生成AIの利活用に関して様々な議論が起こる昨今、生成AI自体の種類も増えてきて、試してみたいけど実際どうなんだろう?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
大手サービスの方が安心?と、Googleの提供する生成AIの利活用を検討している方もいるかもしれません。
本記事では、Googleの生成AIを利用する際のメリットやデメリットを、他のサービスと比較しつつ解説していきます。
【結論】Googleの生成AIを利用するか迷っているなら、まずお試しで始めてみるのがいい
これは私の体感を踏まえた結論です。Googleの生成AIにはいくつかありますが、いずれもお試しがオススメ。
直近のできごとですが、Googleの生成AIのひとつ、GeminiがiPhoneでも提供されるようになったというニュースを耳にした方もいるのではないでしょうか。
Androidではすでに提供されていたGeminiの機能で一般的なのはChatGPTのような会話型のサービスだと思いますが、拡張機能を使えばGmailやGoogleMapなどのGoogle製アプリから情報を検索して要約などに対応することも可能です。
GeminiLiveも使用可能で、これは日本語を含む多数の言語に対応できる音声対話ツールです。面接練習や街中の飲食店の検索など、活用方法は非常に幅広いですね。
この結論の根拠を、いくつか例を交えつつご紹介しましょう。
【メリット】対話型のAI、Geminiは回答の再確認ができる
ChatGPTなどのサービスでも知られる対話型の生成AIは、Googleでは「Gemini」という名前で提供されています。
試しに利用してみた画面がこちらです。
本画面で緑色にハイライト表示されている部分。
何となく主観的であったり、事実なのだろうかと疑問に思うような箇所がハイライトされていると感じませんか?
そのような感じ方をした場合、ファクトチェックのために何度も検索をかける、というのが一般的な対話型AIの利用 方法として挙げられますが、Geminiの場合はさすがのGoogle生成AI。
ハイライト部分をクリックすると、そこに関連した検索結果が表示されます。
対話で得られた回答が自分にとって正しいのか、ということを確認することが容易になっているんですね。
私は今までChatGPTでさんざん苦労をして利用をやめたので、この機能を始めて見た時には驚嘆しました。
【メリット】VertexAIを活用してAI開発デビュー!?
比較的有名であろうGeminiに続くGoogleの生成AIとして、VertexAIを挙げましょう。
こちらはいわゆるノーコード開発ツールのようなもので、GoogleCloudから利用できます。
有償ではありますが私の体感では安価な方ですし、様々な画像、テキスト、表形式のデータからAI開発の基盤となるモデルを作成できますので、AI開発を勉強し始めたはもののまだ詳しくないし……とデビューをためらう方の背中を押すことのできるツールと言えるのではないでしょうか。
……ただし、実際にGoogleのVertexAI紹介ページを見るとこんな感じになっています。
「何を言っているのかさっぱりわからん」かもしれません。
海外資本ゆえに直訳された日本語の分かりづらさ、固有名詞の多さなどのマリアージュで心が折れる可能性もなきにしもあらず。
【メリット】AI会話で英語のリスニング力を鍛える!?
こちらは知らない人もまだまだ多いであろう、「NotebookLM」の派生機能を活用する方法です。
文書管理や編集を主な用途としているNotebookLMですが、これがポッドキャストを想定した音声会話を作成できるようになりました。実際に使用するとなったとき、始めて見る画面がこちら。
試しに、本記事の内容をペーストしてみましょう。
するとこのように、画面下部にサジェストが表示されます。
一般的な使い方としてはGeminiとさほど変わらない画面ですが、「アップロードしたファイルの内容に基づいた回答をする」という違いがあります。文中についている数字をクリックすると、元ファイルからそれぞれの論拠とした部分を抽出して確認することが可能です。
ここからが今回のポイント。
動作が不安定であるので導線が異なる場合もあるのですが、「Notebookガイド」から音声会話の作成が可能です。
もちろん、AI生成ですのでその内容に関してはファクトチェックが必要になる場合もありますが、非常にリアルな英会話音声が、たったこれだけの手段で手に入ります。
音声の生成が完了したら、音声ファイルをダウンロードします。
そして、チャット画面に戻ってそのファイルをアップロード、ソースに追加。
続いてアップロードした音声ファイルの名前を挙げて、「〇〇の字幕をください」とチャットを送る。
これで準備は完了です。少し待つと、英会話の音声ファイルと英語字幕、それぞれの日本語訳まで手に入ります。
もちろん、一般的な生成AIの利用と同様にすべてが正しいと鵜呑みにすることは控えた方がいいですが、ある程度聞き取れるようになれば、この字幕に関してのファクトチェックは検索しなくともできるようになるでしょう。
【メリット】ImageFXで手軽に画像生成!
