中国Moonshot AIのKimi K3は0円の無料プランでもベンチマーク総合3位のモデルが使える。ただし入力データはすべてモデル学習に使われる。消費者向けにオプトアウトの手段はない。有料プランは$19〜$199の全4階層が売り切れている。
- Kimi K3の料金プランと0円の無料枠で使える範囲
- 有料プランが全4階層で売り切れている現状
- 入力データがモデル学習に使われオプトアウトできない事実
- ChatGPT・Claude・DeepSeekとのオプトアウト比較
- 開発元Moonshot AIがClaudeの応答を蒸留していた問題
- Kimi K3をいま使うなら何を確認すべきか
Kimi K3は0円でベンチマーク3位のモデルが使える
中国のMoonshot AIが2026年7月16日に公開したKimi K3は、0円の無料プランでもチャットが使える大規模言語モデルです。パラメータ数は2.8兆。コンテキストウィンドウは約104万トークンで、数十ページの文書をまとめて読み込ませてから質問する使い方にも対応しています。
性能面でも目立つ位置にいます。Artificial Analysis Intelligence Indexの総合スコアは57で3位に入りました。AnthropicのOpus 4.8やOpenAIのGPT-5.5と同じ水準です。0円で使えるチャットAIの中でこの順位はかなり高い部類に入ります。
Kimi K3の料金を調べる人も急に増えました。Googleキーワードプランナーで2026年9月13日に測ったところ「kimi k3 料金」の月間検索数は170件でした。この語は10か月連続ゼロだったのが直近2か月で1,000→880と動き出しています。GoogleトレンドでもKimi K3はbreakout(上昇率47,100%)を記録しました。
ただしKimi K3には料金の安さ以上に気をつけたい問題があります。入力したデータがモデル学習に使われ、消費者向けにはオプトアウトの手段がありません。この記事ではAIツール494本の料金データとKimiのプライバシーポリシーの中身を突き合わせて整理します。
2.8兆パラメータのKimi K3がベンチマーク総合3位になった
Artificial Analysisの総合スコアでOpus 4.8と同水準
Kimi K3のベンチマーク結果をもう少し詳しく見ます。Artificial Analysisが公開しているIntelligence Indexは複数のテストを総合した指標です。Kimi K3はここでスコア57を取り、全モデル中3位に入りました。1位と2位にはAnthropicのOpus 4.8とOpenAIのGPT-5.5が並んでいます。Kimi K3はこの2つとほぼ同じ水準です。
Kimi K3を日本語で使う場合はkimi.comのチャット画面からそのまま質問できます。日本語のインターフェースも用意されています。ただし公式に日本語のベンチマーク結果は公表されていません。日本語での精度を確かめたいときは無料プランで実際に試してから判断するのが安全です。
開発元Moonshot AIの急成長
Kimi AIの開発元であるMoonshot AIの売上も急激に伸びています。TechCrunchが2026年9月11日に報じた内容によると、Moonshot AIの年間売上はARRベースで2026年4月に2億ドルを超えました。8月時点ではARR 10億ドルに達し、年末までに20億ドルを目指しています。4か月で5倍という異常な速度です。
売上が伸びている背景には無料プランで大量のユーザーを集めている戦略があります。ベンチマーク3位のモデルを0円で開放し、まず使ってもらう形です。この成長の裏で入力データがどう扱われているかが本記事の主題です。

Kimi K3の料金は0円を含む5段階で有料は全部売り切れた
無料のAdagioプランでKimi K3が使える
Kimi K3の料金プランは音楽用語にちなんだ5段階です。無料のAdagioプランではKimi K3のチャットに加えてDeep ResearchやSlidesの基本機能が使えます。ベンチマーク3位のモデルにお金をかけずに触れるのはこのプランの最大の特徴です。
有料プランは月額$19のModerato・$39のAllegretto・$99のAllegro・$199のVivaceの4段階です。上のプランほどエージェントの実行回数やKimi Codeの利用枠が多い。AllegroとVivaceでは100万トークンの超長文チャットが開放され、Swarm(並列エージェント)やプラグインも使えるようになります。
Kimi K3の料金プラン一覧
