チャットAIとして最先端をいくChatGPTですが、チャットだけでなくファイルの読み込みができるのを知っていますか?
ChatGPTではPDFや画像といったファイルをアップロードすることで、ファイルの内容を要約したり、図表を言語化することができます。個人からビジネスまで、幅広いニーズに応えることができるのが魅力です。
この記事では、ChatGPTのファイル読み込み機能の使い方やコツ、対応しているファイル形式について解説します。この機能を使って、業務効率化に役立てましょう。
ChatGPTのファイル読み込み機能とは?
ChatGPTのファイル読み込み機能は、テキストや画像などの外部データをAIに取り込ませ、それらの情報をもとに対話や分析を行うことができる機能です。この機能の導入により、ChatGPTの活用の幅が大きく広がりました。
ファイルのアップロード自体は無料版でも利用できることが確認されていますが、使用回数に制限があります。有料プラン(ChatGPT Plus、Pro)では制限の引き上げ、あるいは無制限で使用が可能です。
ChatGPTのファイル読み込みでできること

ChatGPTのファイル読み込み機能を活用すると、以下のような作業を行えます。
- 文書の要約:長文のPDFや文書ファイルを取り込み、要約を作成し、主要なポイントを抽出。
- データ分析:CSVファイルやExcelシートを解析し、データの傾向や洞察を得る。
- 画像認識と説明:写真や図表を読み込ませ、詳細な説明を行う。
- 文書比較:複数の文書を取り込み、内容の共通点や相違点を分析。
- 質問応答:取り込んだ文書の内容について質問し、回答を得る。
- 翻訳と要約:外国語の文書を取り込み、翻訳しながら要約を生成。
この機能を活用することで、大量の情報を効率よく処理でき、意思決定や業務の効率化に役立ちます。例えば、長文の契約書を要約したり、複雑な統計データから重要なトレンドを抽出したりすることが可能になります。
対応ファイル形式

ChatGPTのファイル読み込み機能は、以下のファイル形式に対応しています。
- テキストファイル(.txt)
- PDF文書(.pdf)
- 画像ファイル(.jpg, .png, .gif)
- Microsoft Office文書(.docx, .xlsx, .pptx)
- CSVファイル(.csv)
これらのファイル形式に対応しているため、多様なデータをAIに取り込ませ、活用することができます。
ChatGPTのファイル読み込み機能の使い方
それでは実際にファイル読み込みをおこなっていきます。
PCからファイルを読み込ませる手順
ChatGPTを開き、プロンプトを入力する欄の左にある「+」をクリックします。すると、ファイルを選択するボックスが開きます。

ChatGPTに読み込ませたいファイルを選択すると、プロンプト入力欄に選択したファイルが表示されます。その後、ファイルに関連する質問を入力して送信します。


今回は楽曲のバンドスコアを読み込んでもらいました。
楽曲のタイトルや作詞作曲者名、スコアに書かれている編成はもちろん、ダウンロードしたサイトまで教えてくれました。
スマホからファイルを読み込ませる手順
スマホからでも、おおむねパソコンと同じ動作でファイル読み込みができます。
プロンプト入力欄の「+」ボタンから、アップロードしたいファイルを選択し、ファイルに関する質問を入力すれば完了です。


スマホからの場合はその場でカメラを起動でき、写真についてリアルタイムでChatGPTに質問することができます。
ファイル読み込みというとPDFやWordといった文書データを思い浮かべがちですが、画像ファイルも可能です。
ChatGPTにおける画像読み込みについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ChatGPTの画像読み込み機能とは?アップロード方法とエラー解決策を解説
Web上のコンテンツを読み込ませる手順
ChatGPTではファイルだけでなく、Webのコンテンツを読み込ませ、内容を要約することができます。
WebページのURLをコピーしてプロンプト入力欄に貼り付け、「以下のWebページに書かれている内容について解説してください」などといったプロンプトを入力すると、貼り付けたURLについてまとめてくれます。


回答下の「情報源」をクリックすると、回答の参考となったWebページを一覧で表示します。もちろん、プロンプトに貼り付けたURLも含まれています。

ここから違うページにアクセスし、新たな情報収集をすることも可能です。
スマホからの使用感は以下のような画面となり、情報源をタップすると画面下部にWebページの一覧が表示されるようになっています。

