AI画像解析とは?仕組み・活用例・メリットデメリットをまとめて紹介!

AI画像解析とは?仕組み・活用例・メリットデメリットをまとめて紹介!
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画像解析とは

画像解析とは、ディープラーニングの分野の一つで、画像認識と画像分析の2つのブロックを合わせた総称となっています。人工知能を搭載したカメラがある物体やある人物を撮影した画像や映像から、形や色彩などの特徴を抜き出し分析後、その結果を元に次に何をするべきかを示してくれます。

私たち人間が物体を見た時に、その物体の形、色、大きさを脳で判断、処理をして物体を特定しますが、画像認識はそれに似た処理を行うと言って良いでしょう。

AIとの関連性

AIに大量のデータを学ばせて人間の判断と同様な処理を行うことを目指しているため、画像解析とAIの関連は非常に密接しています。

更にAIを活用した画像解析を用いると、コンピュータが自動的に画像解析を実行してくれて、業務の効率化に繋がります。

画像認識との違い

画像解析と似た言葉に画像認識があります。

「画像認識」とはカメラで撮影した画像や映像から何らかの特徴を抜き出す機能のことです。

「画像解析」とはその抽出した特徴から、その物体は何かを判断する機能です。

「画像認識」と画像解析は対で用いられることが多く、2つを合わせて「画像解析」と称することもあります。

まとめると以下のようになります。

名称機能用途例
画像認識物体から特徴を抜き出す顔認証・障害物検知
画像解析特徴から物体を判断商品の外観検査・医療検査

AIを使わない画像解析もある

AIを使わない画像解析技術もあります。代表的な事例としてバーコード認証が挙げられ、同時に最も古い画像認識技術でもあります。複数の黒い線が並んだバーコードをバーコードリーダーが読み取って規則性を解析し、コード情報を出力します。

AInformation編集部/藤井俊太のアバター

AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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今、画像解析が注目されている

ディープラーニングの発展によってAI画像解析が注目されています。

AIによって大量の画像データを取り込んで学習するので、例えば人が目視で行っていた検品作業を画像解析が代わりにやってくれます。またAIが搭載されているので、学習すればするほど現在より機能がアップグレードしてくれます。

対応できる業務も幅広く、顔認証・感情の判断・異常物検知などに応用が利きます。AI画像解析は、使いたい業務と読み込む学習データの種類によって誰もやったことないことができるようになるかもしれません。

AI画像解析の活用例

AI画像解析の活用例を5つ紹介します。

  • 自動車の自動運転
  • 顔認証による人物の特定
  • 航空写真による建物変化の判別
  • 物体認識
  • 姿勢チェック

日常生活、ビジネス、安全面においてもAI画像解析は重要な役割を担っています。

自動車の自動運転

将来的に自動運転が当たり前の時代になると言われていますが、その自動運転を実現するにはAI画像解析が欠かせません。また自動運転は人の命に関わるため、中途半端な技術では大問題となります。

自動運転は3つの手順で成り立っています。1つ目は自動車に搭載したカメラで周囲の場面を絶えず撮影します。2つ目にディープラーニングが搭載されたシステムで撮影された映像がどのような状況なのかを判断します。3つ目に状況に応じて最適なルートを検出し、ドライバーを安全な経路に案内します。

道路上には他の車や歩行者がいますので、刻一刻と状況が変わっていきます。歩行者だけではなく道幅や車線の本数など道路の状況も変わります。あらゆる状況に対応するため、ディープラーニングによる学習が、安全運転に繋がっています。

顔認証による人物の特定

画像解析によって人物の特定も可能となっています。人物を特定することによってロックを解除したり、本人確認を行なったりします。

ロック解除はオフィスのエントランスや銀行の金庫などに設置されています。安全面から誰でも入れるようにするのではなく、限られたスタッフが入れるようにする必要があります。他にも、監視カメラに映った映像から特定の人物を割り出してその人物の詳細を確認することもできます。

航空写真による建物変化の判別

ディープラーニングによる画像解析によって上空から撮影した画像、航空写真、衛生写真を解析する例が増加しています。また航空写真等だけではなく、建物、土地などの固定資産に関する調査で画像解析を利用する件も増えています。

従来建物調査は、調査員が目視で行なっていましたが内部の異常を発見することが出来ずに見逃すパターンが多くありました。それがディープラーニングによる画像解析を導入することによって、建物の存在・新築・リフォームなどのパターン判定にかかる時間が45分から3分に大幅に時間短縮、異常検出率も66%から94%にアップしました。

物体認識

この物体認識は視覚障がい者の生活支援、コミュニケーション支援のために利用されています。視覚障がい者はある2つの物体が形状が似ている場合、手触りだけで判断することが出来ません。そこで利用されるのは、音声アプリです。事前に大量に画像データを学習させておいて、対象物をカメラで読み込むと「これは〇〇です」と音声案内してくれるアプリが使われています。代表的なアプリに『これなにメモ」があります。

