【決定版】シナリオ型のチャットボットを徹底解説!設計手順やAI型チャットボットとも比較!

【決定版】シナリオ型のチャットボットを徹底解説!設計手順やAI型チャットボットとも比較!

チャットボットの中でも特に導入のしやすさと運用コストの低さがシナリオ型チャットボットの魅力です。ここで読者の方は、以下のような疑問を抱くのではないのでしょうか。

  • シナリオ型チャットボットってそもそも何?
  • シナリオ型チャットボットのメリットとデメリットを知りたい!
  • シナリオ型チャットボット設計手順は?

そこでこの記事では、シナリオ型チャットボットの概要やAI型との違い、設計手順、導入時の注意点までを徹底解説します。シナリオ型チャットボットの導入を検討している方や純粋に知識を得たい方はぜひ参考にしてみてください。

AInformation編集部/藤井俊太のアバター

AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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目次

チャットボットのシナリオとは?

チャットボットのシナリオとは、ユーザーがボットとやり取りをする際の会話の流れを事前に設計したものです。皆様が知っているチャットボットは主に以下の2つが挙げられます。

  • シナリオ型チャットボット
  • AI型チャットボット

シナリオ型チャットボットの概要

シナリオ型チャットボットはあらかじめ用意されたテキストとルールや会話フローに従って顧客対応を行うチャットボットです。使う人が選択肢をタッチなりクリックなりの選択をすると、次の質問や回答が提示され、欲しい情報にたどり着けるよう設計されています。

ECサイトを例にしてみましょう。「返品方法を知りたい」という問い合わせが来た場合、「購入履歴がありますか?」を選ぶと「返品理由を教えてください」が画面に出力されるといったように、知りたいことをチャット形式で答えてくれます。

シナリオ型とAI型の違い

シナリオ型はあらかじめ用意されたテキストとルールで会話を進めるため、「ログイン方法は?」や「送料はいくら?」のような簡単な質問には対応できます。一方で、曖昧な質問や複雑な問い合わせには弱いところがデメリットです。

AI型チャットボットは曖昧な質問でも対応可能です。例えば、「おすすめの商品を教えてほしい」や「AIについて詳しく知りたい」などが良い例でしょう。

シナリオ型チャットボットのメリットとデメリット

シナリオ型チャットボットには、導入の手軽さやコスト効率といった魅力的な利点がある一方で、対応できる質問の範囲が限られるという課題もあります。

メリット:コスト効率と導入の容易さ

シナリオ型チャットボットは、仕組みが簡単であるために、比較的短期間で導入でき、運用コストも抑えられるのが大きなメリットです。例えば、よくある質問のような形式が決まっている質問対応では、あらかじめ用意されたルールと会話をそのまま活用できるため、初期設定に時間があまりかかりません。さらに、作製にはプログラミング技術が必要ないものも多く、気軽に導入可能です。

デメリット:対応範囲の制限

シナリオ型チャットボットには、あらかじめ設定したルールと会話にしか対応しかできないというデメリットがあります。例えば、「返品方法を知りたい」といった具体的な質問には対応できても、「返品の方法の具体的な日時はいつ頃?」のような複雑な質問には対応できません。

シナリオ型チャットボットの設計手順

シナリオ型チャットボットの設計は以下の6つの手順で行いましょう。

  1. 導入目的の明確化
  2. ターゲットユーザーの設定
  3. 質問と回答の作成
  4. シナリオフローの設計
  5. チャットボットへのシナリオ登録
  6. テスト運用と改善

手順①:導入目的の明確化

最初に行うべきは「なぜチャットボットを導入するのか」という目的を明確にすることです。例えば、問い合わせ対応の負担軽減や顧客満足度の向上、業務効率化など、目的が異なれば設計方針も変わります。

現在の課題を洗い出し、チャットボットで解決可能なポイントを整理するのが重要です。導入目的を曖昧にしたままだと、汎用性が低いチャットボットとなりかねません。まずは設計方針を明確にしましょう。

手順②:ターゲットの設定

次に行うのは、チャットボットを使うユーザー像を明確にすることです。性別や年齢層、ニーズなど、具体的なターゲットを設定することで、使いやすいルールや質問が作れます。例えば、若い世代にはカジュアルな文体、ビジネス層には丁寧なトーンが適切です。また、使用する人が抱えやすい疑問や問題点を事前に想定しておくことで、使うハードルがな対応が可能になります。

手順③:質問と回答の作成

ターゲットが定まったら、次は「どんな質問が来るか」「どう答えるか」を考えましょう。よくある質問をそのまま使うのも良いですが、実際の問い合わせ内容を調べて、どの質問が実際に多いかを把握することが大切です。回答は簡潔かつわかりやすく、使う人が短時間で必要な情報を得られる内容にするのが理想です。

手順④:シナリオフローの設計

質問と回答をもとにシナリオフローを設計します。フローチャートを使うと、選択肢や会話の分岐が視覚的に整理でき、ユーザーが迷わず進める流れを構築できます。例えば、最初に「質問の種類」を選んでもらって「返品について」「商品の詳細」などの項目を分けることで、使う人が求める情報に簡単にたどり着ける設計ができるでしょう。

