Gemini 2.0 Flash Thinkingとは?ChatGPTとの比較や使い方などを解説

Gemini 2.0 Flash ThinkingはGoogleが提供する高精度なAIで、ビジネス資料の作成や議事録の要約、プログラミングの補助など幅広い業務に活用できます。

「Gemini 2.0って結局何ができるの?」「ChatGPTとの違いは?」と疑問に思っていませんか。

本記事では、特徴や使い方を説明し、他のAIと比較しながら、実際の活用法をご紹介します。ぜひ、AIを導入する際の参考にしてみてください。

AInformation編集部/藤井俊太のアバター

AI導入コンサルタント

藤井俊太(Shunta Fujii)

AIのスペシャリストとして、最新のAI情報を常にキャッチ、アップデートしている。自らもAI導入コンサルタントとして活動し、主に生成AIを駆使した業務効率化、生産性向上、新規事業開発を行なっている。
AIの総合情報サイト「AInformation」は、AIに関する専門的な情報やサービス・プロダクトを解説、紹介するWebメディア。AIの専門家集団の編集部がAIの活用法、最新ニュースやトレンド情報を分かりやすく発信していいます。藤井俊太のプロフィール

...続きを読む

目次

Gemini 2.0 Flash Thinkingとは?

Gemini 2.0 Flash Thinkingとは、Googleの最先端AIモデル「Gemini 2.0」にもとづいた、高速かつ高性能なモデルです。文章生成はもちろん、コードの補完、要約、翻訳、画像解析など、さまざまな用途に対応しています。Gemini 2.0 Flash Thinkingは、ユーザーが何を求めているのかを先読みし、関連する補足情報や選択肢を提示してくれる高い推論能力を持つのが特徴です。

Geminiについて詳しくは以下の記事で解説しています。Geminiのモデルを比較したい人はぜひ参考にしてください。

Geminiでできること全て紹介!Googleサービスとの連携が凄い

Gemini 2.0 Flash Thinkingの特徴

Gemini 2.0 Flash Thinkingには、注目すべき特徴が3つあります。

思考の流れを可視化する

Gemini 2.0 Flash Thinkingの特徴のひとつが、思考の流れの可視化です。従来のAIは「結果」だけを提示することが多く、ユーザーがその過程を把握しにくいという課題がありました。Gemini 2.0 Flash Thinkingでは、AIがどのような情報を元に、どんなプロセスで結論に至ったのかを視覚的に示すことができます。

ただ情報を出すのではなく、「考える過程」も出力してくれます。これは、アイデアの整理やブレインストーミング、プレゼン資料作成など、論理構成が求められるシーンで有効です。

画像データの処理にも対応

Gemini 2.0 Flash Thinkingは、テキストだけでなく、画像形式のデータを理解・処理できます。例えば、写真をアップロードして内容を説明してもらったり、PDFファイルを解析して要点をまとめてもらうことも可能です。資料作成や調査、アイデア出し、学習支援など、さまざまなシーンで活用できます

思考補助と文脈理解の深さ

Gemini 2.0 Flash Thinkingは文脈を深く理解してくれます。一連の会話の流れを記憶し、前回の指示や話題を踏まえたうえで適切な提案を行うことが得意です。また、ユーザーの意図を汲み取り、「あなたが知りたいのはこれでは?」と先回りして回答候補を提示することもあります。

Gemini 2.0 Flash Thinkingは無料

Gemini 2.0 Flash Thinkingは、Googleアカウントさえあれば無料で利用することができます。一部の上位機能や制限なく使用したい場合は、月額2,900円(税込)のGemini Advancedにアップグレードして使用することも可能です。Gemini 1.5 Pro や Gemini 1.5 Pro with Deep Researchなど、無料プランでは使えないプランも利用できます。

無料プランでは、クレジットカードの登録なしで、すぐに利用を始められます。登録の手間もなく、初めての方でも気軽に試せる点は大きなメリットです。

Gemini 2.0 Flash Thinkingの使い方

ここでは、実際にGemini 2.0 Flash Thinkingを利用する方法について紹介していきます。利用方法としては「ブラウザ版」と「Google AI Studio」の2通りがあり、それぞれの特徴と使い方を押さえておくと便利です。

Geminiの使い方については以下で詳しく解説しています。Geminiのバージョンやプランを知りたい人はぜひ参考にしてください。

Geminiの使い方を徹底解説!利用方法、バージョン、プラン

ブラウザ版

Googleの提供するブラウザ版の利用手順は以下の通りです。

1, 公式サイトにアクセスする

Gemini 2.0 Flash Thinkingにはこちらからアクセスできます。他のモデルは公式サイト下部の「Try Gemini Flash」から確認できます。

