Appleが新しいヘルスケアアプリを発表した。健康年齢を追加0円で算出するが英語が先で日本語は後になる。AInformationが494本を調べたAIツールの年額中央値は30,528円。端末代で完結するAppleと月額サブスクは別の世界にある。
- ヘルスケアアプリがApple Intelligenceで全面刷新されHealth AgeやMovement Evaluationsが加わった
- Health AgeはApple Watchのデータから健康年齢を算出する新機能で追加の月額費用はかからない
- AInformationが494本を調べたAIツールの月額中央値は2,544円で年間30,528円になる
- Apple Watchの健康AIには月額サブスクが発生せず端末代だけで使える
- 新しいヘルスケアアプリは英語が先行し日本語の対応時期はまだ明示されていない
- 米国限定のLabs機能は119ドルで50以上のバイオマーカーを検査できる
ヘルスケアアプリがApple Intelligenceで全面的に作り直された
2026年9月9日(日本時間9月10日未明)、Appleは新製品の発表と合わせてiPhoneのヘルスケアアプリを一から設計し直したと発表しました。今回の刷新はデザインの変更だけではありません。Apple Intelligenceがアプリの中核に入り、Apple WatchやiPhoneが集めた健康データをAIが分析して結果を返す仕組みに変わっています。
Appleのヘルス&フィットネス担当副社長であるSumbul Desai氏は公式ページで「Apple WatchのセンサーとApple Intelligenceを組み合わせることで複雑な生体データを明確なガイダンスに変換できる」と説明しています。従来のヘルスケアアプリは数値を記録して並べる道具でした。新しいアプリはその数値が何を意味するかをAIが解釈して伝える役割を担います。

新しいアプリには大きく3つの柱があります。1つ目は健康年齢を算出する「Health Age」です。2つ目はiPhoneのカメラで筋力や柔軟性を測る「Movement Evaluations」です。3つ目は検査データを直接取り込める「Labs」です。いずれもApple Intelligenceが裏で動いていますが、データはすべて端末上で処理されるかAppleが設計したPrivate Cloud Computeを通る仕組みになっています。個人の健康データが外部に渡らない設計です。
公式の注記には「対応デバイスはApple Intelligence対応のiPhoneおよびiPad」「一部の機能はiPhoneのみ」「Health AgeにはApple Watchが必要」と明記されています。ハードウェアの条件はありますが月額の課金は発生しません。端末代だけで完結する構造です。では実際に何がどう変わったのか。機能ごとに見ていきます。

Health AgeはApple Watchの4つの指標から健康年齢を算出する
新しいヘルスケアアプリの目玉がHealth Ageです。Apple公式ページによると、Apple Watchが測る指標をもとに実年齢に対する健康の状態を数字で出す機能です。出てくる数値は「あなたの体は何歳相当か」を表します。実年齢が40歳でもHealth Ageが35歳なら体のコンディションが年齢より良いことを意味します。
VO2 max・安静時心拍数・睡眠・HRVの4つを使う
Health Ageのアルゴリズムが使う指標は公式ページに書かれています。VO2 max(最大酸素摂取量)、安静時心拍数、睡眠のデータ、HRV(心拍変動)の4つです。これらはすべてApple Watchが日常的に測っているものです。特別な操作は要りません。新しいApple Watch Series 12とUltra 4はHealth Sensing Systemという新しいセンサーを搭載しており、心拍数を5秒おきに測定します。HRVは5分おきで、従来の24倍の頻度です。
血液検査のデータを足すと分析の幅が広がる
Apple Watchの指標だけでもHealth Ageは算出されますが、公式ページには「A1c(ヘモグロビンA1c)やLDL(悪玉コレステロール)などの血液検査データを追加することで分析を充実させることができる」とも書かれています。健康診断の結果を手で入力するか、後述するLabs機能で直接取り込む形です。ただしLabs機能は2026年9月時点で米国限定のサービスです。日本で使う場合は健康診断の数値を手入力する方法になります。
Health Ageの表示はヘルスケアアプリの新しい「Longevity」タブの中にあります。このタブは心臓、睡眠、メンタル、運動機能、代謝、聴覚、栄養の7つの領域をカバーしており、Health Ageはそれらを束ねる指標として位置づけられています。Apple Watchから集まるデータにiPhoneやAirPodsの情報、臨床記録、サードパーティアプリの情報も加えて総合的に判断する仕組みです。
Movement EvaluationsはiPhoneカメラとApple Watchで筋力を測る
