この記事の要点
- 8月25日から、チャットでClaudeが覚えた内容をClaude Coworkでも使えるようになった。逆も同じだ
- Free・Pro・Maxは最初からオン。Team・Enterpriseは管理者が使えるかどうかを決める
- 健康や信条は既定で保存されない。ただし取引先名や単価といった仕事の情報は普通に残る
チャットとCoworkが同じ記憶を使うようになった
Anthropicは8月25日、ClaudeのチャットとClaude Coworkのメモリーを1つにまとめたと発表した。これまではチャットで話した内容がチャットの中に、Coworkでの作業がCoworkの中にとどまっていた。これからはどちらで作業を始めても、Claudeがすでに知っていることの上から話が進む。
公式発表は使い方の例を3つ挙げている。上司への報告をCoworkに頼めば、その上司が誰でどんな書き方を好むかをClaudeがもう知っている。会議の議題をチャットで練っておくと、Coworkが予算や進行の資料を作るときに人数と開催地と登壇者が反映される。指標の定義を一度チャットで説明すれば、そのあとCoworkが作る四半期のレビュー資料に同じ定義が入る。説明のやり直しが減るのがこの更新の狙いだ。

覚え方そのものも変わった。以前は会話が終わったあとに内容を要約していたが、今は会話をしている最中にメモリーへ書き込まれる。「これを覚えておいて」と伝える必要はない。締め切りが9月にずれたと話せば、次の会話ではその前提で答えが返る。メモリーはいつでも一時停止とリセットができる。
Claude Codeは今回の対象外だ。ZDNET JapanがAnthropicに問い合わせたところ、今回の更新はCoworkとチャットに絞ったものだと説明されている。Codeで起きたことはCodeの中にとどまる。
- 2025/9/11ClaudeのTeam・Enterpriseにメモリーを導入。プロジェクトごとに記憶を分ける仕組みも同時に用意
- 2025/10/23Pro・Maxのユーザーへ広げた
- 2026/8/25チャットとClaude Coworkのメモリーを1つにまとめた
メモリーに残るもの、残らないもの
Anthropicは保存する話題にはっきり線を引いている。既定では健康や人種、宗教的信念、政治、性自認といった個人の機微に関わる話題を保存しない。設定でオンにすれば保存できる。公式発表では、グルテンアレルギーを覚えさせて毎週の献立の提案に反映させる例が挙がっている。
メモリーに残るもの、残らないもの
| 扱い | 何が対象か | 補足 |
|---|---|---|
| 既定では保存しない | 健康、人種、民族、宗教的信念、政治、性自認など、個人の機微に関わる話題 | 設定でオンに変えられる |
| オンにすれば保存する | 上と同じ話題。例として挙がっているのは食物アレルギーを覚えさせて献立の提案に反映させる使い方 | 保存のたびに通知が出る。オンにする前の会話はさかのぼって保存されない |
| オンにしても保存しない | 社会保障番号や政府発行のID番号などの識別番号、犯罪歴、在留資格、利用規約に反する内容 | 保存できないときはClaudeがその場で知らせる |
| 今回の統合の対象外 | Claude Codeのメモリー | Codeの中にとどまる |
出典:Anthropic 公式発表(2026年8月25日) / 制作:AInformation
オンにしたときの決まりが2つある。1つはさかのぼって保存されないことだ。オンにする前の会話は対象にならず、そのあとの会話から保存が始まる。もう1つは保存のたびに通知が出ることだ。何が記録されたかがその場で分かる。設定は好きなときに戻せる。
保存しない話題として並んでいるのは個人の属性だ。取引先の名前、見積の単価、まだ世に出していない企画の中身は、この線引きに入らない。仕事の話は普通に記憶される。守られているのは個人の内面であって、会社の秘密ではない。
プランで初期設定が違う。個人契約を仕事で使う人ほど注意
この機能でまず確かめたいのはプランだ。Free・Pro・Maxはメモリーが最初からオンになっている。web版もデスクトップアプリもスマホアプリも同じだ。一方でTeam・Enterpriseは、管理者が組織として使えるかどうかを決め、個人のユーザーは自分でオンにするまでオフのままになる。
- Free・Pro・Maxはメモリーが最初からオン。web版もデスクトップもスマホも同じ
- Team・Enterpriseは管理者が組織として可否を決め、個人は自分でオンにするまでオフ
プランごとの初期設定
| プラン | メモリー | 機微な話題の保存 | 誰が決めるか |
|---|---|---|---|
| Free・Pro・Max | 最初からオンweb・デスクトップ・スマホとも | オフ | 本人が設定で変える |
| Team・Enterprise | 本人がオンにするまでオフ | オフ | 管理者が組織として使えるかを決める |
出典:Anthropic 公式発表(2026年8月25日) / 制作:AInformation
順番が逆に見えるかもしれないが、理由はある。会社で契約するプランほど管理する側の判断が先に立ち、個人で契約するプランほど本人に任される。つまり個人のProやMaxを仕事に使っている人ほど、意識しないまま記憶が貯まっていく。会社がTeamやEnterpriseを契約しているなら、まず管理者の設定がどうなっているかを情報システムの担当に聞くのが早い。
ChatGPT・Geminiと比べると、消し方が大きく違う
