Grok3とは?使い方や特徴などを実際に使用して徹底解説!

2025年2月18日、イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIが、最新の人工知能モデル「Grok3」を発表しました。Grok3は、前モデルのGrok2から大幅に進化し、数学、科学、プログラミングなどの分野で優れた性能を発揮すると言われています。

本記事では、Grok3の特徴や使い方、活用例について解説しています。他のチャットAIとの比較や、実際に使用した人のリアルな口コミも紹介。Grok3はAI界の新星となり得るのか、その実力を探っていきます。

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AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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目次

Grok3とは?

Grok3は、xAIが2025年2月に開発・リリースした最新の対話型AI(大規模言語モデル)です。イーロン・マスク氏が「地球上で最も賢いAI」と評価するこのモデルは、人間の科学的発見を加速させることを使命とするxAIの取り組みの一環として作られました。

名前の由来はロバート・A・ハインラインのSF小説『異星の客』に登場する火星語「Grok」で、「深く理解する」という意味を持ちます。

先代モデルを超える推論能力や数学・コーディング能力を持ち、DeepSearchやThinkモードで複雑な情報から本質を抽出する能力も強化されています。

Grok3は単なる情報提供を超え、ユーモアを交えながらも「生の真実」を追求し、人間の理解を助けるAIを目指しています。

Grok3の特徴

Grok3の特徴は大きく3つあります。

  1. 高度な推論能力
  2. DeepSearch能力
  3. マルチモーダル機能

高度な推論能力

Grok3の特徴を解説するにあたって外せないのは、その高度な推論能力です。

Grok3は複数の思考チェーンを同時に実行する能力を持っています。これにより、複雑な問題に対して多角的なアプローチが可能となり、より深い洞察を得ることができるようになりました。

またGrok3に搭載されているAIモデルは、データを繰り返し見直し、論理的一貫性を確保することで、自身の間違いを特定し修正する能力を持っています。この自己修正メカニズムにより、Grok3の回答の精度と信頼性が向上しています。

この高い推論能力を実現するための機能が「Thinkモード」です。この機能は文字通りAIに考えさせるもので、より複雑な情報収集をして回答を導き出します。

Thinkモードを使った回答

Grok 3の高度な推論能力は、複雑な問題解決、科学研究、高度なプログラミングなど、幅広い分野での応用が期待されています。

DeepSearch能力

Grok3で新しく搭載された機能として、DeepSearchがあります。この機能は、インターネットとX(旧Twitter)から関連情報を検索し、回答を生成するというものです。

試しに、税制について今後どうなっていくのかを予測してもらいました。

DeepSearchなし

DeepSearchあり

回答のボリュームが違うのが一目瞭然です。

さらにGrok3は、DeepSearchやThinkモードで質問を行なった際、思考プロセスを確認できるという特徴があります。回答の最初にある枠内が思考プロセスです。

AIがどのようにして回答を導き出しているのかがわかるため、複雑な問題に当たったときの解決の参考になります。

マルチモーダル機能

Grok3は、テキストと画像の両方を入力として受け取り、それらを統合的に理解し処理することができます。これにより、ユーザーは画像を含む複雑な質問をすることが可能になり、AIはそれらの視覚情報を考慮した回答を提供できるようになりました。

また、Grok3には「Aurora」という画像生成ツールが搭載されています。このツールは、テキストの説明から高品質な画像を生成することができます。

Grok2から何が変わった?

Grok3は、新しく搭載されたDeepSearchやThinkモードにより、Grok2と比較してより詳細な説明や実践的な回答を提供するようになりました。

Grok3は、20万台のGPUを含む巨大なデータセンターで訓練されており、Grok 2の10倍以上の計算能力を持っています。さらに、AIME’24(数学)、GPQA(科学知識)、LCB Oct-Feb(コーディング)のテストにおいて優れた成績を収めており、コーディング精度が20%向上したとの結果が出ています。

回答の質や速度が大きく向上した、Grok2の完全なる上位互換と言えるでしょう。

Grok3の料金形態

Grok3の料金形態は、主に2つのプランを通じて提供されています。

2025年2月21日現在、Grok3はサーバーの限界まで無料で利用可能としています。ただし、一時的な措置の可能性もあることを留意しておきましょう。

スクロールできます
プラン名料金特徴
X Premium+(Webサイトから課金)
月額6,080円
年額60,036円
(iOSから課金)
月額8,000円
年額80,000円
(Androidから課金)
月額8,190円
年額80,400円
・Grok-3の利用
・DeepSearchおよび推論機能へのアクセス
・投稿や会話の使用制限増加(文字数・ポスト数など)
・広告表示の半減、クリエイター収益分配など
SuperGrok月額約4,500円
年額約45,000円
・Grok-3への優先アクセス
・DeepSearchおよびThink機能
・今後実装される新機能へのアーリーアクセス
・画像生成数の上限アップ
・Grok専用アプリ(iOS)
・grok.comでの利用が可能
Grok3の料金形態の比較表

