ChatGPTのようなAIをローカル環境で使ってみたいけれど、「設定が難しそう」「どれを選べばいいかわからない」と感じていませんか?そのような方におすすめなのが、GPT4Allです。オープンソース&無料で使えるうえ、専門知識がなくても簡単に始められるユーザーインターフェースや、複数の言語モデルへの対応など、魅力がたっぷり詰まっています。
とはいえ、「ローカルAI」と聞くと導入が難しそうだったり、どのツールを選べばよいのか迷ってしまったりしますよね。
そこで本記事では、GPT4Allの特徴から導入方法、他のローカルAIツールとの比較、実際の活用例までわかりやすく解説します。初めての人でもすぐに使えるよう、ステップごとに丁寧に紹介します。
GPT4Allとは
GPT4Allは、オープンソースで開発されたローカル環境向けの大規模言語モデルです。ChatGPTのような対話型AIを、インターネットに接続せずに手元のPC上で動かすことを目的としています。OpenAIのChatGPTそのものをローカルで完全に再現することはできませんが、GPT4Allを使えば近い体験を得られます。
- オープンソースで利用可能
- ローカル実行が可能
- 複数モデルに対応
- GUIも提供されている
GPT4Allは誰でも無料でダウンロードして使えるオープンソースのツールです。開発者や研究者が自由にカスタマイズできます。 ローカル環境で動作するため、通信が発生せず、プライバシーやセキュリティ面で安心です。
また、LLaMAやMPTといった軽量な言語モデルを複数選んで使うことができ、用途に応じた調整が可能です。コマンドラインに不慣れな人でも扱えるように、簡単に使えるグラフィカルなインターフェースも用意されています。
GPT4Allと他のローカルLLMツールを比較
GPT4Allと他の代表的なローカルLLMツールを比較します。
ツール名 | GUIの有無 | モデル互換性 | 導入の簡単さ | オフライン動作 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
GPT4All | あり | LLaMA, MPT など | ◎ | ◎ | オールインワンで初心者にも使いやすい |
LM Studio | あり | GGUF形式全般 | ◎ | ◎ | モデルの切り替えが簡単、UIが直感的 |
llama.cpp | なし | GGUF(最適化モデル) | ◯ | ◎ | 軽量で高速、CLI中心の操作が必要 |
GPT4Allは導入が非常に簡単で、GUIも備えており、初心者でも扱いやすいのが特徴です。対応しているモデルも複数あり、柔軟な使い方が可能です。
LM Studioは視覚的に使いやすいインターフェースを持ち、モデルの切り替えもスムーズに行えます。特にGGUF形式のモデルとの相性が良いです。
また、llama.cppは軽量で動作が高速な反面、GUIがなくコマンドライン中心の操作になるため、ある程度の知識が求められます。開発者や技術に慣れた人向けです。
GPT4Allの導入手順
まずは、GPT4All公式サイトにアクセスしましょう。左寄りの「Download for macOS」をクリックし、お使いのデバイスを選択したら、ダウンロードします。
ダウンロードしたインストーラーをパソコンのファイルの中から探し、ダブルクリックして起動しましょう。
ダブルクリックすると、この画面になるので、GPT4Allのマークをまたダブルクリックします。
すると、インストーラーの設定画面が表示されます。
利用規約などに同意すると、インストールの準備が整います。右下の「インストール」を押して、インストールを開始しましょう。
インストールしたGPT4Allを起動させ、「Start Chatting」をクリックします。
すると、何もAIのモデルが入っていない状態なので、「No Model Installed」と表示されます。インストールするため、その下の「Install a Model」をクリックしましょう。
モデルはたくさん選べますが、今回は「GPT4All Falcon」をダウンロードしました。今回ダウンロードにかかった時間は、5分ほどでした。
ダウンロード後、モデルを読み込むとチャットができるようになっています。
GPT4AllでChatGPTをローカル環境で使う方法
まずはインストールしたGPT4Allを起動させて、「Start Chatting」をクリックしましょう。使いたいAIのモデルを選んだら、あとはChatGPTを使うのと同じ要領でいろいろ聞いてみたらOKです。
例えば、試しにAIの未来について日本語で聞いてみました。
AIの未来はどうなりますか?簡潔に500文字以内で教えてください。
すると、日本語の質問が自動的に英語に翻訳され、答えは英語で返ってきます。日本語にすると、以下のような内容です。
AIの未来は、非常に魅力的でダイナミックな分野であり、急速に進化し続けています。AIが著しい進歩を遂げている主な分野には、以下のようなものがあります。
自然言語処理(NLP):NLPは、コンピュータに人間の言語を理解し生成させる技術で、大量のテキストデータを処理・分析することを可能にします。この技術は、チャットボット、音声アシスタント、感情分析など、幅広い応用分野で活用されています。
コンピュータビジョン:コンピュータビジョンは、コンピュータに視覚情報を認識・解釈させる技術です。この技術は、ロボット工学、自動運転車、顔認識など、さまざまな分野で利用されています。
機械学習:機械学習は、アルゴリズムにデータから学習させ、そのデータに基づいて予測や意思決定を行わせる技術です。医療、金融、マーケティングなど、数多くの分野で応用されています。
