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規制・社会

「加工しただけ」では済まないChatGPTの1枚で小学館が謝罪した

読了 約4分

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白い背景にOpenAIのロゴと社名が大きく写り、右側に青いライトが光る黒いロボットアームが並んでいる写真。「加工しただけ」では済まないChatGPTの1枚で小学館が謝罪した
この記事の要点

小学館のWebメディア「サライ.jp」が9月18日に著作権侵害を謝罪した。委託先のフリーランスイラストレーターが権利者に無断で他人の肖像画をChatGPTに読み込ませ、生成した画像を加工して記事に掲載していた。発注側の確認体制の不備も認めている。

みんなの意見

外注先にAI利用を禁止すべきか

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岡山城の「豪姫」肖像画をChatGPTに読ませ加工して納品した

問題の記事は8月23日に配信された「豪姫とはどんな女性?」と題する日本史人物伝だ。サライ.jp編集部が編集プロダクションを通じてフリーランスのイラストレーターに挿絵を発注した。

編集プロダクション側は豪姫に関する十分な肖像資料を用意できず着物姿の女性の参考資料だけを渡した。イラストレーターはWebで「豪姫」と検索し岡山城に展示されている肖像画を見つけた。三善さんという画家が描いた作品で著作権は岡山市が持つ。

権利者に確認しないままChatGPTに画像を読み込ませ「中世戦国時代の姫を出して欲しい」と指示した。生成された画像を画像編集ソフトAffinityに取り込みスタンプで着物の柄を変え、顔は別の銅像を参考にペンで修正して納品した。

サライ.jpが掲載した謝罪文のページ
サライ.jpが掲載した謝罪文のページ / 出典:serai.jp / 制作:AInformation
これまでの流れ
  1. 8/23サライ.jpに問題の記事が配信される
  2. 8/24原作者の三善さんがSNSの指摘で気づき関与を否定
  3. 9/18サライ.jpが著作権侵害を認め正式に謝罪

他人の著作物を無断でChatGPTに読み込ませた時点で侵害だ

今回の焦点は「AIに読み込ませる行為」自体が複製にあたる点だ。ChatGPTに画像をアップロードするとOpenAIのサーバーにコピーが作られるため権利者の許可がなければ複製権の侵害になる。

さらに出力画像を加工しても元の著作物の特徴が残っていれば翻案権の侵害にもなりうる。着物の柄や顔を変えたとしても構図や全体の印象が似ていれば依拠性は認められやすい。

原作者の三善さんは記事公開翌日の8月24日にSNS上の指摘で気づき「私は関与していないもの」と説明していた。9月18日にサライ.jpが正式に謝罪した。三善さんは「作品にクレジットを入れることの重要性を切に感じた」と投稿している。

AIで素材を作るときのNG4つ。他人の著作物を無断でAIに読み込ませる。出力画像を「自作」として納品する。元素材の出典・権利関係を確認しない。発注書にAI利用のルールを書かない。納品時にAI使用の有無と参照素材の出典を申告させる。発注書にAI利用ルールを1行足すだけで始められる。AInformation編集部が作ったイラスト図解(やってはいけない×の並び)
AIで素材を作るときのNG4つ / 制作:AInformation

外注先がAIを使ったかどうか 発注側の確認が足りなかった

今回は制作から掲載までの3者それぞれに問題があった。

当事者 問題点
イラストレーター 権利者に無断で著作物をAIに読み込ませ加工して納品した
編集プロダクション 十分な参考資料を用意せず納品物の権利確認もしなかった
サライ.jp編集部 掲載前に素材の出典や権利関係を確認しなかった

サライ.jp編集部は「イラスト制作時の権利確認の不徹底に加え外部委託先への指示・管理不足と掲載前の確認不備が原因」と認めた。発注書にAI利用の可否やルールを明記していなかったことも一因だ。

AIの納品物は画像検索で元絵を確かめる

同様のトラブルを防ぐには発注側にも仕組みが要る。まず発注書に「生成AIの使用の有無」と「参照した素材の出典」を報告させる欄を足すことだ。テンプレートを1回直すだけで始められる。

納品された画像はGoogle画像検索やTinEyeで逆引きすると元の素材が見つかることがある。数十秒で終わるチェックだ。AI生成かどうかを判定するツールも出ているが精度はまちまちなので画像検索との併用が現実的だ。

今回は第三者のSNS投稿で発覚した。権利者から訴えられる前に発注側が気づければ損害は最小限に抑えられる。発注・制作・確認のどの段階でも止められたはずの事故だった。

この記事に出てくることば
複製権
著作権法で定められた権利の1つで著作物をコピーする権利。権利者の許可なく複製すると侵害になる。AIに画像をアップロードする行為もサーバーへのコピーにあたる
翻案権
著作物を元にして新しい作品を作る権利。原作の特徴が残っている派生物を権利者の許可なく作ると侵害になる
藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

外注先がAIを使って素材を作ること自体は今後も増える。禁止しても隠れて使われるだけなので発注書で報告義務を課すのが現実的だ。「生成AIの使用の有無」「参照した素材の出典」「権利確認の結果」の3項目を納品時に必須にするだけで今回のような事故はかなり防げる。AI利用を禁止するより使い方のルールを決めて守らせるほうが実効性がある。

よくある質問
ChatGPTに他人の画像を読み込ませるだけで著作権侵害になるのか
画像をChatGPTにアップロードするとOpenAIのサーバーにコピーが作られる。権利者の許可なく著作物をコピーすれば複製権の侵害にあたる。さらにChatGPTが出力した画像に元の著作物の特徴が残っていれば翻案権の侵害にもなりうる。AIが間に入っていても著作権法の枠組みは変わらない。自分が撮影した写真や権利フリーの素材であれば問題はない。
外注先がAIを使ったかどうかを発注側はどう確認すればよいか
発注書に「生成AIの使用の有無」と「参照した素材の出典」を報告させる欄を入れるのが第一歩だ。納品時にGoogle画像検索やTinEyeで逆引きすると元の素材が見つかることがある。AI生成物を判定するツールもあるが精度は完璧ではないので人の目と併用する形になる。報告を義務づけるだけでも抑止力になる。

この記事の出典

補助資料

  • [1]ITmedia NEWSITmedia NEWS・補助的な二次資料・確認 2026-09-19この記事の元にした報道

出典の最終確認日:2026年9月19日

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