| プラン | 月額 | 主な機能 | 状態 |
|---|---|---|---|
| Adagio(無料) | $0 | チャット・Deep Research・Slides | 利用可能 |
| Moderato | $19 | エージェント・Docs・Kimi Code | 売り切れ |
| Allegretto | $39 | エージェント2倍・Kimi Code 5倍 | 売り切れ |
| Allegro | $99 | エージェント5倍・Swarm・プラグイン | 売り切れ |
| Vivace | $199 | エージェント10倍・Kimi Code 30倍 | 売り切れ |
有料プランは7月19日から全階層売り切れた
2026年9月13日時点でKimi K3の有料プランは4階層すべてが売り切れています。eesel.aiの調査によると2026年7月19日から新規加入を受け付けていない状態が続いています。Moonshot AIは再開の日程を公表していません。
Kimi K3の使い方を調べて有料プランに入ろうとしても今は無料プランしか選べません。有料プランでしか使えないSwarmやKimi Codeの大容量枠が必要な場合は再開を待つしかない状況です。KimiとKimi Codeの特典を別製品に分割するという予告も出ており、今後プラン体系が変わる可能性があります。
「相談・調べもの」のAI69本の中央値は月2,555円だ
Kimi K3の料金が高いのか安いのかは、同じ用途のAIツールと並べて初めて分かります。AInformationが2026年9月11日時点で集計した494本のAIツールのうち、Kimi K3と同じ「相談・調べもの」に使えるものは69本あります。この69本の月額の中央値は2,555円です。
69本のうち24本は無料プランを持っています。Kimi K3の無料プラン(Adagio)はこの24本のうちの1つです。ベンチマーク3位のモデルが0円で使えるという点だけを見ればかなり強い選択肢に見えます。
有料プランの最安は$19/月です。AInformationの集計で使っている為替レートは1ドル=153.89円です。この数字と中央値2,555円を見れば自分の予算と照らし合わせることができます。カテゴリを「チャット」に絞ると対象は32本です。Kimi K3はこの32本の中でベンチマーク順位が最も高い部類にいます。
ただし料金と性能だけでAIを選ぶのは危ないやり方です。次の章で説明するデータの扱いを確認しないまま業務に導入すると取り返しのつかないことになりかねません。
Kimi K3に入力したデータは学習に使われオプトアウトできない
プライバシーポリシーに学習利用の条項がある
Kimi K3の安全性を考えるうえで見落とせない問題があります。Kimiのプライバシーポリシーには入力データをモデル学習に使うことが明記されています。eesel.aiの確認によると「ChatGPT、Claude、DeepSeekと違いKimiの消費者向けサービスには学習拒否の手段がない」とされています。
Kimi K3のチャットに入力した文章はモデルの改善や学習に使われる可能性があります。自分のデータを学習に使わないでほしいと申し出る仕組みがアプリの中にありません。設定画面にもそれに当たるスイッチは見当たりません。
サーバーの所在国が書かれていない
もう1つ注意すべき点があります。プライバシーポリシーには「あなたの情報はあなたの居住国以外のサーバーに転送・保存される場合がある」と記されています。しかしサーバーがどの国に置かれているかは具体的に書かれていません。
データがどこに保管されるか分からないまま業務データを入力するのはリスクがあります。とくに顧客の個人情報や社内の機密情報を扱う場面ではこの不透明さは無視できません。日本の個人情報保護法でも個人データの外国への提供には本人への情報提供が求められています。サーバー所在国が不明な状態はこの要件と合わない。

ChatGPT・Claude・DeepSeekには学習を断る手段がある
3社とも設定画面からオプトアウトできる
Kimi K3のデータの扱いを他社と並べると違いがはっきりします。ChatGPTは設定画面から「チャット履歴とトレーニング」をオフにすれば入力データが学習に使われなくなります。Claudeも設定でデータの利用を拒否できます。DeepSeekにも設定画面にオプトアウトのスイッチが用意されています。
いずれも画面上の操作だけで完了します。申請書を出したりサポートに連絡したりする必要はありません。「自分のデータは学習に使わないでほしい」と思ったその場で設定できる点がKimi K3との大きな違いです。
