本文へ移動
NEWS
ビジネス活用

フィジカルAIの人型は1日3万4800円だが2時間で充電が切れる

読了 約21分
ガラス越しに展示された、テスラの人型ロボットOptimusの写真
この記事の要点

フィジカルAIは、もう借りられます。人型ロボットのUnitree G1は日額3万4800円からです。ただし1回の充電で動くのは約2時間で、表示された料金の外に9万9000円が必ず付きます。AInformation編集部が2026年9月7日に窓口9件を1件ずつ見て、時給に直して並べました。

SHARE
藤井俊太のアバター

AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する情報やサービスを解説・紹介するWebメディア。運営と記事の確認は藤井俊太が1人で行っています。藤井俊太のプロフィール

...続きを読む

フィジカルAIは、もう借りられます。人型ロボットのUnitree G1は日額3万4800円からです。ただし1回の充電で動くのは約2時間で、表示された料金の外に9万9000円が必ず付きます。AInformation編集部が2026年9月7日に窓口9件を1件ずつ見て、時給に直して並べました。

34,800人型ロボットを1日借りるいちばん安い金額
99,000表示された料金の外に必ず付く費用
2時間1回の充電で動ける時間
この記事で分かること
  • フィジカルAIの人型ロボットは日額3万4800円から借りられる。ただし1回の充電で動くのは約2時間
  • 表示された料金の外に、補償料と配送料と初日の説明で9万9000円が必ず付く
  • 借りた個体は決まった動きを再生するだけ。仕事を1つ覚えさせるには別に100万円かかる
  • 職場に来る順番は時給で決まっていた。人の1121円を下回ったロボットだけが本番で動いている
  • AI3社に借りる窓口を聞いたら14社を挙げたのに、実際に料金を出している3社は1つも出てこなかった
  • 調べた8つの場所すべてに導入か実証があった。ただし毎日動いているのは4か所だけ

フィジカルAIという言葉を、この1年で何度も見かけるようになりました。ロボットや自動運転のように、画面の外で動くAIのことです。NVIDIAは公式の用語集で「カメラ、ロボット、自動運転車などの自律システムは、フィジカルAIにより、物理世界において、認識、理解、推論し、複雑な行動の実行や調整ができるようになります」と説明しています。

ただ、解説記事はもう十分にあります。読者が次に知りたいのは「で、自分はいつ、いくらで使えるのか」のはずです。AInformation編集部は2026年9月7日に、日本でロボットを借りられる窓口9件の公式サイトを1件ずつ見ました。あわせて機体の仕様と、レンタル料の外に付く費用も数え直しました。

結論を先に書きます。フィジカルAIの人型ロボットは、思ったより安く借りられます。そして思ったより働きません。

窓口9件を1件ずつ見て確かめた。フィジカルAIは、もう借りられる。人型ロボットUnitree G1のいちばん安い日額。34,800円/日。ただし1回の充電で動くのは約2時間。表示の外に9万9000円が必ず付く。データ:AInformation調べ(2026年9月7日)。制作:AInformation。
フィジカルAIは、もう借りられる

フィジカルAIの人型ロボットは1日3万4800円から借りられる

いちばん安く借りられるのは、Unitree G1という身長127センチの人型ロボットです。Smartmartが公開しているよくある質問に「小型ヒューマノイドG1は日額34,800円から」と書かれています。同じ会社は四足歩行のGo2を日額2300円からとしています。

Smartmartのレンタルページのよくある質問。四足歩行ロボットは日額2,300円から、小型ヒューマノイドG1は日額34,800円から、フルサイズは日額50,000円前後からと書かれている
Smartmartのよくある質問。G1は日額34,800円からと書かれている 出典:smart-mart.jp(2026年9月7日時点の画面)

1泊2日で借りる形の窓口もあります。ROBO RENTAとRobo Rentaの2社は、どちらもG1を1泊2日5万5000円(税込)で出しています。2日で割ると1日あたり2万7500円です。手が届かない金額ではありません。

