Stable Diffusionの拡張機能、使いこなせていますか?
拡張機能は、画像の精度を高めたり、操作を簡単にしたり、繰り返しの作業を自動化したりと、導入するだけで一気に使い勝手が向上します。
この記事では、初心者にも安心して使える導入しやすい拡張機能から、高精度な画像の生成に特化したものや作業効率を上げるツールまで、目的別におすすめの拡張機能をご紹介します。「どれを選べばいいかわからない」という方は、この記事を参考に自分に合った拡張機能を見つけてください。
Stable Diffusionの使い方や料金プランについては以下の記事で詳しく解説しているので、Stable Diffusionを使いこなしたい方はあわせて確認してみてください。
Stable diffusionとは?仕組みや料金、使用環境などを解説
Stable Diffusion拡張機能とは?
Stable Diffusionは、テキストから高精度な画像を生成できる画像生成AIです。プロンプト次第で高精度な画像を生成できますが、さらに便利に使うために欠かせないのが「拡張機能」です。
拡張機能は、Stable DiffusionのWebUIにインストールすることで、さまざまな機能を拡張・補強してくれます。画像生成のクオリティを高めたり、作業効率を上げたり、使いやすさを向上させたりするために、活用されています。
拡張機能を導入するメリット
Stable Diffusionの拡張機能を導入することで、自由なカスタマイズや利便性の向上を目指せます。具体的なメリットは以下のとおりです。
- 作業効率の向上
プロンプトの自動補完、自動保存などの機能により、1枚の画像を生成するのにかかる手間を省けます。
- 表現力の拡張
構図の細かい制御や複数人物の配置などが可能になります。
- 初心者の負担軽減
直感的に使えるものや多言語対応の機能を追加することで、英語が苦手な方や技術に不慣れな方でも始めやすくなります。
このように、拡張機能を導入することで、単なる画像生成ツールから自分仕様の環境を作ることができます。
拡張機能のインストール方法
Stable DiffusionのWebUIでは、拡張機能の導入は比較的簡単におこなえます。導入の手順を見ていきましょう。
- WebUIを起動
事前に環境構築が済んでいることを確認してください。
- 「Extensions」タブを開く
WebUI上部のタブから「Extensions」→「Available」タブへ移動します。
- リストから追加したい拡張機能を探す
使いたい拡張機能を「Install」ボタンで導入します。
- 再読み込みまたは再起動
「Apply and restart UI」ボタンをクリックしてWebUIを再起動。拡張機能が反映されます。
- タブまたはUIで動作確認
導入した拡張機能がUIに表示されていれば、成功です。
目的・レベル別の拡張機能の選び方
Stable Diffusionの拡張機能は多くの種類が公開されており、その数は増え続けています。しかし、自分にはどれが合っているのかと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「初心者」「高品質画像を目指す人」「作業効率を重視したい人」といった視点から、それぞれに適した拡張機能の選び方を紹介していきます。
初心者におすすめの拡張機能から選ぶ
Stable Diffusionを使い始めたばかりの人がまず意識したいのは、使いやすさと学びやすさです。初期状態でも画像生成は可能ですが、操作や設定が英語だったり、プロンプトの記述にコツが必要だったりと、戸惑う場面も多くあります。
「Stable Diffusionって難しい」と感じている方は、まずはこうした導入ハードルを下げてくれる拡張機能から試してみると、使いながら自然に操作に慣れていけるはずです。
具体的には初心者におすすめの導入しやすい拡張機能5選で紹介しています。
高品質画像を作る機能から選ぶ
目的に合った高精度な画像を生成したいと考えている方には、構図やディテールを細かく制御できる拡張機能を使いましょう。自動的に補正・再描画する拡張機能もあり、クオリティのブレを抑えながら、より整った仕上がりを実現できます。
イメージ通りの構図を再現し、細部まで美しく表現するためには、高精度系拡張機能が欠かせません。
高精度な画像を作りたい人におすすめの拡張機能3選を確認してください。
操作性や効率化を上げるものを選ぶ
画像生成の精度が高まってくると、次に気になってくるのが作業時間や手間の問題です。Stable Diffusionは高機能である反面、手動で設定し、保存し、比較するという作業を繰り返すには時間がかかります。こうした悩みを解決してくれるのが、操作性や効率に特化した拡張機能です。
大量出力をおこなう場合や、複数の条件での比較検討を必要とする場合は、拡張機能を活用すると、かかる時間や作業ミスのリスクが変わってきます。
