GeminiとChatGPTの比較は、どちらも優れた生成AIであるため非常に難しいですが、それぞれに得意分野があるため、使用目的に応じてどちらを使うべきかを判断するのに役立ちます。特に「どちらかの有料プランを使いたい」という方にとっては、GeminiとChatGPTの比較は重要でしょう。
この記事では、それぞれの生成AIの得意分野について確認しながら、GeminiとChatGPTの特徴や独自機能、そして有料プランに登録した場合のメリットを徹底的に解説します。
GeminiとChatGPTを比較(無料版)
まずは、GeminiとChatGPTの無料版について、2つの生成AIの特徴を比較してみましょう。
項目 | Gemini(無料版) | ChatGPT(無料版) |
---|---|---|
AIモデル | Gemini Flash | GPT-3.5 |
リリース年月日 | 2023年12月13日 | 2022年11月30日 |
日本語対応 | 〇 | 〇 |
データ入力形式 | テキスト、画像、音声 | テキスト、画像 |
情報源 | Google検索結果 | 2021年9月までのデータ |
最大トークン数 | 3万2000トークン | 約12万8,000トークン |
ウェブブラウジング | 対応 | 非対応 |
Google連携 | 一部連携 | 無し |
GeminiとChatGPTにはそれぞれ無料版が用意されており、無料であっても「こんなことができるの?」と驚くような性能の高さを誇っています。ChatGPTが世界に向けて公開されたのが2022年11月30日で、遅れること1年ほどでGoogleが2023年12月13日にGeminiを一般公開しました。
一般向けのサービス開始時期には1年ほどの差がありますが、両者の実力は拮抗していて、どちらか一方だけが評価を受けている状態ではありません。
日本語対応について
GeminiとChatGPTは、どちらも日本語に対応しています。しかし、両者ともに言えることですが、急に英語で回答を返してくることがあります。基本的に日本語対応の生成AIであっても、裏側で動いているシステムは英語で、出力時に日本語へと翻訳をしています。
実際に使ってみた体感としては、文章理解の正確さではGeminiの方が優秀であるように感じます。このため、Geminiでは曖昧な質問をしても、ユーザーの意図を汲み取って回答をしてくれます。
データ入力形式について
生成AIへとプロンプトを受け渡す際のデータ入力形式については、Geminiがテキスト、画像、音声に対応しているのに対して、ChatGPTでは音声での入力にはユーザー側での準備が必要になります。具体的にはGoogle拡張機能を利用して、ChatGPTに対して音声を使える環境を整えなければなりません。
情報源について
生成AIが文章などを生成するために使用する情報源については、Geminiがインターネット上のさまざまな情報にアクセスできるのに対して、ChatGPTは2021年9月までのデータを参照しているという差があります。
最新情報にアクセスできることは、例えば「明日の天気」や「今日のニュース」などについて回答を得ることができます。一方で、信頼あるデータに限定して情報を記憶させるChatGPTでは、政府発表データや一次資料などが優先されるため、徐々に情報の正確さが高まっています。
最大トークン数について
最大トークン数とは、生成AIが一度に処理することができる情報量を表すもので、数字が多いほど処理能力が高いです。GeminiとChatGPTの比較では、トークン数に約4倍の差がありますので、ChatGPTの方が4倍の処理能力が高いということになります。
トークン数の差は、同じ処理にかかる時間を短くできるだけでなく、多くの情報を盛り込んだ回答ができるという差を生みます。つまり、同じ500文字の回答をする場合であっても、トークン数が多い方が多くの情報を参照しながら500文字の回答をすることができます。
ウェブブラウジングについて
プロンプトで提供したURLを元に、そのページの内容を読み取って要約したり、回答をすることを生成AIのウェブブラウジング機能と呼びます。Geminiはウェブブラウジングに対応しているのに対して、ChatGPTの無料版ではウェブブラウジングはできません。
実際、ChatGPT無料版にURLを提供すると、内容を読み取れないことを伝えるメッセージが表示されるか、HTMLのコードが出されることがあります。
Google連携について
Googleとの連携については、Geminiの得意とする分野です。無料版のGeminiでは、Googleの各種サービスとの連携は制限されていますが、YoutubeやGoogleマップなどの参照や引用を得意としています。このため、さまざまなプロンプトを試してみると「こんな機能があったのか」と驚くことも多いです。
例えば「車で新宿から箱根まで行くのにかかる時間と高速料金は?」などとプロンプトを入力すると、所要時間や週末の込み具合などについてアドバイスがもらえます。
ログイン方法について
GeminiとChatGPT無料版の特徴について、まとめて確認してみましょう。
使用開始の際のログイン方法では、GeminiがGoogleアカウントでログインできるのに対して、ChatGPTでは新たにアカウントを作成する必要があります。多くの方がGoogleアカウントをお持ちだと思いますので、使いはじめる時にはGeminiの方がスムーズでしょう。
