ChatGPTのプロンプトを攻略！便利なテンプレートを紹介

2022年11月に公開されたChatGPTは、今や世界中の人が利用。日本でも企業が導入する事例は珍しくなく、仕事でChatGPTを活用している人も多いでしょう。ChatGPTを効率よく使うには、ChatGPTに対する命令文「プロンプト」の質が重要です。しかしうまくプロンプトが書けず、難しいと感じている方もいます。今回はChatGPTでプロンプトを書くコツや基本の型を説明したうえで、仕事で使えるテンプレートを紹介します。

AI導入コンサルタント

藤井俊太（Shunta Fujii）

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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ChatGPTのプロンプトを書く6つのコツ

ChatGPTにうまく指示を出すために、6つのコツを抑えましょう。

最新モデルを使用する

ChatGPTを開発するOpenAI社は、ChatGPTの最新モデルの利用を推奨しています。なぜなら、最新モデルは以前のモデルと比べて、より質の高い回答を出力できるからです。実際、GPT-3.5よりもGPT-4.0のほうが、新しい情報を有していたり、より難易度の高い指示に対応できるよう改良されたりしていたりします。

ChatGPTは今後も上位モデルが登場します。OpenAI社からの発表は見逃さないようにしましょう。

質問や指示を具体的に書く

プロンプトを書く際は、具体的に書くことを意識してください。曖昧な指示では、ChatGPTも解答にブレが生じます。

これは部下への指示と同じです。例えば取引先に関する書類整理を依頼する際、ただ「ここの書類を整理してほしい」と指示したとします。そうすると、人によってあいうえお順に整理したり、作成日順に並べたりするなど、さまざまな整理方法が出てくるでしょう。しかし「取引先ごとに分けた後に、一番上が直近日になるよう、作成日順に並べてほしい」と伝えれば、自分が想像した結果に部下も作業してくれます。

このように、ChatGPTにも細かく内容を支持すれば、思い描いた回答により近い回答を得られるでしょう。とくに5W1H「いつ・どこで・誰が・何を・どのくらい」を意識して書くと、精度の高い回答が出力されます。

回答の形式を指定する

ChatGPTの出力結果を何かに使用する場合、回答の形式を指定すると、あとの工程が楽になります。ChatGPTは、出力結果について文字数や箇条書き、段落などを指定することが可能です。ChatGPTは最初と最後の情報を重視するので、これらは命令文の最初もしくは最後に入れましょう。

回答の表現を指定する

ChatGPTは回答する際、特定の役割を演じてもらうことも可能です。例えば特定の言葉に関する説明文を依頼する場合、「小学校の先生のように、わかりやすく解説してください」と書きます。そうすると、小学生でも理解できるように、平易な言葉を用いて回答してくれます。

他にもインタビュー風の表現や、ですます調の指定も可能です。仕事であるなら、である調にするなど、用途に合わせて活用してください。

例や参照情報を提供する

プロンプトを書く際、ChatGPTに例や参照情報を提供できます。ChatGPTは全知全能ではないので、とくに難易度の高い質問では誤った回答を出してしまいます。そのため、処理方法や出力内容を例として示すことで、正確に指示を伝えることが可能です。

これは「Few-Shoプロンプト」と呼ばれる手法です。とくに機械的な処理を求める場合に有効でしょう。

段階的に指示を重ねる

最新のAI技術を搭載しているとはいえ、ChatGPTは複雑な処理はまだ苦手です。複雑な処理や複数のステップを重ねる場合、単純な指示に分割して指示を出すと、精度が上がります。

指示を分解して実行する場合、まず一連のステップを整理します。そのうえで「Instruction（AIへの命令）」「Completion（入力データの推測）」「Demonstration（例を提示して実演）」のいずれかに分けましょう。そうしたら、ステップごとにChatGPTに質問を追加していきましょう。会話があまりに長くなる場合、前のターンのやりとりを要約すると、指示から外れにくくなります。