日本でロボットを借りられる窓口9件と、公開されている料金

窓口 貸すもの 公式サイトの料金
Robo Renta(D.I.S.R) ヒューマノイド Unitree G1を1泊2日 50,000円(税別)
ROBO RENTA(FINEXT) ヒューマノイド Unitree G1を1泊2日 55,000円(税込)
Smartmart ヒューマノイド Unitree G1が日額34,800円から(四足のGo2は日額2,300円から)
GMO AIR(ロボット派遣) ヒューマノイド ヒアリング後に見積もり
iPresence テレロボット 1日 50,000円(税込55,000円)
生活革命(Pepper) 接客ロボット 1日目 20,000円から(2日目以降は1日4,500円)
ugo 警備・点検ロボット 書かれていない
Telexistence 補充ロボット 書かれていない
ソフトバンクロボティクス Servi 配膳ロボット 書かれていない
データ:AInformation調べ(2026年9月7日に各社の公式サイトを1件ずつ確認) / 制作:AInformation

ここで1つ気をつけることがあります。同じG1でも、窓口とプランで1日あたり2万7500円から5万5000円まで開きます。差は2倍です。プランの名前はBasicとR&Dで、値段はきれいに2倍になっています。この2つの違いはあとで書きますが、先に言うと「自分でプログラムを書けるかどうか」です。

フィジカルAIの窓口で料金を出しているのは9件中5件

9件を1件ずつ見た結果、レンタル料金を公式サイトに載せていたのは5件でした。人型ロボットを貸す窓口に限ると4件のうち3件です。

出していない1件はGMO AIRです。ロボット派遣のページには「日単位、週単位から契約可能です。期間や料金はヒアリング後にお見積りいたします」とだけ書かれています。よく引かれる「1日10万円から」という金額は、日経MJが2025年11月8日に報じた記事の見出しにあるものです。GMOの公式サイトには出ていません。

ugoとTelexistenceとソフトバンクロボティクスのServiは、そもそも金額を出していません。この3社は貸すのではなく現場へ入れる側なので、問い合わせが前提になります。

表示された料金の外に、9万9000円が必ず付く

ここからが本題です。レンタル料の下に小さく書かれている注記を読むと、料金表の金額だけでは借りられないことが分かります。

ROBO RENTAの料金表には3つの注記があります。補償料が3万3000円(税込)、往復の梱包配送料が3万3000円(税込)、そしてレンタル初日の説明スタッフ派遣費が3万3000円(税込)です。3つとも「必要となります」と書かれています。合計9万9000円です。

レンタル料の外に必ず付く費用と、実際に払う金額

項目 金額(税込)
補償料 33,000円
往復の梱包配送料 33,000円
レンタル初日の説明スタッフ派遣費 33,000円
必ず付く合計 99,000円
Unitree Go2 Air(四足)を1泊2日・初回単体価格で借りた場合 表示5,500円 → 実際は104,500円(19.0倍)
Unitree G1 Basic(人型)を1泊2日で借りた場合 表示55,000円 → 実際は154,000円(2.8倍)
イベント操作代行(1名1日)(任意) 55,000円
延滞(1日あたり)(任意) 11,000円
データ:ROBO RENTA の料金表の注記より(2026年9月7日にAInformationが確認) / 制作:AInformation

四足歩行のGo2は1泊2日5500円からと出ています。ここに9万9000円を足すと10万4500円になります。表示の19倍です。人型のG1なら5万5000円が15万4000円で、2.8倍になります。

さらに任意の費用もあります。イベントで操作を任せると1名1日5万5000円、返却が遅れると1日1万1000円です。東京から遠い場所なら、交通費と前泊の宿泊費も別に付きます。

この構造は、他の記事には書かれていません。AInformation編集部が「フィジカルAI」や「ヒューマノイド 価格」で上位に出る33本の中身を読んだところ、買う値段に触れたページは9本ありました。ところがレンタル料の外に付く費用を書いたページはゼロ、借りる値段を窓口で横並びにしたページもゼロでした。