会話を覚える仕組みは3社ともある。実務で差が出るのは、覚えられた内容をあとから直したいときのやり方だ。社名が変わった、担当が代わった、前の案件の条件をそのまま使われては困る。こうした場面で手間が変わる。
Claude・ChatGPT・Geminiで違う「記憶の直し方」
| Claude | ChatGPT | Gemini | |
|---|---|---|---|
| 覚え方 | 会話の最中に自動で書き込まれる | 覚えてと頼んだ内容と、過去のチャットの参照 | 過去のチャットを参照する |
| 中身の見え方 | トピックごとのファイルで並ぶ | 保存された記憶の一覧 | 記憶の一覧はない。過去のチャットをたどる |
| 1件だけ消せるか | できるファイルを開いて直す・消す | できる記憶を1件ずつ消す | できないその情報が入ったチャットごと消す |
| 仕事用のアカウント | Team・Enterpriseは管理者が可否を決める | ビジネス版は別に案内がある | 使えない仕事用・学校用・管理対象のGoogleアカウントは対象外 |
出典:各社の公式発表とヘルプ(2026年8月31日時点) / 制作:AInformation
Claudeは覚えた内容がトピックごとのファイルとして並び、1件ずつ開いて読み書きできる。公式発表は、会社の旧社名を1つのファイルで直せばそれ以降のすべての会話に効くと説明している。ChatGPTも保存された記憶を一覧から個別に消せる。
Geminiは作りが違う。記憶だけを取り出して消すことができず、その情報が入ったチャットそのものを消す必要がある。ヘルプは、連携しているアプリの接続解除とチャットの削除を両方やるようにと案内している。さらにGeminiのパーソナライズは仕事用・学校用・管理対象のGoogleアカウントでは使えない。会社のGoogle Workspaceで使っている人は、そもそもこの機能の外にいる。
日本の職場では共有アカウントと引き継ぎに効いてくる
影響がいちばん出るのは、1つのアカウントを複数人で使っている職場だろう。誰かがチャットで話した顧客の事情が、別の人がCoworkに頼んだ資料へ入り込む。これまではチャットとCoworkが分かれていたぶん、混ざる範囲も限られていた。今後は片方に入れた情報がもう片方の出力に出てくる前提で考えたい。
担当が代わるときも同じだ。業務委託や派遣のメンバーにアカウントを引き継ぐなら、その前にメモリーの中身を見ておく。前任者が話した社内の事情が、次の人の画面に自然な顔で出てくる。ファイル単位で消せる作りは、この場面でありがたい。
商談や社内会議で画面を映すときも一度考えておきたい。Claudeが過去の文脈を踏まえて答えるということは、映している画面に前の案件の話が出る可能性があるということだ。人前で使う予定があるなら、メモリーを一時停止しておくか、機微な話は別の場所で進めるのが安全だ。
その一方で、この統合が向いている仕事もはっきりしている。同じ相手と長く続く案件、社内用語や指標の定義が多い会社、毎月同じ形の資料を作る業務。こうした仕事では説明のやり直しが減るぶん、効果がそのまま時間になって返ってくる。
いま何を確認しておくか
設定はClaudeの設定画面のメモリーから開ける。まずは今どうなっているかを見るところからでいい。
メモリーの中身を見にいく
- Claudeの設定を開くwebでもデスクトップアプリでも同じ場所にある
- メモリーを開くSettings(設定)のなかのMemory(メモリー)
- トピックの一覧を見る覚えている内容がトピックごとのファイルで並ぶ。1件ずつ開いて直す、消す
- 機微な話題の設定を見る既定はオフ。オンになっているなら、いつ誰が変えたのかまで確かめておきたい
きょう5分で確かめておくこと
- 個人のPro・Maxを仕事で使っているなら、メモリーに取引先名や単価が入っていないか見る
- 会社がTeam・Enterpriseなら、管理者がメモリーを許可しているかを情報システムの担当に聞く
- 1つのアカウントを複数人で使っているなら、Coworkに渡す仕事の範囲を決めておく
- 画面を人に見せる予定があるなら、その前にメモリーを一時停止できることを覚えておく
- Claude Cowork
- Claudeにまとまった作業を任せる使い方。資料づくりや調べものをクラウド側で進める
- メモリー
- 会話から覚えた内容を次の会話へ持ち越す仕組み。Claudeではトピックごとのファイルとして貯まる
よくある質問
- メモリーを使いたくない。オフにできるか
- できる。メモリーはいつでも一時停止とリセットができる。Free・Pro・Maxは最初からオンなので、使わないと決めているなら自分でオフにする必要がある。Team・Enterpriseは自分でオンにするまでオフのままだ。
- 覚えられた内容を1件だけ消せるか
- 消せる。Claudeが覚えている内容はトピックごとのファイルとして並び、1件ずつ読んで直したり消したりできる。会社の旧社名のような間違いを1つ直せば、それ以降の会話すべてに反映される。
- 機微な話題の保存をオンにすると、過去の会話もさかのぼって保存されるか
- されない。保存が始まるのはオンにしたあとの会話からだ。オンのあいだは保存のたびに通知が出る。なお識別番号や犯罪歴、在留資格は、オンにしても保存されない。
- Claude Codeで話したことも共有されるか
- 今回の統合の対象はチャットとClaude Coworkの2つで、Claude Codeは入っていない。Codeでのやりとりは今のところCodeの中にとどまる。
画像:Anthropic の発表ページより
