しい報告が立つ
使っていないのに出る3つのきっかけ アプリ更新後は2時間42分で429が567件
では何がこの通信を増やすのか。openai/codex に残っている報告から、3つのきっかけが見えてくる。どれもメッセージの送信ではない。

① 会話の一覧をスクロールする
2026年6月16日、OpenAIの公式コミュニティに投稿が立った。題は「Chat sidebar scrolling triggers rate limits」。チャットのサイドバーをスクロールするとレート制限が出る、という意味だ。
投稿者はこう書いている。チャットが山ほどあって整理しようとしている。サイドバーのタイトルを下にスクロールしていくだけで、これに繰り返しぶつかる。この投稿は1800回以上読まれている。

サイドバーは一度に全部を読み込まない。下へスクロールすると続きを取りに行く。その通信が会話一覧のリクエストだ。制限がかかる相手そのものになる。
チャットを削除したあとやアーカイブしたあとも同じだ。一覧が作り直されるので読み込みが走る。日本語のブログにも記録がある。不要なチャットを4件ほど続けて削除したところで、この画面が出たという。
② アプリが裏で出している通信
2026年8月8日の報告は、macOS版のデスクトップアプリを扱っている。他のアプリから戻ってくるたびに、チャットのサイドバーが読み込み直されるという内容だ。一覧が出たまま保たれず、いったん読み込み中の状態へ戻る。
再現した記録が具体的だ。2026年8月8日0時22分(協定世界時)の記録では、重なり合う4本の会話一覧リクエストが同時に出た。4本とも429を返している。リトライは約1秒後・3秒後・7秒後・8秒後だ。
この報告には、アプリのビルドごとの実測も載っている。更新後のビルド6321では約2時間42分で567件の429。ひとつ前のビルド6234では約21時間45分で74件だった。
AInformationが1時間あたりに直すと、更新後が約210件で更新前が約3.4件になる。使い方は変えていないのに、アプリが更新されただけで会話一覧の429が約62倍に増えた計算だ。(2026年9月2日時点。openai/codex #37518 に載っている実測値をAInformationが割り算したもの)
裏で走る処理はこれだけではない。2026年8月27日の報告によると、既存スレッドの説明文をまとめて作り直す処理が動いていた。その日の9時36分から20時28分までに、少なくとも1710件の見えないセッションが作られている。利用者が選んだわけではないモデルで実行され、この間に合計241件の429が返っている。
③ アプリとブラウザを同時に開く
3つめは同じアカウントで複数の画面を開くケースだ。2026年7月10日の報告はこうだ。ブラウザでChatGPTを開いたままデスクトップアプリを起動したところ、タスクを何も始めていないのにブラウザ側へ制限が出た。

この報告者は当初アプリ側が原因だと考えたが、2日後に自分で取り下げている。別の経路でも同じ制限が再現したためだ。原因はアプリ固有ではなく、会話履歴を取りに行く通信そのものにあると分かった。
制限はブラウザのタブ単位ではない。アカウント単位で効く。だから片方の画面で通信が増えると、もう片方も巻き込まれる。
いま出ている人がやること 5分から10分待つのが最短で確実
この画面が出ているときにできることは、実はそう多くない。止まっているのがサーバー側の判定なので、手元の設定をいじっても解けないからだ。

- そのまま5分から10分待つ。日本語のブログでは10分ほどで戻ったという記録がある。画面のメッセージも数分待つよう案内している
- 再読み込みを連打しない。読み込み直すたびに会話一覧の通信が走る。制限を長引かせる方向に働く
- ChatGPTのタブを1つだけ残して閉じる。デスクトップアプリを開いているなら、そちらもいったん終了する
- 戻ったらサイドバーをスクロールせず、目的の会話へ直接進む
待つ間に別のことをしたいなら、新しいチャットを開くのは避けたほうがいい。一覧に手を入れる操作は、どれも同じ通信を呼ぶ。
スマートフォンのアプリから開き直すのも急がなくていい。制限はアカウント単位で効くので、端末を変えても同じ画面が出る。
OpenAIの公式ヘルプは、応答が止まるときの対処としてブラウザ拡張の停止・VPNやセキュアDNSの停止・キャッシュとCookieの削除・シークレットウィンドウを挙げている。今回の制限そのものへの案内ではないが、拡張機能が裏で通信を出しているなら止める価値はある。
会話が消えたわけではない。制限が解ければ一覧も履歴もそのまま戻る。慌ててアカウントを作り直したりログアウトを繰り返したりする必要はない。
二度と出さないために ChatGPTの会話を減らすと直った報告がある
根本の対策として実際に効いた記録がひとつある。先ほどのOpenAIコミュニティの投稿者は、2026年6月20日に自分で解決を報告している。
その内容はこうだ。毎回この画面が出ながらもチャットの削除と名前の変更を進めていったところ、症状が消えて一覧も思いどおりになった。結局サイドバーにチャットが多すぎただけだと思う、と書いている。
会話の本数が多いほど、一覧を作るための通信は重くなる。使っていない会話が数百本ぶら下がっていれば、開くたびにその読み込みが走る。

