本文へ移動
NEWS
ビジネス活用

Copilotに8割満足の福島県で使わない原因は部署でなく個人だった

更新 2026/9/9 読了 約4分
グラデーション加工されたCopilotのロゴマークが左側にあり、右側に「copilot」の文字が3D立体表現で並ぶ。背景は紫とシアンのグラデーション。
この記事の要点

福島県が有償AIアカウントを約50人に配った結果、8割が効果を感じた一方で使う人と使わない人に分かれました。原因は部署でも業務でもなく個人の関心です。県はそれでも約6000人への全庁展開に踏み切り、ガイドラインの具体化で不安に対処しています。

みんなの意見

使わない人がいてもAIを全員に配るべきか

まだ回答がありません。最初の1票をどうぞ

SHARE
8効果を実感した職員
6000全庁展開の対象

Copilot含む100本を50人に配布 8割が効果を実感した

福島県は限られた職員数で行政課題に対応するため、AIに情報収集や文書の下書きを任せる方針を取りました。2025年度にNTT東日本の生成AIサービスとMicrosoft 365 Copilotをそれぞれ50アカウント用意し、約50人に配っています。1人に2種類を渡して使い比べてもらう形です。

対象は各部局で行政改革を担当する職員やデジタル変革課の職員で、比較的ITに強い層を選んでいます。ハンズオン研修も実施し、簡易的なRAGの構築にも携わらせました。

実証後のアンケートでは約8割が業務効率化の効果を実感しています。主な用途は文書表現の修正が43%で最多。情報検索のサポートが38%、Excelデータの整理が35%と続きました。1回あたりの平均削減時間は要約で6.7分、文書作成で5.0分です。検索は4.0分でした。

Microsoft の公式ページ
Microsoft の公式ページ / 出典:microsoft.com / 制作:AInformation
これまでの流れ
  1. 2025年度Copilotなど100アカウントで約50人が実証に参加
  2. 2026年度minnect AIアシスト導入で約6000人へ全庁展開

使う人と使わない人の差 部署でなく個人の関心が分けた

8割が効果を感じたにもかかわらず、日常的に使うヘビーユーザーとほとんど触らない職員に分かれました。

福島県が利用状況を調べたところ、特定の部署だから使うという相関は見つかっていません。同じ部署にいても関心の高い人は頻繁に使い、そうでない人はアカウントを持っていても触りません。利用を分けたのは業務や所属ではなく個人の関心と意欲でした。

Microsoft 365 Copilotは各製品と連携できる点が強みですが、実証時点では思い通りの資料を作らせるための習熟が追いつかなかった面もあります。職員側のスキルとシステム側の仕様の両方に課題がありました。

この二極化はIT寄りの職員を集めた実証でも起きています。前向きな職員を選んだにもかかわらず分かれたという事実は、どの企業にも当てはまる問題です。

生成AIの主な用途

文書表現の修正 43%
情報検索のサポート 38%
Excelデータ整理 35%
文書の下書き作成 27%
メール文面の作成 27%
データ:福島県の実証結果 / 制作:AInformation

「入力していいか分からない」不安 ガイドラインで具体化した

セキュリティに配慮した有償サービスを用意しても「どこまでの情報を入力してよいか分からない」という声が上がりました。安全な仕組みであっても中身を理解していなければ使うのをためらうのは当然です。

福島県はこの点を説明不足だったと振り返り、独自のガイドラインを策定しました。国の情報セキュリティ基準をそのまま出すのではなく、現場の職員が入力の可否を自分で判断できる水準まで具体化しています。

「対策済みだから使ってよい」と通知するだけでは不安は消えません。実際の業務データを前にした職員が自分で可否を判断できるところまでルールを具体化する必要があります。

福島県が使わない人に対処した方法。ガイドライン 入力の可否を職員が判断できる具体さで策定(国の基準をそのまま出さず現場向けに具体化した)。研修の継続 集合+動画に加えナレッジ共有も走らせた(使いこなす職員のプロンプトを他の職員に共有する仕組み)。監視しない 入力内容を逐一チェックせず傾向把握に使う(過度な監視は萎縮を招くと判断し利用を優先した)。「入力の線引き」を先に決めるのが出発点だ。制作:AInformation。
福島県が使わない人に対処した方法 / 制作:AInformation

6000人に広げても全員は監視しない 利用傾向で判断する

2026年度に福島県は「minnect AIアシスト」を導入し、約6000人が使える環境へ広げました。使わない人がいる状態で全庁展開に踏み切った形です。

約6000人の入力を1件ずつ確認するのは現実的ではありません。過度な監視は職員を萎縮させるおそれもあります。そこで入力内容を逐一チェックせず、利用傾向の把握にログを使う方針です。

集合研修に加えて全職員向けの動画研修も用意しました。使いこなしている職員のノウハウやプロンプトを共有する仕組みも作り、一度で終わりにしない運用にしています。最新モデルの利用枠を使い切っても過去モデルは制限なく使えるため、コストを抑えながら全員に環境を開放できています。

この記事に出てくることば
RAG
社内の文書やマニュアルをAIに読ませて回答の精度を上げる仕組み。検索拡張生成の略で質問のたびに関連する文書を探してから答えを作る
藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

企業のAI導入を手伝っていて「配っても使われない」という相談はいちばん多い。福島県の事例で参考になるのは、使わない原因を部署や業務に求めなかった点だ。現場では「情シスがCopilotを入れたけど誰も使わない」という話の裏に、入力していい範囲が分からないという不安が隠れている。ガイドラインを「対策済みです」で終わらせず職員が自分で判断できる水準まで具体化した福島県のやり方は、企業の推進担当者がまず試す価値がある。

この記事の出典

補助資料

  • [1]ITmedia AI+ITmedia AI+・補助的な二次資料・確認 2026-09-07この記事の元にした報道

出典の最終確認日:2026年9月7日

SHARE
この記事に出てくるAIも、まとめて比べられます 494本のAIツールを、やりたいこと・料金・日本語対応で絞り込めるデータベースです。5日ごとに料金を取り直しています。 AIツールを探す

あわせて読みたいRELATED