画像生成AIとは?仕組みとおすすめのサービス4選も紹介!

画像生成AIとは?仕組みとおすすめのサービス4選も紹介!

近年では馴染みのある存在となった画像生成AIは、活用の幅が広がる中で、用途に合わせて発達をしてきました。今では人が描いたかのようなデザインの生成が可能になったり、実際の写真に極めて近い画像が生成できたりなど、みるみる精度が上がってきています。

その精度の高さから、一度は使ってみたいと思った人はいるでしょう。しかし使用するにあたって

「どのような流れで画像を生成するのか」
「おすすめの画像生成AIのツールは何?」

このようにお考えではありませんか。

ここでは、画像生成AIの仕組みについて解説します。主な活用方法や、おすすめのツールについても紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

AInformation編集部/藤井俊太のアバター

AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

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目次

画像生成AIとは

画像生成AIとは、仕上がりのイメージをテキストで指示するだけで、自動的に画像やイラストを生成するソフトウェアのことです。たとえば「空を飛ぶ猫」と入力すると、内容に合った画像を生成します。

実際に「空を飛ぶ猫」という指示で生成した画像がこちらです。

Stable Diffusion Onlineにて作成)

指示の内容を細かく設定すれば、よりリアルな人物や動物、実在しないようなものの画像も生成が可能です。ツールによってはアニメ風のイラストの生成でき、企業やクリエイターを中心に活用の幅が広がっています。

画像生成AIの主な用途

画像生成AIの主な用途について紹介していきます。

SNSのアイコン作成

SNSアカウントのアイコン作成は、画像生成AIが使用されているもっとも身近な例と言えるでしょう。イラストが描けない人でも、アニメ風のキャラクターの画像を生成し、アイコンに使用することができます。

Webコンテンツ作成

企業において、広告や商品デザイン案などの作成に画像生成AIを使用すると、時間の節約や制作コストの削減が可能です。

画像生成AIであれば、明確なターゲット像を入力することで、AIがターゲットに合わせたデザイン案を作成します。デザインが決定するまでの手間を大幅に削減でき、業務の効率化が進みます。またデザインを外注する費用もかからなくなるため、コスト削減につながるのです。

ゲーム開発

画像生成AIはゲーム開発にも使用されています。たとえば、膨大な数のキャラクターデザインや、ゲーム内の背景などの生成などです。ゲーム開発のコストや時間を大幅に削減できるとして、画像生成AIを使うのは非常に有効であると言えるでしょう。

画像生成の仕組み

画像生成の仕組みを簡単に説明すると、以下のような流れになります。

  1. 入力されたテキスト(指示)を分析、学習
  2. 学習データをもとに、テキスト(指示)に沿った画像を解析
  3. テキスト(指示)をもとに、学習済みの画像に変化を加える
  4. 2つの特徴を反映した画像を生成する

より精度の高い画像を生成するには、この流れを繰り返し、AIに何度も学習を行わせることが大切です。学習データを多く持つAIは、新しく入ってきたテキストに対して多くの比較対象を用い、画像を解析します。そのため、よりテキストに基づいた画像の生成が可能なのです。

教師あり学習、教師なし学習について

AIの学習には大きく分けて教師あり学習教師なし学習があります。この2つの違いは、学習するデータにラベルが付与されているかどうかです。

ラベルとは、データに対する正解やカテゴリーのことを指します。犬の画像であれば「犬であること」を示すものです。

それぞれの目的や活用例について簡潔にまとめました。

学習手法説明主な目的活用例
教師あり学習ラベルありの訓練データから情報を学ぶ正確な予測や分類をおこなう・画像認識
・スパムメールの判別
教師なし学習ラベルなしのデータを用いて情報を学ぶデータ内の隠れたパターンや構造を発見・異常探知
・データのグループ分け

このように、それぞれで適切な用途があり、使い分けられています。

画像生成AIの主な手法

画像生成AIにはさまざまな技法があります。代表的なものを見ていきましょう。

VAE(変分オートエンコーダ)

VAEは教師なし学習によって画像を作る手法です。データの特徴を学習し、似ている画像や新しい画像を作成します。リアルな顔写真や、表情変化のシミュレーションを作成するのに便利です。

また、元のデータと作られたデータとの違いを計測する技術もあり、異常探知にも応用されています。小さな欠陥を見つけることができるこの技術は、工場や医療機関において役立っています。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

GANは、生成モデル識別器という、2つのAIモデルから成り立つ手法です。この2つはライバルのような関係だと思ってもらえればわかりやすいでしょう。

システムの中では、生成モデルが作り出した画像を、識別器が本物か偽物かを判別するという工程が行われています。互いに比較と判定を繰り返すことによって、画像の精度を上げていくということです。

GANは学習データをもとに、実在しないものも生成が可能です。たとえば、新しいファッションデザインの提案や、映画やゲーム内での背景や人物の生成などに使うのが有効です。