ChatGPTのプロンプトの基本の型

ChatGPTのプロンプトには、回答精度を高めるために設計された基本の型があります。今回は3つ紹介します。

深津式プロンプト

「深津式プロンプト」は、note株式会社のCXOである深津貴之氏が考案しました。このプロンプトの特徴は、シンプルな構造です。マークダウン記法の「＃」を使って指示するので、ChatGPT初心者でも理解しやすい構造となっています。

構造は具体的に対象・条件・構造・敬語の4つから成ります。まず「対象」は、生成を依頼する具体的な題材のことです。簡単に言えば、ChatGPTにやってほしいことです。

次に「条件」は、回答の制約条件です。例えば文字数や文字の装飾、回答形式が挙げられます。もし思った通りの回答が生成されなかった場合は、ここで細かく調整していくと、回答精度が上がります。全体の文章構成やフォーマットは、「構造」で指定してください。冗長的な文章や非論理的な文章を避けることが可能です。

最後に「敬語」は、文章の言葉遣いや語調です。ここで言い回しを調整しましょう。

この4つをうまく組み合わせることで、処理が明確化され、論理的な文章を欲しい形式で生成してくれます。ここから指示・質問を重ねれば、より洗練された文章を提示するでしょう。

ゴールシークプロンプト

曖昧な情報や質問から回答を導き出したい場合は、「ゴールシークプロンプト」がおすすめです。これはプロンプトエンジニアリングのハヤシシュンスケ氏が考案した手法で、生成AIに質問するのではなく、質問させる発想から生まれました。

具体的にはChatGPTからの質問に回答していくことで、ChatGPTにプロンプトの作成や、目的達成に必要な情報・条件を提示してくれます。ゴールシークのプロンプトはさまざまありますが、一般的には「あなたは、プロンプトエンジニアです」と役割を指定したうえで、こちらが「完了」と言うまで、質問を続けていきます。

小さなゴールを重ねていくので、テーマやプロンプトに関して知識が足りなくても、回答精度の高いプロンプトが作成できるでしょう。

ReActプロンプト

「ReActプロンプト」は、「（行動理由の）推論」と「（推論に基づいた）行動」を交互に実行して、より精密な計画を立てさせます。ReActプロンプトの特徴として、型が決まっています。

入力文章（質問または指示）
Thought :
Action :
Observation :

まず冒頭で具体的な質問や指示をします。その下の3つは、ChatGPTが考えた結果を整理するための項目です。「Thought」では、質問や指示に対してどのように考えが必要かを出力します。例えば技術の理解や目標設定です。考えを整理した上で「Action」で、具体的な行動を示します。目標を達成するためには、どのようなことをしたらいいのか、ステップごとに提示します。

目標達成には、計画と行動結果を比較して、次の計画に活かすことが大切です。それを示すのが「Observation」です。評価方法やどのような点が失敗の原因となるのか、ChatGPTが教えてくれるでしょう。

ReActプロンプトは、目標達成のための方法を考えたいときに重宝します。仕事ではマーケティングや営業の施策を考えるときなどに、活躍してくれます。

仕事で使えるプロンプトのテンプレート

ここからは仕事で使える、プロンプトのテンプレートを紹介します。

メールの返信内容を提案してもらう

ビジネスメールは端的に書かないと、自分が伝えたいことがきちんと伝わらないまま、お互いに時間を無駄使いしてしまう可能性があります。メールの言い回しに悩み、返信に時間がかかってしまう場合、ChatGPTに提案してもらいましょう。

例えば日程調整の件について、返信する場合、下記のプロンプトがおすすめです。

あなたは、優秀な営業担当者です。以下の内容をもとに、メールの返信内容を出力してください。
＃受診したメール内容
　・打合せの日程調整依頼
＃返信に含める内容
　・1月18日（木）10:00～14:00の日程が参加可能
＃条件
　・敬語を正確に使う
＃出力
　・本文：

JAPAN AIラボ「ChatGPTを利用したメール返信のプロンプトを解説」https://japan-ai.geniee.co.jp/media/business-efficiency/660/

