OpenAIのAIが数日分の研究をこなした 昨秋の目標を予定通り達成
OpenAIが9月6日に公式ブログで研究の自動化に関する報告書を公開した。昨年秋に掲げた「今年9月までに自動リサーチインターンを実現する」という目標を達成したと宣言している。
リサーチインターンとは「明確に定義された研究タスクを人間の指示のもとで遂行できるシステム」を指す。スキルのある研究者が数日かかるタスクも含めて処理できるレベルだ。報告書の冒頭ではAGIが人類全体に利益をもたらすには民主的な統治が必要だとし、最も高性能なシステムがどう開発されているかを公にする必要があると述べている。
OpenAIはこの取り組みの目標を「深層学習とアライメントの研究を人間の監視下で進められる自動AI研究者を安全に構築すること」と説明している。改善が段階的に積み上がる仕組みを目指す方針だ。
- 9/6研究加速の報告書を公開し目標達成を宣言
研究者はエージェントを終日並行で動かし実験の本数も増えた
OpenAI社内ではコーディングエージェントの利用が急増している。研究者は複数のセッションを並行して動かしながら1日を通して使い、他のOpenAIチームを上回るペースで利用量が伸びている。
研究者のコード貢献速度は上がり、走らせる実験の本数も増えた。エージェントが扱うタスクはより複雑になり成功率も上がっている。OpenAIは「AI研究は多くのボトルネックを抱えた複雑なプロセスであり全体の進捗がこれらの指標と同じ速度で進むとは限らない」と断りつつ「エージェントが研究を意味のある形で加速しているという社内の印象と一致する」としている。

安全なRSIの方法はまだない OpenAIが報告書で認めた
報告書はAIが自分の性能を高め、その結果がさらに次の改善を生む連鎖「RSI(再帰的自己改善)」にも触れている。OpenAIは「安全な形で完全なRSIに到達する方法はまだわからない」と認めた。
安全性とアライメントの対策を能力の拡大と並行して進めているが解決には至っていない。「急速なRSIの追求が望ましいかどうかは人間のコントロールを維持する能力と民主的な選択に基づいて決まるべきだ」とも書いている。AIに任せる範囲が広がるほど、何を自動化の対象にし何を人間の判断に残すかが問われることになる。
次の目標は2028年3月の自動AI研究者 人の判断はまだ残る
OpenAIは次の目標として2028年3月までに「自動AI研究者」の実現を掲げている。リサーチインターンが人間の指示のもとで動くのに対し、自動AI研究者はより自律的に研究を進める段階だ。
現時点では「人が研究の優先順位を設定し、追求するアイデアを判断し、スケール・一時停止・デプロイの決定を行う」と明記されている。自動研究がうまく機能すれば「安全研究者やアライメント研究者にもなり得る」とOpenAIは述べている。危険なAIエージェントへの防御やインフラの保護に使える可能性がある。
「責任ある形で進めれば自動AI研究は人々の暮らしを直接よくするモデルを生み出す」ともOpenAIは書いている。高度な知能のコストが下がり世界中に届くことを目指す方針だ。モデルの進化が加速する分、安全に関する公開の議論がどこまで追いつけるかが焦点になる。
- RSI(再帰的自己改善)
- AIが自分の性能を高めた結果がさらに次の改善を生む連鎖。完全に実現すると人間の介入なしに進化が加速する
- アライメント
- AIの振る舞いを人間の意図や価値観に沿わせる技術や研究のこと。安全なAI開発の中核とされる
OpenAIが社内で経験していることは企業のAIエージェント導入現場と構造が同じだ。簡単な作業から始めて徐々に複雑な業務を任せていく流れで、どこかの時点で「ここから先は人が判断する」という線を引く必要が出てくる。OpenAI自身がRSIの安全な方法はまだわからないと認めた点は重い。企業がAIエージェントの対象範囲を広げるときも、AIが出した結果を誰がどの段階で確認するかを先に決めておかないと確認なしで次の工程に回る事態になりかねない。
この記事の出典
補助資料
- [1]OpenAIこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月7日