ロボティクス(ロボット工学):ロボティクスは、人間の介入が必要な作業を機械に行わせる技術です。この分野は、製造業、農業、宇宙探査など、さまざまな業界で活用が進んでいます。
総じて、AIの未来は明るく、これらの分野をはじめとする多くの領域での進歩が、産業全体の革新と発展を推進していくと期待されています。
なお、一応翻訳を依頼しましたが、もちろんしてくれません。
ちなみに、回答が出終わるまでは1分ほどかかりました。動作環境にもよりますが、ChatGPTのような速いレスポンスは、少なくともこの「GPT4All Falcon」というモデルでは期待できないかもしれません。
「Llama3 8B Instruct」というモデルもダウンロードしてみて、同じ質問を投げてみたところ、英語で返ってきましたが、その後「日本語で回答してください」と送ると日本語にしてくれました。
GPT4AllでChatGPTをローカル利用するメリット
GPT4Allは、インターネットに接続せずに使えるだけでなく、初心者でも扱いやすい操作性や豊富な機能を備えており、実用面でも優れています。では、GPT4Allをローカルで活用することで得られる主なメリットについて、具体的に紹介します。
初心者でも簡単に始められるUIと手順
GPT4Allは、専門的な知識がなくても使い始められるのが大きなメリットです。専用のインストーラーが用意されており、ダウンロードして指示に従うだけでセットアップが完了します。
さらに、直感的に操作できるユーザーインターフェースが提供されているため、コマンドラインに不慣れな初心者でも戸惑うことなく利用できます。モデルの選択や設定変更もボタン操作で完結し、複雑な手順を覚える必要はありません。
アプリ単体で完結する設計
GPT4Allは、アプリケーション単体で動作が完結するように設計されているため、複雑な外部ツールの導入や追加設定が不要です。インストーラーを実行するだけで必要な環境が整い、特別な開発環境やライブラリの準備をすることなくすぐに利用を始められます。モデルのダウンロードや切り替え、チャットの実行もすべてアプリ内で完結し、他のツールと連携させる手間もありません。
初心者でも手軽にローカルでAIとの対話を体験できるだけでなく、トラブルが起きにくく安定した使用が可能になります。ネットワークに依存しないため、環境に左右されず一貫した操作性を保てるのも大きな利点です。
ドキュメントファイルを読み込ませて活用
GPT4Allでは、PDFやテキストファイルなどのドキュメントを読み込ませて内容を理解させることができます。契約書やマニュアル、レポートなどの文書を読み解き、要約したり質問に答えたりといった活用が可能です。アプリ内でファイルをアップするだけで処理が行えるため、特別なプログラミング知識は必要ありません。
ローカル環境で完結するため、機密性の高い文書を外部に送信することなく安全に扱えるのも大きな利点です。業務資料の確認や学習用の資料整理、文献の要約など、さまざまなシーンで実用的に使え、AIの活用の幅が広がります。
モデルの切り替えもアプリ上で簡単
GPT4Allでは、使用する言語モデルの切り替えがアプリ内の操作だけで簡単に行えます。そのため、複数のモデルがあらかじめ用意されており、それぞれの性能や用途に応じて選択することが可能です。メニューからモデルを選ぶだけで切り替えが完了し、手動での設定変更やターミナル操作は必要ありません。
処理速度を重視した軽量モデルや、精度を重視した大型モデルなど、用途に応じた使い分けがしやすくなります。また、モデルのダウンロードもアプリ上で行えるため、インストールの手間も大幅に軽減されています。直感的な操作でモデルを選び、すぐに利用を始められるため、非常に効率的で扱いやすい設計です。
ChatGPTをGPT4Allでローカル利用する際の注意点
GPT4Allは、モデルの種類や運用方法によって、PCの性能やストレージ容量に影響が出る場合があります。また、一部のモデルは日本語に対応していないこともあるため、用途に応じた慎重な選定が求められます。では、GPT4Allをより快適かつ効率的に活用するために知っておきたいポイントを紹介します。
使用するモデルによってはPCの処理能力が必要
GPT4Allはローカルで動作する便利なツールですが、使用する言語モデルの種類によってはPCに一定以上の処理能力が求められます。特に精度の高い大型モデルを使う場合、CPUやRAMに大きな負荷がかかり、低スペックのマシンでは動作が遅くなったり、正常に動作しなかったりすることもあります。
快適に使うためには、できればGPUの搭載されたPCが推奨されます。軽量モデルであれば比較的低スペックでも動作しますが、用途に応じてモデル選びとPC環境のバランスを考えることが大切です。
一部のモデルは英語特化
GPT4Allで使用できるモデルの中には、英語での処理に最適化されたものがあり、日本語での応答や文書理解が不十分な場合があります。そのため、日本語で自然な対話や高精度な解析を求める場合は、使用するモデルの対応言語を事前に確認しましょう。特に業務用途で使う場合は、日本語の精度が十分かどうかを事前に試すことがおすすめです。
複数モデルを使うとストレージを圧迫する
GPT4Allでは複数の言語モデルを自由にダウンロードして使い分けられますが、それぞれのモデルは数GBから十数GBに及ぶ容量があるため、複数導入するとストレージを圧迫する可能性があります。特に高性能な大型モデルはサイズも大きく、保存先のディスク容量に余裕がない場合は注意が必要です。
また、モデルによっては展開後にさらに多くの容量を消費することもあります。そのため、使用頻度の低いモデルは不要になった時点で削除する、または外部ストレージに移すなど、容量管理を意識して運用することが快適な利用につながります。