2つ目の新機能がMovement Evaluationsです。iPhoneのカメラとApple Watchを使って自宅で体力テストができます。Apple公式ページによると測定項目は柔軟性、筋力、バランス、動きの質(movement mechanics)、VO2 maxの5つです。
従来こうした測定を受けるには運動生理学者や理学療法士のもとを訪れる必要がありました。Movement Evaluationsはそれを自宅のiPhoneカメラとApple Watchで済ませます。測定にはビジョンベースのAIモデルが使われ、リアルタイムで音声と映像のフィードバックが返ってきます。臨床の専門家が開発に携わったと公式ページに明記されています。
映像はどこにも保存されず端末だけで処理される
体力測定のためにカメラを使うと聞くと映像の扱いが気になります。この点についてAppleは「処理はすべて端末上で行われ、映像が録画・保存・共有されることは一切ない」と公式ページで断っています。サーバーに送られることもありません。iPhoneの中だけで完結する処理です。
Movement Evaluationsの結果はHealth Ageにも反映されます。筋力やバランスのスコアが上がればHealth Ageの数値も変わる可能性があります。さらにAppleは測定結果に応じてエクササイズの計画を提案する機能も予告しています。バランスの改善が必要だとわかったら専門家の動画と能力に合った運動メニューがヘルスケアアプリに表示される仕組みです。
InsightsタブとLongevityタブが健康データを2つの視点で見せる
Insightsは1日の変化を追いかける
新しいヘルスケアアプリはInsightsとLongevityの2つのタブで構成されています。Insightsタブは1日の中で変わるデータを追いかけます。心拍数、睡眠、準備度(readiness)、フィットネス、バイタル、周期トラッキングの情報が1つの画面にまとまり、日中も更新され続けます。Appleはこれを「For You」と呼んでおり、ユーザーのデータに基づいた記事やアドバイスも表示されます。夜更かしが続いたら就寝前のルーティンを見直す提案が出てくる仕組みです。
Longevityは長期の傾向を7つの領域で分析する
Longevityタブは名前のとおり長期的な健康を見るためのものです。心臓の健康、睡眠、メンタルの安定、運動機能、代謝の状態、聴覚、栄養の7つの領域で縦断的なデータを分析します。先ほどのHealth Ageもこのタブの中にあります。各領域にどれだけデータが蓄積されているかを視覚化する機能もあり、まだ足りない領域があれば追加の測定や検査を促す設計です。
Apple Watch Series 12とUltra 4にはreadiness(準備度)という新機能も搭載されています。直近の運動量、バイタル、睡眠スコアを分析して0から10のスコアを毎日算出します。スコアに応じて「Recover(休む)」「Pace Yourself(抑え目に)」「Ready(準備OK)」「Go For It(全力で)」の4つの推奨が表示されます。このアルゴリズムはApple Heart and Movement Studyのデータをもとに運動科学者や医師と共同で開発されたものです。
追加費用は0円だがApple Watchがないと使えない機能がある
ここまで見てきた新機能に追加の月額費用はかかりません。Health AgeもMovement EvaluationsもInsightsもLongevityも、対応するハードウェアとソフトウェアがあれば使えます。毎月いくら払うかを考える必要がない点がこの仕組みの特徴です。
ただし条件があります。Health AgeはApple Watchが必須です。Apple公式ページに「Health Age requires Apple Watch」と明記されています。watchOS 27に対応するのはApple Watch Series 9以降、Apple Watch SE 3、Apple Watch Ultra 2以降です。これより古いモデルでは使えません。
watchOS 27は9月14日から配信される
watchOS 27の配信開始は2026年9月14日(月曜日)です。iOS 27も同日に配信されます。ソフトウェアの更新は無料です。ただし新しいヘルスケアアプリそのものは「年内に届く(later this year)」とだけ書かれており、9月14日のアップデートでは全機能が使えるわけではありません。
ヘルスケアアプリの対応デバイスは「Apple Intelligence対応のiPhoneおよびiPadモデルで最新のソフトウェアを搭載したもの」と公式に記されています。iPhone 15 Pro以降であればApple Intelligenceに対応しているため、最新モデルでなくても新しいヘルスケアアプリは使える見込みです。ここまでが発表の中身です。では追加費用がかからないAppleの健康AIと、毎月費用がかかるAIツールでは何がどう違うのかを数字で見ていきます。

AIツール494本の月額中央値は2,544円で年30,528円になる
AInformationが2026年9月6日時点でAIツールデータベースに収録している494本のうち有料のものは298本あります。この298本の月額料金の中央値は2,544円です。12か月使い続けると年間30,528円になります。