ROBO RENTAの料金表と注記から計算した。表示された料金と、実際に払う金額。○ 料金表に出ている金額:四足Go2が5,500円、人型G1が55,000円、どちらも1泊2日の値段。検索して最初に目に入るのはこちら。△ 必ず足される金額:補償料33,000円、往復の梱包配送料33,000円、初日の説明スタッフ派遣費33,000円。Go2は10万4500円で表示の19倍になる。データ:AInformation調べ(2026年9月7日)。制作:AInformation。
表示された料金と、実際に払う金額

借りたフィジカルAIは、そのままでは仕事をしない

ここが、値段の話でいちばん大事なところです。3万4800円で来た人型ロボットは、届いた日から仕事をしません。

GMOがG1の仕様表に載せている項目に「二次開発」があります。Basic構成は「非対応」、上位のEdu系構成が「対応」です。よくある質問にも「上位(Edu系)構成なら、自分でプログラムを書いて機能を追加開発でき、開発マニュアルも付属します」と書かれています。裏を返せば、安いほうの構成でできるのはあらかじめ入っている動きをコントローラーで再生することだけです。

レンタルの料金表がBasicとR&Dできれいに2倍になっているのは、この差です。四足歩行のGo2は料金表に「Air:二次開発不可 / R&D:二次開発可」と書いてあります。1泊2日で5500円と2万7500円になり、差は5倍です。

動きを1つ覚えさせるまでに100万円かかる

プログラムを書ける構成を借りればすぐ働くのかというと、そうでもありません。この費用は、代理店であるGMO AIR自身が公開しています。

同社は2026年6月12日の記事で、5機種を実際に買って動かした経験から動きを1つ覚えさせるまでの費用を出しています。プロのダンサーを呼んだモーションキャプチャ撮影が約10万円です。人の動きをロボットの体格に合わせて変換して学習させるエンジニアの工数が1週間で60万円から70万円かかります。ローカルで学習を回すためのGPU搭載パソコンが約100万円です。同社はまとめとして「1モーションをヒューマノイドに乗せるまでの目安は100万円~」と書いています。

同じ記事には、6台のうち1台が半年で関節を壊したことも書かれています。保証期間内だったので無償で直っています。売る側が自分でここまで書いているのは珍しく、そのぶん信じられる数字です。

1日3万4800円で来る人型ロボットにできることと、できないこと

項目 中身
1回の充電で動く時間 およそ2時間(9,000mAh・工具なしで交換できる)
重さと運び方 バッテリー込みで約35kg。運搬は2名体制か専用カート
片腕で持てる重さ 2〜3kg
自分でプログラムを書けるか Basic構成は非対応。上位のEdu系構成だけ対応
動きを1つ覚えさせる費用 100万円から(GMO AIRが自社の実績として公開)
保証 Basic 8か月/上位 18か月
納期 在庫がある構成で2週間程度。注文生産は1か月程度
データ:GMO ヒューマノイド.shop の仕様表とよくある質問(2026年9月7日にAInformationが確認) / 制作:AInformation

機体そのものにも制限があります。

GMOヒューマノイド.shopのG1仕様表。バッテリー駆動は約2時間(動作内容で前後します)と書かれている
GMOの仕様表。バッテリー駆動は約2時間と書かれている 出典:gmo-humanoid.shop(2026年9月7日時点の画面)

バッテリーは9000mAhで、駆動時間はおよそ2時間です。工具なしで交換できるので、予備に差し替えれば続けて動かせます。ただし1日デモをやるなら予備を1本か2本用意することになります。重さはバッテリー込みで約35キロあり、運ぶには2人か専用カートが要ります。片腕で持ち上げられるのは2キロから3キロです。

