ウーバー3300人解雇の裏で AIがSlackの質問に答えていた
ウーバーの社内SlackではAIチャットボット「Genie」が従業員の質問に答えていました。同社は2025年のブログ記事でGenieが「社内文書から適切な出典を付けた迅速な回答」を提供すると説明しています。以前はマネージャーが担っていた指導の多くをGenieが代わっていたといいます。
同社は2026年9月初めに約3300人を解雇しました。CEOのダラ・コスロシャヒ氏は直属の部下が1〜2人しかいない管理職のチームを減らす目的だと説明し、AIには触れていません。解雇された6人がBusiness Insiderの取材で社内のAI利用の実態を証言しました。
カスタマーサービスではGleanでドライバーや乗客からの問い合わせに対応していました。広告部門ではChatGPTやGeminiで顧客との打ち合わせ準備をするよう管理職から求められていました。

- 2025年ウーバーがAIチャットボット「Genie」のブログ記事を公開
- 2026年前半Claudeなどの利用枠を削減し始める
- 9月初め約3300人をレイオフ。CEOは管理職層の整理と説明
- 先週CEOがカンファレンスで「生産性の追い風を活用」と発言
仕事が5分の1になった社員も Claude予算は半年で尽きた
ある従業員は解雇の数週間前まで仕事にかかる時間が以前の5分の1になったと話しています。「AIは私たちの多くにとって橋の下に仕掛けられたダイナマイトのようなものだった」と語りました。
一方で同社は2026年前半にClaudeなどの利用枠を削減し始めました。幹部は年間のClaude予算をすでに使い切り、AIへの支出に見合う生産性向上が得られていないと述べています。
社内には矛盾する空気もありました。GenAIチームの社員は「ChatGPTに自分の仕事をさせないように」と注意された一方で「ChatGPTを使っているだけならなぜ給与を払うのか」と問われていたと証言しています。
コスロシャヒ氏は翌週の業界カンファレンスで「生産性の面で追い風が吹いている状況を活用できる機会を見い出した」と語りました。解雇発表のメモでは触れなかったAIに1週間後に言及した形です。
ウーバーで使われていたAIツール
| ツール | 用途 | 部門 |
|---|---|---|
| Genie | Slackの質問応答 | 全社 |
| Glean | 顧客サポート対応 | CS |
| ChatGPT | 打ち合わせ準備 | 広告 |
| Gemini | 打ち合わせ準備 | 広告 |
| Claude | 業務効率化 | 全社(予算削減) |
ウーバーの管理職が消えた構造は日本の現場にもある
ウーバーで消えたのは情報を中継する管理職です。Slackの質問に答える・打ち合わせの材料を作る・チームへ指示を出す仕事をGenieやGleanが引き受けた結果、部下の少ないチームごと解体されました。
日本でもCopilotやChatGPTで部下への指示書や会議の要約を作っている管理職は増えています。AIに聞くほうが速く正確な答えが返るようになると部下がマネージャーに相談する頻度は下がります。相談されない管理職は組織図の上では残っていても実質的な仕事がなくなります。
ウーバーの話は「AIで効率が上がった」では終わりません。AIに業務を移した結果その業務を担う人が不要になるという流れです。同じ構造がある職場は日本にもあるはずです。

自分の仕事のAI比率を1回数えてみるのが先だ
ウーバーでは「仕事が速くなった」社員がその直後に不要とされました。AIで業務が変わったとき自分の立場がどうなるかは先に確かめておきたいところです。
できることが1つあります。自分の1週間の業務を書き出しAIに任せられるものとそうでないものに分けてみることです。AIに移った割合が大きい業務が自分の主な役割であれば縮小の候補に入りえます。
逆に交渉・判断・社内の利害調整のように人でないとできない仕事が主であれば影響は小さいはずです。自分の仕事がどちら寄りかを数えてみるのが最初の一歩です。
- Genie
- ウーバーが社内で使うAIチャットボット。社内文書から出典つきの回答を返しSlackのチャンネルに組み込まれていた
ウーバーが示したのは「AIで効率を上げた人を組織が不要と判断する」という流れです。Slackの質問対応やサポート文の作成など定型に近い仕事から人が外れました。日本でCopilotやChatGPTを配っている企業の情報システム部門は、AIが担える業務がどの管理職の仕事と重なるかを先に洗い出しておきたいところです。「使わせたら人が減る」のか「余った時間を別の仕事に回す」のかは経営判断ですが、現場に決定が下りてからでは遅いと感じます。
この記事の出典
補助資料
- [1]Business Insider Japanこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月21日
