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【無料】NVIDIAの「PAIR」で余ったPCをAI処理に回せる、3台で18分の処理が約9分に縮まった

更新 2026/9/9 読了 約5分
ガラス張りの建物の壁に取り付けられたMetaのロゴ。青い無限大記号と白い「Meta」の文字が立体的に浮き出ている。
この記事の要点

NVIDIAが同じネットワーク上の複数PCをつないでAI処理を分散できる無料ツール「PAIR」をベータ公開した。OllamaとLM Studioに対応する。3台を束ねたデモでは1台で18分かかった処理が約9分で終わり、処理速度がほぼ2倍になった。

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2倍速3台分散時の処理速度
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PAIRは同じネットワーク上のPCにAI処理を自動で振り分ける

PAIRは「Personal AI Router」の略で、NVIDIAが9月3日にIFA 2026(ベルリンのテクノロジー見本市)で発表した。オープンソースで、ベータ版がGitHubから入手できる。

仕組みはこうなる。AIエージェントが処理を投げると、PAIRがプロキシとして受け取る。ネットワーク上で空いているPCを探し、対応するモデルが入っていて負荷に余裕があるPCを選び、ジョブを割り当てる。結果は元のPCにまとめて返る。

対応する推論エンジンはOllamaとLM Studioの2つ。OpenAI互換のAPIで動くので新しいAPIは不要だ。PC間の通信はmDNSで互いを発見し、mTLS(相互TLS)で暗号化する。

NVIDIAによると、AIエージェントが複数のサブエージェントへ作業を分割して処理する流れが広がっている。1台のGPUだけでは処理が詰まる場面が増えているとしている。

NVIDIA PAIRの公式ページ
NVIDIA PAIRの公式ページ / 出典:youtube.com / 制作:AInformation

3台のデモで18分が約9分に ただしGPUメモリは束ねられない

NVIDIAが公開したデモでは、RTX Spark搭載PC・DGX Spark・RTX 5090搭載PCの3台をPAIRでつないだ。アリババのオープンモデル「Qwen 3.6-35B-A3B」で5つのサブエージェントを同時に動かした。

1台だけなら平均18分かかった処理が、3台では平均8分48秒で終わった。

ただし制約がある。各PCのGPUメモリを束ねることはできない。1台では載り切らない大きなモデルを3台で分担するという使い方は対象外だ。あくまで複数のジョブを別々のPCに割り当てて並列に走らせる仕組みになる。

処理を割り当てるPCにも同じモデルをインストールしておく必要がある。サブエージェント自体を分割して複数PCにまたがらせることもできない。

PAIRでできること・できないこと。◎ できる:複数PCにAI処理を並列で振り分ける、空いたPCの自動検出と電力管理。割り当てはPAIRが自動で決める。△ できない:GPUメモリを束ねて大モデルを動かす、1つのジョブを複数PCで分割する。各PCに同じモデルが必要。データ:NVIDIA 公式ブログ。制作:AInformation。
PAIRでできること・できないこと / データ:NVIDIA 公式ブログ / 制作:AInformation

ローカルAIをチームで使う会社 GPU2台目からが分かれ道になる

PAIRが効くのは、ローカル環境でAIを動かしている開発チームや社内にGPUマシンが複数台ある会社だ。AIエージェントが複数のサブタスクを並列で投げる場面が増えており、1台のGPUがボトルネックになるケースが出てきている。

社内に使われていないGPU搭載PCがあれば、PAIRでつないで処理を分散できる。データが社外に出ないローカル環境のまま処理速度を上げられるのは、機密データを扱う会社にとって大きい。

一方でクラウドのAPIで十分な会社やGPUが1台しかない個人には当面は関係がない。手元に対応GPUのPCが2台以上あるかどうかが出発点になる。

PAIRを使うと処理時間がこう変わった。1台で処理:サブエージェント5つを同時実行、全ジョブが1台のGPUに集中。平均18分かかった。PAIRで3台に分散:ジョブを3台のPCに自動で振り分け、各PCが独立して処理。平均8分48秒で終わった。データ:NVIDIA PAIRデモ。制作:AInformation。
PAIRを使うと処理時間がこう変わった / データ:NVIDIA PAIRデモ / 制作:AInformation

対応GPUとOSとOllamaの3つで今日から試せる

PAIRを使うには3つがそろっている必要がある。GPUはGeForce RTX 20シリーズ以降・DGX Spark・Mac M4以降に対応する。OSはWindows 11・macOS Tahoe・Ubuntu 14.04・DGX OS。推論エンジンはOllamaかLM Studio。メモリは最低8GB、ストレージは20GB以上の空きが要る。

ネットはモデルのダウンロード時だけ使う。推論そのものはオフラインで動く。ダッシュボードでネットワーク上の各PCの状態をリアルタイムで確かめられる。ジョブを割り当てる必要がないときは不要なPCの電源を自動で管理する機能もある。

まだベータ版なので不具合は出るかもしれない。関心があるならまず対応GPUのPCが2台以上あるかを確かめたい。OllamaかLM Studioを入れたうえでGitHubからPAIRを取ってくる。

この記事に出てくることば
サブエージェント
AIエージェントが1つの大きな作業を小さなタスクに分割し、それぞれを個別に処理させる仕組み。PAIRではサブエージェントごとに別のPCで並列に動かせる。
藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

PAIRは小さめのモデルを並列で走らせたいときに効く仕組みで、大きなモデルを動かすためのものではない。企業でAI導入を手がけている立場から見ると、多くの日本企業はまだクラウドAPIで事足りている段階だ。ローカルに複数GPUを持っている会社は少ない。ただしデータを外に出せない業種では社内のPCを束ねて処理を速くできるのはありがたい。NVIDIAがローカルAIのインフラを無料で出し始めたこと自体が、クラウド一辺倒の流れに別の選択肢が生まれつつあるサインだとみている。

よくある質問
NVIDIA PAIRはどのGPUで使える?
GeForce RTX 20シリーズ以降(Turingアーキテクチャ以降)・RTX PRO・DGX Spark・Mac M4以降に対応する。RTX 10シリーズやそれより古いGPUには対応していない。OSはWindows 11・macOS Tahoe・Ubuntu 14.04・DGX OSのいずれかが必要で、推論エンジンはOllamaかLM Studioを使う。メモリは最低8GBの空きが要る。
PAIRで大きなAIモデルを動かせる?
各PCのGPUメモリを1つにまとめて大きなモデルを動かすことはできない。1台では載り切らないモデルを3台に分けて動かすという使い方は対象外だ。PAIRが分散できるのは独立した複数のジョブで、それぞれのPCに同じモデルがインストールされている必要がある。GPUが1枚で動くモデルを複数のPCで並列に処理するための仕組みだ。

この記事の出典

補助資料

  • [1]GIGAZINEGIGAZINE・補助的な二次資料・確認 2026-09-04この記事の元にした報道

出典の最終確認日:2026年9月4日

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