生成AIのメリットとデメリットを紹介!活用例と従来のAIとの違いを徹底解説

生成AIの利用にあたって、メリットだけでなくデメリットを知っておくことは大きなアドバンテージになります
詳しく知らずに利用するよりは知っていたほうがいい、というレベルのことから、知らないと大きなリスクにつながってしまうようなことまで。
様々なメリットとデメリットをご紹介します。
もちろん、メリットを活かすための用途もご紹介。

従来のAIと変わらない部分もあれば、変わったからこそメリット、デメリットとして出た部分もあります。
その点も踏まえて従来のAIと生成AIの違いも押さえていきましょう。

目次

生成AIと従来のAIの違い

初めに、生成AIと従来のAIの違いを簡単に。

世間でも言われていますが、生成AIと従来のAIの大きな違いは、「新しいコンテンツを生み出せるかどうか」です。
他の違いとしては、学習モデルや学習の視点、出力されるコンテンツなどがあります。
機械学習と深層学習の違い、分類と分析の違い、そして数値やテキストなどしか出力できないか、それ以外も出力できるか、という違い。

従来のAIには機械学習の手法が利用されており、主に情報の整理や分類、検索手法を学習します。結果として、メールボックスの分類機能などが実装できますね。この出力結果のことを、「構造化データ」と呼んだりします。
生成AIは深層学習の手法が利用されており、データ同士の関係性や法則性を自ら読み解いて学習します。結果として生成されるものはテキストベースの会話であったり、画像であったり、音声や動画であったりします。これらを「非構造化データ」と呼ぶこともあります。
おおざっぱな表現をすると、従来のAIにできなかったことが、幅広くできるようになった。
AIの進化の一つの形が、生成AIであるということです。

つまり、従来のAIが「入力データの正誤チェックや基準値の判定、定型作業の自動化」などの単純な作業をすることができるものであるのに対して、生成AIは「データ同士の関係性や法則性をもとに、新しいコンテンツを作り出す」ことができるものである、と言えるでしょう。

生成AIのメリット

生成AI利用にあたってまず意識するのが「メリット」だと思います。

例を挙げつつ紹介していきますので、ご自身の環境や想定に読み替えたりしながら参考にしてください。

自動化による効率、生産性の向上

単純作業が連続すると、ミスが増えるだけでなくモチベーションも低下する
こういう経験をした方は少なくないのではないでしょうか。
これはプライベートでも仕事でも同様で、その問題の解決に生成AIが利用できる可能性がある、というのがメリットの1つめです。

これが利用できるシーンとして、問い合わせ窓口を例にしてみましょう。
お客様から問い合わせを受け取った時、「確認して対応しますので少々お待ちください」とお返事をすることもありますね。お電話なら時間は短くて済みますが、チャットやメールでの問い合わせの場合、これが続くと「単純作業」になってしまうでしょう。
この時、チャットボットやAIオペレーターなどの形で生成AIを利用することによって、人の手が必要なシーンを大幅に削減できるのではないでしょうか。

実際に、チャットオペレーターとしての生成AIの利用は進んでおり、大手通信系企業でも導入サポートを行っている事例がありますので、この点でのメリットは今後もより伸びていくのではないかと思われます。

人間の作業の代替、負担の軽減

生成AIのメリットの代表的なところとして、これを想像する人もいるかもしれませんね。
生成AIに任せる作業の選定には気を遣う必要がある部分もありますが、人間がすべき作業を代替してもらうことによって得られる効果は大きいです。
企業であれば、人員不足の解消や作業時間の低減が見込まれます。
個人であっても、空いた時間を他の作業や趣味に回すことができるようになりますね。

生成AIに任せられる作業は今のところ単純なものですので、これを代替してもらうことによって「より高度な技術や考え方が必要になる作業に人間を回すことができる」というのも大きなメリットです。
様々な企業が生成AIを業務に取り入れている、取り入れようとしている背景には、こういったメリットも存在します。

学習にかかるコストの削減

生成AIのお手軽さは、コストの削減につながります。
何も知らない人がいちからプログラミングを行うよりも、例えば生成AIに「〇〇をするためのコードをPythonで」といったプロンプトを送り、ベースとなるコードを読みながら完成させていく方が分かりやすい、と言えば想像がしやすいでしょうか。