ユニツリーのロゴが入ったシャツの人が、人型ロボットG1を両腕で抱えている写真
人型ロボットUnitree G1の実機。重さはバッテリー込みで約35キロ

フィジカルAIが職場に来る順番は、時給で決まっていた

ここまでの数字を、時給に直してみます。どのロボットがもう職場に入っていて、どれがまだ入っていないのかがきれいに分かれます。

配膳ロボットを売っている会社は、自分から時給を計算して公開しています。ディーエフエー・ロボティクスは本体165万円を5年の月額リースにすると月3万700円になるとして、1日12時間で月30日動かす前提から時給85円と出しています。アイグッズは本体300万円を5年で割った月5万円をもとに時給139円としています。案内ロボットを扱うJET-Mfgは本体200万円を36か月で割って保守を足し、月5万8556円としています。これを1日8時間の月160時間で割ると時給約366円です。

比べる相手は人です。厚生労働省が公表している令和7年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で時間額1121円でした。

同じ計算をフィジカルAIの人型ロボットに当てはめます。1泊2日5万5000円のG1を1日8時間で2日使うと、16時間で割って時給3438円です。プログラムを書けるR&D構成なら6875円になります。日経MJが報じた1日10万円で計算すると、8時間で割って時給1万2500円です。

ロボットと人の時給を同じ物差しで並べた

配膳ロボット(ディーエフエー・ロボティクス) 85円
配膳ロボット(アイグッズ) 139円
案内ロボット(JET-Mfg) 366円
人(最低賃金の全国加重平均) 1,121円
人型G1 Basic(1泊2日5万5000円) 3,438円
人型G1 R&D(1泊2日11万円) 6,875円
人型(日経MJ報道の1日10万円) 12,500円
データ:AInformation調べ(各社が公開している金額と稼働時間から計算。人は厚生労働省 令和7年度 地域別最低賃金の全国加重平均) / 制作:AInformation

並べると1本の線が見えます。人の1121円を下回ったロボットは、もう本番で毎日動いています。上回っているロボットは、まだ展示と実証で止まっています。

先ほどの33本をもう一度数え直しました。ロボットの費用を時給に直したページは1本もありません。人の最低賃金と比べたページもゼロでした。買う値段の一覧はどこにでもあるのに、その値段が人と比べて高いのか安いのかを書いた記事は無いということです。

配膳ロボットの85円は人の13分の1、139円は8分の1です。案内ロボットの366円は3分の1です。どれもすでに店や施設に入っています。いっぽうG1は3438円で人の3.1倍、日経MJの金額なら11.2倍です。これだけ高ければ、仕事として毎日使う判断にはなりません。

しかも時給3438円という計算は、1日8時間フルに動く前提です。実際は1回の充電で2時間なので、バッテリーを差し替える手間と予備の費用がここに乗ります。実勢はもう少し高いと見ておくのが妥当です。

各社が公開した金額を時給に直して並べた。職場に入れたロボットと、入れないロボット。左が安い、右が高い。配膳ロボットは時給139円で本番稼働。人は最低賃金の全国加重平均1,121円。人型ロボットは時給3,438円でまだ実証。データ:AInformation調べ(2026年9月7日)。制作:AInformation。
職場に入れたロボットと、入れないロボット

調べた8つの場所すべてで、フィジカルAIはもう働いていた

時給の線が正しいかどうかは、実際の導入先と照らせば確かめられます。AInformation編集部が2026年9月6日に、コンビニ、飲食店、駅、空港、オフィスビル、工場、物流倉庫、介護施設の8つを公式発表で調べたところ、8つとも該当がありました。ただし中身は場所によってはっきり違います。

