OpenAI、o3-miniの推論プロセスを改善—DeepSeekなどの競争圧力に対応か

このニュースのポイント
・OpenAIは、最新AIモデル「o3-mini」と「o3-mini-high」の推論プロセスの表示方法を変更。
・今回の変更でより詳細な要約を提供する仕組みになった。
・OpenAIは思考過程の完全公開は避けつつ「バランスの取れた」推論表示を採用。

OpenAIは6日(現地時間)、最新のAIモデル「o3-mini」と「o3-mini-high」の推論プロセスの表示方法を変更すると発表しました。この動きは、中国のAI企業DeepSeekなど、競合他社の圧力を受けたものとみられます。

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AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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目次

推論モデルの特徴と課題

o3-miniは「推論型」AIモデルであり、応答を生成する前に事実確認を徹底的に行う仕組みを持っています。このアプローチにより、誤情報の提供を防ぐことができますが、その分、回答までに通常より数秒から数分の遅れが生じるという課題があります。

OpenAIは、o3-mini以前のモデル(o1、o1-mini)では推論プロセスを全面的に公開せず、簡潔な要約のみを表示していました。しかし、この要約は時折誤った情報を含むことがあり、透明性に関する批判を招いていました。

今回の変更では、OpenAIは完全な推論プロセスの公開には踏み切らないものの、「バランスの取れた」アプローチを採用すると発表しました。o3-miniはまず自由に考え、その後、推論プロセスを整理し、より詳細な要約を提供する仕組みに変更されます。

推論モデルの推論プロセスを比較

公式サイトの発表では「how is today not a Friday😅」(なぜ今日は金曜日ではないの)を例に推論プロセスが公開されていました。

これを参考に「今日はなぜ日曜日ではないのですか?」とChatGPT Plusで聞いたところ、o3-miniは

少し深堀りすると、もしかしたらユーザーは哲学的な答えを期待しているかもしれません。最近感じたこと、天気や出来事による気分のズレも影響しているのかもしれませんね。それとも、無意識に「今日は日曜日ならいいのに」と思っているのでしょうか?(抜粋)

と14秒間推論したのち、カレンダーの仕組みに基づき今日が金曜日であることを回答しましたが、

o3-mini

同じ質問をo3-mini-highに尋ねたところ、

これは、単に現在の日が日曜日でない理由を尋ねているのか、それとも日曜日でない状況や背景について考察を求めているのか、少し不明確です。たぶん、今日は2025年2月7日なので、日曜日とは別の日ですね。単純に曜日の違いを答えるのが良さそうです。(中略)「なぜ今日は日曜日ではないのですか?」という質問について、これは単純に「今日は金曜日だから」と答えることもできます。ただ、この質問が冗談や謎かけである可能性もあり、もっと面白い答えを求めているかもしれません。」

と10秒間推論したのち、同じくカレンダーの仕組みから今日が金曜日であることを回答しました。

o3-mini-high

推論モデルの今後

近年、AI分野の競争は激化しており、OpenAIやDeepSeek以外にもGoogleやMicrosoftなど、多くの企業が独自の推論モデルを開発しています。特に、ユーザーがAIの思考過程をどの程度把握できるかは、今後のAI業界における重要な差別化要因となるでしょう。

参照:OpenAI now reveals more of its o3-mini model’s thought process

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