富士通のCopilotは7500から10万へ 利用率は9割超
富士通はMicrosoft 365 Copilotをほぼ全従業員の約10万ライセンスまで広げ、2026年6月時点でも全社の利用率90%以上を保っている。日本マイクロソフトが9月4日にこの事例を公開し、ITmediaが10月8日に詳しく伝えた。
広げ方は3段だった。2025年7月に各部門で7500ライセンスの集中トライアルを始め、2026年1月に3万ライセンスへ増やした。同年4月にほぼ全従業員向けの約10万ライセンスを本格導入している。
背景には2026年5月の「中長期経営ビジョン2035」がある。富士通はデータとAIを事業の中心に置き、自社が最初の利用者になるCustomer Zeroの方針を掲げた。

「導入したけど使われない」を防いだ仕掛け 研修と社内コンテスト
利用率を保てた理由は、配ったあとに使う場面を会社側で用意したことにある。トライアル中からハンズオンセミナーとトレーニング動画をそろえ、習熟度に合わせて学べるようにした。
推進役には、経営層から現場まで全員が参加する社内DX活動のフジトラを使った。部門をまたぐ「全社AI実践イニシアティブ」も立ち上げている。
使い方を競わせる場もある。業務システムの改善を表彰する「AI & DDM Award」と、AIエージェントの使い方を競う「鉄板エージェント コンテスト」を定期的に開いてきた。
Copilotを選んだ決め手はTeamsとOutlook
富士通がMicrosoft 365 Copilotを選んだのは、社内で使ってきたTeamsやOutlookの中でそのまま使えるからだ。7500ライセンスの試行も、議事録や資料づくりなど多くの業務で早く効果を出す狙いだった。

Copilotは1人月4,497円 10万人なら定価で月4億円台
大企業向けのMicrosoft 365 Copilotは、年払いで1ユーザー月4,497円(税抜)だ。AInformationが10月8日にMicrosoftの日本語の価格ページを開いて確かめた。月ごとに払う場合は4,722円で、どちらも年間契約になる。
この金額にはWordやExcelを含むMicrosoft 365本体の料金は入っていない。価格ページには、条件を満たすMicrosoft 365プランのライセンスが別に要ると書いてある。
定価のまま約10万ライセンスに掛けると、Copilot分だけで月4億4,970万円になる計算だ。富士通が実際にいくらで契約したかは、元記事にも事例にも書かれていない。大口の割引があるかどうかも分からない。
300人以下の会社はBusiness版が年内は2,698円
中小企業向けのMicrosoft 365 Copilot Businessは、既存のビジネスプランに足すアドオンで年払い1ユーザー月2,698円(税抜)だ。通常は3,148円で、割引は2026年12月31日までと価格ページに書いてある。使えるのは最大300ユーザーまでになる。
試行の段階で測る数字を決める 手本は30万件の75%
富士通の事例でいちばん使えるのは、利用率より業務の数字のほうだ。社内のサービスデスクではAIエージェントが一次対応と内容の整理を受け持ち、年間約30万件の問い合わせの約75%を自動化した。
空いた時間で担当者は、AIが答えの元にするFAQや手順書を直す仕事に回った。回答の精度を上げる作業も担当者の役目になっている。自動化したあとも人が中身を育てる形だ。
同じことを自社でやるなら、配る前に3つを決めておきたい。
- 試行で使う業務を決める(議事録・資料づくり・社内の問い合わせなど)
- 効果を何で測るかを決める(件数・時間・自動化できた割合)
- 使い方を教える場と、良い使い方を表彰する場を先に用意する
Microsoft 365 Copilotの価格ページには1か月の無料試用の案内もある。何人で何を試すかを先に決めておけば、本番の稟議で問われる費用対効果を試行の数字で答えられる。富士通は次にCopilotを起点に業務別のエージェントをつなぐ「マルチエージェントシステム」を目指しており、配って終わりの導入とはここで差が開いていきそうだ。
- Customer Zero
- 自社が最初の利用者になってAIを使い込み、そこで得たやり方を顧客の変革に生かす富士通の方針。
- フジトラ
- Fujitsu Transformationの略。経営層から現場の従業員まで全員が参加する富士通の社内DX活動。
利用率9割は目を引くが、元記事は利用率をどう数えたかを書いていない。月に1回開けば数える方式なら、配れば自然に上がる数字だ。稟議で効くのはサービスデスクの30万件の75%のような業務の数字のほうだとみている。中堅企業がまねするなら、数十人で試す段階でどの業務の何を減らすかを決めておきたい。定価で1人月4,497円かかる以上、更新のたびに効果を問われる。測る物差しを後から作ると、そこで止まる可能性が高い。
- Microsoft 365 Copilotはいくらかかる?
- 大企業向けのMicrosoft 365 Copilotは年払いで1ユーザー月4,497円(税抜)です。月ごとに払う場合は4,722円で、どちらも年間契約になります。WordやExcelを含むMicrosoft 365本体の料金は別に要ります。300ユーザーまでの会社向けのCopilot Businessアドオンは2026年12月31日まで月2,698円(通常3,148円)です。AInformationが10月8日に公式の価格ページで確かめた金額です。
- 富士通はCopilotの利用率をどうやって9割に保った?
- 使い方を学ぶ場と競う場を会社側で用意しました。トライアル中からハンズオンセミナーとトレーニング動画をそろえ、習熟度に合わせて学べるようにしています。さらに「AI & DDM Award」や「鉄板エージェント コンテスト」で優れた使い方を定期的に表彰しました。推進役は全社員が参加する社内DX活動のフジトラが担っています。
- 富士通はCopilotでどんな効果を出した?
- 社内のサービスデスクで年間約30万件ある問い合わせの約75%を自動化しました。AIエージェントが一次対応と問い合わせ内容の整理を受け持っています。空いた時間で担当者は、AIが答えの元にするFAQや手順書の改善と回答精度の向上に回りました。議事録や資料づくりでも使われています。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月8日
