Stable Diffusionのseed値とは?使い方や設定方法、使いこなすコツなども紹介

Stable Diffusionは、文字を入力するだけで、簡単に画像が生成できるツールです。Seed値は生成される画像に影響する要素です。Seed値を活用することで、同じ設定でも異なる画像や特定の画像を再生成できます。

本記事では、Stable DiffusionにおけるSeed値について仕組みや設定方法、使いこなすコツなどについて詳しく解説します。Seed値を利用し、効率良く画像を生成していきましょう。

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AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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目次

画像生成API『Stable Diffusion』とは

『Stable Diffusion』はStability AIが送る画像生成AIのシリーズ、Seed値の指定に対応した画像生成APIです。入力したプロンプトをもとに、AIがその内容を解釈し、画像を自動生成します。

Stable Diffusionは、高性能GPUやWeb UIを要するイメージがありますが、API版であれば下準備なしで気軽に利用できます。最新モデルの『Stable Diffusion3』や旧型の『SDXL 1.0』など、さまざまなモデルが利用できるのも特徴です。

オープンソースとして提供されており、自由度が高く、カスタマイズもできる点が注目されています。また、画像のスタイルや構図、詳細な要素を細かく調整できるため、芸術的なものから商用利用まで幅広いニーズに対応可能です。

近年、APIとして提供されたことで、プログラムやウェブサービスに簡単に組み込めるようになっています。

stablediffusionにおけるseed値とは

Stable Diffusionを利用する際、Seedという言葉がでてきます。Seedとは日本語で『種』を意味し、生成する画像にランダムで割り振られる識別番号(シリアルナンバー)です。ランダムに画像が生成されるのを制御するための値です。

AIがこの値をもとに画像を生成するため、Seed値の違いが画像に影響を与えます。つまり、同じテキストプロンプトを使ってもSeed値が違えば、全く違う画像が生成されるということです。

同じSeed値を利用すると、異なるテキストプロンプトでも同じ画像が生成されるため、再現性が高まります。Seed値は設計図のようなもので、これに基づいてAIが画像を生成する仕組みです。

画像を生成する元となるランダムな数値

上記でも軽く触れましたが、Seed値はAIが画像を生成する際に利用するランダムな数値です。これを元にノイズデータが作られ、徐々に変化させることで画像が生成されます。基本的にSeed値は正の整数であり、マイナスの場合はランダム値が設定されます。

思い浮かべている画像が生成されるまで、画像生成を繰り返します。この工程をシードガチャと呼ばれることもあります。

シードガチャでのランダム生成の仕組み

Seed値は少し変わると、全く異なる画像が生成されます。画像が生成される際にランダムでSeed値が設定されることから、シードガチャと呼ばれています。

つまり、シードガチャは、さまざまなSeed値を連続、またはランダムに試すことで、多種多様な画像を生成し、比較し、好みや求めるデザインを探す手法です。イメージが定まっていない場合や、多くのアイデアを集めたい場合に有効です。

ただ、シードガチャはソースを消費しやすいため、生成回数や時間、GPU性能との兼ね合いを考慮する必要があります。Seed値の範囲を限定し、生成すると良いでしょう。

手動入力や固定も可能

デフォルトの状態では、新しい画像を生成するたびに異なるSeed値が設定されてしまうため、同じプロンプトを用いて画像を生成しようとしても、異なる画像が生成されてしまいます。

しかし、Stable DiffusionではSeed値を手動入力したり、固定することも可能です。画像生成の設定項目のSeed蘭に任意の数値を入力できます。手動入力や固定は、特定の表現や構図を再現した場合に有効です。

Seed値を固定すると生成する画像のランダム性が制御されるため、類似した画像を生成できます。そのため、シリーズ物のアート作品を制作する場合などに最適です。

気に入った画像やデザインのSeed値を控えておくと、類似した画像を生成したい場合に便利です。

Seed値のVariation Strengthとは

『Variation Strength』は、指定したSeed値をベースに、生成する画像にどれくらいの変化を加えるかをコントロールするバラメータです。

Seed値を固定すると、同じプロンプトと条件で同じ画像が生成されます。これに、Variation Strengthを加えると、元の構図や雰囲気を保ちながら、少し異なるバリエーションの画像を生成できます。

この機能は完全にランダムな生成結果ではなく、一定の方向性を維持しながら創作の幅を広げたい場合に有効です。Variation Strengthの値が高いほど変化が大きく、低いほど元の画像に近い画像が生成されます。