有料プランへ移行すると、Grok3への優先的なアクセス権を得ることができます

Grok3のリリースに伴い、X Premium+の料金は2倍以上に値上がりしています。また料金設定に関して、公式情報と実際の請求ページで若干の不一致が見られる場合があるので注意が必要です。

他のチャットAIとの比較

xAIは、Grok3がGoogle GeminiやOpenAIのGPT-4o、AnthropicのClaude 3.5など、競合他社のAIモデルを数学、科学、コーディングのベンチマークで上回ると主張しています。

Grok3と他のチャットAIとで同じ質問を行い、その性能を比べてみました。いずれもDeepSearchや推論機能を使わず、デフォルトの設定で回答してもらったものです。

質問内容

福沢諭吉は生前にどのようなことを行いましたか?また、現代に影響している活動について教えてください。

Grok3

GhatGPT

Copilot(左)、Gemini(右)

Claude

箇条書きなどで簡潔にまとめているAIが多い中、Grok3は文章で回答しています。内容も「現代の日本に大きな影響を与えた」というざっくりとしたものではなく、福沢諭吉のどの活動がどのような影響を与えたのか詳細に解説しています。

この比較だけでも、Grok3の回答の質が高いと言えるでしょう。

Grok3の使い方

ここからはGrok3の使い方について解説していきます。2025年2月21日現在では、Web版とX版があります。

基本的には他のチャットAIと同じように使えるので、乗り換えも非常にスムーズです。

公式サイトからの利用

Web版にアクセスし、画面右上のSing inよりアカウント登録もしくはログインしてください。

ログインはX(旧Twitter)とGoogleのアカウントで可能です。新規でアカウントを登録する際は下記画面の「Sing up」より行います。

ログイン後、AIモデルがGrok2になっているので、プロンプト入力欄の右側にあるボタンからAIモデルを変更します。

AIモデルをGrok3に変更したら、プロンプトを入力して送信するだけです。

DeepSearchでもThinkモードでもありませんが、ざっくりとした質問に対してかなりボリュームのある回答をしてくれました。

AIモデルをGrok3に変更すると、DeepSearchとThinkモードボタンが表示されます。変更後の画面に配置されている機能を以下にまとめました。

  1. テンポラリーチャットへの切り替え
  2. これまでのチャット履歴を見る
  3. ファイルの添付
  4. DeepSearchへの切り替え
  5. Thinkモードへの切り替え

テンポラリーチャットとは、モデルのトレーニングに使用されず、履歴にも残らない一時的なチャットのことです。安全性を重視する場合はテンポラリーチャットに切り替えるのがおすすめです。

X(旧Twitter)からの利用

Xにアクセスし、お持ちのアカウントでログインをします。その後、画面左よりGrokを選択します。

こちらはデフォルトでGrok3となっているため、このままプロンプトを入力することでGrok3を使うことができます。

こちらの画面についても、配置されている機能をまとめました。

  1. 全画面にするフォーカスモード
  2. これまでのチャット履歴を見る
  3. DeepSearchへの切り替え
  4. Thinkモードへの切り替え
  5. ファイルの添付

Web版との違いはテンポラリーチャットと、Xのメニュー欄を非表示にするフォーカスモードの有無です。回答の質などには大きな違いはありません。

Web版と同じ質問をX版にもしてみましょう。

Xから利用すると、Webページの他にXユーザーのポストから情報を収集します。これにより、一次情報が多く集まり、より信ぴょう性の高い回答が得られるということです。

Xではベータ版が公開されており、Webからのアクセスはもちろん、2025年2月21日からスマホアプリからでも無料で利用することができるようになっています。一時的な措置の可能性もあるので、今後の動向を見逃さないようにしましょう。

