画像認識アプリとは
画像認識アプリとは、写真や動画から特徴を抜き出し、抜き出した特徴をデータとして利用するアプリケーションです。この認識技術は「パターン認識技術」と呼ばれ、情報処理というカテゴリの一つに分類されます。
パターン認識技術はさまざまな場面で目にしますが、最も身近にあるものとしては「バーコード認識」が思い浮かぶでしょう。バーコード自体はシンプルなデザインですが、線一本一本の太さや本数をデータ化し、商品の特徴を表示するという一種の画像認識です。その後は携帯電話やデジタルカメラの発展により顔を認識してピントを合わせるフォーカス機能が搭載されたり、インターネットで画像を検索できたりと、画像認識技術が日常生活で欠かさせない存在となってきています。
ここ数年はコンピューターの処理速度向上とディープラーニング(AI)の台頭により、より複雑な画像も認識できるようになってきています。
画像認識アプリでできること
画像認識アプリでできることはさまざまです。代表例を紹介します。
- 画像分類
- 顔認識
- 文字認識
- 異常検知
- 物体検出
画像分類
画像をカテゴリー別に分類します。端末にある大量の画像データを特定のカテゴリーに分けて整理できます。また、医療画像の診断や、商品画像を整理することにも利用されています。
顔認識
人の顔を認識し、顔の表情や個人の特定を行います。会社でのセキュリティシステムや接客業での顧客満足度の向上につながっています。
文字認識
画像内の文章をデジタル化します。また印刷物の文字や手紙の文字もデジタル化に変換できます。書類のデジタル化や文書を保存する際に活用されています。
異常検知
機械等の異常な動作やデータパターンを検知します。工場で使われている機械設備の動作不良を素早く発見し、従業員の安全を守るために使われます。
物体検出
画像内の対象となる物体や人物を検出し、個数や物の場所を特定します。監視カメラで不審者や指名手配犯を割り出したり、工場ラインでの不良品特定に貢献しています。
画像認識アプリのおすすめ6選
画像認識アプリのおすすめを6つ紹介します。
- Googleレンズ
- かざすAI図鑑
- Picture This
- Wear
- 色彩ヘルパー
これらのアプリは各種のアプリストアからダウンロードできます。実際にアプリを使用してみることで、私たちの生活に画像認識技術が浸透していることがわかります。
Googleレンズ
Googleの画像認識アプリです。スマートフォンに保存してある写真や画像のデータを検索エンジンにかけることで、その画像の詳細を検索することができます。また写真だけではなく、文字もデータ化して読み取ることも可能です。
Googleレンズは画像の検索結果を示すだけに留まらず、そこから様々な拡張機能を持たせることができます。例えば画像の情報から、WEBサイトやショッピングサイトに飛ばすことで、ユーザーが商品を購入するというアクションを促せます。BtoCの企業には、マーケティング戦略として、Googleレンズが活用されています。
かざすAI図鑑
かざすAI図鑑はスマートフォンやタブレット端末のカメラをかざすことで写しとった生物の名前や生態を解説してくれるアプリです。認識できる生物は、哺乳類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、虫など約10,000種以上です。認識したデータは自動的に保存され、自分だけのオリジナル図鑑を作ることが可能です。
かざすAI図鑑は、沖縄美ら海水族館や、マリンワールド海の中道などで利用することも可能でアプリを使ったイベントも定期的に開催されています。
Picture This
Picture Thisは植物の画像を認識して、名前や特徴を紹介してくれるアプリです。植物の詳しい生態を教えてくれるので、ガーデニングに興味がある方におすすめのアプリです。
生態を紹介するだけはなく、対象の植物の健康状態も診断する機能も備えています。植物の各部位の状態から、症状を絞り込めます。病気のメカニズムや対処法も紹介してくれるので、何かあった時に役立つことでしょう。
Wear
ファッションコーディネートをサポートするのがWearというアプリです。このアプリは本来自分のお気に入りのファッションコーディネートをシェアしてSNSに公開するアプリですが、雑誌で見つけた気になる服を撮影し画像認識すると、Wear上であるコーディネート集を探す機能もあります。
色彩ヘルパー
使われている色の名前を調べられるのが色彩ヘルパーというアプリです。アプリを起動してカメラを通すと、リアルタイムで対象物の色の情報を表示してくれます。
このアプリは色覚異常の方に正確な色を判別できる補助ツール的な使い方もできます。
画像認識アプリに必要な機能
画像認識アプリには大きく分けて2つ機能があります。
- 画像読み取り機能
- 何の画像かを判断する機能
