ディープラーニングによる画像認識活用例を解説
様々な場面ででディープラーニング(AI)による画像認識が活用されています。画像認識の技術は、文字認識や顔認証がよく知られており、日常生活やビジネスのシーンで使われています。実際に画像認識を活用することで、各企業の利便性や生産性が向上しています。
この記事では、各業界での画像認識の活用事例を紹介します。大手企業の食品、アパレル、インフラ、流通などの幅広い業界に使われていますので、これから画像認識を導入したい企業には参考になります。
ディープラーニング(AI)による画像認識とは
画像認識とは、コンピューターが読み込んだ画像を読み込んで、何が写っているのかを判定する技術です。より具体的には、画像内の物体、色、形、影などの特徴を抽出し、それらの情報から「この画像は何の画像なのか」を判定します。
近年ではディープラーニングやAIの発展により、画像認識の精度が向上しています。画像認識をするための学習データの蓄積が膨大になったことで、より複雑な画像データを読み込むことができます。それにより画像内の細かい特徴を抽出できます。
この画像認識は、このような実用例があります。
- 画像検索
- 顔認証
- 医療画像解析
将来は画像認識の精度は更に向上すると予想されています。最近では自動運転の研究も進んでいるので、より便利になることでしょう。
【業界別】画像認識活用事例12選
実際に画像認識技術を導入している企業を紹介します。
株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモは「ハイライト自動動画作成サービス」を開発しました。これは、3人制バスケットボールリーグ「3×3.EXE PREMIER」を運営するクロススポーツマーケティング株式会社と共同で開発しました。AIが動画内の選手を自動で検出しハイライト動画を作成をしてくれるサービスです。もちろん作成するだけはなく閲覧も可能です。
このサービスは、AIによる解析部分と動画編集アプリ部分に2つで構成されています。AIによる動画部分ではAIによる画像認識で処理を行い、ハイライトと思われるシーンを抽出し、該当の箇所をマーキングします。動画編集アプリ部分では、利用者が欲しいシーンの条件入力を元に動画を作成します。
このサービスは数秒の調整や明るさの変更もできるので、SNS上でのシェアやプロモーション用の動画作りにも適しています。
三菱地所株式会社
三菱地所株式会社は警備会社と画像解析のグループと協力し、AIが「異常検知」「転倒検知」「侵入検知」「暴力検知」等を即座に検知する警備システムを構築しました。この警備システムは2023年1月より丸ビル・新丸ビルに導入されました。
これまで警備業務は警備員による人海戦術が中心でしたが、多種多様なAIによる画像解析サービスを導入し、監視員が「見守り対象者検知」「異常検知」「転倒検知」「暴力検知」「侵入検知」「滞留検知」等をAIによる検出でリアルタイムで把握し警備員を早期に派遣することができます。これにより効率的かつ効果のある警備体制が整い警備員の人材不足解消にもつながります。
合わせて丸の内エリアの店舗やイベントスペース、丸の内通りの通行者の交通量をAIによる画像認識でデータ化し、そのデータと売り上げデータ・天候のデータと合わせて分析することにより、利用者が増加するような店舗運営と販売促進活動のサポートも担っています。
羽田空港
羽田空港内の入国管理局では認証ゲート内にAIによる画像認識システムを導入しました。入国管理局では多くの外国人入国者の対応により、多数の空港スタッフの人員を割く必要があるため、日本人帰国者の入国手続きを簡略化する必要がありました。
この認証ゲートはパナソニック社製の顔認証システムが使われており、初めての方、高齢者の方にも抵抗感なく迷わず、間違えない簡単で安全なセキュリティシステムです。顔認証ゲートの利用に事前登録、費用の準備は一切なくパスポート内の顔写真にあるICチチップと認証ゲートで撮影した本人の写真を照合し、本人確認をします。
アマゾンGO
ネット通販最大手のアマゾン社は無人販売のアマゾンGOを運営しています。アマゾンGOではAI画像認識を導入しています。
店舗に入るとまずお客は、入り口にあるカメラで自分を写し顔認証を受けます。顔画像情報と登録した個人情報が一致すると入店できます。また商品を購入するには、アマゾンアカウントを持ちアマゾンGOのアプリをダウンロードする必要もあります。
お客は自分で買い物バッグを用意しておき、購入する商品をバッグに入れておきます。買い物が終わったら出口にある機械にスキャンして店を出ます。バッグの中の商品の情報はAIが認識していますので、店を出た後に決済情報が送られスマホで決済処理をすれば取引完了となります。
株式会社ファーストリテイリング
ユニクロ・GUを運営している株式会社ファーストリテイリングは、コーディネートを自由にできるアプリ「StyleHint」を開発しました。このアプリは世界的IT企業との協働により画像認識機能を活用した検査機能の搭載しています。
ユーザーは自分の好きな衣服の写真を投稿することでコーディネートを検索することができます。また自分が購入したい服に似た商品をユニクロやGU内で検索し、購入することもできます。実店舗まで足を運ぶ必要がないので時間がない方にも買い物の利便性が向上します。