中央値とは298本を安い順に並べたときのちょうど真ん中の値です。平均値ではありません。安い側の25%ライン(第1四分位)は月額1,562円、高い側の25%ライン(第3四分位)は月額4,374円です。つまり有料AIツールの半数は月額1,562円から4,374円の範囲に収まっています。最も安いものは月額200円、最も高いものは月額312,400円です。
用途によって月額は1,913円から2,968円まで開く
AIツールの月額は用途によっても変わります。AInformationが2026年9月6日時点で調べた用途別の中央値を見ると、議事録・文字起こしが2,968円で最も高く、画像を作るツールが1,913円で最も安い結果でした。
翻訳ツールの月額中央値は2,702円、音声・ナレーションは2,655円、文章を書くツールと相談・調べものはどちらも2,593円です。用途によって1,000円以上の差がありますがどの用途でも月額2,000円前後はかかります。これを1年続けると最も安い画像生成でも年間約23,000円、最も高い議事録ツールなら年間約35,600円です。
なお494本のうち197本は無料で使えます。ただし無料のツールは機能の制限があるものが大半で、本格的に使おうとすると有料プランへの移行が必要になるケースがほとんどです。日本円で直接払えるツールは494本中82本にとどまります。
Apple Watchの健康AIには月額が発生しない
Appleのヘルスケアアプリで使えるHealth AgeやMovement Evaluationsに月額サブスクリプションはありません。Apple Watchを買って手首に着け、iPhoneと組み合わせればそれだけで使えます。追加のアプリ内課金もありません。

AIツールの月額サブスクリプションは使い続けるかぎり毎月かかります。解約すればその月から使えなくなるサービスがほとんどです。仮に月額2,544円のAIツールを3年使うと支出は91,584円になります。一方でApple Watchの端末代は購入時に1回だけかかり、その後の健康AI機能に追加費用は発生しません。
端末代だけで完結する仕組みと毎月払う仕組みは構造が違う
この2つを単純に比べるのは難しい部分もあります。AIツールのサブスクリプションは文章生成や画像生成など幅広い作業に使えます。一方でAppleの健康AIはあくまで健康管理に特化した機能です。対象領域がまったく異なります。
ただし健康管理を目的としてAIを使いたい人にとっては比較の意味があります。たとえば睡眠の質を分析するAIアプリや体調管理をサポートするチャットボットに月額2,000円前後を払っているなら、Apple WatchのHealth Ageに切り替えることで月額がゼロになります。端末代を回収するまでの期間はありますが、長く使うほどApple Watch側の負担は薄まります。
もちろんAppleの健康AIでは文章を書いたり画像を作ったりすることはできません。あくまで健康管理という1つの用途に絞った比較です。それでもAIツール全体の年額30,528円という数字を知った上で「自分が使う用途に端末代で完結する選択肢がある」と知っておくことは判断材料になります。
新しいヘルスケアアプリは英語が先で日本語は年内とだけ書いてある
Appleの公式ページには「The redesigned Health app will be available later this year, starting in U.S. English, with more languages to follow」と書かれています。新しいヘルスケアアプリは2026年内に届きますが、まずは米国の英語環境からです。日本語を含むほかの言語は「続いて対応する」としか書かれていません。
Siri AIの日本語対応は10月の予定だがヘルスケアアプリは別
iPhone 18 Proの公式ページには「Siri AIは英語から対応を開始し、フランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語は10月に対応する予定」と書かれています。これを読むとSiri AIの日本語は2026年10月に届く見込みです。
ただしSiri AIの日本語対応とヘルスケアアプリの日本語対応は別の話です。ヘルスケアアプリの公式ページには10月という時期は書かれていません。「more languages to follow」と書いてあるだけです。Siri AIが10月に日本語に対応してもヘルスケアアプリの日本語版が同時に届くとは限りません。
Apple Intelligence自体はすでに日本語に対応しています。Apple公式の対応言語リストには中国語(簡体字・繁体字)、デンマーク語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ノルウェー語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語、トルコ語、ベトナム語が並んでいます。日本語でApple Intelligenceの基本機能は使えます。しかし新しいヘルスケアアプリのすべてが日本語で使えるかどうかは現時点で読み取れません。