8つの場所で、フィジカルAIがいまどこまで来ているか

場所 動いているもの 入っている先 段階
飲食店 Servi(ソフトバンクロボティクス) かっぱ寿司・焼肉きんぐ・八芳園 本番
物流倉庫 ギークプラス・ラピュタ・MUJIN トヨタ・アスクル・日本出版販売 本番
ugo JR東日本・大阪メトロ 本番
オフィスビル ugo NTT西日本・ビックカメラ・大成建設 本番
空港 ugo/GMOインターネットグループ 福岡空港/JALグランドサービス 本番と実証
工場 ロート製薬/リコー ロート製薬 上野テクノセンター 実証
介護施設 Enactic「Ena」 全国80法人以上とMOU 実証
コンビニ Telexistence セブン-イレブン 2029年中に導入予定
データ:AInformation調べ(2026年9月6日に各社の公式サイトと発表を確認) / 制作:AInformation

毎日動いているのは飲食店、物流倉庫、駅、オフィスビルの4つです。ソフトバンクロボティクスの配膳ロボットServiは2021年2月に販売が始まり、かっぱ寿司や焼肉きんぐ、八芳園などで動いています。ギークプラスは物流ロボットを7年間で約4000台売っていて、導入先にトヨタやアスクルが並びます。駅とオフィスビルで見回りと点検をしているのは国産のugoです。導入実績にJR東日本や大阪メトロ、NTT西日本が載っています。

この4つに共通するのは、決まった経路を決まった動きで繰り返す仕事だという点です。時給85円から366円の世界がここに当たります。

いっぽう工場と介護施設は実証が始まったところです。ロート製薬とリコーは2026年3月31日に、人とヒューマノイドが一緒に働くものづくりの実証を発表しました。介護ではEnacticの人型ロボットEnaが2026年夏から実証を始め、全国80法人以上と締結しています。仕事の中身は洗濯や下膳、備品の補充といった周辺業務です。コンビニのセブン-イレブンは、Telexistenceと組んで2029年中の導入を計画しています。

つまり人型が入ろうとしている場所は、まだ全部が実証か予定です。時給の線と、きれいに一致しています。

実測:AI3社に借りる窓口を聞いたら、当たりはゼロだった

ここまでの答えを、AIに聞いて出せるのかも試しました。AInformation編集部は2026年9月7日に、Claude Opus 5、GPT-6 Astra、Gemini 3.1 Proへ同じ質問を1回ずつ投げています。かかった費用は3社あわせて0.29ドルでした。

1つめの質問は「2026年9月の日本で、ヒューマノイドロボットを1日単位で借りられるレンタル窓口を挙げてください」です。3社は重複を除いて14社を挙げました。オリックス・レンテック、西尾レントオール、イベント21、レンティオ、ソフトバンクロボティクスなどです。

このうち実際に人型ロボットの料金表を公開していたRobo Renta、ROBO RENTA、Smartmartは1社も出てきませんでした。金額を出していないGMO AIRも出ませんでした。GPT-6 Astraは「手元の情報では確認できません」と答えて1社も挙げていません。

AI3社に「どこでいくらで借りられるか」を聞いた結果

聞いた相手 挙げた窓口 実在した窓口 1日の値段
Claude Opus 5 10社 0社 約20万〜50万円(実勢の5.7〜14.4倍)
GPT-6 Astra 0社(確認できないと回答) 0社 不明
Gemini 3.1 Pro 7社 0社 不明(1日単位のサービスは無いと回答)
データ:AInformation調べ(2026年9月7日8時08分に同じ質問を1回ずつ投げた。費用は3社で0.29ドル) / 制作:AInformation

2つめは「Unitree G1を1日借りるといくらか」です。金額を答えたのは1社だけで、Claude Opus 5が「約20万〜50万円(税別・1日)」としました。根拠は「本体約200万円、業務用レンタル相場からの推定値」です。実際に公開されている日額3万4800円と比べると、5.7倍から14.4倍になります。Gemini 3.1 Proは「不明」としたうえで、理由に「日本国内で1日単位のレンタルサービスがまだないため」と書きました。実際には3社が料金を公開しています。

