Appleが10月2日に予告 フルディスクアクセスの許可を厳しくする
Appleは10月2日(米国時間)、開発者向けサイトに「Updates to Full Disk Access in macOS」を載せました。macOSのフルディスクアクセスをアプリに渡すときの確認を増やす方針です。
Appleによると、この権限を本当に渡したい人だけがはっきりした操作を経て渡せるよう制御を追加します。理由としてAppleは、AIエージェントの能力と自律性が高まるほどこの権限の危険は大きく増えると書いています。
Appleは、一部の開発者がこの権限でファイルやメールから閲覧履歴までを利用者の理解がないまま開いていると指摘しました。メッセージのアプリでは相手のプライバシーまで損なうおそれがあるとしています。

- 9/19エイテン氏がMuseの件をThreadsに投稿
- 9/19Metaのシングルトン氏が3段階の許可と反論
- 10/2Appleが開発者向けサイトで方針を公開
- 10/3日本語版の開発者ニュースにはまだ載っていない
フルディスクアクセスで読めるもの メールもバックアップも入る
フルディスクアクセスを渡したアプリは、Mac上のすべてのファイルにアクセスできるようになります。Appleの日本語のユーザガイドでは、メールとメッセージにSafariとホームなどほかのアプリのデータが含まれると書かれています。Time Machineのバックアップと特定の管理設定のデータも対象です。
もとはバックアップのアプリを正しく動かすための権限で、プライバシーを守る仕組みの大部分をすり抜けるとAppleは説明しています。
今の仕組みでも、アプリが自分から確認の窓を出してこの権限をもらうことはできません。Appleのセキュリティガイドの表で、フルディスクアクセスの「アプリからユーザへのメッセージ」の欄は×です。利用者がシステムのプライバシー設定を自分で変える欄にチェックが付いています。
今回の方針は、この手順にもう一段はっきりした操作を足す話です。

9月にMuseで議論 Metaは3段階の許可が要ると反論した
Appleは発表で会社名もアプリ名も挙げていません。ただ9月には、MetaのAIエージェント「Muse」のMac版でフルディスクアクセスとメッセージの扱いが議論になっていました。
Inc.のコラムニストのジェイソン・エイテン氏は9月19日にThreadsで、MuseがMacの通知からメッセージの中身を拾い黙って会話に使っていたと投稿しました。Muse自身が「そもそも許可なくこれを進めてしまい、申し訳ない」と答えた画面も見せています。
Metaのデビッド・シングルトン氏は同じ日に反論しました。メッセージを読むにはフルディスクアクセスとMuse側のコネクタの両方をオンにする必要があるという説明です。アプリの許可とmacOSの保護による3段階の手順で、バグがあっても回り込めないとしています。
TechCrunchは、ChatGPTのMac版アプリの欠陥で機密データが盗まれかねなかったというWiredの報道にも触れています。デスクトップで動くAIの権限は、Museだけの話ではありません。
日本の読者に近いのは、Museそのものより手元のAIアプリに渡した権限のほうです。AInformationが9月27日に調べたとき、日本のApp StoreでMuseは0件でした。

導入日はまだ出てこない macOSのシステム設定で渡し先を見る
AInformationは10月3日にAppleの発表ページを開いて全文を読みました。本文は2段落だけです。探しても出てこなかったのは、導入の時期と対象のmacOSの版です。
追加される操作がどんな画面になるかも書かれていません。日本語版のApple Developerのニュースにも、10月3日の時点でこの発表は載っていませんでした。
| Appleの発表(10月2日) | 書かれていた中身 |
|---|---|
| 対象 | macOSのフルディスクアクセス |
| 導入の時期 | 書かれていない |
| 対象のmacOSの版 | 書かれていない |
| 名指しした会社 | なし |
Appleの開発者向けページ(英語)をAInformationが10月3日に読んで整理しました。
発表を待たずにできるのは、いまどのアプリに渡しているかを見ることです。Appleのユーザガイドでは、アップルメニューの「システム設定」からサイドバーの「プライバシーとセキュリティ」を開きます。
- 「フルディスクアクセス」の一覧でオンのアプリを確かめる
- 入れた覚えのないAIアプリや使っていないアプリを書き出す
- メールやメッセージを読むコネクタがあるAIアプリは読ませる範囲を決める
- 会社のMacはAIアプリに渡してよい権限を情報システム部門と決める
すでに渡した権限をAppleがどう扱うかも、まだ分かっていません。次のmacOSの更新でこの一覧の画面が変わるかどうかが、最初に見るところになります。
- フルディスクアクセス
- macOSの権限の1つ。渡したアプリはメールやメッセージのデータとバックアップを含め、Mac上のすべてのファイルにアクセスできる
- コネクタ
- AIエージェントをメッセージなど別のアプリのデータにつなぐ部品。Museではオンにしたときだけメッセージを読むとMetaは説明している
会社でAIエージェントを試す部署では、どのアプリにフルディスクアクセスを渡したかを情報システム部門がつかめていない例が多いとみています。今回の発表は渡すときの操作を重くする話で、すでに渡した権限をどうするかには触れていません。AIアプリに求められるまま渡す流れだと、顧客とのメッセージが入った業務用のMacで同じことが起きかねません。メールやメッセージを読ませてよい業務とそうでない業務を先に分けておくと、更新のあとに慌てずに済みそうです。
- Macのフルディスクアクセスはいつから厳しくなる?
- まだ日付は出ていません。Appleが10月2日に開発者向けサイトで出した発表は方針だけで、導入の時期と対象のmacOSの版は書かれていません。AInformationが10月3日に確かめた時点では、日本語版のApple Developerのニュースにも載っていませんでした。追加の操作がどんな画面になるかも分かっていません。
- フルディスクアクセスを渡すとアプリは何を読める?
- Mac上のすべてのファイルにアクセスできます。Appleの日本語のユーザガイドでは、メールとメッセージにSafariとホームなどほかのアプリのデータが含まれます。Time Machineのバックアップと特定の管理設定のデータも対象です。Appleはもともとバックアップのアプリのための権限で、プライバシーを守る仕組みの大部分をすり抜けると説明しています。
- AIアプリにフルディスクアクセスを渡したか確かめる方法は?
- アップルメニューの「システム設定」から「プライバシーとセキュリティ」を開き、「フルディスクアクセス」の一覧を見ます。Appleのセキュリティガイドでは、この権限はアプリが確認の窓を出して求めることができません。利用者がシステムの設定を自分で変える必要があります。覚えのないAIアプリが入っていたら外すかどうかを決めておきたいところです。
- Meta Museは許可なくメッセージを読んだのか?
- 言い分が分かれています。Inc.のジェイソン・エイテン氏は9月19日に、MuseがMacの通知からメッセージの中身を拾って会話に使ったと投稿しました。Metaのデビッド・シングルトン氏は、フルディスクアクセスとMuse側のコネクタの両方をオンにしないと読めないと反論しています。Appleは10月2日の発表で特定の会社を挙げていません。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月3日