日本語で新しいヘルスケアアプリを使いたい人にとっては待ちの時間が発生します。その間にAIツールのサブスクリプションを使うか端末をそろえて英語環境で先に試すかという選択になります。
米国限定のLabsは119ドルで50項目以上を検査する
新しいヘルスケアアプリの3つ目の柱であるLabs機能はヘルスケアアプリから直接血液検査を予約して購入できるサービスです。Apple公式ページによると50以上のバイオマーカーを対象とした検査が119ドルで受けられます。米国にあるQuest Diagnosticsの約2,000拠点で対応します。
Labs機能で得られた検査結果はヘルスケアアプリに直接取り込まれます。A1c(ヘモグロビンA1c)やLDLコレステロールの値をHealth Ageの分析に追加できるため、Apple Watchの指標だけでは見えない体の状態も織り込んだ健康年齢が算出されます。検査結果についてはAppleの臨床専門家による解説動画も表示されると公式ページに書かれています。
ただしLabs機能は2026年9月時点で米国限定です。Quest Diagnosticsは米国の臨床検査会社であり日本では利用できません。日本で血液検査のデータをHealth Ageに反映させたい場合は健康診断の結果を手で入力する必要があります。119ドルは2026年9月6日時点のレート(1ドル156.2円)で計算すると約18,588円です。日本の一般的な健康診断でカバーされる項目と重なる部分も多いため、Labs機能がなくても日本のユーザーが大きく不利になるわけではありません。
AIツール月2,544円とApple Watchの端末代は比べる土俵が違う
ここまで見てきたように、Appleの新しいヘルスケアアプリは端末代だけで完結します。月額のサブスクリプションは発生しません。一方でAInformationが2026年9月6日時点で調べた494本のAIツールは有料298本の月額中央値が2,544円で年間30,528円かかります。
この2つは土俵が違います。AIツールのサブスクリプションは文章の生成、画像の作成、議事録の要約といった幅広い業務に対応します。Appleの健康AIは健康年齢の算出と体力測定に特化しています。全部をAppleの健康AIで置き換えられるわけではありません。
それでも健康管理の用途だけで見ると差は明確です。Apple WatchのHealth Ageに月額は要りません。端末を持っていればゼロ円で健康年齢を知ることができます。毎月2,544円を払い続けて健康管理をするのか、端末代を1回払って月額ゼロで済ませるのかという選択肢が生まれたのが今回の発表の意味です。
ただし忘れてはいけないのは言語の壁です。新しいヘルスケアアプリは英語環境から始まり、日本語の対応時期は明示されていません。日本語で今すぐ健康管理AIを使いたいならAIツールのサブスクリプションが現実的な選択肢になります。英語環境で問題ない人はApple Watchを選ぶことで月額の支出をなくせます。いつ日本語に対応するかを見極めてから動いても遅くはありません。
月額2,544円のAIツールを12か月使うと30,528円になる。Apple Watchは端末代が1回かかるだけで、その後の健康AIに月額は発生しない。どちらが得かは使い方しだいだ。ただし新しいヘルスケアアプリが日本語で届く時期がはっきりしない点は判断を保留にする理由になる。英語で問題なければApple Watch、日本語がいるなら当面はAIツールという使い分けが現実的だろう。
- Health Ageとは何ですか
- Apple Watchが測るVO2 max、安静時心拍数、睡眠、HRVの4つの指標をもとに実年齢に対する健康状態を数値で出す機能です。Appleが2026年9月9日に発表した新しいヘルスケアアプリに搭載されます。血液検査のデータ(A1cやLDLなど)を手で追加すると分析の幅が広がります。利用にはApple Watchが必要です。
- Health Ageに月額費用はかかりますか
- かかりません。Apple WatchとApple Intelligence対応のiPhoneがあれば追加費用なしで使えます。AInformationが2026年9月6日時点で調べたAIツール494本の月額中央値は2,544円ですが、AppleのHealth Ageにはサブスクリプションの仕組みがありません。端末代だけで完結します。
- 日本語で使えるのはいつからですか
- 新しいヘルスケアアプリの日本語対応時期はApple公式ページに明記されていません。まずは米国の英語環境から提供され、ほかの言語は「順次対応」とだけ書かれています。Siri AIは2026年10月に日本語対応の予定ですが、ヘルスケアアプリが同時に届くかどうかはこの調べでは分かりません。
- Apple Watchがなくても使えますか
- ヘルスケアアプリ自体はiPhoneで使えますが、Health Ageの算出にはApple Watchが必須です。公式ページに明記されています。対応するのはwatchOS 27が入るApple Watch Series 9以降、Apple Watch SE 3、Apple Watch Ultra 2以降です。Movement Evaluationsの体力測定にもApple Watchが必要です。