Web上コンテンツの読み込みは、以下のような用途で利用するのが便利です。
- ページの内容を要約する
- 英語ページを翻訳する
文字数が多く、全て読むには時間がかかるページにおいて非常に役立つ機能です。
ただし、ChatGPTは最新情報についての回答は苦手としており、時事ニュースの記事の要約には対応できません。今起こっている出来事についての解説が必要な場合は、最新情報に基づいた回答をするAIを利用しましょう。
最新ニュースの解説にも対応しているAIはこちら
▶Perplexity AIとは?使い方やChatGPTとの違い、日本語対応などを解説
プラグインを使ったファイル読み込みの手順
ChatGPTで公開されているプラグインを利用することで、より高度な要約、翻訳が可能です。ChatGPTのプラグインは、ユーザーの目的に合わせたカスタマイズをおこなうために2023年5月から公開されています。
ChatGPTのプラグインは有料プランでのみ利用が可能です。ここではChatGPTにプラグインを導入する流れについて簡単に解説します。
- 画面の左下に表示されているユーザー名をクリック
- 「Settings&Beta」を選択
- 「Beta features」の「Plugins」のトグルボタンをクリック
- 新規チャット画面左上のモード選択で「Plugins」を選択
- 「No plugins enabled」をクリック
- 「Plugin store」をクリック
- 使用したいプラグインを検索して「Install」ボタンをクリック
- ホーム画面に戻り、インストールされたプラグインに有効化のチェックマークがついていることを確認する。
ファイル読み込みに適したプラグインは以下のようなものがあります。
- Code Interpreter
- Ask Your PDF
- Link Reader
ChatGPTのファイル読み込み機能を上手く活用するコツ
ファイル読み込み機能を上手く活用すれば、個人からビジネスまでさまざまななニーズに応えることができます。
効果的な指示を出す
ChatGPTにファイルを解析させる際は、具体的で明確な表現を用いることが重要です。また、必要な情報のフォーマット(箇条書き、表、段落など)や、どの程度の詳細さで分析するのかを指定すると、より的確な回答が得られます。
ファイルをアップロードする前に、何を達成したいのかを明確にしましょう。
×「この報告書を分析して」
〇「この四半期の報告書から、前年比20%以上成長した製品ラインを特定し、その成功要因を3つ挙げてください」
複数のファイルを組み合わせる
関連する複数のファイルをアップロードして横断的に分析させることで、より深い洞察を得ることが可能です。例えば、2つのファイルの共通点を見つけたり、過去3か月の売上報告書を使って今後の売上の予測をしたりといった活用法があります。


段階的なアプローチを取る
複雑なデータや詳細な分析を行う場合は、一度にすべてを処理しようとせず、段階的に進めるのが効果的です。
- まず全体の要点をまとめるよう依頼する
- 特定の部分について詳しい分析を求める
- その結果に基づき、追加の質問をする
- フィードバックを元に再調整する
ChatGPTの回答をそのまま受け入れるのではなく、内容を確認し、必要に応じてさらなる質問や修正を求めることで、より正確で有益な情報を得ることができます。
ChatGPTのファイル読み込み活用例
ファイル読み込み機能はどのようなときに活用するのが良いのでしょうか。
おすすめの使い方を3つの観点から紹介します。
- ビジネス向け
- 学生・研究者向け
- ライター・クリエイター向け
ビジネス向けの活用例

ビジネスにおいては、大量の報告書や資料を読むことが多く、内容を把握するのに時間がかかる場合があります。そんなときに、ChatGPTのファイル読み込み機能を活用すると、長文の報告書やニュース記事を簡単に要約でき、情報収集にかかる時間を削減します。特に、定例会議や経営判断に必要な資料の要点を素早く把握できるため、業務の効率化に大きく貢献します。
また、データ分析と可視化にもファイル読み込み機能は役に立ちます。例えば、販売データのCSVをChatGPTに読み込ませ、「月別の売上推移を分析し、成長率の高い商品カテゴリーを特定してください」と指示すると、データの傾向を把握できます。これにより、売上の増減を視覚化し、ビジネス戦略の立案に役立つ洞察を得ることが可能です。
学生・研究者向けの活用例