従来の画像認識技術ではロゴマークやイラストの特徴となる部分をすでにコンピュータ内にあるデータベース上の画像とカメラで撮影した画像を比較してどの程度の類似性があるかを導き出していました。このやり方は対象物とカメラのピントを正確に合わせる必要があるので、視覚障がい者の方にはハードルが高いのが難点です。

近年の画像解析技術には物体が少しでもカメラ内に入っていれば、数値データを使って物体を特定、高度な比較アルゴリズムにより素早い動画処理が可能なアプリも開発されています。

姿勢チェック

スポーツ科学・ヘルスケア・アスリートなどで姿勢チェックがなされています。これらの技術を姿勢推定技術と言い、画像や動画から人間のフォームや普段の姿勢からあらゆる動作を推定します。ディープラーニングを活用しあらゆる動きから人間の各関節部位の位置を特定し、それを元にポーズを解析します。スポーツだけではなく、医療の現場にも活用されています。

従来、人の動きを認識するには体に取り付ける特殊なセンサーを使用するのが主流でした。ディープラーニングを用いることでと特殊なセンサーやマーカーを使用せず映像をビデオカメラ一台で撮影し、人間の身体や内部の骨格を認識できます。これによりアスリートの違和感ある動きの改善、リハビリテーションの進行状態のサポート、あるいは仮想現実内でリアルな人の動きを再現することが出来ます。

AI画像解析のメリット

AI画像解析のメリットを紹介します。

  • ヒューマネラーの回避
  • 大量のデータを扱える
  • 高い認識精度

これらのメリットは総じて人的エラーや作業効率に結びつき、普段の業務時間の短縮かつ、正確性を上げることに貢献しています。また従業員のスキルに検証結果が左右されないため、普段見つけられない異常も画像解析なら見つけることも可能です。

ヒューマエラーの回避

AIを用いた画像解析は、人間の作業能力と比較してエラーの少なさが特徴です。人間は長時間の仕事や集中力の低下によって作業のパフォーマンスが下がっていきます。それにより誤った判断や作業のミスが目立ちますが、AIの画像解析はアルゴリズムが一定の基準で画像判定を行うためパフォーマンス低下はありません。

特に工場などで製造されている医療品の品質検査や癌の検診でAIを活用した画像解析を行うことで、人間が見落としがちな異常な箇所を見落としなく特定することが出来ます。

大量のデータを扱える

ディープラーニングを用いた画像解析では大量のデータを処理できることがメリットです。特に画像を分類するような作業ではAIによる自動化の恩恵を受けられます。

以前は人の手で画像を分類していましたが、時間と労力がかかり長丁場の作業だと集中力が低下してパフォーマンスが落ちることが頻発していました。AIが画像データを処理することで大量の画像を扱うことができ、高い認識精度を維持することが出来ます。

高い認識精度

AI画像解析のメリットに高い認識精度があります。AIを活用することにより、複雑なパターンでの解析や大量のデータを一瞬で画像処理を可能としています。

これらの特徴は医療での病気の発見や製造業での小さな欠陥品の発見などで発揮しています。

画像解析のデメリット

AI画像解析はメリットが多いですがデメリットもあります。以下の2つが挙げられます。

  • 稀に誤動作がある
  • データ確保が困難

稀に誤動作がある

AIによる画像解析はメリットにあるように高い精度を誇りますが、ごく稀に誤動作が起こります。

誤動作が起こる原因としては、学習するデータにあるパターンやグラフィックがノイズとなり、AIをフリーズさせるためです。

またAIの解析基準は人間のそれとは異なりますので、通常は問題がない画像でも異常と認識されることもあります。ただし学習データの改良や人間の手による調整を行うことで誤動作を最小限に抑えることは出来ます。

データ確保が困難

画像解析を高い精度で行うためには、大量のデータを用意する必要があります。データが少ないと誤動作を頻発をしますので、あらゆるパターンの画像を確保しておきたいです。

さらに効率よく学習するために、質の高い画像も必要です。画像の品質が低いとデータが少ないときと同じように誤動作につながります。

質・量ともに十分な学習データがないとAI画像認識の力を発揮できないことを留意しておきましょう。

まとめ

AIによる画像解析を導入することで、人手不足や高い精度、ヒューマンエラーの回避が期待できます。

またすでに医療業界や製造業でAI画像解析が導入されています。今後は様々な業界でもAI画像解析が使われると予想されており、新たなサービスや価値観が生まれるでしょう。

AI画像解析は、各業界との組み合わせで無限の可能性がある魅力ある技術といえます。

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