Gartnerが「2028年にAIコード代が給料を超える」と出した
Gartnerは2026年6月に「2028年までにAIコーディングのコストが開発者の平均給与を上回る」との予測を出しました。おもな原因はLLMのトークン消費量の増加と、ライセンスがユーザー単位の定額からトークン単位の従量課金へ移りつつあることです。
ベンダー側がトークン消費の算出や請求の仕組みを十分に開示していないことも、企業がコストを予測しにくい要因になっています。経営層の85%は「AIでコストを削減できる」と期待しています。87%は「利点はリスクを上回る」と答えていますが、費用の精査が後回しになって予算超過に陥る企業が出てきました。
トークン消費は2030年に24倍に膨らむ
ゴールドマン・サックスは自律型AIの普及にともない、トークン消費量が2026年から2030年にかけて約24倍に急増すると予測しています。単価が安くても消費量が跳ね上がれば総額は膨れ上がります。
従来のソフトウェアはユーザー数で予算を組めましたが、生成AIは利用のたびにトークンを消費する従量課金です。同じ「トークン」という名前でもベンダーごとに消費条件や超過時の料金が異なり、契約時に単価だけを見ていると実運用で想定外の請求になりがちです。
ROI測定に成功している企業はGartnerの調査でわずか14%にとどまっており、大半はAI投資の回収状況を把握できていません。
AIコーディング費用が膨らむ根拠
| 指標 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| AIコード代が開発者の年収を超える時期 | 2028年 | Gartner |
| 2030年までのトークン消費の伸び | 約24倍 | ゴールドマン・サックス |
| シニア開発者のレビュー負担の増加 | 441%増 | New Relic |
| ROI測定に成功している企業 | 14% | Gartner |
シニア開発者のレビュー負担が441%増えていた
New Relicが2026年7月に出した調査で隠れたコストの実態が見えてきました。AIが生成したコードの品質低下によりシニアエンジニアのレビュー負担は441%増え、業務時間のうち突発的な対応に費やす割合は33%に達しています。
トークン単価のほかに、適切でないモデルの選択や同じ指示の繰り返しによるトークン消費の浪費も問題です。AIが書いたコードの中身がブラックボックスになり調査に時間がかかることもコストを押し上げています。AIが速く書くぶん障害も増え、その対応にシニアの時間が取られる構造です。

企業が今すぐできるトークン管理は4つの手順で始まる
Gartnerはコスト管理を4つの手順にまとめています。
- どの操作がトークンを消費するかを把握し、超過時の料金体系やクレジットの配分を確認する
- AI導入を求める部門にROIの根拠を示させる
- 契約交渉で未使用分の繰り越しや数量の見直し条件を盛り込む
- 監視体制を整えてトークン消費を可視化する
あわせてAIコスト管理の責任者を置き、最善と最悪の両方のシナリオで予算を試算しておくことも大切です。
開発タスクは「開発者主導」「開発者+エージェント」「完全エージェント主導」の3段階に分け、単純な作業は小規模モデルに振り分けて大規模モデルは高難度の作業にだけ使うルーティング戦略も有効です。プロンプトに含める情報を精査し不要なデータを削ることで出力の質を落とさずにトークン消費を抑えられます。
- トークン
- 生成AIが文章を読み書きするときの最小の処理単位。日本語1文字がだいたい2〜3トークンにあたり、多く使うほど従量課金の料金が上がる
AI導入を手がけていると「AIで人件費が浮く」という前提で稟議を通す会社がほとんどだ。だがトークン消費は使い方ひとつで何倍にもなり、ROIを測っている会社は14%しかない。情報システム部門がAI利用のコストを可視化する仕組みを先に作れるかどうかが分かれ目になる。FinOpsの体制を敷かないまま全社展開すると、月の請求がエンジニアの給料を超えていたという話が現実になりかねない。
- AIコーディングのコストを抑えるにはどうすればいいのか
- Gartnerは4つの手順を示しています。最初にベンダーごとのトークン消費条件を把握し、次にAI導入部門にROIの根拠を示させます。契約交渉では未使用分の繰り越しや数量見直し条件を入れ、最後に監視体制を整えて消費を可視化します。あわせて開発タスクを難易度で分けて小規模モデルを活用するルーティング戦略も有効です。プロンプトに含める情報を精査してトークンの無駄を減らすことも欠かせません。
- AIコーディングはなぜ予算を超えやすいのか
- 生成AIはユーザー数ではなく利用量に応じて課金される従量制です。経営層の85%がコスト削減を期待してAIを導入していますが、ROI測定に成功している企業はGartnerの調査で14%しかありません。利用範囲が想定以上に広がりやすいこと、ベンダーごとに消費条件や超過料金が異なること、監視体制が追いついていないことが重なり予算を超えやすくなっています。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月13日