GeminiとChatGPTを比較(有料版)
GeminiとChatGPTの有料版について、比較を行います。これから生成AIサービスの有料版(サブスクリプション)を契約したいと考えている方は是非、こちらを参考にしてご自身に合ったAIを選択してください。
項目 | Gemini Advanced(有料版) | ChatGPT Plus(有料版) |
---|---|---|
AIモデル | Gemini Pro | GPT-4o |
月額料金 | 2,900円 | 約3,000円 (20ドル) |
解約 | すぐに可能 | すぐに可能 |
日本語対応 | 〇 | 〇 |
データ入力形式 | テキスト、画像、音声 | テキスト、画像 |
情報源 | Google検索結果 | 2023年10月までのデータ インターネット上の情報 |
最大トークン数 | 最大100万トークン | 約12万8,000トークン |
ウェブブラウジング | 対応 | 一部対応 |
Google連携 | 連携 | 無し |
有料版では、それぞれの無料版の特徴を引き継ぎながらも、それぞれの項目で機能が大幅にアップグレードしています。GeminiとChatGPTのどちらも「有料版にして良かった」とか「無料と有料では全く違う」と感じられることが多いです。もちろん毎月の費用が発生しますので、ご自身の使用方法に見合った金額かどうかを十分に検討してください。
AIモデルについて
GeminiとChatGPTのどちらも、無料版と有料版ではAIモデルが異なります。つまり、同じ会社が開発して提供している生成AIですが、性能や使い勝手については無料版とは全く異なると考えた方が良いです。また、新しいAIモデルのリリースについては、有料版のユーザーに先行して公開されることが多いですので、最先端のAIに触れたい方にとっても魅力的です。
月額料金について
毎月かかる料金については、GeminiとChatGPTでほとんど差はありません。ただし、Geminiが月額2900円という日本円での請求であるのに対して、ChatGPTは月額20ドルの米ドルでの請求という違いがあります。このため、日本人の私たちにとっては「ChatGPTの料金は毎月変動する」という不便が発生します。
普段あまり海外のサービス等を利用されていない方のなかには、ChatGPTの支払いによってクレジットカードが利用停止になったというケースもあります。カード会社とのやりとりによって利用が再開されますが、多少のわずらわしさがありますので、ご注意ください。
情報源について
無料版では情報の取得方法に大きな違いがあった両者ですが、有料版になると情報源の差は縮まります。ChatGPTの有料版は2023年10月までのトレーニングデータを使用していることに加えて、インターネット上の情報も参照できるようになるためです。
日常的にどちらも使用している感想としては、リアルタイムに情報を取得する点ではGeminiの方が圧倒的に強いという印象がありますが、情報の正確性においてはChatGPTの方が優れているように感じます。情報の正確性では、学習データの差が如実に表れるため、公的な文書や調査を学習しているChatGPTは優秀です。
最大トークン数について
有料版の比較で最も大きな差がでるのが、この最大トークン数の項目です。Geminiでは最大100万トークンという大容量で、大きなデータをまとめて扱うことができる点に注目してください。
例えば、長編の物語を作って欲しい場合や、大規模な国勢調査などを参照したレポートをまとめたい場合などには、最大トークン数の差が大きく影響しますので、Geminiの有料版が有利になります。ただし、特殊なケースを除いては、ChatGPTの約12万トークンであっても十分に処理が可能ですので、ご自身の扱うデータや利用方法に合わせて生成AIを選択するのが良いでしょう。
Googleサービスとの連携
Geminiが得意とするGoogleサービスとの連携は、有料版において圧倒的な使い勝手の良さが感じられる項目です。GmailやToDoリスト、スプレッドシートなどと連携することで、Geminiの力を最大限に発揮することができます。
- Gmail: メール作成の補助、返信メールの内容の提案、メールの要約
- ドキュメント: 文書作成、校正、翻訳、要約
- スライド: プレゼンテーション資料の作成、画像や動画の挿入、翻訳
- スプレッドシート: データ分析、グラフ作成、予測
- Googleチャット: 情報収集、翻訳、返信メッセージ作成の補助
具体的なGemini有料版のGoogleサービスとの連携については、別記事「Geminiの使い方を徹底解説!利用方法、バージョン、プラン」も参照してください。
GeminiとChatGPTの比較まとめ
GeminiとChatGPTに限らず、生成AIの比較をすることは非常に難しいものです。特に、GeminiのようにGoogleサービスとの連携に特徴を持つ生成AIの場合には、Googleのサービスを利用している状況によって利便性が大きく異なるため、全てのユーザーにとって役立つかどうかは判断が難しいところです。
また、ChatGPTは新たに月額200ドルの有料版(Pro)を登場させて、さらに上位のサービスの提供を開始しました。今後はGoogleでもGeminiの上位版として比較的高額なサブスクリプションを開始するのかどうかに注目が集まっています。