Googleアカウントにログインしていない場合はログインし、利用できます。

2, プロンプト(質問)を入力する

「◯◯のレポートを作成したい」「この資料の要点をまとめて」など、自由に入力しましょう。

今回は「日本の人口減少の予測について2000字のレポートを作成してください。」と入力し、「Run」をクリックすると14秒の考察の後、以下のように出力してくれました。

思考過程が英語で出力されることがありますが、

日本語で思考過程を教えてください

と打ち込むと日本語で答えてくれます。

3, 画像やファイルのアップロードも可能

画面右下にある「+アイコン」から、画像やPDFなどを送信することができます。音声やYouTubeのURLもアップロードすることが可能です。

Google AI Studio

「Google AI Studio」は、開発者やプロユーザー向けに設計された、AIとの対話をカスタマイズできる開発・実験環境です。

1, Google AI Studioにアクセス

Googleアカウントにログインしていない場合はログインしましょう。

2, 画面右からモデルを選択します。

Gemini 2.0 Flash Thinkingを利用するには「Gemini 2.0 Flash Thinking Experimental」をクリックしてください。

3, Web版と同様にプロンプトを文章、画像、音声などの形式から入力します。

Gemini 2.0 Flash Thinkingの活用例

Googleが提供する「Gemini 2.0 Flash Thinking」は、文章生成や要約、画像解析、コードの最適化まで対応できるAIです。実務や学習、開発の現場など、あらゆるシーンで活用されており、使い方次第で業務効率やアウトプットの質を大幅に向上させることができます。

ここでは、実際の利用シーンに基づいた活用例を具体的にご紹介します。

資料作成

「新製品Aの特徴をまとめたプレゼン資料を作りたい」と考えている場合、Geminiに「製品Aの強みを3つのポイントで簡潔に説明したプレゼン資料を作ってください」と依頼すると、作成時のポイントを教えてくれます。

「パワポ形式で出力してください」と伝えると、作成時の推奨フォントサイズやファイル名も指示してくれます。スライドごとに必要な情報も同時に出力可能です。

このように、0から資料を作るだけでなく、すでにある情報を整理してくれるので、資料作りが簡単になるでしょう。

論文やレポートの校正

職場や学校で提出する自分の文章が論理的かどうか、説得力があるか不安に思うこともありますよね。

そんなとき、

このレポートを校正してください。論理の流れと表現の自然さをチェックしてください

とGeminiに頼むと、文法ミスや不自然な言い回しを直すだけでなく、「この段落は前後とのつながりが弱いです」や「ここは統計データを補足すると説得力が増します」といったアドバイスをくれます

英語で提出する場合も、

英語論文として自然かつ学術的な文体に修正してください

と指示するだけで、ネイティブレベルの英文にリライトしてくれます。

今回は「日本のお花見の文化についてレポートを作成してください。」と打ち込み、そのレポートを校正してもらいました。

校正結果は、「全体的な修正方針」と「具体的な変更箇所」から指摘してくれます。

図や表を分析する

経営企画部門の担当者が、決算資料(PDF形式)をもとに今期の財務ハイライトをまとめる必要があるとします。ページ数が多く、グラフも複雑で、読み解くのに時間がかかる資料でも、Geminiに「このPDFにあるグラフの読み取り結果と、主要な変化点を要約してください」と指示すれば、図表から数値を抜き出して、増減の理由や注目点まで解説してくれます

今回はChatGPTで作成した仮の決算資料をGeminiに分析してもらいました。

業績ハイライト (2024年度)・財政状態 (2024年度末)・キャッシュ・フロー (2024年度)を出力してくれます。

プログラミングコードを最適化する

Pythonコードの速度改善をAIに提案してもらうこともできます。

たとえば、エンジニアが以下のようなPythonコードを書いたとします。

numbers = [i for i in range(1000000)]

squared = []

for n in numbers:

    squared.append(n**2)

このコードに対して、Geminiに

このコードをもっと高速かつPythonicに改善してください

と依頼すると、次のような提案が返ってきます。

numbers = [i for i in range(1000000)]

squared = [n**2 for n in numbers]

改善案は3つ提示され、それぞれの利点も解説してくれます。コードを比較ができ、処理速度が向上し、可読性も大きく改善されます。また、コードのエラー原因を尋ねたり、他言語に変換したりすることも可能です。

