Microsoftのリアルタイム文字起こし 100ミリ秒強で出る
Microsoft AI(MAI)は10月1日(現地時間)、話している途中から文字を返すMAI-Transcribe-2-Streamingを公開しました。同社で初めてのストリーミング型の文字起こしモデルで、Microsoft Foundryのパブリックプレビューとして提供します。
音声を受け取ってから100ミリ秒強で仮の結果を出し、話の流れに合わせて直しながら確定させる仕組みです。日本語を含む60言語に対応していて、話している言語は自動で見分けます。評価機関Artificial Analysisの精度の評価では1位だったと発表しています。
同じ日に音声合成のMAI-Voice-2.1と、高速版のMAI-Voice-2.1-Flashも出ました。3つを組み合わせて、人と声でやりとりする音声エージェントを作る使い方を想定しています。MAI PlaygroundやVercelからも使える形です。
音声AIではOpenAIが5月にGPT-Realtime-Whisperを、Googleが9月にGemini 3.8 Liveを出しています。

- 5月OpenAIがGPT-Realtime-Whisperを発表
- 9月GoogleがGemini 3.8 Liveを発表
- 10/1MicrosoftがMAI-Transcribe-2-Streamingを公開
1時間0.54ドルはOpenAIより47%安い ただし年末までだ
MAI-Transcribe-2-Streamingの料金は音声1時間あたり0.54ドルで、OpenAIのリアルタイム文字起こしより47%安い値段です。1ドル157.98円(10月1日の欧州中央銀行の値)で計算すると約85円になります。ただしこの値段は年末までの導入価格で、その先の料金はまだ出ていません。
OpenAIは公式の料金表で、GPT-Realtime-Whisperの費用の目安を1分0.017ドルとしています。1時間に直すと1.02ドル(約161円)なので、MAIのほうが1時間あたり0.48ドル安い計算です。Microsoftは社内の評価で、字幕のような使い方では最も近い競合より2倍速く文字が出るとも書いています。
| モデル | 使い方 | 1時間あたり | 円にすると |
|---|---|---|---|
| MAI-Transcribe-2-Streaming | 話しながら文字にする | 0.54ドル(年末まで) | 約85円 |
| MAI-Transcribe-2 | 録音を後から文字にする | 0.1ドル(年末まで) | 約16円 |
| GPT-Realtime-Whisper | 話しながら文字にする | 1.02ドル(1分0.017ドルの目安) | 約161円 |
各社の公式の掲載額です。OpenAIはAInformationが10月2日に確かめ、MAI-Transcribe-2は9月の発表時の値段です。円は1ドル157.98円で換算しました。
声を作る側はMAI-Voice-2.1が100万文字あたり22ドル(約3,476円)で、Flashは15ドル(約2,370円)です。Flashは同じ程度のモデルより約60%安いとしています。

日本語は聞き取れるが声はまだ無い Chatterはログインが要る
聞き取りは日本語に対応していますが、声を作る側にはまだ日本語の既定の声がありません。MAI-Voice-2.1の発表文にある既定の声の一覧に、日本語が入っていないためです。提供する地域には東日本(Japan East)も含まれています。
3つのモデルを組み合わせたデモがChatterです。ITmedia NEWSによると、日本語で話しかけても返事は英語になります。返事の設定に日本語が無いためです。
AInformationが10月2日にログインせずに開くと、Chatterは「Start a conversation」を押したところでサインインの案内が出て止まったままでした。設定を開いても言語は自動判別しか出ず、ほかの言語の一覧は読み込みに失敗しました。試すにはサインインが要ります。
声を複製する機能は2つのVoiceモデルにありますが、審査を通ったアカウントでしか使えません。本人の同意を得た声しか合成できない仕組みも入っています。

録音版の5.4倍をどこで払うか 会議は2つに分けて選ぶ
リアルタイム版は、AInformationが9月4日に伝えた録音向けのMAI-Transcribe-2(1時間0.1ドル)の5.4倍の値段です。
その場で字幕を出したい会議や電話の受付はリアルタイム版にして、終わってから会議の議事録を作るなら録音版で足ります。全部をリアルタイム版で回すと費用がふくらむので、分けて考えるとよさそうです。
どちらもAPIで、使うには開発者が自社のアプリへ組み込む必要があります。議事録AIや会議アプリを作っている会社なら、GPT-Realtime-Whisperと同じ音声を流して聞き取りの正確さと1時間の費用を並べるのが早道です。0.54ドルの導入価格が終わる年末より前に、正式な料金が出るかどうかも見ておきたいところです。
- ストリーミング型
- 話し終わるのを待たずに、聞いた端から文字起こしの結果を返していく方式。後から直しながら確定させる
- 音声エージェント
- 人と声でやりとりするAI。聞いた言葉を文字にして考え、声で返すまでを1つの流れにまとめたもの
Microsoftは録音版から1か月足らずでリアルタイム版を足し、文字起こしを値段で取りにきています。社内で使うなら、先に「その場で文字が要る会議」と「後で起こせば済む会議」を分けておきたいところです。役員会の字幕や電話の受付はリアルタイム版、週1回の定例は録音版で足ります。もう1つの関門は日本語の声です。返す声の既定に日本語が無いうちは、電話の自動応答にそのまま使うのは難しいとみています。
- MAI-Transcribe-2-Streamingの料金はいくら?
- 音声1時間あたり0.54ドルで、1ドル157.98円なら約85円です。この値段は年末までの導入価格で、その後の料金はまだ発表されていません。録音を後から起こすMAI-Transcribe-2は1時間0.1ドルなので、リアルタイム版はその5.4倍にあたります。使う場所はMicrosoft FoundryのほかMAI PlaygroundやVercelです。
- OpenAIのリアルタイム文字起こしより安い?
- いまはMicrosoftのほうが47%安くなっています。OpenAIは公式の料金表でGPT-Realtime-Whisperの目安を1分0.017ドルとしていて、1時間では1.02ドルです。MAI-Transcribe-2-Streamingは1時間0.54ドルなので差は0.48ドルになります。ただしMicrosoftの値段は年末までの導入価格です。
- MAI-Transcribe-2-Streamingは日本語で使える?
- 文字起こしは日本語に対応していますが、声を作る側はまだ日本語の既定の声がありません。MAI-Transcribe-2-Streamingは日本語を含む60言語を自動で見分けます。一方でMAI-Voice-2.1の既定の声の一覧に日本語は入っておらず、デモのChatterは日本語で話しかけても英語で答えます。AInformationが10月2日に開いたときはサインインしないと会話を始められませんでした。
- MAI-Voice-2.1で声の複製は誰でもできる?
- 誰でもすぐには使えません。数秒の録音から声を複製する機能はありますが、審査を通ったアカウントだけが使えます。本人の同意を得た声しか合成できない仕組みも入っています。料金はMAI-Voice-2.1が100万文字あたり22ドルで、高速版のMAI-Voice-2.1-Flashは15ドルです。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月2日
