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規制・社会

ChatGPTの透かしは消えないはずが2方式とも1回で消えた

読了 約5分

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SynthIDのロゴを中心に、蝶・クラゲ・風景などの画像や音声波形が並んだ紹介画面。ChatGPTの透かしは消えないはずが2方式とも1回で消えた
この記事の要点

AI生成テキストの透かし2方式はどちらも書き換え1回で消せるとエンジニアのグーデッケ氏が実証した。EU AI法が義務化したSynthIDとホモグリフだ。ChatGPTやClaudeの透かしの実効性が根本から問われている。

みんなの意見

消せるAI透かしを義務にする意味はあるか

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2方式義務化された透かしの種類
1ホモグリフの除去に要る操作回数

EUのAI法が8月に義務にした透かしは2方式ある

EUのAI法は2024年5月に成立し2026年8月2日に施行された。EU域内で事業を行うLLMプロバイダーにはAI生成テキストの検出を可能にする義務が課された。ChatGPTのOpenAIやClaudeのAnthropicも対象になる。

主な透かし方式は2つある。1つ目はGoogleが開発したSynthIDで、生成時にトークンへ確率的な重み付けを行い人間には見えない数学的パターンを埋め込む。AnthropicもClaudeにSynthIDを採用したことを公表している。

2つ目はUnicodeのホモグリフを使う方式だ。通常の文字を見た目がまったく同じ別のUnicode文字へ置き換えて検出パターンにする。クライアント側だけでも実装できるため導入はSynthIDより手軽だ。

テキスト透かしの仕組みと除去の流れ
テキスト透かしの仕組みと除去の流れ / 出典:seangoedecke.com / 制作:AInformation
これまでの流れ
  1. 9/19グーデッケ氏がSynthIDとホモグリフ2方式の除去が容易であることをブログで実証

SynthIDは言い換えで消える ホモグリフも置換1回で同じだ

エンジニアのショーン・グーデッケ氏がブログで実証した結果は明快だ。SynthIDの透かしはテキストを別の言葉で言い換えるだけで消える。トークンの並びが変わるとSynthIDの重み付けパターンが壊れるためだ。

ホモグリフ方式も同じだ。置き換えられたUnicode文字を元の文字へ一括置換すれば1回の操作で除去できる。どちらも高度な技術は不要で無料のテキストエディタや置換ツールで十分だ。

画像の透かしがピクセル単位の微細な変更で成り立つのに対しテキストは情報が高度に圧縮されたメディアだ。人に気づかれない変更を加える余地が少なくわずかな手直しで透かしが壊れてしまう構造的な弱さがある。

SynthIDとホモグリフの違い

項目 SynthID ホモグリフ
仕組み トークンの確率的重み付け Unicode文字の置き換え
導入コスト LLM側に組み込みが必要 クライアント側だけで可能
除去方法 文章の言い換え 文字の一括置換
採用例 Google・Anthropic OpenAI・Anthropicの可能性
データ:GIGAZINE記事の情報を整理 / 制作:AInformation

EU法の「相互運用性」要件がSynthIDの安全性を削る

EU AI法は透かし技術の「相互運用性」も求めている。プロセスを公開し標準化することで異なるプロバイダー間での検出共有を目指す内容だ。しかし仕組みを公開すれば除去方法を特定しやすくなり「隠蔽によるセキュリティ」に依存するテキスト透かしとは構造的に両立しない。

C2PAのデジタル署名つきメタデータも法律で言及されているが、これはファイル形式のコンテンツ向けの技術だ。ChatGPTのチャット画面で生まれるプレーンテキストには適用しにくい。透かしを「コンテンツから分離することが困難な方法で埋め込む」というAI法の要件は現時点で満たせていない。

テキスト透かしの埋め込みと除去の流れ。LLMがテキスト生成。透かし入りテキスト。言い換えか置換で除去。AInformation編集部が作ったイラスト図解(仕組みの矢印図(入口→仕組み→結果))
テキスト透かしの埋め込みと除去の流れ / 制作:AInformation

ChatGPTの透かしの有無だけでAI製かは判定できない

透かしが簡単に消せる以上「透かしが無い=人間が書いた」とは言えない。逆に透かしが検出されてもAI生成の確定証拠にはならない。どちらにも使えない以上透かしだけで判定する仕組みには限界がある。

グーデッケ氏は多くのプロバイダーがEU域内向けにSynthIDを導入しEUが検出用のページを用意する可能性もあると予測している。AI透かしを判定する無料ツールも出ているが透かしを消した文章には使えない。技術に詳しい利用者や専用ツールで容易に除去されるため実効性は限定的だとの見方だ。

企業がAI利用のルールを作る際は透かしの検出に頼るのではなく、どの業務でAIを使い生成物をどう確認するかのワークフローと履歴を管理する仕組みで対応するほうが確実だ。

この記事に出てくることば
SynthID
Googleが開発したAIテキスト透かし技術。生成時にトークンへ確率的な重み付けを行い検出可能なパターンを埋め込む
ホモグリフ
見た目がまったく同じだがUnicodeのコードが異なる文字のこと。透かしに使うと元の文字への置換で除去できる
藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

透かしが消せるなら義務にする意味がないのではと思えるが、判定ツールの精度は今後上がる可能性がある。ただし現時点でAI製かどうかを透かしだけで決めるのは危うい。社内のAI利用ルールを透かしの有無に委ねている企業は、ワークフローの中で人が確認するステップを入れる形に切り替えておきたい。透かしの有無が証拠にならないことを前提に運用を組み直すのが先決だ。

よくある質問
ChatGPTの文章に透かしは入っているのか
ChatGPTのテキストにはSynthIDやホモグリフによる透かしが入っている可能性がある。2026年8月のEU AI法施行でEU域内向けには義務になった。ただし透かしは言い換えや文字の置換で簡単に消せるため入っているかどうかを利用者が確認する手段は限られている。AnthropicはClaudeにSynthIDを採用したことを公表している。
テキストの透かしと画像の透かしは何が違うのか
画像はピクセル単位の微細な変更が可能で人間の目には見えない変更を大量に入れられる。一方テキストは情報密度が高く人に気づかれない変更を加える余地が少ない。画像の透かしは切り取りや圧縮にも耐える設計ができるがテキストの透かしは言い換えや再変換で容易に壊れてしまう。

この記事の出典

補助資料

  • [1]GIGAZINEGIGAZINE・補助的な二次資料・確認 2026-09-19この記事の元にした報道

出典の最終確認日:2026年9月19日

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