十数年前ならAI(人工知能)は、SF世界の産物だったでしょう。そんなAIが私たちの生活を大きく変えようとしているのです。特にビジネス業界においては、AI抜きでは語ることができなくなっていますね。
しかし、多くの人はAIを特別な存在であり、難しいツールではないかと思っているのではないでしょうか?実は誰でも専門的な知識を少しばかり習得することで、AIそのものを構築することも不可能ではありません。また、今AI業界を賑わせている「生成AI」を活用することでも、AIを作ることができる可能性があります。この記事では「AIの作り方」に焦点を当てて、解説していきましょう。
AI(人工知能)でどんなことができる?
早速ですが、AI(人工知能)では、どんなことができるのでしょうか?具体的には、下記のようなことが期待できます。
- ・故障予知・異常検知
- ・本人認証
- ・ターゲット分析
- ・音声認識
上記のようなことができますが、AIをベースにしたサービスやツールでは、「チャットボット」がよく知られていますね。一般消費者からの質問対応のためにコールセンターで導入されていたり、企業のイントラ内で社員向けのQ&AとしてAIが活用されています。しかし、これらはほんの一例に過ぎず、今後、AIの可能性はさらに広がってくる可能性を秘めているのです。
AIで実現できる具体的な事例
ここから前章で触れたAIでできるケーススタディを少し詳しく見ていきましょう。
故障予知・異常検知
AIで実現可能なケースとしては、「故障予知」「異常検知」が挙げられます。このケースは主に企業の工場内に潜在しているニーズですが、工場では常に設備が正常に稼働しているかどうかが企業の経営の根幹を担っています。
そのため少しでも設備に異常が発生することを避けなればなりません。そのためAIを使って、機械が故障する可能性がないかを把握するのです。あらかじめAIに設備の稼働状態を学習させることで、少しでも異常が起こった際に、異常を検知することができます。
故障予知も可能なため、製品製造中に機械トラブルでライン停止のリスクを顕現することも可能です。その結果、どのようなトラブルが起きるのか予見できるので、事前に対策を打つことができます。
本人認証
人物の画像を読み込んで、対象の人が本人なのかジャッジする本人認証もAIが得意とするところです。これはAIの画像認証が可能にさせた運用ケースですが、あらかじめ社員の顔写真を登録してAIに学習させることで、実現できるもの。
社員通用口では画像認証を使ってオフィスや工場の入出扉を自動で制御することができたり、受付で顧客の認証をさせて、営業セクションに自動でコールするなどの連携システムを構築することができます。
ターゲット分析
AIを活用してターゲット分析をすることもできます。ビッグデータという非常に膨大なデータを取り込んで、色々な観点で分析することが可能なため、顧客情報をAIに分析させていくことで、顧客の嗜好の傾向を把握することができるのです。
年齢・性別などの条件で分類・区別することもできるため、人では多くの時間を費やしていた作業でも、AIを活用することで、短時間に結果を導き出せますね。この機能を使い、マーケティング活動の中で、ターゲゲット分析も簡単に実現できるわけです。
音声認識
AIには音声を認識できる技術も有しています。この機能を使って音声をテキスト化したり、機器制御を音声で行うことも可能になってきますね。
私たちの身近なところでは、スマホで使われていることが知られています。SiriやGoogle’s Geminiがこれに当てはまりますが、AIの音声認識機能がベースになっているのです。この他にも自動応答や翻訳の運用でも応用されているので、音声の認識精度がとても高いことが分かるでしょう。
AIは誰でも作ることはできる?
AIを活用することで、日常の業務にかかる時間や手間を大幅に削減したり短縮したりすることができます。そのため自分が従事している作業の中で、「使えるAIを作ってみたい」と思うこともあるかもしれません。
では、このAIを自分たちで開発して作ろうすることはできるのでしょうか?