手順⑤:チャットボットへのシナリオ登録

フローが完成したら実際にチャットボットのシステムにシナリオを登録します。シナリオ登録は文章は短く簡潔に、選択肢を増やしすぎない、リンクを適宜挿入など使う人が簡単に操作できるよう工夫が必要です。使うチャットボットによって設定方法が異なるため、マニュアルなどを見ながら進めるとミスを防げます。

手順⑥:テスト運用と改善

最後に行うのがテスト運用です。シナリオが期待通りに機能するか、選択肢がわかりやすいかなどを確認しましょう。社内メンバーで模擬問い合わせを実施し、実際の使う人の目線でチェックするのが効果的。テスト運用で、不足している質問や誤解を招く回答があれば修正しましょう。

シナリオ設計のポイント

ここではシナリオ設計のポイントとして以下の3点を解説します。

  • 自然な会話の流れを意識する
  • 選択肢の数を最適化する
  • 定期的なメンテナンスと更新

自然な会話の流れを意識する

チャットボットの会話が機械的だと、使う人がストレスを感じてしまって、離脱率が高くなることも。自然な会話の流れを意識し、使う人が親しみやすい文体やトーンを採用しましょう。

例えば、「返品についてのご質問ですか?」と質問する代わりに、「返品方法をこちらでご案内します」といった柔らかい表現を用いると、より人間らしい印象を与えられます。加えて、使う人に適切な回答が返るよう、無駄な質問を省きスムーズなチャットを心がけることが大切です。

選択肢の数を最適化する

選択肢が多すぎると、使う人が迷ったり面倒に感じたりする原因になります。一度に提示する選択肢は3~5個程度に絞り込み、使う人が簡単に次の質問や回答に進めるようにしましょう。

例えば、「返品」「商品の詳細」「送料について」など、広い範囲をカバーする項目を最初に提示し、それぞれを選んだ先でさらに詳しい質問を表示する設計が効果的です。

定期的なメンテナンスと更新

運用開始後もチャットボットを放置せず、定期的に使った人のデータを分析して改善を重ねることが必要です。例えば、「この質問には回答できません」などとなる頻度が高い場合、その質問をカバーする新しい回答を追加しましょう。

また、季節ごとやキャンペーン内容に応じて質問や回答を更新することで、常に使う人のニーズに合った対応が可能です。

シナリオ型チャットボットの導入時の注意点

シナリオ型チャットボットの導入時、準備不足や運用体制の不備が失敗につながりかねません。導入前の目的やフローの設計、導入後のメンテナンス体制を整えることが重要です。ここでは導入時の注意点として導入前後にわけて解説します。

導入前の準備事項

チャットボット導入前には、目的を明確にし、ユーザーのニーズを徹底的に把握することが欠かせません。問い合わせ内容の傾向を分析し、対応すべき質問を優先的に洗い出しましょう。

また、フローチャート形式でシナリオを設計し、スムーズな会話が可能な構成を作ることが大切です。さらに、導入予定のチャットボットツールの機能をよく確認し、自社の要件に適合しているかを慎重に見極める必要があります。

導入後の運用体制

チャットボットは導入して終わりではなく、運用開始後のメンテナンスが必要です。定期的にデータを分析し、使う人から寄せられる質問に応じて回答を更新する必要があります。また、担当者を配置して運用体制を整えることも重要です。例えば、新しい商品やサービスに関する問い合わせが増えた場合、対応するフローを迅速に追加する仕組みを作りましょう。

シナリオ型チャットボットとAI型チャットボットの違いを比較

シナリオ型は固定されたフローで対応するのに対し、AI型は自然言語処理で柔軟に対応します。それぞれの特徴を理解し、適切な場面で活用することが重要です。

特徴の比較

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定されたルールに従い、特定の質問に対して確実に回答します。一方で、事前に想定していない質問には対応が難しいという制約があります。対して、AI型チャットボットは自然言語処理(NLP)を活用し、ユーザーの言葉の意図を解釈して柔軟に回答可能です。

例えば、シナリオ型が「返品方法」といった明確な質問に特化する一方、AI型は「おすすめの商品は?」のような抽象的なリクエストにも対応できます。

適用場面の違い

シナリオ型チャットボットは、問い合わせ内容が限定的で、よくある質問や特定のフローが必要な場面に適しています。例えば、ECサイトでの「注文のキャンセル方法」や「送料の確認」といった明確な質問に適しています。

一方、AI型チャットボットは、カスタマーサポートや社内問い合わせなど、多岐にわたる質問が想定される場面で有効です。特に、複雑な会話や曖昧なリクエストに対応する必要がある場合には、AI型が便利です。

【まとめ】シナリオ型チャットボットを利用して効率化の実現へ

シナリオ型チャットボットは、シンプルな仕組みとコスト効率の良さから、多くの企業で導入が進んでいます。

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定されたルールにもとづいて対応するため、明確な質問に対して早くて正確な回答を用意でき、顧客満足度の向上や業務負荷の軽減を実現できます。一方で、想定外の質問への対応が難しいという特性もあるため、目的や適用範囲を明確にして導入することが重要です。

効果を最大化するには、運用開始後のメンテナンスやデータ分析を通じて、常にシナリオを改善していくことが必要になります。定期的にフローを見直し、使う人のニーズに応えることで、より便利で信頼されるツールとして成長させられます。

シナリオ型チャットボットをうまく活用し、効率的で質の高い顧客対応を実現しましょう。

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