生成AI!といって真っ先に想像するのが、画像生成AIではないでしょうか。
Googleの生成AIの中にも、画像生成ができるImageFXというAIが存在します。
こちらも基本的には無償で利用でき、他サービスと比較して優秀な点として、生成した画像には一律でAI生成を示すウォーターマークが記載されることが挙げられるでしょう。
また、直感的なUIも魅力の一つです。
ImageFXの強みはそれだけではありません。
AIイラストは一見してAIイラストと分かるフィクションテイストな仕上がりを想像するかもしれませんが、ImageFXで生成されるイラストは「リアルだ」と評判になっています。
もちろんまだまだ発展途上ですので、細かい部分をチェックすると誤っている部分もあります。
とはいえ、既存のイラスト生成AIの中ではかなり精度の高い製作ができると言えるでしょう。
こちらの画面、英語でプロンプトを入力すると、画面の右側に画像が生成されるのですが……
他サービスではプロンプト内に画像の比率なども設定する必要がある中で、本サービスでは「アスペクト比」の項目から直感的に設定することが可能です。
更には、生成された画像に表示される編集ボタンをクリックすることで……
このように、簡単にマスクを追加することもできます。
マスクした箇所のみを更に編集することができるので、タブレット環境などがあって細かいマスク作業ができる方には圧倒的に心強い味方ですね。
【メリット】音楽生成AIまで利用可能!MusicFX
昨今ぽつぽつと出現し始めている音楽生成AIも、Googleが提供するサービスの中に存在します。
こちらも非常に直感的なUIですので、他サービスを利用して首をかしげてしまった方でも利用しやすいのではないでしょうか。
一度に2曲が生成されるのでお試しもしやすく、プロンプトのサジェストもあるので編集もかんたん。
他社サービスと比べても、初心者向けとしては非常によいと思われます。
【メリット】Googleは大手サービスなので、サービスにリスクが少ない
ウェブ上で提供されているサービスにつきもののサーバートラブル。
また、会社の倒産などによるサービス停止。
利用を始めたはもののすぐにサービスが終わってしまって、全然活用できなかった!
そんな懸念がある方もいるかもしれませんが、GoogleはGAFAの一角を担う大手サービスです。
トラブルへの対応も、人手の少ない小規模サービスよりは迅速に行われることが期待できるでしょうし、サービス停止に関してのリスクも低く見積もってよいと思います。
【デメリット】一般的なAI活用と同じく気を付ける点がある
現状では企業向けに展開されているものが多いですが、生成AIには国産のものがあります。
それらと比べると、やはり英語がベースになっているために劣る部分は出てきます。
日本語ページの翻訳感であったり、プロンプトが英語のみの動作であったり、利用にあたって難しいと感じることもあるかもしれません。
また、入力する内容によっては情報漏洩につながるなど、生成AI特有のリスクも存在します。
また、生成AIを利用した作品を公開するときや、公開された作品がAI生成であることを視野に入れて接する必要があることなど、一般的なAIの利活用を行う時と同じように気を付けるべきこともあります。
ですがこれらはあくまで「生成AIを活用するうえで」のデメリットであり、Googleの生成AIに限ってのデメリットを考える分には特にないというのが私の見解です。
もちろん、有償のものに関してはそれ自体がデメリットになりえますが、全てがすべて有償というわけでもありません。
無償のものに限って言えば、デメリットというデメリットが存在せず、クオリティの高いサービスが利用できるという点でメリットしかないとさえ言えてしまうかもしれませんね。
【まとめ】Googleの生成AI利用は、個人利用の範囲ではメリットが大きい
あくまでも個人利用の範囲に限ってお話をしてきましたが、以下の通り、個人利用の範囲ではどう考えてもメリットの方が多いというのが私の印象でした。
- 利用できる生成AIの種類が多い
- 無償利用できるものも多数
- 大手サービスなので、サービス停止などのリスクが少ない
- 注意するべきは一般的なAI活用の時と同じ
商用で利用する場合などは注意が必要ではありますが、基本的には活用してみよう!という気持ちでよいのではないでしょうか。
Googleに限らず、AI技術の利活用は昨今急速に進んでいます。
大手企業のKDDIでも、企業内データとGeminiを連携させて生成AIで業務をチャット支援するツールの提供を促進していたり、個人間に限らず業務などの効率化のためにと活用され始めています。
同社ではメタバースやWeb3を利用して、ユーザがより身近に生成AIの技術を体験できるように、という試みもしています。
例えば服の画像が一枚あれば、店舗に赴く必要がなく、体形に合わせた試着モデルが作成されるなど。
また、他にも生成AIサービスを提供している会社も増えてきていますので、利用の際には他サービスと比較しながら、違いを楽しむというのも一つの手だと言えるでしょう。
様々なツールで生成したものをどう活用していくか、ということの視野を拡げながらAI技術と接していくために、本記事がひとつのお役に立てればよいと思います。
今後も生成AIについてや、実際にプロンプトを作成するときに気を付けるとよいこと、大学での活用例やそもそも生成AIってどういう仕組みで動いているの?といった疑問についてなど、さまざま記事を作成していく予定ですので、もしお気に召したならブックマークなどで見逃しのないよう工夫いただけると嬉しいです。