ディープラーニングによる画像認識とは?メリットデメリットと活用事例を紹介!

目次

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは日本語にすると、深層学習を意味します。ディープラーニングは、機械による学習の中で人の脳をモデルとしたニューラルネットワークを使用します。

ニューラルネットワークとは人間の脳に似た構造内でノードと呼ばれる処理ユニット、またはニューロンを使用して学習するシステムのことです。ニューラルネットワークは、入力層、中間層、出力層で構成されており、ディープラーニングは中間層で複数の処理を行います。これにより複雑なデータ処理を可能としています。

ディープラーニングは人工知能(AI)と密に関連しており、AIが自己学習で特徴などを学んでいくため、人間の手による補助が必要ありません。このディープラーニングは現在様々な分野で応用されており、画像認識、音声認識、翻訳など、人々の生活を便利にするために役立っています。

画像認識とは

画像認識とはパターン認識技術の一つで、画像や動画から文字やイラストなどのオブジェクトや顔などの特徴を認識する技術のことを指します。つまり、ある画像に写っている人は誰なのかを判断をコンピュータ上で行うのが画像認識です。

スマートフォンの指紋認証や顔認証などですでに私たちの生活で使用しているデバイスで活用されています。「画像に写っているこの人物は誰なのか」という処理は非常に高度な技術となっており、近年この精度は上がってきています。今後その技術はさらなる分野に応用されていくと予想されます。

ディープラーニングによる画像認識が今重要視されている

近年ディープラーニングによる画像認識が注目されています。以下の4つが理由に挙げられます。

  • 高性能
  • 応用力が高い
  • スマートフォンなどのデバイスで使用可能
  • 非構造化データに応用できる

高性能

ディープラーニングは重要視されている背景には、グラフィックス・プロセシング・ユニット(GPU)が高性能化していることが挙げられます。ディープラーニングを行うためには高性能がGPUが必要不可欠となっています。並列演算処理が高性能なGPUが増えていっているので質の高いディープラーニングによる画像認識を行えるようになってきています。

応用力が高い

ディープラーニングによる認識力、特に画像認識は音声認識、文字認識、顔認識など様々な分野で応用が効きます。今後は物体認識による自動運転技術、医療分野の画像認識、製品の品質チェックなどで利用できることが期待されています。

スマートフォンなどのデバイスで使用可能

ディープラーニングによる画像認識は、スマートフォンなどのモバイルデバイスでも使用可能です。モバイルデバイスで使用可能になったことにより使用できる幅が広がり活躍できる場面が増えてきています。

非構造化データにも応用できる

ディープラーニングによる画像認識は非構造化データにも対応できます。非構造化データとは画像、動画などのデータのことを指します。反対に構造化データとはExcelやCSVのような行と列の概念を持つデータのことです。ディープラーニングでは画像や動画をリアルタイムで分析できるようになってきているので、監視カメラなどで利用されてきています。

ディープラーニング×画像認識のメリット

ディープラーニングによる画像認識はメリットがいくつかあります。

  • ヒューマンエラーによるミス回避
  • 安全性が増す
  • 人手不足解消
  • コストカット

ヒューマンエラーによるミス回避

人間は疲労やストレスが蓄積されると作業精度が低下します。それにより見落としや誤判定が発生しますがディープラーニングによる画像認識を用いることで画像判定はミスもなく判定してくれます。

安全性が増す

画像認識の技術は危険な作業現場でも活躍してくれます。例えば工場内を往来するフォークリフトに車載カメラを導入すれば、人身事故のリスクを軽減してくれます。フォークリフトだけでなく乗用車にも応用でき、運転中急に人が飛び出してきてもカメラが人を即座に認識してくれて急ブレーキをかける技術も可能です。

人手不足解消

ディープラーニングによる画像認識技術を応用すれば、企業の人手不足も解消できます。例えば道路工事の現場では、作業員が車や人を誘導していました。それを機械が代行することが出来れば、人手不足を解消することができます。

コストカット

ディープラーニングによる画像認識を導入れば、企業的に1番のメリットとなるのがコストカットです。上記のメリットとも関連しますが、上に挙げた例の設備費とランニングコストの総額は人件費より下回ります。コストカットは企業の永遠の課題ですので、コストカットできる点でも大きなメリットとなるでしょう。

ディープラーニングよる画像認識の仕組み

ディープラーニングによる画像認識の仕組みを解説します。主に以下の階層で処理されています。

  • 画像処理
  • 特徴認識
  • 対象物の識別

ディープラーニングによる画像認識は、CNNというシステムで成り立っています。CNNとは「Convolutional Neural Network」を略した言葉で日本語にすると畳み込みネットワークとなります。CNNは畳み込み層とプーリング層という画像処理の中枢となる領域で構成されています。ある画像を読み取ると、畳み込み層で画像の特徴を検出しプーリング層でその特徴を圧縮、次の畳み込み層とプーリング層で同様の処理を繰り返します。最終的にその画像データを外部にアウトプットする流れで画像を読み込んでいます。