Seed値のサイコロボタンとサイクルボタンとは

Stable DiffusionのSeed値の項目には、サイコロボタンサイクルボタンという2つのボタンがあります。

サイコロボタンは、画像のSeed値をデフォルトの「-1」に設定するボタンです。Seed値を「-1」に設定すると、画像をランダムに生成できます。ランダム生成は、毎回異なる画像が生成されるため、ガチャのようなイメージです。

サイクルボタンはSeed値を指定した画像の値に固定できるボタンです。固定することで、同じキャラクターでもポーズや表情、服装などが違う画像を生成できます。

Seed値をデフォルト設定「-1」にすると、画像が生成される度に異なる乱数が適用されます。これにより、ランダムに画像生成が可能です。しかし、後から同じ画像を再生成するのが難しくなります。そのため、構図が決まり次第、Seed値をメモして、固定に切り替えるなど、目的に応じた使い分けが必要です。

stablediffusionにおけるSeedの役割

Seed値は画像生成の際に使用するランダムな数値を指します。この数値を指定することで、同じプロンプトや設定でも同じ画像の生成が可能です。

Seed値をランダムにすると、同じ指示でも異なる画像が生成されます。こうした仕組みにより、安定した再現性と創造的な多様性の両立が可能です。以下では、Stable DiffusionにおけるSeed値の役割を解説していきます。

生成した画像に使用したSeed値を確認できる

Stable Diffusionでは、生成した画像のSeed値を後から確認できます。これは、理想とする画像を生成したい場合にとても便利な機能です。

Seed値は画像の生成時に自動的に割り振られ、多くのツールやUIで生成画像と一緒に表示されます。このSeed値を確認できると、同じ条件で画像を再生成できます。

特に、特定のスタイルや構図が定まっている場合、Seed値をメモしておくことで、再現しやすく、多くのバリエーションを生成する際に便利です。

さらに、他社とSeed値を共有しておくと、同じイメージを別環境でも生成でき、作品の一貫性や生成効率も向上できます。

生成した直後は、出力された画像を選択すると、画面上に表示されます。この時に確認できなくても、『PNG Info』から情報を確認できるため、心配ありません。

Seed値によって生成結果が変わる

Seed値は生成される画像に大きな影響を与える要素です。同じプロンプトや条件でも、Seed値が変われば、異なる画像が生成されます。

パッと見ただけでは気づきにくい点から、印象が大きく変わる点までSeed値を変えると変化はさまざまです。そのため、Seed値のみをランダムに変化させながら、イメージに合った画像が生成されるまで画像の生成を繰り返し続けます。これが上記で紹介した、シードガチャという手法です。

Stable DiffusionでSeed値を使う方法

Stable DiffusionでSeed値を使う手順を紹介します。

STEP1.見本とする画像を準備する

まず、再生成したいキャラクターの画像など、見本とする画像を準備します。画像の解像度が極端に低い場合は生成結果がぼやけることがあるため、ある程度の大きさを確保しておくと良いです。

準備する画像は自分のPCや携帯にあるものや、ネット上にあるもの、Stable Diffusionで出力したもの、どれでも問題ありません。使用する際は、著作権に注意してください。

STEP2.準備した画像のSeed値を取得する

次に、準備した画像のSeed値を取得します。過去に生成した画像のSeed値を取得したい場合は『PNG Info』タブに画像をアップロードします。

アップロードすると、『parameters』蘭からSeed値を確認できます。また、『Send to text2img』を押すとプロンプトやSeed値などの情報を『txt2img』タブの項目に自動設定できます。

画像を加工している場合、メタデータが保持されていない場合は、Seed値が取得できないため、注意してください。

STEP3.Seed値を設定して、キャラクターを生成する

最後に、Seed値を設定して、同じキャラクターを生成します。プロンプトやSeed値などの情報を見本とする画像と同じ内容に揃えて、画像を生成すると同じものが生成できます。

ただ、モデルやプロンプト、Seed値などを同じに設定すると同じキャラクターが生成できる可能性が高まりますが、100%同じにならないケースもあることを把握しておきましょう。

Stable Diffusionで生成した画像のSeed値を確認する方法

Stable Diffusionで生成した画像のSeed値を確認する方法を紹介します。確認する際の参考にしてみてください。

直近で生成した画像のSeed値を確認

Stable Diffusionで画像を生成した直後は、出力された画像を選択すると、画面上に表示されます。Seed値は画面下部に記載されているパラメータ情報から確認できます。他にも、プロンプトやネガティブプロンプト、使用したモデルなどの詳細が記載されています。