学生や研究者の方におすすめなのが、画像解析とレポート作成です。
研究資料や論文作成において、画像や図表の分析は重要となります。ChatGPTに写真やグラフをアップロードし、「この図の特徴を説明してください」と指示することで、図表の要点を簡潔にまとめることができます。これにより、研究の進捗を効率化し、プレゼン資料やレポートの作成をスムーズに進めることができます。特に、視覚的な情報を文章化する作業が必要な場面で有用です。
また、複数のCSVファイルを統合して分析できるのも大きな利点です。例えば、月ごとの売上データが別々のファイルに分かれている場合、それらをまとめてアップロードし、「年間の売上傾向を分析してください」と指示すれば、一括で解析できます。データの比較や統計的な分析が容易になり、長期的なトレンドを把握するのに役立ちます。
ライター・クリエイター向けの活用例

ライターやクリエイター向けとしては、取材メモやインタビュー記録の整理としてChatGPTのファイル読み込み機能を使うのがおすすめです。
WordやTXT形式の取材メモをアップロードし、「このメモの要点を整理してください」と指示することで、情報を効率的にまとめることができます。これにより、記事の構成を考える際の負担を軽減し、執筆作業をスムーズに進めることができます。特に、複数の資料を統合して一つの記事にまとめる際に便利です。
ChatGPTでファイルを読み込ませる際の注意点
ChatGPTにファイル読み込ませる際には、以下の2点に注意しましょう。
- セキュリティとプライバシーに配慮する
- 音声や動画ファイルは非対応
セキュリティとプライバシーに配慮する

ChatGPTにファイルをアップロードする際は、個人情報や機密情報が含まれていないか十分に確認しましょう。特に、企業の内部資料や顧客データ、パスワードが記載された文書など、第三者に漏れては困る情報を誤ってアップロードしないよう注意が必要です。アップロードされた情報はAIの学習に使われる可能性もあり、思わぬところから情報が漏れてしまうことも考えられます。
事前に不要な情報を削除し、必要に応じて匿名化することで、安全に利用できます。また、アップロード後のデータの管理についても考慮し、不要になったファイルは削除するなどの対策を講じることが重要です。
音声や動画ファイルは非対応

ChatGPTのファイル読み込み機能は、テキストや画像には対応していますが、音声や動画ファイルの解析には対応していません。
音声データを活用したい場合は、まず文字起こしツールを使ってテキスト化すると良いでしょう。例えば、会議の録音データを分析したい場合、事前にテキスト形式に変換し、その内容をChatGPTに読み込ませるといった手順です。
また、動画内の情報を解析したい場合も、字幕データを抽出し、それをテキストとして処理することで、ChatGPTの活用が可能になります。
ChatGPTでファイルが読み込めない場合の原因と対処法
ファイルを読み込ませる際、アップロードできないといったトラブルが起こることがあります。ここでは、考えられる原因と対処法について解説します。
ファイルのサイズが大きすぎる
ChatGPTには、ファイルのサイズや数に上限があります。アップロード前にファイルのサイズを確認し、必要に応じて圧縮や分割を行うとスムーズに読み込めます。
制限されている項目 | 詳細 |
---|---|
ファイルサイズ | ・1ファイルあたり最大512MB ・画像ファイルの上限:1画像あたり20MB ・スプレッドシートやCSVファイル:約50MB(行の数による) |
ファイル数 | ・1セッションあたり最大20個 ・GPTごとの制限:生涯で最大20個 |
トークン | ・テキストおよびドキュメント:200万トークン/ファイル ・スプレッドシートには上記制限なし |
また、無料版では1日にアップロードできるファイルの数やサイズに上限があり、上限を超えるとファイルのアップロードボタンが選択できなくなります。

ネットワークエラー

ファイルアップロード時にエラーが発生する場合、インターネット接続を確認しましょう。通信環境が不安定な場合、Wi-Fiを再接続するか、時間をおいて再試行してください。また、ファイルのアップロードが一時的に制限されている可能性もあるため、しばらく待ってから試すのも有効です。
ファイルの破損

「ファイルを読み取れません」というエラーメッセージが表示される場合、ファイルが破損している可能性があります。その場合、別の形式で保存し直したり、ファイルを再生成してから再アップロードすると、問題が解決することがあります。