「評価文をAIで」上司の78% 知らされた部下は16%
上司の78%が、この1年に部下へのフィードバックや業績評価をAIで用意していた。人材育成の会社Highwireの調査レポートで、企業の従業員1,034人に聞いた結果だ。使い方は下書き・編集・要約・内容の補強だった。
一方で、上司以外の回答者のうち自分の評価にAIが関わったと知らされていたのは16%にとどまった。多くの上司はAIで準備が速くなったと答えている。ただし上司にそれ以外の気づきは聞いていないとHighwireはZDNETに説明しており、評価の中身が良くなったのかはこの調査を読んでも出てこなかった。
伝えない理由もはっきりしない。ZDNETは、職場でAIの利用を認めると不利に扱われるという6月のAtlassianの調査を挙げている。

「ありきたりになった」が34% 受け止めは割れた
AIが入った評価を部下がどう受け取ったかは割れた。54%は「より具体的で動きやすくなった」と答えた。逆に34%はありきたりになったと感じ、32%は前ほど役に立たなくなったと答えている。
分かれ目は使い方だ。上司が書いた文をAIで整えるのと、業績データを渡して評価文を一から書かせるのとでは関わり方がまるで違う。調査はそこまで分けて聞いていない。
部下の4人に1人近くは、職場の難しい会話の練習にAIを使っていた。練習が大事だと答えた人は85%いるのに、上司から練習の手助けを受けている人は44%だけだった。
評価にAIを使うときの規約の違い
| 項目 | Claude | Gemini |
|---|---|---|
| 規約の版 | 2026年11月12日発効 | 2024年12月17日更新 |
| 人事評価の扱い | 雇用の項目に評価を明記 | 雇用を高リスクの例に挙げる |
| 人の確認 | 経験のある人が確かめて直す | 人の監督なしの自動判断を禁止 |
| 本人への告知 | AIを使ったと伝える義務 | 告知を求める行は無い |
| ツール名の明示 | 出さなくてよい | 記載なし |
Claudeは11月12日から告知が義務 Geminiは求めない
評価にAIを使ったと部下へ伝えるかどうかは、Claudeを使う会社では11月12日から選べなくなる。AInformationがAnthropicの利用ポリシーを開くと、発効日は2026年11月12日と書かれていた。雇用の項目には「働く人の成果や行動の評価」がはっきり入っている。
この高リスク分野でClaudeの提案を使うなら、経験のある人が中身を確かめて直せる状態にしておく必要がある。そのうえで評価を受ける本人に、AIを使ったとはっきり伝えなければならない。Claudeやモデルの名前まで出す必要はない。
同じ日にGoogleの生成AIの禁止事項も開いた。雇用などの分野で人の監督なしに個人へ大きな不利益を与える自動の判断は禁じている。ただし2024年12月17日更新の版には、本人へAIを使ったと伝えることを求める行が無かった。告知の決まりは、ClaudeのほうがGeminiより一歩踏み込んでいる。

次の評価面談までに 告知の1行と確かめる人を決める
決めておきたいのは2つだ。評価文のどこまでをAIに書かせるかと、部下へ伝える1行の文面になる。黙って使えば34%がありきたりと感じるという数字が出ている以上、先に伝えておくほうが面談はこじれにくい。
上司が自分のことばで直した箇所を面談で話せると、なおよさそうだ。人が確かめる手順も形だけにしないほうがよい。Claude Codeの許可の画面のように、ボタンを押すだけでは中身を見たことにならない。評価シートに確かめた人の名前と直した点を書く欄を1つ足しておくとよい。
Claudeの新しい規約は11月12日に効き始める。人事と情報システムの担当で、評価にAIを使っている部署を今月中に洗い出しておくと間に合う。
- 高リスク分野
- Anthropicの利用ポリシーで、人の暮らしを左右する判断として条件を付けた分野。雇用・融資・医療・法律などが入る
導入の現場でも、評価文の下書きにAIを使う上司は多いのに、それを部下へ伝える決まりを持つ会社はほとんど見かけない。16%という数字はその実感に近い。困るのは、部下が自分の評価文をAIに貼って「AIっぽい」と気づいたときだ。そこで初めて知ると、評価の中身より信頼の話になってしまう。Claudeの規約が告知を求めた以上、ほかのツールを使う会社も同じ線にそろえておくほうが揉めないとみている。人事が告知の文面を1つ決めて配るだけで足りるはずだ。
- Claudeで部下の評価文を書いたら本人に伝える必要はある?
- 2026年11月12日からは伝える必要がある。Anthropicの利用ポリシーは雇用の項目に働く人の成果や行動の評価を挙げ、AIの提案をもとにした評価を受ける本人へAIを使ったとはっきり伝えるよう求めている。Claudeやモデルの名前まで出す必要はない。あわせて経験のある人が中身を確かめて直せる状態も要る。
- Geminiで評価文を書く場合も告知は要る?
- Googleの生成AIの禁止事項には本人への告知を求める行は無い。2024年12月17日更新の版は、雇用などの高リスクの分野で人の監督なしに個人へ大きな不利益を与える自動の判断を禁じている。告知するかどうかは社内の決まりで決めることになる。
- AIで書いた評価を部下はどう受け止めている?
- 受け止めは割れている。Highwireが企業の従業員1,034人に聞いた調査では、54%がフィードバックがより具体的で動きやすくなったと答えた。一方で34%はありきたりになったと感じ、32%は前ほど役に立たなくなったと答えた。評価にAIが関わったと知らされていた人は16%だけだった。
この記事の出典
補助資料
- [1]ZDNET Japanこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月12日