生成直後であれば、この画面でSeed値を確認し、メモしておくと便利です。

過去に生成した画像のSeed値を確認

過去に生成した画像のSeed値を確認したい場合は、Stable Diffusionの「PNG Info」機能を使います。これは画像ファイルに埋め込まれたパラメータ情報を読み取る機能です。以下の手順で確認できます。

  1. 「PNG Info」タブをクリック
  2. ドラッグ&ドロップし、Seed値を確認したい画像をアップロード
  3. アップロードが完了すると、右側に画像生成時のパラメータ情報が表示される。
  4. パラメータ情報からSeed値やプロンプト、ネガティブプロンプト、モデル情報などが確認できる

指定のフォルダからSeed値を調べたい画像をドロップ、クリックし、読み込むと、画像を生成した時の設定情報が表示されます。この中に「Seed:数字」と記載されているのがSeed値です。

他にも『PNG Info』画面では、パラメータ情報の下部にある『Send to txt2img』をクリックすると、プロンプトやネガティブプロンプト、Seed値などの情報が自動的にコピー&ペーストされます。活用してみてください。

Stable DiffusionでSeed値を固定する方法

通常、Seed値はランダムに設定されますが、数値を固定することもできます。Stable DiffusionでSeed値を固定するには、画像のSeed値を確認し、その値をSeedボックスに入力して画像を生成します。

生成した画像のSeed値をそのまま利用したい場合は、リサイクルアイコンをクリックすると、直前に使用したSeed値が自動入力され、次回の画像生成でもそのSeed値が使用されます。

このリサイクルアイコンは、ランダムに割り当てられたSeed値を再利用し、設定をキープするのが主な機能です。この方法により、モデルやプロンプトなど同じ条件で同じ画像を繰り返し生成できます。Seed値を固定し、同じものを使用することで、ブレなく、一貫した画像を生成できるのです。

seed値を固定して似たキャラクターを生成する方法

Stable Diffusionで生成したキャラクターは変えず、ポーズや服装、表情、髪型などを変えたいという場合の方法を紹介します。

どの方法もまず、ベースとなる画像を生成、または読み込み、進めていきます。画像の準備ができたら、Seed値のサイクルボタンをクリックします。サイクルボタンを押すことで、Seed値が固定(=画像の設定が固定)されるため、この画像を元に画像を生成できるのです。

※ランダム生成に戻したい場合は、サイコロボタンをクリックします。

髪型や服装を変える

Seed値を固定すると、キャラクターの特徴を維持したまま、髪型や服装が異なる画像が生成できます。髪型や服装に関わるプロンプトを追記することで、生成可能です。

服装を変えたい場合は、「suit」や「gym uniform」「school uniform」など希望する服装を表す単語に変更しましょう。

ポーズを変える

シーンに合わせた表現が必要な場合は、ポーズの変化も重要です。さまざまなポーズで連続した画像を生成し、動きのある画像を生成できます。

ポーズを変えたい場合は、プロンプトに記載されているポーズを「look back」や「paw pose」「crossed leg」「raise hand」「running」などポーズに関するプロンプトを追記しましょう。

表情を変える

表情を変えると、全体の雰囲気やキャラクターの感情に変化を付けられます。ストーリー性やシリーズものの画像を生成したい場合に最適です。

Seed値を固定し、表情を変えたい場合は、プロンプトに「smile」や「sad」「angry」「surprised」「scared」など変えたい表情のプロンプトを加えます。

背景を変える

背景を変えたい場合も、Seed値を固定する方法が利用できます。季節や場所、時間を表すプロンプトを記載し、画像を再生成してみましょう。

「school」や「sea side」「morning」「spring」など背景に関するプロンプトを追記してみてください。

モデルデータを変更する

プロンプトを変えず、モデルデータを変更するのも1つの方法です。モデルデータを変更すると、印象は大きく変わりますが、雰囲気を少し残して画像を生成できます。

いろいろな画像を生成し、多種多様な変化を試してみてください。

stablediffusionでseed値をランダムにする方法

Stable Diffusionでは、デフォルトのSeed値がランダムで設定されています。ランダム値は『-1』と表示され、Seed値はランダムで生成され、毎回異なる画像が生成されます。