アサヒビール株式会社
アサヒビール株式会社は日本電気株式会社と「輸入ワイン中味自動検査機」を共同で開発しました。輸入ワインの検品は従来まで目視で行われていました。赤外光照明や画像認識処理を活用した検査にチェンジすることで検品時間の短縮を目指しています。品質の基準値は維持したままで、業務効率化の実現が期待できるでしょう。
またこの取り組みは、業務効率化だけではなく将来問題視されている労働力不足に対応した取り組みとなっています。目視で検品していたため、作業する従業員の技術差が出ていましたが、機械を導入することで検品水準が一定に保たれています。
キューピー株式会社
キューピー株式会社では原材料検査装置に画像認識技術を導入しました。同社の工場ではベビーフードを生産しておりその原材料となるダイスポテトやニンジンなどに混ざった異物検査を画像認識で行うための試みです。
従来、異物検査や品質検査は目視で行われていました。高い集中力を長時間保たなければ、流れ作業の中で異物を発見することはできません。これは従業員にとってかなりの負担となっていました。
その作業をAIによる画像認識が担うことで、従業員の負担が減り原材料の品質管理向上に繋がりました。
株式会社ファミリーマート
株式会社ファミリーマートではコンビニでの飲料補充にAI画像認識技術が搭載されたロボットを導入しました。このロボットは画像認識により冷蔵庫内の空きスペースを自動で検知し、飲料水を補充してくれます。
このロボットの導入によって従業員の作業時間を平均2割ほど削減することに成功しました。飲料水補充の自動化により従業員はホットスナックの調理、他事務作業など他の業務に集中することができました。
同社は労働力不足対策のため、2024年までにAI画像認識搭載ロボットを全国300店舗に配置する予定です。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、ユーザーが商品を出品する際に画像認識技術を導入しました。
スマートフォンで撮影した写真をアプリから読み込むと、写真から商品名やブランド名を自動で読み取ってくれます。ゲームソフトや書籍を出品する場合はその商品の説明文を自動で作成できます。
大阪ガス株式会社
大阪ガス株式会社は、大阪バスの路線バスを用いて「工事現場をAIで認識するカメラを搭載した車載バス」を試験運用に導入しました。
同社では道路に埋設されているガス管付近で水道管、電気、下水道などの大阪ガス以外の事業者が工事を行う場合は、ガス管を破損させないよう事前協議がなされていました。しかし同社へ連絡なく工事が行われる場合があるため、定期的にパトロールを行っていました。
同社が開発した車載カメラはAIが工事である確率が高い画像を抽出し、事務所内のオペレーターが工事連絡のない画像化を判断します。パトロール業をAIが代行することにより、会社スタッフの業務生産性の向上に繋げています。
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社は従来あるCT・MRIなどの断層画像から高精度な3D画像を描出・解析を行う3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を更にアップデートさせた「REi LI」を開発しました。
この「REiLI」はディープラーニングをベースに開発されており、脳脊髄液腔、直腸、膵臓の解析機能を持っています。これによりあらゆる医療現場のサポートをしていきます。
佐川急便株式会社
佐川急便株式会社はSGシステム株式会社、フィーチャーアーキテクト株式会社と共に配送入力伝票をAIが担うシステムを開発しました。これにより配送伝票読み取りから既存システムの連携までを自動化し、作業時間を月間約8,400時間短縮させることに成功しました。
またこのシステムはAIによる手書き文字認識率は99.995%以上に達しており、〇で囲まれた数字や取り消し線で修正された数字も読み取ることができます。
これからの画像認識
このようにディープラーニング(AI)による画像認識は幅広い分野で活用されており、今後更に広がっていくと言われています。
特に以下の2つが注目されています。
- 自動運転技術の向上
- SNSマーケティングと連携
自動運転技術の向上
センサーやAIによる画像認識が発達しているので、自動運転技術が向上するでしょう。過去に試運転で事故がありましたが、現在はそのリスクが減っています。
また人間の視野は前方しか広げられませんが、画像認識は全方位見ることができるので人が運転するより安全性が高いと言えるでしょう。
SNSマーケティングと連携
SNSマーケティングでも画像認識が使われています。従来は文字からデータを分析していましたが、画像認識技術を用いれば画像や動画からも情報を取得することができます。またメインの被写体だけではなく背景や他の被写体からもデータを取得できるのでより細かくユーザーデータを蓄積することが可能となります。
まとめ
画像認識の技術はさまざまな分野で利用されています。
最近ではAIが画像を読み取ると誰が何をしているのかまでわかるようになってきています。また人物の顔や虹彩からその人の感情までも読み取ることもできます。
今後は更なる業界で画像認識が使われることは間違いないです。それにより私たちの生活がより豊かになってくれるでしょう。