効率化のための拡張機能を取り入れたい方は、作業効率を上げたい人におすすめの拡張機能3選を参考にしてください。
初心者におすすめの導入しやすい拡張機能5選
Stable Diffusionを使い始めたばかりの人にとって、最初の壁となるのが操作の複雑さやプロンプトの難しさです。どんなに高性能なAIでも、うまく使いこなせなければ思い通りの作品は作れません。
そんなときに役立つのが、初心者でも直感的に使えて、作業のハードルをぐっと下げてくれる拡張機能です。ここでは、Stable Diffusionを初めて使う方や、まだ使い慣れていない方にぴったりの拡張機能を5つ紹介します。
StabilityMatrix
StabilityMatrixは、「どのパラメータがどう影響するのか」がまだよくわからない初心者におすすめの拡張機能です。複数の設定を並列に実行し、それぞれの出力結果をマトリクス形式で表示することができます。
たとえば、同じプロンプトでステップ数だけを変えてみたり、CFGスケールを少しずつ調整してみたりするだけで、それぞれがどんな結果を生むのかを視覚的に比較できます。1枚ずつ出力して比べる手間がなくなるため、学習の効率が格段に上がります。
インストールや起動はすべてクリック操作で完了します。上の画像のようにパソコンにダウンロードするだけです。利便性を考えている人に、StabilityMatrixの導入をおすすめします。
webui-bilingual-localization
webui-bilingual-localizationは、Stable Diffusionの操作画面を英語と日本語のバイリンガル表記にできる拡張機能です。英語だけでは意味をつかみにくいボタンや設定項目も、日本語訳が併記されることで直感的に理解しやすくなり、初めて使う人でも操作のハードルがぐっと下がります。
導入は簡単で、WebUIの「Install from URL」から順番にクリックしてインストールできます。英語と日本語の両方を活かしながらStable Diffusionを快適に使いたい人にとって、頼れるツールといえます。
Prompt All in One
Prompt All in Oneは、プロンプト入力をより快適にするための拡張機能です。ポジティブプロンプトやネガティブプロンプトの入力欄における操作性を大幅に向上させます。
この拡張機能では、プロンプトの翻訳をAPI経由で一括または単語単位で行うことができ、さらにChatGPTを用いたプロンプトの生成にも対応しています(OpenAIのAPIキーが必要)。よく使われるキーワードを一覧から選べたり、プロンプトの補完をしてくれたり、過去に使ったプロンプトを記録して再利用できるなど、初心者のつまずきやすいポイントをサポートしてくれます。
text2prompt
text2promptは、プロンプト作成をサポートする拡張機能です。まるで呪文のような複雑なプロンプトも、AIの補助によってスムーズに組み立てることができます。自分ではなかなか思いつかないような表現や構成が得られるため、創作の幅を広げたいときや、作業効率を高めたいときに導入を検討してみましょう。
Config-Presets
Config-Presetsは、Stable Diffusionのさまざまな設定をワンクリックで保存・呼び出しできる便利な拡張機能です。毎回の作業で一つひとつ手動でパラメータを入力していた手間を省き、自分がよく使う構成をプリセットとしてまとめておけるため、作業の効率が大幅に向上します。保存できる設定項目は、画像サイズやサンプリング方法、バッチ数、顔補正、高解像度アップスケーリングの種類や倍率、ノイズ除去の強さなどで、「ポートレート用」「風景用」「高精細レンダリング用」など、用途に応じたプリセットを複数作成しておくことができます。
保存したい設定を整えたら任意のプリセット名を入力し「Save」ボタンをクリックするだけで完了します。保存したプリセットは、次回以降「Config Presets」メニューから選ぶだけで即座に適用されます。一度設定した条件を繰り返し使うことが多い人や、作風ごとに細かな設定を切り替えたい人にとって、Config-Presetsは快適に活用するうえで欠かせない拡張機能です。
高精度な画像を作りたい人におすすめの拡張機能3選
Stable Diffusionを使っていると、「もっと手や顔の描写を自然にしたい」「背景と人物のバランスを整えたい」「構図を自由に操りたい」といった思いも出てくるでしょう。ここでは、高精度の画像を生成するために導入価値の大きい3つの拡張機能をご紹介します。
ControlNet
ControlNetは、従来のテキスト入力だけでは難しかった構図やポーズ、スタイルの再現を、画像ベースで的確にコントロールできるようにする拡張機能です。テキストプロンプトだけでは再現が難しい体の向きや手の位置、服のシワなども、ControlNetを使えば、指定した画像や線画をもとに自然かつ意図通りに生成できます。