StyleGAN、StyleGAN2

StyleGANは、GANをもとにした画像生成モデルです。従来よりも高品質な画像を作れるよう開発されました。特に顔写真などリアルな人物像の生成に強く、一目では生成画像だと判断するのが難しいとされています。その精度は「写真が証拠になる時代は終わった」と言われるほどです。

StyleGANを改良したものがStyleGAN2です。品質や操作性が大きく向上しているため、より高度な画像を作れるでしょう。

Pix2Pix

同じくGANをベースに開発されたモデルとして、Pix2Pixがあります。Pix2Pixは、2枚の画像をペアで学習させ、それぞれの関係性を踏まえて1枚の画像を生成します。テキストからではなく、画像から画像への変換をおこなうことが最大の特徴です。

白黒写真をカラー写真に変換できたり、線画イラストを入力すると着色された絵を生成できます。

DALL・E

チャットボット『ChatGPT』を開発したOpenAI社が、2021年に発表した画像生成モデルです。ChatGPT開発のノウハウが活かされ、テキストの複雑な指示を理解する特性を持っています。

おすすめのツールサービス4選

ここからは、おすすめの画像生成AIのツールについて紹介します。

Stable Diffusion

Stable Diffusion Online

Stable Diffusionは人気の画像生成AIの一つです。無料で使用できることから、多くの人が愛用しています。

テキストを入力すると、テキストの内容に沿った画像を十数秒で生成します。使い方がシンプルでわかりやすいため、初めて画像生成AIを使用する人におすすめのツールです。

無料版だと1日10枚まで生成できます。また「コミックブック」や「ファンタジー」など、画像のスタイルを選ぶこともでき、多様な画像を作ることが可能です。

こちらは「わたあめの雲」と入力し、画像スタイルを「アニメーション」として生成した画像です。

Midjourney

Midjourney

MidjourneyはアメリカのAI研究チームが開発したモデルです。画像生成AIの先駆けと言われ、世界中で利用されています。

これまで利用の際には、チャットサービスであるDiscordのアカウント登録が必要でした。しかし2024年には待望の公式Webツールが登場し、ブラウザから直接アクセスが可能となりました。

Generated Photos

Generated Photos

Generated Photosは人の顔や全身の画像を生成するのに特化したツールです。事前に生成された200万を超える画像を組み合わせてカスタマイズし、人の画像を作ることができます。生成した画像は著作権フリーとなり、自由に使えることが魅力です。

にじジャーニー

にじジャーニー

にじジャーニーはアニメやマンガスタイルの画像生成に特化したツールです。ジャーニーという名前や、Discordを通じて利用可能という点からわかるように、Midjourneyをベースに設計されています。

絵が描けなくてもイラストを楽しむことができる点が魅力です。クリエイターに留まらず、多くの人が創作活動に利用しています。

画像生成AIの課題

このように、画像生成AIはあらゆるシーンで有用です。しかしながら、活用する上での課題がいくつかあります。

法律上の問題

画像生成AIを使用するにあたり、特に考慮すべき問題は著作権です。

学習データの中には著作権がある画像が含まれていることもあり、AIが作った画像が既存の作品と酷似してしまうことも少なくはありません。そういった画像を使用すると著作権侵害の恐れがあり、注意が必要です。

また、シンプルな指示で作った画像は類似したり、あるいは全く同じ画像となる可能性もあります。このような場合に、生成された画像は誰のものなのかという議論も起こっています。

法律上の問題は多々ありますが、画像生成AIは新しいコンテンツのため、法制度が整っていないのが現状です。

品質のばらつき

AIが学習に使用したデータセットが不十分の場合、思い通りの画像が得られないことがあります。このため、データの偏りや量不足などが起きないよう、十分にデータセットをおこなうことが重要です。しかしデータセットには反復的な調整が必要で、理想の画像を生成するまでに時間と手間がかかることがあります。

フェイク画像による悪用

誰でも高精度な画像を生成できることから、悪用されることが多いです。特に生成AIによって作られた「架空の災害動画や画像」が災害時にSNS等で拡散されるケースが増えてきています。

記憶に新しい例では、2022年9月の台風15号による豪雨被害です。「ドローンで撮影した静岡県内の様子だ」とする画像がSNS上で拡散され、混乱を招きました。よく見ると不自然な点はいくつか見受けられるのですが、素人目だと瞬時に見抜くことは難しいのが現状です。それほど、昨今の画像生成AIは発達しています。

災害デマの投稿は刑事罰に問われる可能性もあり、逮捕者も出ています。しかし、災害が発生するたびにフェイク画像が出回るケースが後を絶ちません。

まとめ

画像生成AIの仕組み、おすすめのツールについて解説してきました。

AIは時代とともに進化を続け、マーケティングやWeb開発の効率化に貢献してきたと言えるでしょう。課題点に注意して正しく使用すれば、非常に役立つツールであることは間違いありません。

画像生成AIの活用を検討している人は、ぜひとも使ってみてください。

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