- 使い終わった会話を削除するかアーカイブする
- 残す会話には名前を付けて、探すためにスクロールしなくて済むようにする
- アプリとブラウザを同時に開きっぱなしにしない
- ChatGPTのタブを何枚も開かない
- デスクトップアプリは使わないときは終了しておく
会話をたくさん残しておきたいなら、プロジェクト機能でまとめる手もある。一覧に並ぶ本数そのものを減らせる。整理が進むとサイドバーの表示も軽くなるので、開くまでの待ち時間そのものが短くなる。
ただしどれも確実な予防にはならない。裏で走る処理は利用者の側から止められないし、アプリの更新で通信量が変わることも実測されている。出たら待つ、という前提は変わらない。
有料プランでは防げない Proの契約者も同じ画面を見ている
ここまで挙げた報告のうち、契約プランが書かれているものはすべてChatGPT Proだった。月200ドルの最上位プランでも同じ画面が出ている。
理由は仕組みを考えれば分かる。プランで広がるのはメッセージを送れる枠だ。会話の一覧を取りに行く通信の速さには関係がない。
2026年6月から3か月続いている
この症状はここ数日の話ではない。openai/codex でこの文言を含む報告をさかのぼると、いちばん古いものは2026年6月11日に立っていた。そこから7月10日・8月14日・8月15日・8月27日と続き、9月1日にも新しい報告が加わっている。
最近になって出はじめたと感じる人が多いのは、8月に入って報告が増えたためだ。実際に8月8日の報告では、アプリの更新をきっかけに通信量が跳ね上がったことが数字で示されている。使う側が何も変えていなくても、配信されるアプリが変わればぶつかる頻度は変わる。
2026年9月1日に立った報告は、この食い違いを正面から指摘している。使用量の表示にはまだ十分な残りが出ているのに、会話へのアクセスだけが制限される。報告者は2026年8月20日にOpenAIのサポートへ正式に届け出たが、9月1日の時点でも原因の説明は返ってきていないと書いている。
AInformationが2026年9月2日に確認したところ、OpenAIの公式ヘルプ「Troubleshooting ChatGPT Error Messages」で解説されているエラーは6種類だった。「Too many requests」はそのどれにも入っていない。openai/codex でこの文言そのものを含む報告は5件見つかり、いちばん新しいものは2026年9月1日に立っている。
つまり利用者から見ると、公式の説明がないまま症状だけが続いている状態だ。日本語の解説記事にはモデルを切り替えるよう勧めるものもある。止まっているのは会話一覧の通信なので、どのモデルを選んでも変わらない。

会社で使っているなら、この画面が出ても慌てないことのほうが大事になる。誰かが使いすぎたわけではないし、プランを上げても解決しない。5分から10分待って戻るかどうかをまず見る。何度も繰り返すようなら、会話の本数を減らすところから手を付けるのが近道になる。
- HTTP 429
- サーバーが「短い時間にリクエストが多すぎる」と返すときの番号。待てば解ける一時的なもので、アカウントが止められたわけではない。
- レート制限
- 短い時間に集中する通信を抑える仕組み。使った総量ではなく、単位時間あたりの回数で決まるのが特徴。
この画面が会社で出ると、決まって「誰かが使いすぎたのでは」という話になる。止まっているのは会話の一覧を読む通信なので、使う量を減らしても防げない。プランを上げても同じだ。効くのは会話の本数を減らすことと、アプリとブラウザを同時に開かないことの2つになる。出たときは5分から10分待って戻るかを見る。何度も繰り返すようなら、会話を整理する合図だと考えたい。
- 有料プランにすれば出なくなるのか
- 変わらない。プランで広がるのはメッセージを送れる枠で、会話の一覧を取りに行く通信の速さには関係がないためだ。実際にopenai/codexへ報告している人の多くはChatGPT Proの契約者で、月200ドルの最上位プランでも同じ画面が出ている。2026年9月1日の報告では、使用量の表示にまだ残りがあるのに会話へのアクセスだけ制限されたと書かれている。
- どれくらい待てば戻るのか
- 数分から10分ほどが目安になる。日本語のブログには10分ほどで戻ったという記録があり、画面のメッセージも数分待つよう案内している。待っている間に再読み込みを繰り返すと会話一覧の通信がまた走るので、かえって長引くことがある。端末を変えても制限はアカウント単位で効くため、スマートフォンから開き直しても同じ画面になる。
- 会話が消えることはあるのか
- 消えない。止まっているのは会話を読みに行く通信で、保存されている中身そのものには手が付いていない。制限が解ければ一覧も履歴もそのまま戻る。慌ててログアウトやアカウントの作り直しをする必要はない。
- 使用量の上限とどう見分けるのか
- 画面に次に使える時刻が出ているかを見る。出ていれば使用量の上限で、その時刻まで待つかプランを上げれば枠が広がる。「数分待ってから」としか書かれていなければ、会話の読み込みが止められているほうだ。後者はプランを上げても防げないので、会話の本数を減らすなど別の手当てが要る。
