Dockerがクラウドの箱を公開 PCを閉じてもAIが動き続ける
Docker社は9月24日にDocker Cloud Sandboxesを発表した。AIエージェントが作業するためのサンドボックスをクラウドで貸すサービスだ。中身は2月に出したローカル版のDocker Sandboxesと同じMicroVMで、数百ミリ秒で立ち上がる。
サンドボックスは、AIが間違って手元の大事なファイルを消したり外部へ不正にアクセスしたりしないよう切り離した作業場所だ。ローカル版はClaude CodeやGemini CLIを安全に使うための環境として出ていた。クラウド版もコマンドは同じsbxを使う。
クラウド版で解決する課題は2つある。1つは何時間もかかる作業のあいだ手元のPCを付けっぱなしにしなくてよいことだ。もう1つは100を超えるサブエージェントを同時に動かすと手元のPCの力が足りなくなるおそれがあることだ。
手元とクラウドの間はsbx moveの1行で行き来できる。Dockerは帰る前にクラウドで作業を始めさせ、朝に結果を確かめる使い方を示している。Claude CodeやCodexやCopilotを入れた箱は最初から用意されている。

- 2月ローカル版のDocker Sandboxesを発表
- 9/22コマンドsbxの0.45.1が公開された
- 9/24DockerがCloud Sandboxesを発表
料金は1時間0.07ドルから AIの利用料は別に払う
料金は使った秒数ぶんだけ払う従量課金だ。いちばん小さいMicroは1時間0.07ドルで、最大のXLは1.12ドルになる。大きさを指定せずに作ると2CPU・4GiBのSmallになり、1時間0.14ドル(約22円)かかる。
| 大きさ | CPUとメモリ | 1時間(公式) | 1時間の円換算 | 24時間続けた円換算 |
|---|---|---|---|---|
| Micro | 1CPU・2GiB | 0.07ドル | 約11円 | 約265円 |
| Small(既定) | 2CPU・4GiB | 0.14ドル | 約22円 | 約530円 |
| Medium | 4CPU・8GiB | 0.28ドル | 約44円 | 約1,059円 |
| Large | 8CPU・16GiB | 0.56ドル | 約88円 | 約2,118円 |
| XL | 16CPU・32GiB | 1.12ドル | 約177円 | 約4,236円 |
公式の料金はDockerの公式ブログ(9月24日)による。円換算は9月25日の欧州中央銀行の参照値(1ドル157.59円)でAInformationが計算した。
一時停止した箱には料金がかからない。保存領域と外向きの通信も無料だ。AIモデルは自分のAPIキーを持ち込む形で、Claude Code自体の料金は箱の代金とは別にかかる。
使うにはDockerのPersonalかProのアカウントで従量課金プランに入る。新しいアカウントには期間限定で250ドル分(約39,398円)の無料枠が付く。手元で動かすローカル版は今も無料で、Docker Desktopも要らない。

既定だと1時間で削除される 移すと処理は引き継がれない
クラウドの箱は既定のまま作ると1時間で時間切れになり、そのまま削除される。AInformationは9月28日に、9月22日公開のsbx 0.45.1を手元のMacに入れて説明を読んだ。公式ブログは寿命を既定で1時間としており、コマンドの説明には時間切れの既定の動きがdelete(削除扱い)と書かれていた。
止めて残すstopは誰でも選べるわけではない
時間切れのあと箱を止めて残すstopという選び方もある。ただし説明には、アカウントにその権利がある場合だけ使えると書かれている。寿命は–ttlで延ばせるが、作ってから24時間が上限だ。
丸1日を超える作業は1つの箱では終わらない。寝る前に任せて朝に見る使い方なら、時間を延ばしておけば収まる。
sbx moveで移るのはファイルだけ
sbx moveで移せるのはファイルだけで、動いていた処理とメモリの中身は移らない。移した先は新しいIDの別の箱として立ち上がる。クラウドへ移すと手元の箱は止まったまま残る。
sbxに預けた鍵やトークンも移らないので、移した先でサインインし直すことがある。発表を報じた記事には作業を止めずに移せるとあるが、説明を読む限り動いていたAIの処理はそのまま続かない。
今回はクラウドの従量課金プランに入っていないので、クラウドの箱そのものは動かしていない。確かめたのはコマンドの説明に書かれた条件までだ。

夜通し任せるなら–ttlを付ける 上限は24時間まで
寝る前に任せる作業は、作るときに–ttlで寿命を決めておく。手順は次の4つだ。
- 作るときに–ttl 10hのように寿命を付ける(上限は作ってから24時間)
- 足りなくなりそうなら、sbx ttl +2hのように後から延ばす
- 時間切れの前に、箱の中のファイルをsbx cpで手元へ写す
- AIモデルの利用料の上限を先に決めておく
AnthropicもClaude Codeのクラウド実行を用意している。Claude Codeだけを使う人はそちらと比べて選ぶことになる。CodexやCopilotも混ぜて使うなら、同じsbxで全部を扱えるDockerの箱が候補に入る。
まず無料のローカル版で手順を固めて、長い作業だけクラウドへ回すのがよさそうだ。
- MicroVM
- コンテナより強く切り離した軽い仮想マシン。箱ごとに専用のカーネルを持つので、AIが手元のPCへ手を出しにくい
- サンドボックス
- AIエージェントが作業するために切り離した場所。間違って手元のファイルを消したり外へ不正にアクセスしたりするのを防ぐ
夜間の作業をAIに任せたい開発チームにとって、PCを閉じてよい作りはありがたい。つまずきそうなのは既定の寿命が1時間で、時間切れの既定が削除になっている点だ。会社で配るなら–ttlの付け方と成果の取り出し方を手順書の最初に書いておきたい。そうしないと朝に何も残っていない事故が起きる。Claude Codeしか使わない人はAnthropic純正のクラウド実行と比べて選び、CodexやCopilotも混ぜるチームはDockerの箱にまとめる使い分けになるとみている。
- Docker Cloud Sandboxesの料金はいくら?
- 1時間0.07ドルから1.12ドルまでの従量課金で、使った秒数ぶんだけ払う。大きさを指定しないと2CPU・4GiBのSmallになり、1時間0.14ドルかかる。9月25日の欧州中央銀行の参照値(1ドル157.59円)で約22円だ。AIモデルの利用料は含まれず、自分のAPIキーで契約先に別に払う。新しいアカウントには期間限定で250ドル分の無料枠が付く。
- Claude Codeを寝ている間もクラウドで動かせる?
- 動かせるが、既定のままだと1時間で時間切れになり箱ごと削除される。作るときに–ttlで寿命を延ばせば、作ってから24時間まで動かせる。時間切れのあとに箱を止めて残すstopは、アカウントに権利がある場合だけ選べる。24時間を超える作業は1つの箱では終わらない。
- 手元からクラウドへ移すと作業はそのまま続く?
- 続かない。sbx moveで移るのはファイルだけで、動いていた処理とメモリの中身は移らない。移した先は新しいIDの別の箱になり、sbxに預けた鍵やトークンも移らないのでサインインし直すことがある。手元の箱は消えずに止まったまま残る。AInformationが9月28日にsbx 0.45.1の説明で確かめた。
- ローカル版のDocker Sandboxesは無料?
- 無料で使え、Docker Desktopも要らない。お金がかかるのはクラウド版だけで、DockerのPersonalかProのアカウントで従量課金プランに入る必要がある。まず手元の無料版でAIエージェントの手順を固めてから、何時間もかかる作業だけクラウドへ回すと費用を抑えやすい。
この記事の出典
補助資料
- [1]Publickeyこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月28日
