架空の統計サイト ChatGPTが30日で7万2000件読んだ
ChatGPTが質問に答えるときに使う取得役「ChatGPT-User」が、すべて架空の統計を載せたサイトに直近30日で約7万2000件アクセスしていました。サイトを作ったのはAI検索ツールの開発に関わる研究者のメテハン・イェシルユルト氏です。GIGAZINEが同氏の検証結果を伝えています。
同氏は新しいドメインを買い、GPT-4.1を使って1日で5万ページの統計を作りました。200カ国のSEO・SNS・ネット通販などの数字をうたっていますが、正しいかどうかは一切確かめていません。
作った直後はGoogleのアップデートで検索からの表示が1日数回から数十回まで落ちました。ところが7カ月後に見直すと、30日で60万件以上のボットのアクセスがあり、そのうち約7万2000件がChatGPT-Userでした。

引用は370以上のサイトと論文へ 引かれるほど信用が増す
架空の数字は、AIの答えを通って人の書いた文書にまで入り込んでいました。stateglobe.comは7カ月で370以上のサイトからリンクされ、その中にはShopifyのような有名ブランドも含まれます。
引用先は学術論文・カタール最大の金融グループの投資調査・インドの経済誌にまで及びました。同氏は、権威のある場所に引かれるたびにサイトの信用が上がってしまう点を心配しています。
同氏によると、ChatGPTはGoogleの上位10件をそのまま写すのではなく、質問を自分で言い換えて候補を集め、並べ直してから根拠に使います。検索の順位が低くても、AIの答えには出てくるということです。同氏は「AIは処理時間とコストの制約が厳しいため、基本的には数値の正しさを検証しません」と話しています(GIGAZINE)。

日本向けは299ページ 編集部が開くと「架空」の文字は無かった
AInformation編集部が10月21日にサイトを開くと、日本向けの統計ページが299本並んでいました。「AIのハルシネーション率」「AI検索の普及率」「ゼロクリック検索」など、ちょうど企画書に貼りたくなる題ばかりです。
日本のハルシネーション率のページには「4.2%」「日本企業のAI導入率78%」「政府のAI投資3.2兆円」と書かれていました。調べ方の欄はITU・世界銀行・Statistaなどの公開データを突き合わせたと説明しています。
同氏は架空のデータだと断る文を今は載せていると話しています。ただ編集部が開いた4ページ(トップ・日本の一覧・統計の1ページ・記事の一覧)で見つかったのは「2026年の推計と予測で、実際の数字と違うことがある」という断り書きだけでした。架空や実験という語はどこにもありません。AIがこのページを引いたとき、読む側が架空だと気づく手がかりは無いということです。
資料に入れる前に AIが出した数字は出どころを2つ開く
AIの答えに出た数字は、リンク先を開いて誰が調べたかまで見てから使うのが安全です。とくに国別・業界別の細かい統計は、今回のように1日で何万ページも作れてしまいます。
- リンク先が官公庁・業界団体・調査会社の元の報告書かを見る
- 調べ方の欄に、いつ・何人に・どう聞いたかが書いてあるかを見る
- 同じ数字を別の出どころでもう1つ探す。見つからなければ使わない
ChatGPTに出典つきで答えさせても、出典そのものが作り物なら防げません。社外へ出す提案書や記事に数字を入れるときは、最後に人が元の報告書を開く工程を1つ残しておきたいところです。
- ChatGPT-User
- ChatGPTが利用者の質問に答えるときに、ウェブのページを取りに行くためのエージェント。アクセスの記録にこの名前で残る
企業の研修で市場規模の調べ方を見ていると、ChatGPTに聞いた数字をそのまま提案書へ貼る人が少なくありません。今回の話で困るのは、数字が論文や経済誌に一度載ると、次にAIが引くときには「権威ある出典つき」に見えてしまう点です。社内で決めておきたいのは、社外へ出す資料の数字は元の報告書を人が開いて確かめる、という1行のルールです。AIに出典を付けさせるだけでは、この循環は止まらないとみています。
- ChatGPTが出した統計は資料に使ってもいい?
- そのままは使わないほうが安全です。今回の検証では、GPT-4.1で1日に作った5万ページの架空の統計サイトに、ChatGPT-Userが30日で約7万2000件アクセスしていました。答えに付いたリンクを開き、官公庁や調査会社の元の報告書かどうかを確かめてから使ってください。
- 架空のサイトには架空だと書いてある?
- 編集部が10月21日に開いた4ページでは「架空」の語は見つかりませんでした。あったのは「2026年の推計と予測で実際と違うことがある」という断り書きだけです。調べ方の欄はITU・世界銀行・Statistaを突き合わせたと書いており、ページだけを見て作り物だと気づくのは難しい作りでした。
- Googleで上位でなければAIに引かれない?
- 引かれます。このサイトはGoogleでの表示が1日数回から数十回まで落ちていましたが、ChatGPTからは大量にアクセスがありました。研究者によるとChatGPTは質問を言い換えて候補を集め、並べ直してから根拠に使うため、Googleの順位とAIに読まれやすさは別の話になります。
この記事の出典
補助資料
- [1]GIGAZINEこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月21日