Grok3の活用例

実際にGrok3を使ってみて、これは良いと思った活用例を紹介します。

質問に回答する

高い推論能力を持っているGrok3は、検索エンジンの代わりとして有用です。調べたいことに対して質問すると、さまざまな箇所から情報収集をして回答します。

またプロンプトにカーソルを当てると、プロンプトを編集することができます。

同じ質問をDeepSearchで行うと……

より深掘りした内容を提供してくれました。

検索目的で使用したい場合はDeepSearchに切り替えるのがおすすめです。

長文を要約

Grok3では長文の要約も簡単におこなえます。「この文章を要約してください」「要点を抽出して簡潔にまとめてください」といったプロンプトを使うと効果的です。

Webサービスの利用規約などの、長くて読む気にはなれないけれど大切なことが書かれている文章において有用と言えるでしょう。

アイデア出し、相談

ユーモアあるGrok3は、日常のアイデア出しにも役に立ちます。誰かに相談している気分で、ちょっとしたことでも気軽に尋ねることができます。

質問内容

じゃがいも、にんじん、ピーマンがあります。この食材を使ったレシピを教えてください

料理のレシピの場合、材料や調理の流れ、ポイントまで解説してくれます。まるでWebサイトに載っているレシピのようです。

レシピ以外にも、生活についての相談をしてみました。

質問内容

冬の電気代を節約したいのですが、どのような対策が良いでしょうか?

すぐに実践できる案を複数回答してくれるので、相談相手として非常に有用です。

SNSの挨拶

アイデア出しの一つとして、SNSでの挨拶文を考えてもらうこともできます。

少し文章に違和感がありますが、指定した文字数を守って、各SNSに合った挨拶文を生成してくれます。生成された文章をもとに修正すると良いでしょう。

ファイルの添付

Grok3では画像などのファイルを添付し、関連する質問に答えることができます。

プロンプト入力欄にあるクリップのボタンからファイルを添付します。

Xからの利用
Web版からの利用

添付できるファイルは以下です。動画や音声はサポートしていないので注意しましょう。

  • Excel
  • word
  • PDF(ベータ版だとURL貼り付けに限る)
  • 画像ファイル

添付後、ファイルに関連する質問をGrok3に投げかけます。

画像であれば「この画像の特徴について教えてください」といったプロンプトを入力すると、特徴について細かく教えてくれます。

またプロンプトにURLを挿入し、ページ内に書かれている内容について要約することもできます。

今回はPDFのURLで試してみましたが、Webサイトでも問題なく機能しました。

ベータ版では直接PDFを読み取ることはできないようです。PDFの内容を要約したい場合は、上記のようにURLをプロンプトに貼り付けて送信しましょう。

画像生成

先ほど紹介したマルチモーダル機能により、非常に高度な画像生成が可能になりました。

使い方は、生成したい画像の特徴をプロンプトに入力し、送信するだけです。ざっくりとしたプロンプトでも画像を生成しますが、細かく指示をした方がより理想的な画像になります。

画風に指定がある場合は「アニメ風」「3D風」などの言葉をプロンプトに含めましょう。

画像生成直後、プロンプト入力欄の上にプロンプトの選択肢が表示されます。これは画像生成以外でも、Grok3から回答された直後であれば通常のチャットでも表示されます。

プロンプトを選択するとGrok3に送信され、Grok3は最初の指示を引き継ぎながら新しいプロンプトを反映しようとします。よって、近未来的な背景でアニメ風の男性のイラストが生成されました。

プロンプトの候補は一度チャットを閉じると消えてしまうので、見逃さないように注意しましょう。

英文の翻訳

Grok3では複雑な英文の翻訳も可能です。

阿佐谷英語塾のウェブサイトから提供されている教材の一つを翻訳してもらいました。

送信後、全文を翻訳するのに1秒もかかりませんでした。この翻訳スピードは他のAIにはない特徴でしょう。

日本語から英文への翻訳も可能です。また日本語への再翻訳も違和感なく行えることから、Grok3の翻訳機能は精度が高いことがうかがえます。

金子みすゞの有名な詩「わたしと小鳥と鈴と」の英文翻訳もこの通りです。英語圏の外国人に日本の詩の良さを伝えるにはぴったりです。

Grok3の利用者の声

Grok3は新しく登場したばかりのAIで、まだその全貌は知られていません。導入する前に、どのような使用感なのかを知りたい人も多いのではないでしょうか。

ここではGrok3を実際に使用した人のレビューを紹介します。

良い口コミ

現時点で「Grok3はスゴい!」という声がたくさん聞かれます。

Grok3の精度の高さにより、ChatGPT Proを解約した人まで現れました。

Grokシリーズはユーザーの質問内容や文章を学習するため、回答内容や文体がユーザーによって違います。日常的な会話を行う人は、絵文字やフランクな言葉遣いで回答されますし、質問の文体が敬語であれば誠実な言葉で回答されます。

悪い口コミ

一方で、Grok3の性能に少し不満を抱いている人もいるようです。

とくに画像生成については、前代のGrok2とあまり変わらないという声が多く見られました。

ただ、日常の質問や検索機能についての不満は少なく、Xのアカウントがあればスマホ片手にどこでも利用できることから、X Premium+への移行をしている人が多いようです。

Grok3は今後さらに改良が重ねられ、性能が向上していくことが期待されています。

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