3つめは「レンタル料のほかに必ずかかる費用」です。配送料と保険料は2社が挙げました。ただし金額の見立ては配送料が1万円から5万円、保険が3000円から2万円でした。実際の3万3000円ずつという水準を必ずかかる費用として言い当てた社はありません。初日の説明スタッフ派遣費を必ずかかる費用として挙げた社もゼロでした。

AIは仕組みの説明なら上手に答えます。ところが「どこでいくら」という、いちばん手前の話でつまずきます。公式サイトに書いてあることでも、検索して読みに行かないかぎり出てきません。

フィジカルAIの検索は1年で21倍、それでも個人が試せるものは無い

関心そのものは急に伸びています。AInformation編集部がキーワードプランナーで測ったところ、「フィジカルAI」の月間検索回数は6万500回でした。1年前の2025年8月は2900回なので21倍です。いちばん多かった2026年7月は11万回で、この月と比べると38倍になります。

「フィジカルAI」は何と一緒に調べられているか

フィジカルAI 60,500回
AIロボット 40,500回
ヒューマノイド 33,100回
フィジカルAI 銘柄 18,100回
フィジカルAI とは 14,800回
ヒューマノイドロボット 12,100回
エッジAI 4,400回
physical ai 3,600回
データ:AInformation調べ(キーワードプランナーで2026年9月6日に実測した月間検索回数) / 制作:AInformation

掛け合わせで多いのは「銘柄」の月1万8100回、次が「とは」の1万4800回です。株として調べる人と、意味を知りたい人が大半を占めます。「フィジカルAI 求人」は月110回しかありません。関心は高いのに、自分ごととして調べている人はまだ少ないということです。

個人が触れるものも、まだほとんどありません。AInformation編集部が料金ページを直接見て集めているAIツール494本の中に、実機を動かすツールは1本もありませんでした。仕事のほうも同じです。集めているAI求人2542件のうち職種名に「フィジカルAI」と入っているのは27件でした。出しているのは751社のうち13社しかありません。年収の下限が出ている22件で見ると、中央値は600万円でした。

フィジカルAIが自分の職場に来るかは、この4つで決まる

ここまでの数字を、判断できる形にまとめます。次の4つがそろう職場には、フィジカルAIはもう来ています。

フィジカルAIが自分の職場に来るかを見る4つ。4つそろう職場には、もう来ている。毎回同じ動きの作業が多い(運ぶ・見回る・並べるは本番)。ここが当てはまる。失敗しても人の安全に響かない(介護でも周辺業務から始まっている)。ここが当てはまる。人がなかなか採れない(調べた8か所は全部これに当たる)。ここが当てはまる。その作業の時給が1,121円を超えている(超えて初めてロボットが安くなる)。ここが当てはまる。データ:AInformation調べ(2026年9月7日)。制作:AInformation。
フィジカルAIが自分の職場に来るかを見る4つ

1つめは、毎回同じ動きの作業が多いことです。運ぶ、見回る、並べるはもう本番の世界です。2つめは、失敗しても人の安全に響かないことです。介護でも入っているのは洗濯や下膳といった周辺業務からでした。3つめは、人がなかなか採れないことです。調べた8か所は全部これに当たります。

そして4つめが、今回あらためて分かったことです。その作業を今いくらで回しているかを、時給で数えてみることです。時給1121円の仕事に、時給3438円のロボットは入りません。逆に言えば、深夜や休日で人件費が上がる時間帯なら線はもっと手前で交わります。募集をかけても人が来ない枠も同じです。

立場ごとに、次にやること

まず試したい人。いきなり人型を借りる必要はありません。四足歩行のGo2なら1泊2日5500円からです。ただし必ず付く9万9000円を足して、10万4500円で見積もってください。人型のG1を1泊2日で借りるなら15万4000円です。社内で見せる目的なら、これで足ります。

買うか迷っている人。本体は安い機種で約190万円(EngineAI PM01)、Unitree G1の基本版が約298万円、フルサイズのUnitree H1が約1300万円です。ここに、動きを1つ乗せるための100万円が別に乗ります。納期は在庫がある構成で2週間、注文生産なら1か月が目安です。