Seed値を固定しており、ランダム設定に戻す場合は、サイコロボタンをクリックすると、Seed値が『-1』にリセットされます。この設定で画像を生成すると、毎回異なる画像が生成できます。

Stable DiffusionでSeed値を連番に設定する方法

Stable Diffusionには、ある特定のSeed値を固定し、連続で画像を生成できる機能があります。同じ条件で類似した画像を複数枚生成したい場合に有効です。

Seed値が1変わるごとに少しだけ異なる画像が作られ、Seed値が近いほど類似した画像が生成されます。この仕組みを利用すると、連続したSeed値で類似した画像を複数枚生成できるのです。

連番に設定すると、キャラクターを固定し、服装やポーズ、表情が少しずつ異なる画像の生成もできます。そのため、類似した画像の中からイメージに合うものを選びやすいのもメリットです。

効率良くシードガチャする方法としても利用できます。

「バッチ回数(Batch count)」と「バッチサイズ(Batch size)」の値を指定することで、Seed値を連番に設定できます。

バッチ回数とは

バッチ回数では、生成する画像の枚数を決めます。数値が1上がるごとに生成する画像が1枚増えます。バッチ回数を5に設定すると、Seed値が連番で5枚の画像が生成されます。

バッチサイズとは

バッチサイズでは、1回の生成で出力される画像の数を決定します。数値を上げると、バッチ回数で指定した数分、複数の画像が生成されます。バッチ回数を5、バッチサイズを3に設定すると、Seed値の連番で合計15枚の画像が生成されます。ただ、バッチサイズの数値を大きく設定してしまうと、ビデオメモリ(VRAM)の消費が増えるため、1~3程の数値が最適です。

Stable DiffusionでSeed値を使いこなすコツ3つ

Stable DiffusionでSeed値を使いこなすコツを紹介します。把握し、効率良く、画像を生成していきましょう。

連続したSeed値でバリエーションを増やす

Stable Diffusionでは、連続したSeed値を利用することで、元の構図やキャラクターを保ちつつ、少し変化を加えたバリエーションを効率良く生成できます。表情やポーズ、背景にわずかに変更を加えられるため、ニュアンスを複数パターンで生成したい場合などに有効です。

Seed値の入力欄の横にある「その他」にチェックを入れると設定項目が増え、バリエーションの強度を増やせます。

バリエーションの強度は値が大きいほど変化が大きくなります。バリエーションのシードが「-1」の場合、異なる画像が生成されてしまうため、固定したい場合は任意の値を入力しましょう。

Inpaintを用いて微調整を行う

『Inpaint』は画像の一部を指定し、その範囲のみを新しく生成、修正する機能です。同じSeed値をベースとしながら、特定のエリアのみを再生成できます。生成した画像をさらにイメージに近づけたい場合に有効です。

『Inpaint』は、Stable Diffusionの画面上部にある『img2img』タグ、もしくは『txt2img』タグにあります。

ただ、『Inpaint』はAIによる自動補完のため、イメージ通りの再生成が行われない場合もあります。特に、変化させる範囲が広い、プロンプトと画像に関連性がない場合は、元の画像とかけ離れた画像が生成されるケースもあるため、注意が必要です。

しかし、元の画像のSeed値を指定し、固定させることで、修正部分も近い雰囲気に近づきやすく、求める画像が生成されやすくなります。

元の画像とは大きく異なる変更を加えたい場合は、Seed値をランダムに設定するのも方法の1つです。

Variation Strengthを用いて微調整する

『Variation Strength』とは、数値を調整し、少しだけ人物やキャラクターの特徴を変える機能です。強度を高めると大きく変化し、低めにするともとの構図を保ちやすくなります。Seed値を活用しつつ、画像の微調整を行いたい場合に有効です。

使い方は以下の通りです。

  1. Seed値を入力し、『Extra』にチェックを入れる
  2. 『Variation Strength』を「0」「0.2」「0.5」「1」に設定する
  3. 同じSeed値で画像を生成する

「0」は元の画像とほぼ同じ、「0.2」は髪型や服装が変わる、「0.5」は表情や顔つきが変わる、「1」はランダム性が強くなります。元の画像とほぼ類似したものを生成したい場合は「0.2」以下、変化を付けたい場合は「0.5」以上に設定すると良いです。

複数の『Variation Strength値』を試しながら、イメージのデザインと安定性が両立する数値を見つけると、生成効率や完成度が高まります。

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