主要チャットAIのデータ学習とオプトアウト
| サービス | アプリのデータ学習 | オプトアウト | API |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | あり(無料・Plus) | 設定画面で拒否可 | 学習なし |
| Claude | あり(無料) | 設定画面で拒否可 | 学習なし |
| DeepSeek | あり | 設定画面で拒否可 | 学習なし |
| Kimi K3 | あり | 手段なし | 学習なし |
API経由ならKimi K3でも学習に使われない
例外が1つあります。Kimi K3をAPI経由で使う場合は学習に使われないとKimiの公式ドキュメントに明記されています。法人向けのKimi Businessも同様にデータを学習パイプラインに入れないとされています。
ただしAPIは技術者が直接叩く前提の仕組みです。kimi.comのチャット画面から気軽に使いたい人にとっては現実的な選択肢とは言いにくいのが実情です。「無料で試してみたい」と思ってチャットに業務データを入力すると、そのデータは学習に回る可能性があるという構造を理解しておいてください。
AI検索にKimi K3のデータ学習を聞くと間違える場合がある
Kimi K3のデータの扱いについてAI検索がどこまで正しく答えるかを実際に確かめました。AInformationが2026年9月13日にChatGPTへ「Kimi K3のデータは学習に使われるか?オプトアウトできるか?」と聞きました。回答には事実と異なる内容が含まれていました。
ChatGPTは「カスタマーサポートへオプトアウトを申請すれば本人確認後5〜7営業日で処理される」と答えました。しかしKimiのプライバシーポリシーを直接読むと消費者向けにそのような手段は確認できません。AI検索が参照したページの情報が古いか不正確だった可能性があります。
一方AInformationがClaudeに「Kimi K3の料金プランを教えてください」と聞きました。Adagio(無料)からVivace($199/月)まで5段階の料金プランを正確に並べた回答でした。ただし有料プランが全階層売り切れている事実には触れていませんでした。
2つのAI検索を試した結果、どちらも完全な情報は返しませんでした。Kimi K3の安全性やデータの扱いについて判断するときはAI検索の答えを鵜呑みにせず、プライバシーポリシーの原文と公式の料金ページを自分の目で確認することが欠かせません。
Moonshot AIはClaudeの応答を数百アカウントで蒸留していた
Kimi K3の開発元であるMoonshot AIにはデータの扱い以外にもう1つ知っておくべき事実があります。Anthropicが2026年9月に公開した脅威インテリジェンスレポートで、MoonshotがClaudeの応答を不正に抽出する蒸留キャンペーンを行っていたことが明らかになりました。
レポートによるとMoonshotは数百の不正アカウントを作り複数の経路からClaudeに大量のやり取りを送っていました。Anthropicは「アカウントの種類を分散させ協調的な作戦だと検知しにくくしていた」と説明しています。

蒸留とは他社のAIモデルの出力を大量に集めて自社モデルの学習データに使う手法です。これによって開発コストを下げながら応答の品質を引き上げることができます。蒸留で得た応答が現在のKimi K3の品質にどの程度反映されているかはAnthropicもMoonshotも公表していません。
この件はAInformationでも偽アカウント3500件でClaudeの応答が中国に抜かれた問題として報じています。開発元がこうした手法を取っていた事実はKimi K3を使うかどうかの判断材料になります。
API料金は入力$3・出力$15で推論トークンも課金される
Kimi K3をAPIで使う場合の料金は100万トークンあたり入力$3、出力$15です。キャッシュヒット時は入力が$0.19〜$0.30まで下がります。Artificial Analysisの調べではこの価格帯はAnthropicのClaude Sonnetと同水準とされています。
注意したいのはKimi K3が常に推論を行う設計だという点です。ユーザーが見える回答とは別に推論の過程で大量のトークンが生成されます。このトークンもすべて出力($15/100万トークン)として課金対象になります。簡単な質問でも推論トークンが上乗せされるため、見積もりより費用がかさむことがあります。
