ドコモの手続き窓口にPKSHAの聞き返すAI 短い一言から用件を絞る
NTTドコモは契約と料金の手続き窓口「オンライン手続きサポート」に、利用者へ聞き返しながら用件を絞る対話AIを入れた。仕組みを出したのはPKSHA Technologyで、AI SaaS「PKSHA ChatAgent」の対話AIエージェント機能を使う。キーマンズネットが9月27日に伝えた。
これまでのチャットは、短い入力だと何を知りたいのかを絞りにくかった。正確に答えようとすると案内の文が長くなり、利用者が自分で手続きを探す手間が残っていた。
新しいAIは生成AIで利用者とやりとりし、手続きの情報やFAQを見ながら案内を絞る。発表の例では「料金変更」と入力すると、AIが対象の回線や希望の時期を確かめてから該当する手続きへ案内する。専門用語を調べなくても普段の言葉のまま聞ける作りだ。
9月27日に実物で試した 「料金変更」に4.7秒で聞き返しが来た
AInformationは9月27日の午前、ドコモのオンライン手続きサポートでチャットボットに話しかけた。ログインしなくても質問を送れて、入力欄は70文字までだった。最初のあいさつには「AIで回答するため適切な結果が表示されないおそれがございます」と断りがある。
3往復で送った言葉と返事の速さ
「料金変更」とだけ送ると、4.7秒で返事が来た。中身は「どのサービスの料金変更をご希望でしょうか?」という聞き返しで、携帯電話の料金プラン・dカードの支払い・ドコモ光の料金を例に挙げていた。別の回に送り直したときも、4.3秒でほぼ同じ聞き返しが返ってきた。
| 回 | 送った言葉 | AIの返事の中身 | 返事まで |
|---|---|---|---|
| 1往復目 | 料金変更 | どのサービスの料金変更かを聞き返した | 4.7秒 |
| 2往復目 | 携帯電話の料金プラン | My docomoにログインして手続きするよう案内した。大半はU15はじめてスマホプランから変える話だった | 4.6秒 |
| 3往復目 | 来月から今より安いプランにしたい | どのサービスの料金プランかをもう一度聞き返した | 4.6秒 |
検証の条件:2026年9月27日午前・ログインなし・パソコンのブラウザから1回ずつ送った。返事の時間は画面を0.5〜1秒おきに見て、文字が出そろうまでを測った。AIの返事は送るたびに言い回しが少し変わる。
1往復目は発表のとおりに動いた。

携帯電話と答えても3往復目は同じ質問 前の答えを引き継がなかった
2往復目は名前を出していないU15向けプランの話が大半
「携帯電話の料金プラン」と答えると、AIは料金プランの変更はMy docomoにログインして手続きするよう案内した。返事の下にはMy docomo・ahamoサイト・ビデオ通話で相談の3つのリンクが付いた。ここまでは筋が通っている。
ただ返事の大半は、こちらが名前を出していない「U15はじめてスマホプラン」から他のプランへ変える話だった。変える先ごとに手続きの場所が分かれるという説明と、データ量増加特典が終わるという注意書きが続いた。
3往復目は1往復目と同じ聞き返しに戻った
3往復目に「来月から今より安いプランにしたい」と送ると、AIはまた「どのサービスの料金プランについてご検討でしょうか?」と聞き返した。2往復目で携帯電話と伝えたことは引き継がれていない。1つ答えを返すと、話の流れがそこでいったん切れる作りのようだ。
発表の例にある回線や希望の時期を聞く質問は、3往復のあいだ1度も出てこなかった。「来月から」と時期をこちらから書いても、返事では触れられなかった。

導入を考える会社は2往復目を試す 料金は発表に書かれていない
PKSHA ChatAgentはWebサイトに数行のタグを埋め込めば入れられる。深層学習と自然言語処理を使った対話エンジンで、累計の対話回数は7.5億回を超える。
生成AIは問い合わせが集中すると返事が遅れやすい。ChatGPTでも混み合うと「リクエストが多すぎます」と出て待たされることがある。PKSHAは処理能力を前もって確保する「レスポンス安定化」オプションを用意し、混む時間帯の待ち時間を抑えるとしている。
入れる前に実機で見る4つの点
料金は今回の発表に書かれていない。入れるかを決める前に、見積もりと合わせて次の4点を確かめておきたい。
- 答えを1つ返したあとの2往復目と3往復目で、前の答えを引き継ぐか
- 聞き返す項目が、自社の手続きの分け方(サービス・回線・時期)に合っているか
- 混む時間帯の返事の速さと、レスポンス安定化のような枠が要るか
- 個人情報を入れさせない断り書きと、オペレーターやビデオ通話へ移る道があるか
PKSHAはこの仕組みを通信のほかの業界の手続き窓口へも順に広げる方針だ。利用者が汎用のAIに窓口を聞いて偽の番号へ誘われる攻撃も出ており、自社サイトに公式の聞き先を置く会社は増えそうだ。
- 対話AIエージェント
- 生成AIで利用者とやりとりして質問の意図を確かめ、手続きの情報やFAQを見ながら要る案内だけに絞って返す仕組み。
- レスポンス安定化
- 問い合わせが集中しても返事が遅れないよう、AIの処理能力を前もって確保しておくPKSHA ChatAgentのオプション。
聞き返すAIの出来は1往復目より2往復目以降で決まるとみている。今回の窓口はログインなしで使えるぶん、AIには契約の中身が見えていないはずだ。サービスの種類までは絞れても、回線や時期まで詰めるにはMy docomo側とつなぐ設計が要りそうだ。自社で入れる会社は、答えを1つ返したあとに話を引き継ぐかを発注の前に実機で確かめておきたい。追うべき数字は自己解決の数より、同じ質問を何回させたかのほうだ。
- ドコモのオンライン手続きサポートのAIはログインなしで使える?
- ログインしなくても使える。AInformationが9月27日に試したところ、ページを開くだけでチャットボットに質問を送れた。入力は70文字までで、AIの答えが正しくないおそれがあるという断りも付いている。料金プランの変更そのものは、返事に出るMy docomoへのリンクから本人がログインして進める形だった。
- PKSHA ChatAgentを自社サイトに入れるには何が要る?
- Webサイトに数行のタグを埋め込めば入れられるとPKSHAは説明している。問い合わせが集中する時間帯に備えて、処理能力を前もって確保するレスポンス安定化オプションもある。料金は今回の発表に書かれていないので、見積もりを取って確かめることになる。
- ドコモのAIは回線や時期まで聞き返してくれる?
- AInformationが9月27日に試した3往復では、回線や時期は聞かれなかった。聞き返したのはどのサービスの料金かという点だけで、1往復目と3往復目で同じ質問が出た。発表では「料金変更」に対して回線や希望の時期を確かめる例が示されているので、聞き方は相談の中身で変わる可能性がある。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月27日