企業の場合は、先述の「作業の代替」などによって人員不足を補うことによって、新規人材の獲得コストを削減することもできます。
従来の業務を生成AIに代替してもらうことによって、その業務を教育するコストも削減できますね。
また、生成AI自体の操作に関してはUIの優れたもの、直感的でわかりやすいものが多いため、教育の必要も他のサービスに比べるとうんと少ないと言えるでしょう。

斬新なアイデアが生み出される可能性

ブレインストーミングというアイデア創出の手法を聞いたことはあるでしょうか。
本来複数人で行い、様々なアイデアを出すことによってそれらから派生する新しいアイデアを生み出す、という手法なのですが、これが一人でもできる、というのも生成AIの強みです。

生成AIは膨大なデータを基に様々なコンテンツを迅速に生み出すことが可能ですので、人間よりもアイデア出しにかかる時間やコストが少なく、生成できる量も多いのです。
また、生成過程に人間の手が加わらないために、コンテンツに「斬新さ」が見られる場合があります。

ミスやエラー等の人為的なリスクを低減

これは特に単純作業で効果を発揮するメリットです。
人間が作業を行う以上、どうしても無視できないのがミスやエラーです。
生成AIに任せてしまうことで、これらのリスクを「起こる心配をして対策をするもの」から「起こっていないかチェックをするもの」に変えることができます。

また、リアルタイムでのデータ分析、シミュレーションや予測などを併用することによって、今後生じうるリスクを事前に推定、評価し、対策を講じることもできるようになるでしょう。

企業では24時間365日の対応が可能に

問い合わせ対応を生成AIに任せる、というアイデアの話をしました。
その例のように、生成AIに業務を任せることによって24時間365日の対応が可能になる業務は複数あります。
この対応が可能になることによって、顧客は待ち時間なく、いつでも問題を解決できるようになりますね。

加えて、生成AIの内部情報に顧客のパターンややり取りの履歴を取り込んでいくことによって、それぞれの回答をパーソナライズすることも可能になっています。
これは従来のAIではできなかったことですが、現在の生成AIであれば可能です。顧客満足度の向上という観点でも、非常に大きなメリットであることがうかがえるでしょう。

生成AIのデメリット

メリットの話から行いましたが、忘れてはいけないのが注意点です。
生成AIは非常に便利で、利用することによるメリットも大きいものとなりますが、使い方を誤った際や不正に利用されてしまった際のリスクも同様に大きいことを忘れてはいけません。

以上のデメリットに関して紹介していきますので、利用の際には思い出せるよう、注意をしておきましょう。

品質が安定しないことがある

生成AIが生み出すコンテンツは、常に一定の品質を保持しているわけではありません。
正確ではない情報が含まれてしまったものをそれと気づかずに利用してしまうと、個人利用でもビジネス利用でも問題となります。
中には、学習元に含まれるフェイク情報をAIがそれと判断できずに出力している場合もあります。
それらの低品質なコンテンツに関しては人の手、人の目でチェックして手直しする必要があるため、結果として生成AIを利用したからといってコストが削減できるとは限らない面もありますので、注意が必要です。

バイアスや偏見が反映される可能性がある

生成AIの学習元データは、一般的にWeb上のコンテンツです。
それゆえに、バイアスや偏見が含まれてしまっていることも無くはありません。
生成AIはそれらのバイアスや偏見も含めて学習してしまうので、生成結果に反映される可能性もあります。
人種やジェンダーなど、昨今の風潮にそぐわないものが生成される可能性があるので、特に注意しましょう。

セキュリティ的なリスクが常にある

生成AI利用に際しては常にセキュリティリスクが伴います。
特に追加学習を行う場合など、送信するデータに個人情報や機密情報が含まれる際には注意が必要です。
もちろん、そういった情報を含めないことも一つの防衛手段です。が、必要に応じて実施する際には情報漏洩や不正利用のリスクには常に目を光らせておくことができるように、データ管理とセキュリティ対策を行いましょう。

生成結果の根拠が分からない

生成AIが生み出すコンテンツが「どういうプロセスで生み出されたのか分からない」と感じたことはないでしょうか?
この点がまさにそのデメリットです。
分からないけどできてるからいいや!と思うこともあるでしょうが、これは「どうやって作られたのかわからない」から「再現性がない」ということにもつながります。
全く同じプロンプトを使ったとしても、生成AIは全く同じ回答をするわけではないということに注意が必要です。

著作権などの法律に抵触する可能性がある

生成AIの学習元データに関しては、こちらの問題もあります。
元データには第三者が権利を持つ著作物が含まれていることがあるため、それらがそのまま出力されてしまうと大きな問題となります。
イラストレーターさんなどが生成AI利用に懐疑的なのは、この問題があまりにも身近であるせいです。
ビジネスでの利用の場合には、法務部などを通して重点的にチェックした方がよいでしょう。

