AI依頼の54%が性能過剰 アクセンチュアが750人に聞いた
企業がAIに出す依頼の54%は、仕事に要る水準を上回る高性能なモデルに回っている。アクセンチュアが9月17日に発表した調査「The CIO’s Guide to AI Tokenomics」で分かった。ITmedia AI+が9月26日に詳しく伝えた。
調査は2026年7月に日本を含む17か国で行った。答えたのは年間売上高10億ドルを超える企業の経営層750人で、CIO・CTO・CFO・CEOといったAIの支出を決める立場の人たちだ。米国労働省の職業データベースにある9,368件の職務も調べた。
その結果、最上位のモデル(フロンティアモデル)の力が要る仕事は全体の約1割と推計された。実際の依頼の半分以上は、もっと安いモデルで足りた可能性がある。
AI予算の25%がトークン代 3社に1社は予算を超えた
費用の面で経営層が答えた主な数字は次のとおりだ。
| 項目 | 調査の結果 |
|---|---|
| AI予算のうちトークン代の割合 | 平均25% |
| トークン代が年間の予算を超えた会社 | 3社に1社 |
| 今後2年のトークン消費の見込み | 78%増える |
| 単価が25%以上下がったら支出全体を増やす | 95% |
| 財務の成果と結び付けられたトークン代 | 2割未満 |
目を引くのは値下げへの反応だ。単価が下がれば費用は減りそうに思えるが、経営層の95%は浮いた分をAIの利用拡大に回すと答えた。

- 2026年7月日本を含む17か国の経営層750人に調査
- 9/17アクセンチュアが調査の結果を発表
- 9/26ITmedia AI+が調査の中身を詳しく報道
- 9/27AInformationが2社の料金ページで単価を確認
最上位と最安の差はGPT-6で100倍 Claudeは10倍だった
最上位と最安の単価の差はGPT-6で100倍、Claudeで10倍ある。AInformationは9月27日の朝にChatGPTを出すOpenAIとClaudeを出すAnthropicの公式の料金ページを開いて確かめた。
100万トークンあたりの値段は次のとおりだ。OpenAIは看板の3モデルを短い文脈の標準料金で、Claudeは料金表の主な4モデルを載せた。
| モデル | 入力 | 出力 |
|---|---|---|
| GPT-6 Astra(最上位) | 10ドル | 50ドル |
| GPT-6 Sol | 2ドル | 10ドル |
| GPT-6 Luna | 0.10ドル | 0.50ドル |
| Claude Fable 5.1(最上位) | 10ドル | 50ドル |
| Claude Opus 5.5 | 4ドル | 20ドル |
| Claude Sonnet 5 | 2ドル | 10ドル |
| Claude Haiku 4.5 | 1ドル | 5ドル |
開きはOpenAIのほうがずっと大きい。GPT-6 AstraとGPT-6 Lunaは入力も出力も100倍違う。Claude Fable 5.1とClaude Haiku 4.5の間は10倍にとどまる。
振り分けで浮く額は使うモデルの並びで変わる。GPT-6で最上位と最安を使い分ける会社ほど、差は大きく出る可能性がある。

振り分けを入れた会社は30%だけ 部門ごとの課金は7%だった
モデルの振り分けを実際に入れている会社は30%にとどまる。経営層はこのモデルルーティングを費用を抑える最も大事な手と見ているのに、手が付いていない。依頼の中身を見て、難しい推論だけを高性能なモデルへ回す仕組みだ。
誰がどれだけ使ったかを追う仕組みも薄い。使った量に応じて部門へ費用を割り振るチャージバックを入れている会社は7%だった。トークン代を見る専任のチームがある会社は37%で、48%では責任がIT部門と財務部門に分かれている。
日本の会社で詰まりやすいのは社内ツールの既定のモデル
日本の現場で先に効いてきそうなのは、社内ツールに組み込んだAIの既定のモデルだ。APIでチャットボットや要約の仕組みを作った情報システム部門は、試したときの上位モデルを既定のまま動かしている可能性がある。トークン代は使った分だけ払う仕組みなので、使う人が増えるほど差は広がる。
調査は日本を含む17か国が対象だが、ITmedia AI+の記事に日本だけの数字は出てこなかった。

まず見るのは既定のモデル 1か月分の利用明細で確かめる
最初に確かめたいのは、社内ツールやAPIの既定のモデルが何になっているかだ。アクセンチュアは導入の前に案件ごとの責任者・使うモデル・費用・想定する成果を見える形にするよう勧めている。最上位のモデルは複雑な仕事に限り、社員にはモデルの選び方の目安を示すことも挙げた。
- 1か月分の利用明細を部門ごと・モデルごとに分けて出せるか
- 議事録の要約や定型の下書きのような軽い仕事に最上位のモデルを使っていないか
- 「この仕事はこのモデル」という目安を、AIの使い方の決まりと一緒に社員へ配っているか
アクセンチュアの試算では、今後2年で見込まれるトークン代の増加を最大44%抑えられる可能性がある。条件は使う責任をはっきりさせることと、モデルの割り当てを見直すことだ。値下げを待っても支出は減らないと経営層自身が答えている以上、減らす仕組みは自分たちで入れるしかない。
- モデルルーティング
- 依頼の中身に合わせて使うAIモデルを振り分ける仕組み。難しい処理は高性能なモデルへ、簡単な処理は安いモデルへ回す。
- チャージバック
- AIを使った量に応じて、その費用を各部門へ割り振る社内課金の仕組み。調査では入れている会社は7%だった。
使い分けが進まない理由は値段より手間にあるとみている。全部を最上位に投げれば答えの質で責められることはなく、担当者には安いモデルを選ぶ理由が無い。効くのは社員に選ばせる形ではない。情報システム部門が既定のモデルを決めて、最上位を使う仕事だけを申請制にする形だ。部門ごとの利用明細を月1回見せるだけでも、議事録の要約に最上位を使うような無駄は目に見えて減る可能性がある。
- GPT-6とClaudeは最上位と最安でいくら違う?
- 100万トークンあたりの単価で比べると、GPT-6は100倍でClaudeは10倍の開きがある。AInformationが9月27日に公式の料金ページで確かめた。出力はGPT-6 Astraが50ドルでGPT-6 Lunaが0.50ドルだった。Claudeは主な4モデルのうちClaude Fable 5.1が50ドルでClaude Haiku 4.5が5ドルになる。入力もGPT-6 Astraの10ドルに対してGPT-6 Lunaは0.10ドルで済む。
- トークン単価が下がれば会社のAI代は減る?
- 減るとは限らない。アクセンチュアの調査では、トークン価格が25%以上下がった場合に経営層の95%がAI関連の支出全体を増やすと答えた。安くなった分をAIの利用拡大に回す考えだ。経営層は今後2年でトークン消費が78%増えると見込んでいて、値下げを待つだけでは支出は膨らみ続ける可能性がある。
- AIのトークン代はどうすれば抑えられる?
- アクセンチュアは使う責任をはっきりさせてモデルの割り当てを見直せば、今後2年のトークン代の増加を最大44%抑えられる可能性があると試算した。導入の前に案件ごとの責任者・使うモデル・費用・想定する成果を見える形にするのが1つ目だ。部門ごとにAI代をひも付けて管理し、最上位のモデルは複雑な仕事に限ることも挙げている。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月27日