テキストだけでは伝えきれないニュアンスや構造を正確に表現したい人にとって、画像生成の再現性を高めてくれます。
Latent Couple
Latent Coupleは、複数人のキャラクターを正確に描き分けたいときに有効な拡張機能です。Latent Coupleを使うと、キャンバスを複数の領域に分割し、それぞれの領域ごとに異なるプロンプトを適用することができるようになります。複数人構図でありがちだった要素の混在や意図しないキャラクター生成を防ぎ、より狙い通りの表現が実現できます。
導入は他の拡張機能と同様に「Extensions」タブから「Latent Couple」を検索し、インストール後にUIを再起動することで使用可能になります。
ADetailer
ADetailerは、画像生成時に崩れやすい顔や手などの細部を自動的に検出し、そこだけを修正・強化することができる機能です。人物の表情や年齢、手の形といった部分的なディテールを微調整したいときにも便利で、全体のイメージを壊すことなく、自然な修正を加えられます。
使い方も非常に手軽で、導入後はADetailerのチェックを入れ、対象となる部位に応じた検出モデルを選択し、適用したいプロンプトを記入するだけで動作します。
作業効率を上げたい人におすすめの拡張機能3選
Stable Diffusionを使い込むと、この作業、毎回やるの面倒だなと思うこともあるでしょう。プロンプトの入力や設定の切り替え、画像保存など、地味ながら繰り返しの多い作業が積み重なると時間がかかってきてしまいます。ここでは、日々の画像生成をスピーディかつストレスフリーにしてくれるおすすめの拡張機能を3つ紹介します。
Batch Processing Plus
Batch Processing Plusは、複数の画像を効率的に一括処理できる拡張機能です。大量の画像に対して同一の処理パラメータを適用できるため、画像生成や加工のワークフローを大幅に効率化することが可能になります。
使用方法としては、まずStable Diffusion Web UIの「Extensions」タブ内にある「Available」セクションから「Batch Processing Plus」を検索し、インストールを行います。インストール後は、img2imgのタブをクリックし、バッチを選択して実行しましょう。
Dynamic Prompting
Dynamic Promptsは、画像生成時に使用するプロンプトの構成をランダムに変化させることができるツールです。あらかじめ複数の候補語句やフレーズを指定しておくことで、システムがそれらを自動的に組み合わせ、毎回異なるプロンプトを生成しながら画像を出力してくれる仕組みになっています。
Auto Save
Auto Saveは、画像生成中のデータやセッション情報を自動的に保存することで、予期せぬエラーやシステムのクラッシュによるデータ損失を防ぐための機能です。長時間にわたる作業や複雑な設定を伴うプロジェクトでも、安心して進められる環境を提供します。また、保存履歴を記録するログ機能が搭載されており、過去に保存されたデータを確認することができるため、復旧作業を効率的に行えます。
Stable Diffusionの拡張機能に関するよくある質問
ここでは、Stable Diffusionの拡張機能を使ってみたいと思ったとき、多くの方が感じる質問にお答えします。拡張機能を導入する前に確認してください。
拡張機能は無料で使えますか?
Stable Diffusionで使用されている拡張機能のほとんどは無料で公開されており、基本的には誰でも自由にダウンロード・利用できます。
ただし、拡張機能ではなく使用するモデル(学習済みファイル)のほうに商用利用の制限があるケースがあるため注意してください。たとえば、有償ライセンスが必要な場合や学術目的に限定されたモデルなども存在するため、商用利用を検討している場合はそれぞれのライセンスの確認をしてください。
どのWebUI環境でも使用できますか?
Stable Diffusionの拡張機能は、すべてのWebUIで共通して使えるわけではありません。多くの拡張機能が対応しているのは「AUTOMATIC1111版」のWebUIです。一方で、同じ拡張機能が動作しない、もしくは動作してもインストール方法がまったく異なることがあります。使えない場合は、PCの環境設定やメモリも確認してみてください。
エラーが出たときの対処法を教えてください
拡張機能の導入やアップデートの際には、エラーが発生することがあります。導入後に挙動がおかしいと感じた場合は、まずは再読み込みしてみましょう。それでも解決しない場合は、拡張機能の公式GitHubページに記載された導入手順や、Issue欄をチェックすると、同様のトラブルとその解決策が投稿されていることがあります。
一方で、設定ファイルやパス指定に関するエラーも少なくありません。手動で拡張機能をインストールした際は、フォルダの配置場所やファイル構成が正しいか、設定ファイルが壊れていないかも確認しましょう。