iPhoneのカメラとApple Watchで体を5つの項目まで測る
作り直されるヘルスケアアプリの目玉が動きの評価(Movement Evaluations)です。iPhoneのカメラとApple Watchを使って、自宅で体力を測れるようにします。ジムにも病院にも行かずに済ませる作りです。
測れるのは5つです。柔軟性・筋力・バランス・動きの仕組み・VO2 maxが並びます。
| 測る項目 | 公式の表記 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 柔軟性 | flexibility | 関節がどこまで動くか |
| 筋力 | strength | 体を支えたり動かしたりする力 |
| バランス | balance | ふらつかずに姿勢を保てるか |
| 動きの仕組み | movement mechanics | しゃがむや歩くときの体の使い方 |
| VO2 max | VO2 max | 運動中に体が取り込める酸素の量 |

これまで、こうした測定を受けるには運動生理学者や理学療法士のところへ行く必要がありました。体の動く力は自立や慢性的な病気のリスクや生活の質を強く映す目印です。それなのにふだんの健康管理ではほとんど測られていないと、Appleは公式のリリースで書いています。そこを自宅のiPhone1台で埋めにいく形です。
置かれる場所は、作り直したヘルスケアアプリのLongevityタブの中です。同じタブには健康年齢も入ります。どちらも長い期間のデータを見るための機能で、役割は別々になります。
- 9/9Appleがヘルスケアアプリの刷新と動きの評価を発表
- 9/14iOS 27が出る。Apple Intelligenceは日本語を含む16言語で使える
- 9/15watchOS 27が出る
- 9/18iPhone 18 Pro・Apple Watch Series 12・Ultra 4が発売
- 年内作り直したヘルスケアアプリ。まず米国の英語から
Appleは映像を録画も保存も共有もしないと書いている
カメラを部屋に向けて全身を映す機能なので、映像の扱いが気になります。ここについてAppleは公式のリリースで先に断っています。
This experience runs entirely on device; no video is ever recorded, stored, or shared.
この機能はすべて端末の中で動くという意味です。そのうえで映像が録画されることも保存されることも共有されることも一切ない、と続きます。3つを並べて否定しているのが特徴です。

録画しないというだけなら、その場で見て消す作りもありえます。保存しないだけなら、送った先で処理してから捨てる作りもありえます。3つ全部を否定しているのでどちらでもありません。映像は端末の中で計算に使われて、そのまま消えていきます。
残るのは測った結果の数字だけです。カメラを使うのに映像が1回も外へ出ない。ここが今回いちばん効いてくるところです。

同じ体力測定でも、どこで測るかによって映像の行き先は変わります。専門家のところへ行けば人が直接見ますし、写真や動画をブラウザのAIへ送れば事業者のサーバーへ渡ります。自宅のiPhoneで測る場合だけ、映像がどこへも渡らない形になります。
画面に出る白い丸がAIの動いている印になる
Appleはこの機能について、画像を見るAIモデル(vision-based AI models)を使うと書いています。何をしているのかは公式の動画で見えます。
床に立てたiPhoneの画面には、離れて立っている人がそのまま映ります。その体の上に白い丸が重なります。肩・肘・手首・腰・膝・足首と、関節のある場所に並んでいます。

この丸が、AIが体のどこを見ているかを表しています。関節の位置を1コマずつ拾い、その動きから角度や速さを出す作りです。人の姿を映像として保つのではなく、点の集まりとして扱っていることになります。
画面の上にはCardio Fitnessと出ています。心肺機能のことなので、VO2 maxを測るテストの画面だと分かります。測定そのものは臨床の専門家の意見を入れて作られたと公式に書かれています。
その場で音と画面が返るのは端末の中で計算しているからだ
Appleはこの測定について、その場で音と画面のフィードバックを返すと書いています。立ち位置がずれていれば直すよう促し、動きが浅ければその場で伝える形です。