何もない状態からAIを作るのは非常に難しい
自らAIを作るにしても、何もないゼロの状態からスタートすることは、非常にハードルが高いです。プログラムの知識が全くない人が、オリジナルのAIをゼロから作成することは、難易度の高いことでしょう。
まずは、初心者でも取り組める簡単なAI作成モデルからスタートすることがいいかもしれません。
APIやツールを利用すれば比較的手軽に作れる
具体的には無料のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を利用してみるのです。従来、AIモデルを作成するためには専門的な知識が必要だったので、プログラミング言語に精通している必要がありました。しかし、近年ではAPIのおかげで、比較的簡単にAIモデルを作れるようになりました。
ChatGPTなどの生成AIを活用したAIの作り方
生成AIを活用して、AIを作ることも可能です。生成AIは、深層学習(ディープラーニング)というAI独自の学習機能により、新たな情報・コンテンツを作り出す技術のことですが、よく耳にするChatGPTもその1つ。ChatGPTの言語処理機能は大変優れており、これを駆使して誰でも無料で比較的簡単にAI技術を体験することができます。
例えば自分だけのチャットボットを制作してみる場合でも、ChatGPTがサポートしてくれます。このツールには膨大な情報を持っており、しかもディープランニング機能による独自学習によって、利用者の質問や要求に対して関連した情報を回答してくれるのです。
ChatGPTのAPIを使って、オリジナルのコンテンツ生成ツールを開発することが可能なので、プログラムの知識がない人でも無料ツールを参考にしながら、生成AIを利用することで自分の望むAIAを形にすAることができます。
AIを作る前に知っておくべきこと
生成AIを使うことで、プログラムに関する知識が少ない人でも、比較的簡単にAIを作ることは不可能ではありません。とは言ってもやはりAIを作る前に、これから述べることは知っておいた方がいいでしょう。
1.どのようなツールやサービスが使えるかを知っておく
どんなにプログラム知識がなくても、「生成AIを利用すれば何とかなる」と簡単に言うことは早計でしょう。実際にAIを作成する際にどのようなツールやサービスが使えるのかを知っておく必要があります。
コーディングができなくてもディープラーニングをベースとした生成AIでAIを作成できる無料ツールがありますが、自分が考えているAIを作成できるためのツールが本当に存在しているのかどうかを確認しておかなければなりません。
2.APIやフレームワークが活用できる
先ほども触れましたが、始めてAIを作る人は、「API」「AIフレームワーク」を使うことを知っておくと便利ですね。これらのツールを使う場合はある程度、ロジック的な仕組みやオープンソースのプログラミング言語であるPythonなどを勉強しておく必要になることがありますが、これらを利用することで、自分が作ったAIを他サービスと連携させることができるので、勉強する価値はありますね。
3.一定のプログラミング能力が必要
3点目は、一定レベルのプログラミング能力が必要ということ。生成AIを活用することで自分オリジナルのAIを作ることは不可能ではありませんが、基本的には「Python」などのプログラミング言語を知っておいた方がいいですね。
これまでプログラムの勉強をしたことのない初心者でも、他のプログラミング言語より理解しやすい構文になっているので、コーディングがしやすいです。
4.AIを公開するために必要なスキル
またAIを作る方法だけでなく、作ったAIを公開するスキルも習得しておきたいポイントです。どのようなスキルかと言うと、「HTML」「CSS」「JavaScript」などの言語が挙げられます。Webサービスとして公開するためのもの。作ったAIを公開して運用するためには、これらのスキルを学んでおくことが運用の成功を大きく左右してくるので、ぜひマスターしておきたいものです。
AI(人工知能)の基本的な作り方4つのステップ
ここまで説明しても、どのように進めていけば、具体的にイメージできない人もいらっしゃるでしょう。そこでここからAIの基本的な作り方を4つのステップに分けて説明していきましょう。
第1段階:AIの活用目的を明確にする
出典:https://www.hai2mail.jp/bridge/column/marketing/20230916.php
自分独自のAIを作る前にやっておきたいことは、「AIをどのように活用するのかを決めておくこと」です。AIを活用するイメージを具体的に描いておくことで、作る時の姿勢も積極的になってきますね。
第2段階:AIに学習させるデータを収集する
出典:https://data.e-gov.go.jp/info/ja
どのように活用したいかをイメージできたなら、次にAIに学ばさせたいジャンルのデータを集めることを始めてください。AIはゼロの状態でまだ何の情報も持ち合わせていません。無の状態から様々なデータを提供して学習させるのです。
ここで重要なのは、AIが今後、的確な判断をしやすいためのデータを集めて読み込ませることです。闇雲に関係のないデータばかりを与えていると、AIが判断する精度が低くなってしまいます。
このままだと曖昧な分析しかできないため、できるだけ精度の高い情報をAIに提供することが重要なのですが、もし、自分でデータを集めることが難しいなら、無料で使えるAPIやデータセットを使うことがいいですね。ネットで「無料 データセット」というキーワードで検索していると、色々な情報が表示されるので、ぜひ参考にしてください。
第3段階:AIモデルの作成
出典:https://aismiley.co.jp/ai_news/lstm/
第3段階では、AIモデルの作成に入っていきます。別名「機械学習モデル」とも呼ばれていますが、これは未知のデータセットからパターンを見つけて、一定の判断を下すことができるプログラムのことです。
AIモデルを作成することでAI自身が経験を通して学習していくことができますが、AIモデルにはいくつかの種類があります。具体的なAIモデルは以下の通りです。
- ・LSTM
- ・CNN
- ・RNN
- ・ロジスティック回帰
- ・binary search()
- ・SVN(サポートベクターマシン)
- ・SVN(サポートベクターマシン) 非線形カーネル
- ・MLP(多層パーセプトロン)
- ・k近傍法(K-NN)
- ・ランダムフォレスト
ただし、上記のAIモデルには、それぞれ得意分野があるため、目的にマッチしたモデルを使い分けることが必要です。
第4段階:Webサービスに組み込む
AIモデルが作成できると、次にAIをWebサービスに組み込むことになります。これが最終段階の作業となりますが、公開して運用できるようにするための作業です。
ただし、この作業を進めていくためには、前述したように「HTML」や「Python」などが必要になってきます。そのためAIに関する知識だけでなく、Webサービス公開・運用に関する知識も必要になってくることも念頭に置いておかなければなりません。
まとめ
AIを自分で作るためには、一定の専門知識が必要になってきます。ChatGPTなどの生成AIを使ってAIを作ることも可能ですが、やはりプログラミング言語やサービス公開に関するHTMLなどの知識をマスターしておくことを考えておいた方がいいでしょう。
筆者も過去にHTMLを使って簡素なホームページを作った経験がありますが、今ではインターネットでAI作成に必要なノウハウもたくさん公開されているので、ぜひ参考にしてください。