画像読み取り機能は、スマートフォンなどで読み取った画像がどのような画像なのかを判断するための要素を読み取る機能です。
何の画像かを判断する機能は、ディープラーニングにより画像内のデータを判定する機能です。判定内容は指定した条件によって異なり、「建物だけを読み取る」、「何の動物なのか」など条件を自由に設定できます。
画像認識アプリのメリット
画像認識アプリを導入するメリットは2つあります。
- 業務効率化
- ヒューマンエラーの減少
- 新たなビジネスの可能性
業務効率化
画像認識アプリを導入することによって業務の効率化が期待できます。従来人が行っていた作業をアプリが代行したり、サポートを行うこともできます。
これにより、業務の正確性やスピードアップに繋がり、業務の自動化に貢献できるでしょう。
ヒューマンエラーの減少
画像認識アプリを導入することによって、ヒューマンエラーを減少できます。特に安全性が求められる製造業で活用されています。
新たなビジネスの可能性
画像認識アプリで蓄積された画像データによって新たなビジネスのチャンスがあります。市場動向の分析やニーズの把握もできます。
画像認識アプリの今後の課題点
画像認識アプリはメリットがありますが、同時に今後の課題点もあります。
- セキュリティーの問題
- 導入コストが高い
これらは現在の技術的な問題や社会的な懸念が絡んだ中で、今後どう向き合っていくか、どのように対処していくのかという観点で、議論がなされています。
セキュリティーの問題
画像認識アプリを運用していくとなると、個人のプライバシーや個人情報のデータ管理はとても重要となります。特に写真は個人の特定がされるリスクがあります。データが増えたりアプリの規模が大きくなると、データが漏れる可能性が高くなります。情報漏洩が頻発すると、会社の信用問題に繋がり、損害賠償などの裁判などに発展するリスクさえもあります。
特に個人情報の管理はよりシビアで管理が甘いと、悪用されるリスクがあります。
導入コストが高い
システムの構築や専用機材の導入で大幅なコストがかかります。またアプリ開発に携わる専門のスキルを持つエンジニアの確保にもコストが同様に発生します。
またアプリ自体の開発にもコストがかかります。大まかですが、通常アプリの開発には約300万円以上かかると言われています。画像認識アプリを開発するとそれよりも高額となりおおよそ500万から1,000万ほどの開発費用がかかるでしょう。
画像認識アプリの導入の手順
画像認識アプリの導入の手順を紹介します。
大きく3つのステップで進めていきます。
- 企画
- 発注
- 戦略
企画
アプリを開発する上で1番重要といっても過言ではないのが企画です。アプリ開発を全て外注するのであれば別ですが、自社ブランド名を冠したアプリを開発するのならばしっかりとした企画が必要です。
どういった目的でアプリを開発し誰をターゲットとするのか、最終的なゴールは何なのかをはっきりしておき、課題、問題点、解釈のズレをスタッフ間でゼロにすることで高品質なアプリ開発に集中できます。
もちろんアプリ開発先の企業ともしっかり打ち合わせをしておき、お互いの認識やイメージのズレもないようにしておきましょう。
発注
画像認識アプリは複雑なシステムとなるため、開発費用が高額になります。しっかりとした企画書を作成した上で、見積り先は複数の企業に依頼しましょう。これを相見積もりと言います。
企業によって見積額は異なりますが、単純に安いというだけで判断するのは危険です。優秀なエンジニアやプログラマーが在籍している企業、アプリ開発分野に業績を残している企業を選んだ方が良いです。もちろんそのような企業の見積額は高額になりますが、安さだけで選んでしまうとせっかく大金を投資したのに使い物にならないアプリを納品されてしまうと、最悪の結果になってしまいます。
発注先の企業選びは実績を見るなどをして慎重に選ぶと良いでしょう。
戦略
アプリは企画して開発後、リリースして終わりというわけではありません。企画で決めた目的を見失わず、その目的を達成するための戦略、運営を行う必要があります。
様々なアプリが基本無料と謳ってはいますが、アプリは維持するだけでコストがかかってきます。少なくともランニングコスト分だけでも回収できる利益を出す必要があります。その利益は課金要素だけではなく、広告を出して得られる広告収入、新規ユーザーの獲得、新たなマーケットの開拓などで得られる利益があります。
まとめ
画像認識アプリについて、できること、メリットデメリット、開発の手順について解説していきました。
画像認識アプリはできることが多い反面、まだまだ未知数な部分も多くあります。しかし私たちの生活を豊かにするツールであることは間違いありません。
今後の技術発展により更に多くの分野での活用が広まり、生活を変えるだけではなく、働き方も変えてくれるでしょう。
そういったアプリを開発するのは並大抵のことではありませんが、ぜひより良いものを作る方々が現われることを期待していきましょう。