これは端末の中で計算していることの裏返しでもあります。映像を外のサーバーへ送って返してもらうと、行きと帰りの時間がかかります。体の動きに合わせて助言を出すには、その往復が邪魔になります。
端末の中で動かす理由はプライバシーだけではありません。速さのためでもあります。この2つは同じ作りから同時に出てきます。
AppleがA20 ProでApple Intelligenceの処理を強めているのも、この流れの上にあります。端末の中で動く部分が速くなるほど、外へ出さずに済む仕事が増えます。
AIツール494本は全部がブラウザから使える作りだった
ここでAIツール全体と比べてみます。AInformationは料金と使う場所を1本ずつ調べていて、2026年9月10日時点で494本を収めています。
使う場所を数え直したところ、494本すべてがブラウザから使える作りでした。専用のアプリしか無いものは1本もありません。
| 使える場所 | 本数 | 494本に占める割合 |
|---|---|---|
| ブラウザ | 494本 | 100% |
| スマホのアプリもある | 121本 | 24.5% |
| パソコンにも入れられる | 83本 | 16.8% |
| ブラウザだけで使う | 332本 | 67.2% |

ブラウザで動くAIは、入力したものをいったん事業者のサーバーへ渡します。計算した結果を返してもらう作りが基本です。文章を打ち込むAIなら打った文が、画像を扱うAIなら画像そのものが手元を離れます。
スマホのアプリがある121本も、多くはアプリが入り口になっているだけです。計算は外で行われます。手元だけで完結すると読み取れるものは、494本の中では見当たりませんでした。
AInformation調べ。2026年9月10日時点で収録している494本のAIツールについて、公式の料金ページと提供の形を1本ずつ確かめたもの。そこから使える場所を数えた。
画像や動画を扱うAI129本のうち90本はスマホでも使えない
映像に近いところだけを取り出すと、差はもっとはっきりします。494本のうち画像か動画を扱えるものは129本でした。
この129本のうち、スマホのアプリがあるのは39本だけです。残りの90本はブラウザかパソコンからしか使えません。写真や動画を扱うAIほど、手元の外へ渡す作りに寄っています。

理由は分かりやすいところにあります。映像は文字よりデータの量が桁違いに大きく、計算も重くなります。強い機械をそろえた場所へ集めて処理するほうが作りやすい形です。
だからこそ、体を映したままの映像を端末の中だけで処理して結果だけ残すという作りが目を引きます。重いほうの仕事を手元へ寄せにいったことになります。
AInformation調べ。2026年9月10日時点の494本について、できること(用途)に画像か動画が入るものを数えたもの。画像を作れるものは75本、動画を扱えるものは88本、文章を書くものは109本だった。
端末の中でAIを動かす土台はA20 Proで2倍になった
手元で重い計算をするには、それだけの部品が要ります。今回のiPhone 18 ProとiPhone Duoに載るA20 Proは、デュアル16コアのNeural Engineを積んで合計32コアになりました。AppleはA19 Proと比べてAIの処理能力が2倍になったと説明しています。
ただし、作り直したヘルスケアアプリを使うのにA20 Proが要るわけではありません。公式には、Apple Intelligenceに対応したiPhoneとiPadで最新のソフトウェアを積んだものと書かれています。一部の機能はiPhoneだけになります。
それでも、端末の中でAIを動かす部分は世代ごとに倍のペースで強くなっています。この作りを支えているのはそこです。外へ送らずに済む仕事の範囲が、機種が変わるたびに広がっていく形です。
VO2 maxを測るにはApple Watchか対応の心拍計が要る
iPhone1台では足りない部分もあります。公式の注記に条件が書かれています。
| 使いたいもの | 要るもの |
|---|---|
| 動きの評価(Movement Evaluations) | iPhoneのカメラとApple Watch |
| VO2 maxを出すテスト | Apple Watch・AirPods Pro 3・他社の心拍センサー機器のどれか |
| 健康年齢(Health Age) | Apple Watch |
| 一部の機能 | 18歳以上であること |
カメラだけで測れるのは、目で見て分かる動きの部分です。心臓がどれだけ働いているかは体に着けたセンサーでないと拾えません。だから2つを組み合わせる作りになっています。
Apple Watch Series 12とUltra 4は心拍を5秒ごとに測り、心拍の揺れは5分ごとに測ります。その日の体調を0から10で出す準備度も、この頻度の上に載っています。
測った結果は専門家の動画と運動メニューにつながる
測って数字が出て終わりではありません。Appleは、結果に合わせて専門家の動画と運動の計画を出すと書いています。
たとえばバランスを直したほうがいいと分かったときは、何をすればよいかを説明する専門家の動画がヘルスケアアプリに出ます。そのうえで、その人の力と必要に合わせた運動が選ばれて並びます。測る側と直す側が同じアプリの中でつながる形です。
ほかにも機械学習を使った改良が入りました。ランニングマシンで測る距離は新しいモデルで計算し直され、歩き出しや走り出しの1歩目から正確になるとしています。Workout BuddyはiPhoneが近くになくてもApple Watchだけで動くようになり、英語とスペイン語で使えます。
GymKitも広がりました。AirPods Pro 3で拾った心拍をiPhone経由でジムのランニングマシンやバイクへ渡せます。体から取った数字を機械のあいだで回す流れが増えています。
使えるのは年内で日本語がいつ来るかは決まっていない
ここは隠さずに書いておきます。作り直したヘルスケアアプリが出るのは年内で、まず米国の英語からです。ほかの言語については順次としか書かれていません。