Gemini 2.0 Flash Thinkingと他のAIモデルとの比較

AIを活用する上で、他のAIとどう違うのか知ることは重要です。ここでは、Gemini 2.0 Flash Thinkingと他の主要なAIモデルを比較し、それぞれの特徴や違いについて解説します。

Gemini 2.0 Flash ThinkingとChatGPTを比較

項目Gemini 2.0 Flash ThinkingChatGPT
提供元GoogleOpenAI
利用価格無料Gemini Advancedは月2,900円無料版(GPT-3.5)ChatGPT Plusは月20ドル
文脈理解非常に高精度高精度(会話の記憶機能あり)
処理速度速いモデルによる

ChatGPTは、長文のライティングやコード生成において高いパフォーマンスを発揮します。会話の記憶や長文プロンプトへの対応など、柔軟な会話が可能です。一方で、GeminiはGoogle製品との親和性が高く、GmailやGoogleドキュメント、YouTubeなどとの連携を前提に設計されています。レスポンスが速く、短時間で情報収集や要約を行いたい場合におすすめです。

それぞれのプランや機能ごとの比較については以下の記事で解説しています。詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。

GeminiとChatGPTを徹底比較!機能やプランを詳しく解説

Gemini 2.0 Flash ThinkingとClaudeを比較

項目Gemini 2.0 Flash ThinkingClaude
提供元GoogleAnthropic(アンソロピック)
利用価格無料Gemini Advancedは月2,900円一部無料 Proプランは月額20ドル
強み速度、Google連携、画像対応倫理性重視、長文処理、会話の自然さ

Claudeは、人間らしい会話の自然さと情報の正確性に優れている点が特徴で、企業の社内文書分析や長文データの処理において優れています。一方で、Gemini 2.0 Flash Thinkingは画像処理や図表の読み取りなど、ビジュアルに強みがあります

Claudeについては以下の記事で詳しく解説しています。AIで文章生成や長文の読み取りをしてみたい人はぜひ参考にしてください。

Claudeとは?使い方や活用例、ChatGPTとの比較などを紹介

Gemini 2.0 Flash ThinkingとPerplexityを比較

項目Gemini 2.0 Flash ThinkingPerplexity AI
提供元GooglePerplexity社
利用価格無料Gemini Advancedは月2,900円一部無料 Proプランは月額20ドル
主な用途対話・画像/音声分析リサーチ・検索・引用付き情報提示
情報の新しさGoogle検索連動で比較的新しいリアルタイム検索型で新しい

Perplexity AIは、質問に対して最新のウェブ情報を元に回答し、その出典も提示する点が特徴です。直近の記事や統計資料を引用付きで提示してくれるため、情報の信頼性が高まります。一方、GeminiはGoogle検索と連動した情報を表示する機能が搭載されています。そのため、調査と分析のバランスを取りたい人にはGeminiが適しています。反対に、調査・引用を重視する人にはPerplexityが向いています。

Perplexity AIについては以下で詳しく解説しています。Geminiとの違いだけでなく、ChatGPTとの違いを知りたい人はぜひ参考にしてください。

Perplexity AIとは?使い方やChatGPTとの違い、日本語対応などを解説

Gemini 2.0 Flash Thinkingの注意点

高性能で魅力的なGemini 2.0 Flash Thinkingですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。AIの利用が日常化してきた今だからこそ、情報の取り扱いや内容の検証には十分に気をつけましょう

個人情報や機密情報を入力しない

Gemini 2.0は、入力された情報を分析し、出力内容を生成する仕組みです。そのため、個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど)や企業の機密事項(顧客情報・未公開資料・契約内容など)の入力は避けましょう

Googleはプライバシー保護に配慮した仕組みを採用していますが、AIは常にクラウド上で処理されるため、情報漏洩のリスクをゼロにすることはできません。特に法人利用の場合は、社内でのAI使用ガイドラインを設け、情報の取り扱いルールを明確にすることをおすすめします。

誤った情報に注意する

AIはハルシネーションと呼ばれる「もっともらしいが誤っている情報」を生成してしまうことがあります。たとえば、実在しない統計データや、間違った法律解釈、存在しない書籍を紹介するといったケースも確認されています。
Gemini 2.0 Flash Thinkingを利用する際、専門的な内容や最新情報に関しては必ず一次情報(公式サイトや専門書籍、論文など)を確認してください

目次