画像処理

画像処理はコンピューターがある画像を正確に認識し、適切に処理する作業です。この処理を適切に処理するためには画像に含まれるズレやノイズを取り除き、色や明るさの調整、対象物の範囲領域を適切に切り抜くことによってディープラーニングに最適な画像を認識しています。

特徴認識

特徴認識とは画像からピクセル単位で特徴を抜き出し、パターンを把握することで画像に何が写っているのかを認識することです。ピクセル単位とは画像を構成する最小要素の単位のことです。

ディープラーニングの分野においては、特徴認識は非常に複雑な過程で行われます。以前はこの過程に時間を要しましたが、近年のコンピューターの発展で時間が短縮されつつあります。ディープラーニングの特徴の一つに「特徴量の設計」が不要であることがあります。特徴量の設計とは画像データが持つ特徴をコンピューターで識別できるように数値化しAIが学習するために新たにデータを作り直すプロセスのことです。従来の機械学習ではこの特徴量の設計が必要でした。

対象の識別

対象の識別をするには、事前に「ラベル」と「大量のデータ」を学習させます。そして新たに学習させたい画像を入力してその画像に何が写っているのかを識別します。

ディープラーニングにより画像認識の活用事例

ディープラーニングによる画像認識は多数の分野で活用されています。以下に代表例を紹介します。

  • 顔認証
  • 異常検知
  • 物体認識
  • 文字認識

顔認証

顔認証とは無数の顔画像の中から本人の顔を特定して、本人の顔を高精度で認証する技術のことです。この技術は様々な場面で遭遇します。

・スマートフォンのロック解除:スマートフォンではパスコードの代わりに顔認証を使用しています。

・入退出管理:特に会社ではセキュリティ上、スタッフの入退出に顔認証が採用されています。

異常検知

異常検知とはあるデータの検証時に正常か異常がないかを判定する技術です。ディープラーニングによる異常検知は、まずネット上にある大量の正常の画像データから正常のデータをモデリングして正常データの分布図を作成します。その分布図からどれだけ離れているかをチェックするのが異常検知です。

この異常検知は特に製造業において活躍しています。ディープラーニングを用いて製品の不良品検査に画像認識が使用されています。作った製品と基準となる製品データを参照して作った製品が基準とどれだけ離れているかを判断します。有名な企業ではFujitsuやHITACHIが採用しています。

物体認識

物体認識とは、カメラ内に写っている物体の特定や場所を識別する機能です。この機能は自動運転技術と医療画像分析に利用されています。

・自動運転技術:ディープラーニングを用いて道路上や車線上の車両、物体、人などを検知して適切なスピードに調節をします。また死角からの飛び出しも事前に察知して急ブレーキをかけるアシストにも画像認識が使用されています。

・医療画像解析:医療面ではディープラーニングを用いてX線やMRIなどで撮影した画像から臓器の異変を特定して治療の手助けをしています。

文字認識

文字認識では、大量の文字データを学習させた後に対象の文字の特徴を認識し何の文字かを特定します。例えば物流業界では伝票に書かれた手書きの字を読み取るのに使用されます。

画像認識を導入する際の注意点

ディープラーニングによる画像認識はメリットが多く人々の生活に役立てる存在ですがいくつか注意点があります。

注意点は以下の2つです。

  • システムの性能差がある
  • 画像はわかりすいものから

システムの性能差がある

画像認識の正確性は、画像データの取り込み量に依存します。なぜなら画像データが多い方がラーニングできる量も増えるからです。

例えば以下の2つのグループがあったとします。

Aグループ:画像が少ない

Bグループ:画像が多い

この2つを比較するとBグループの方が画像認識の精度が高いということになります。画像データが少ないと精度が低かったり誤ったデータを表示してしまう恐れがあります。なるべくデータは多く用意すると良いです。

画像はわかりやすいものから

画像を認識させるには、対象物がはっきり映り余計な物体が入り込んでいない画像が理想的です。もしそのようが画像がない場合は、コントラストを調整したり、余計な物体を削除するなどある程度の画像加工も必要です。

まとめ

ディープラーニングを用いた画像認識は様々な分野で利用されています。画像認識によって人件費削減や安全面の強化などに貢献しています。今後更なる技術発展により、より多くの分野に応用されることになるでしょう。

この記事を書いた人

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