日本でいつ使えるようになるかは発表されていません。Siri AIの日本語対応が10月に予定されていますが、ヘルスケアアプリはそれとは別の話です。公式のリリースに10月という時期は書かれていません。
| いつ | 何が起きるか |
|---|---|
| 9月14日(月) | iOS 27が出る。Apple Intelligenceは日本語を含む16言語で使える |
| 9月15日(火) | watchOS 27が出る |
| 9月18日(金) | iPhone 18 Pro・Apple Watch Series 12・Ultra 4が発売 |
| 年内 | 作り直したヘルスケアアプリ。まず米国の英語から |
| 未発表 | 動きの評価が日本語で使えるようになる時期 |
米国では、ヘルスケアアプリから血液検査を予約して買える仕組みも入ります。50項目以上を119ドルで測るもので、Quest Diagnosticsの約2,000拠点が対象です。こちらも日本での提供は発表されていません。
カメラを向けるAIを選ぶ前に3つを確かめておく
日本で使えるようになるのを待つあいだにも、写真や動画をAIへ渡す場面は増えます。選ぶ前に確かめたいのは3つです。
1つ目は映像がどこで処理されるかです。端末の中なのか、事業者のサーバーへ送られるのかで話が変わります。2つ目は、送ったものが残るかどうかです。3つ目は、残るなら消す方法があるかどうかになります。

動きの評価はこの3つに先に答えを出しています。端末の中で処理する・残らない・そもそも残らないので消す必要がない、という並びです。比べる物差しとして分かりやすい形になります。
ブラウザで使うAIに写真を送るときは、料金のページではなくプライバシーポリシーを見ることになります。学習に使われるかどうかと、保存される期間の2つが書かれているかを確かめておくと迷いません。
次に見えてくるのは、この作りがAppleの外へ広がるかどうかです。体をカメラで測るサービスが増えたときに、映像を残さない側と送る側のどちらが標準になるか。そこが決まるまでは、自分で確かめる手間はしばらく残ります。
- 動きの評価(Movement Evaluations)
- iPhoneのカメラとApple Watchで柔軟性・筋力・バランス・動きの仕組み・VO2 maxを自宅で測る機能。映像は端末の外へ出ない
- 画像を見るAIモデル
- 写真や映像から、写っているものの位置や形を読み取るAI。ここでは体の関節の位置を拾って動きを測るのに使われている
- VO2 max
- 運動しているときに体が取り込める酸素の量。心臓と肺がどれだけ働けるかの目安になる
体をカメラで測るのに映像を1回も残さない、という作りが今回いちばん効いてきます。うちが調べているAIツール494本は全部がブラウザから使えて、入力は一度手元の外へ出ます。画像や動画を扱う129本のうち90本はスマホでも使えません。重いほうの仕事を手元へ寄せた作りが選べるようになると、AIに渡せるものの幅が変わります。日本で使えるのがいつになるかは、まだ発表されていません。
- カメラで撮った映像はどこかに残るのか
- Appleは公式のリリースで、この機能はすべて端末の中で動き、映像が録画されることも保存されることも共有されることも一切ないと書いています。残るのは測った結果の数字だけです。
- iPhoneだけで測れるのか
- 動きの評価にはiPhoneのカメラとApple Watchの両方を使います。VO2 maxを出すテストには、Apple Watch・AirPods Pro 3・他社の心拍センサー機器のどれかが必要です。
- 日本ではいつから使えるのか
- 発表されていません。作り直したヘルスケアアプリは年内に出ますが、まず米国の英語からです。ほかの言語については順次としか書かれていません。
- 追加のお金はかかるのか
- 動きの評価そのものに月額の記載はありません。米国で始まる血液検査の予約は別で、50項目以上を119ドルで測るものになります。日本での提供は発表されていません。
この記事の出典
補助資料
- [1]Appleこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月10日