API経由であればデータが学習に使われないという利点があります。しかし従量課金のため使い方によってはChatGPTやClaudeの月額$20のプランより高くつく場合があります。APIを検討する場合は推論トークンの消費量をテスト環境で測ってからコストを見積もってください。
Kimi K3を使うなら確認すべきことが3つある
入力するデータの中身を点検する
Kimi K3の無料プランは0円でベンチマーク3位のモデルに触れる点で魅力があります。ただし入力データの学習利用とオプトアウト不可という条件を理解したうえで使う必要があります。
最初にやるべきことは入力しようとしているデータの中身を点検することです。顧客名や売上データなど社外に出せない情報が含まれているなら入力を控えてください。公開されている情報だけで質問する使い方であれば情報漏えいのリスクは小さくなります。

仕事で使うならAPIか他社を選ぶ
業務でKimi K3を使いたい場合はAPI経由を選んでください。APIなら入力データが学習に使われないと公式に明記されています。ただし従量課金なので費用の見通しを立ててから導入するのが安全です。推論トークンの課金も忘れずに見積もりに入れてください。
オプトアウトを重視するならChatGPTやClaudeやDeepSeekのように設定画面から学習を断れるサービスを選ぶ方法もあります。AInformationが2026年9月11日時点で集計した「相談・調べもの」用途のAIツール69本のうち24本は無料プランを持っています。Kimi K3だけが選択肢ではありません。
有料プランの再開時期は未定
Kimi K3の有料プランは2026年9月13日時点でまだ全階層売り切れです。再開時期はMoonshot AIから公表されていません。有料プランの機能が必要な場合はAnthropicの安全対策の動きも含めて総合的に判断してください。
いま動けることは3つです。1つ目は無料プランで試す前に入力していいデータかどうかを確認すること。2つ目は業務利用ならAPI経由を検討し推論トークンの課金を含めたコストを見積もること。3つ目はChatGPTやClaudeなど他社のオプトアウト対応と見比べたうえで自分の用途に合うサービスを決めることです。0円のモデルには0円なりの条件が付いている。その条件を知って使うかどうかは自分で決めてください。
Kimi K3はベンチマーク3位で料金0円と聞くと飛びつきたくなる。だが料金だけでAIを選ぶのは危険だ。AInformationが調べた494本のAIツールの中でも入力データの学習利用にオプトアウトの手段がないサービスは珍しい。ChatGPTもClaudeも設定1つで断れる。0円の裏にある条件を理解したうえで使うかどうかを決めてほしい。仕事のデータを入れるならAPI経由にするか他のサービスを選んだほうがいい。
- Kimi K3は日本語で使えますか?
- はい。kimi.comのチャット画面は日本語に対応しており日本語で質問できます。ただし公式に日本語のベンチマーク結果は公表されていません。Kimi K3の日本語での精度を確かめたいときは無料プランで実際に試してから判断するのが安全です。日本語の回答の質はテーマによってばらつきがある点も知っておいてください。
- Kimi K3の入力データの学習をオプトアウトする方法はありますか?
- 消費者向けのKimiアプリにはオプトアウトの手段がありません。ChatGPTやClaudeには設定画面から学習を拒否するスイッチがありますが、Kimiにはそれに当たる機能がないとプライバシーポリシーの確認で分かりました。API経由であれば学習に使われないと公式に明記されています。業務データを扱うならAPIの利用を検討してください。
- Kimi K3の有料プランはいつ再開しますか?
- 再開時期は公表されていません。2026年7月19日から全4階層(Moderato・Allegretto・Allegro・Vivace)が売り切れのまま新規加入できない状態です。Moonshot AIは再開の日程を出していないため、有料プランの機能が必要な場合は他のAIツールを併用して待つかAPI経由での利用を検討してください。
- Kimi K3の安全性は大丈夫ですか?
- 安全面にはいくつかの懸念があります。まず入力データがモデル学習に使われオプトアウトの手段がありません。プライバシーポリシーにサーバーの所在国が書かれていない点も不透明です。さらに開発元のMoonshot AIがAnthropicのClaudeの応答を不正に蒸留していたことが2026年9月に公表されました。業務データを入れる場合はAPI経由を使うかリスクを理解したうえで判断してください。