常に最新の技術動向を追い、対応を行う必要がある

生成AIに関連する技術が常に変化しているので、その動向は常に気を配る必要があります。
先日までは安全とされていた対策が、今日はリスクになっている、ということも想定はされうるわけです。
適切なコストと注意を払って適切に、アップデートや変化への対応を行う必要があるということです。

法律の整備が追いついていない

生成AIに限らない話ではありますが、現状、少なくとも日本では、最新技術に対応するための法律整備が追いついていません
現状ではクリーンな利用方法をしていても、法律が整備されることによって違法となってしまう可能性が常にある、ということです。
音声生成AIで身近な人の声を生成しての詐欺などが横行している国もある中で、今後AIの利活用やその使い方に関しての議論はさらに活発化するでしょう。ビジネスでも個人利用でも、しっかり確認しておくことが必要です。

生成AIを活かす用途の例

生成AIの活用に関しては様々な分野があります。

企業での例や個人での例など紹介していきましょう。

【個人/企業】ミーティング音声の文字起こしや文章の要約

Zoomのサービス内にもあるため、見かけたことがある方も多い機能ではないかと思います。
ミーティングや会議の音声から文字起こしをしたり、それらを要約して議事録を作成したり。
全てを人の手で行うとこまごまして時間のかかる作業ですが、生成AIによって自動化することでスピーディに、正確に完了することが可能です。
特に、生成された書き起こしや要約が正確かどうかを確認するためには本文を読めばいいわけですから、ファクトチェックも容易です。比較的リスクが少なく利用できる例として、触れやすい分野かもしれません。

【企業】カスタマーサポートの自動化

自動応答システムを構築することで、24時間365日の対応を可能にしているほか、サポートの人件費の削減にも貢献しており、顧客満足度の向上とコストの削減を両立しています。
様々な企業でのサポートAI導入を補助している企業などもあり、この分野での生成AIの活用はもはや一般的であるとさえ言えるかもしれません。

【企業】商品企画の簡便化

商品企画には、販売データや消費者のコメント分析、企画書の作成などの工程があります。
これらを生成AIに任せることによって、工数や作業期間を最大10分の1まで削減できるという見積もりがあるようです。
もちろん単純業務の自動化によって作業時間を削減すること、企画運営の効率化なども含まれているとのことですが、効率的なデータ分析と流行の把握によって、消費者のニーズに合った商品をスピーディーに提供することができるようになることも見込まれます。

【企業】広告の作成にAIタレントを起用

AIが生成するモデルのクオリティが上がり続けている影響で、昨今ではもはや人間と区別がつかないほどです。
年齢や容姿をCMのストーリーや企業イメージに沿ったものにすることができ、モデル作成の段階から非常にメリットが大きいと言えます。
また、人間の起用ではどうしてもCMの使用期限や不祥事のリスクなどを考えなければなりませんが、AIタレントであればその点を心配する必要は全くありません。
メリットのみならず、デメリットの回避もできるという点で、活用方法としては優秀です。

まとめ:生成AI利用のメリットとデメリット

それでは、これまでの内容をまとめていきましょう。

  • 生成AIと従来のAIの違いは「新しいものを生み出せるかどうか」、「学習方法」、「出力されるものの種類」
  • 生成AI利用のメリット1:作業代替による効率化や生産性の向上、リスクや負担、コストの削減
  • 生成AI利用のメリット2:クリエイティブな発想の創出、人間には難しい業務への対応
  • 生成AI利用のデメリット1:誤情報や低品質な情報、バイアスや偏見などが反映される可能性がある
  • 生成AI利用のデメリット2:生成結果の根拠がわからず、再現性がない
  • 生成AI利用のデメリット3:著作権などの現行法に抵触する可能性があるほか、AI関連の法整備が追いついていないため、セキュリティ面のみならず常に動向を気にかける必要がある
  • 生成AIは企業でも活用が進んでおり、今後の発展も見込まれる分野

生成AI利用はリスクもありながら、メリットもたくさんあるのが現状です。
すでに企業での利活用も進んでおり、導入をサポートしてくれる企業もたくさんあります。
メリットだけでなく常にリスクやデメリットも意識しておくことで、あなたや企業の身を守ることができる、ということは忘れずに。

この記事を書いた人

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