そうすると、以下のように提案してくれます。

「＃」以下の内容は、内容によって「希望するアクション」を追加してもよいでしょう。このプロンプトは謝罪や催促、イベントの案内など、さまざまなメールで活用できます。

財務状況を分析してもらう

経営判断をする上で、自社や他社の財務諸表の分析は非常に重要です。財務分析をしたい場合は、下記のプロンプトを使いましょう。

#命令文

株式会社{変数A} の{変数B} 業に関するデータを

{変数C} 年から{変数D} 年までの期間に引き続き分析してください。

分析には、{変数E} {変数F} {変数G} {変数H} などの特定の指標を計算し、

その結果を提供してください。

不足する情報があれば聞き返してください。

#変数

A= （企業名）

B= （業種名）

C= （分析開始年）

D= （分析終了年）

E= （分析対象事項）

F= （分析対象事項）

G= （分析対象事項）

H= （分析対象事項）

| 年 | 売上高総利益 | 当座率 | 売上高総利益 | 資本生産性 | 従業員数 | 売上高 |

|—|—|—|—|—|—|—|

プロンプトパーク「ChatGPTに財務分析をしてもらうプロンプト（例文付きコピペOK）」
https://promptpark.jp/column/prompt-to-ask-chatgpt-to-do-financial-analysis/

このテンプレートを使うと、下記のように出力されます。

用語を解説してくれるので、若い方にも安心です。気になる数字があれば、深掘るとよいでしょう。

有料版のChatGPTでは、ExcelやPDFの内容を読み込んで、分析することが可能です。決算説明資料を分析してもらえるので、投資判断にもおすすめです。

会議内容を要約してもらう

議事録作成は、比較的若い方がおこないますが、作成に時間がかかります。ChatGPTに議事録の要点をまとめてもらえば、取りこぼしなく効率的に作成できます。プロンプトは以下の通りです。

#制約条件に従って会議の議事録の要点をまとめてください。

#制約条件

*#議事録の内容に基づいてまとめること

*発言の内容から言いたいことを抽出すること

*抽出した内容から関連したものを総合して一つの要点とすること

*それぞれの要点は100字程度でまとめること

*明確で意味がわかりやすい文章にすること

*要点を箇条書きで示すこと

#議事録

PROMPTY「【プロンプト解説】ChatGPTを使って議事録の要点をまとめる」

依頼すると、下記のように出力されます。ChatGPTは専門用語には疎いため、実際には出力結果を確認してから、議事録に使用してください。

SNSで使えるネタを提案してもらう

マーケティング担当は、常日頃からSNSで使えるネタを探しているでしょう。他社のSNSを分析したり、流行りのネタをチェックしたりしている人も多いですが、ネタ切れになってしまうこともあるようです。

その際は、ChatGPTにアイデア出しをしてもらいましょう。プロンプトは「SNSのアイデアを30個作りたい」です。これをChatGPTに打ち込むと、ChatGPTからいくつか提案されます。そこからペルソナや企業が伝えたいことなど、さまざまな条件を加えていくと、それをもとにChatGPTが提案をおこないます。

この方法は、ブレストにも活用できます。思考が行き詰まったら、ChatGPTに脳みその整理を依頼してみましょう。

英語の文章を日本語に翻訳してもらう

ビジネスのグローバル化が進み、外国語の文書を扱う会社が増えています。時には契約書や公的書類を扱う機会もあるでしょう。その際、翻訳をChatGPTに依頼することが可能です。

テンプレートは下記を使用してください。

#入力文：
{翻訳したい文章を入力}

Goatman「ChatGPTで翻訳する方法は？使い方やプロンプトを解説！」

言い回しなどの条件が必要であれば、条件に追加しましょう。ChatGPTの良い点は、さまざまな言語処理ができることです。翻訳後は文章の要約も頼むと、上司に報告にする際に便利でしょう。他にも海外とのメールのやり取りにも応用できます。

今回はChatGPTのプロンプトについて、質を上げるコツや基本となる型、そして仕事で使えるテンプレートを解説しました。回答精度の高いプロンプトは、すべて基本の型がもととなっています。まずは型を覚えて、質問を重ねることで、目的の回答に近づいていきましょう。またテンプレートをいろいろな場面で使って、少しずつ発展させていくことも大切です。ネット上には、今回紹介した以外にもたくさんのテンプレートが出ているので、そちらもぜひ参考にしてください。