まだ様子を見る人。やることは1つあります。自分の職場でいちばん機械に向いていそうな作業を選んで、その時給を数えておくことです。1121円より下なら、来るのはヒューマノイドではなく専用機です。上なら、値段が下がってきたときに真っ先に候補になります。

この先の3か月で変わりそうなこと

価格は下がる方向です。Unitreeは購入価格が4900ドルの入門機R1を出していて、レンタルの料金表にもR1が並び始めました。1泊2日の値段はG1と同じ5万5000円です。機体が安くなれば、レンタルの下限も下がります。

国の予算も動いています。NEDOは「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」を2026年度から2030年度までの5年計画として立ち上げ、2026年3月24日から4月22日まで公募しました。ここで基盤モデルが育てば、今100万円かかっている「動きを1つ覚えさせる」費用が下がります。時給の線が動くとしたら、機体の値段よりこちらが先です。

そして工場と介護施設の実証は、2026年に始まったばかりです。ここが本番へ移った時点で、人型が時給の線をまたいだことになります。AInformation編集部は、この2つの結果を追いかけます。

藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

この記事の金額は、2026年9月7日にAInformation編集部が各社の公式サイトを1件ずつ開いて写したものです。時給は各社が公開している金額と稼働時間から計算し直しました。人の時給は厚生労働省の令和7年度 地域別最低賃金の全国加重平均を使っています。料金は変わるため、実際に借りるときは各社の最新のページで確かめてください。

よくある質問
フィジカルAIとは何ですか
ロボットや自動運転車のように、画面の外の物理世界で認識して行動するAIのことです。NVIDIAは公式の用語集で「カメラ、ロボット、自動運転車などの自律システムは、フィジカルAIにより、物理世界において、認識、理解、推論し、複雑な行動の実行や調整ができるようになります」と説明しています。文章や画像を作る生成AIとは動く場所が違います。
フィジカルAIの人型ロボットはいくらで借りられますか
日額3万4800円からです。Smartmartが公開しているよくある質問に「小型ヒューマノイドG1は日額34,800円から」と書かれています。1泊2日で借りる形なら、ROBO RENTAとRobo Rentaがどちらも5万5000円(税込)です。ただしROBO RENTAの注記では、レンタル料のほかに補償料3万3000円と往復の梱包配送料3万3000円、レンタル初日の説明スタッフ派遣費3万3000円の合計9万9000円が必ずかかります。AInformationが2026年9月7日に窓口9件を調べたところ、料金を公開していたのは5件でした。
借りた人型ロボットはすぐに仕事ができますか
できません。GMOがG1の仕様表に載せている「二次開発」の欄は、Basic構成が非対応で、上位のEdu系構成だけが対応です。安い構成でできるのは、あらかじめ入っている動きをコントローラーで再生することだけです。動きを1つ覚えさせる費用は、代理店のGMO AIRが自社の実績として100万円からと公開しています。内訳はモーションキャプチャ撮影が約10万円、エンジニアの工数が1週間で60万円から70万円、学習用のGPU搭載パソコンが約100万円です。
フィジカルAIは1回の充電でどれくらい動きますか
およそ2時間です。GMO ヒューマノイド.shop のよくある質問に「クイックリリース対応の9,000mAh バッテリーで、駆動時間はおよそ2時間です」と書かれています。工具なしで交換できるため、予備バッテリーに差し替えれば続けて動かせます。1日デモをするなら予備を1本から2本用意することになります。重さはバッテリー込みで約35kgあり、運ぶには2名体制か専用カートが要ります。

この記事の出典

補助資料

この記事の更新について

全文の事実確認
2026年9月6日
SHARE
この記事に出てくるAIも、まとめて比べられます 494本のAIツールを、やりたいこと・料金・日本語対応で絞り込めるデータベースです。5日ごとに料金を取り直しています。 AIツールを探す

あわせて読みたいRELATED