本文へ移動
NEWS
Claude

Anthropic、FlashProve公開 導入予定の会社は0社だ

読了 約6分
証明できる長さは1024トークンまで。FlashProveを導入予定の会社は0社
この記事の要点

Anthropicは11月2日、AIの応答が本当に指定したモデルから返ってきたかを暗号で確かめる「FlashProve」を研究用として公開した。モデルのすり替えや改ざんを後から見抜ける。ただし扱える長さは1024トークンまでで、どの会社も導入する予定はない。

みんなの意見

AIのモデルすり替えを証明で確かめたいですか?

まだ回答がありません。最初の1票をどうぞ

SHARE
1024トークン証明できる長さの上限
19MB1回分の証明のサイズ
17秒CPUでの照合時間

GoogleでフォローするGoogle検索でAInformationの記事が出やすくなります

FlashProveはモデルのすり替えを暗号で見抜く 11月2日に公開

FlashProveは、AIの応答が「指定したモデルで作られたもの」かを証明ファイルで確かめる仕組みだ。Anthropicの安全性チームがEPFLやMITの研究者と作り、コードと技術文書をApache 2.0ライセンスで公開した。同社は完成品ではなく研究の途中経過だとしている。

いまは、使う側が「どのモデルが答えたか」を確かめる手段がない。Anthropicは、仲介するサービスが費用を浮かせるために選んだモデルを安いモデルへこっそり替える例や、攻撃者が応答を書き換える例を挙げている。出力の質を見るだけでは区別できないという。

仕組みは「指紋」と「証明ファイル」の2つ

提供する側は先にモデルの重みに対応する短い指紋(コミットメント)を公開する。そのあとは応答ごとに「この重みのモデルがこの質問からこの出力を作った」ことを示す証明ファイルを作る。受け取った側はGPUの無いPCで照合でき、別のモデルが答えていれば照合に失敗する。証明から重みは漏れないが、モデルの構造は隠す対象に入っていない。

AnthropicのFlashProve発表ページ
AnthropicのFlashProve発表ページ / 出典:anthropic.com / 制作:AInformation
これまでの流れ
  1. 9/30モデルと出力をひも付ける試作の期限
  2. 11/2AnthropicがFlashProveを発表しコードを公開

証明は1024トークンまで 推論の70〜95倍のGPU時間がかかる

試験に使ったのはMetaのLlama 4 Maverick(4000億パラメータのMoEモデルを4ビットにしたもの)だ。NVIDIAのH100を1基使い、証明を毎秒約110トークンの速さで作れた。1024トークンの依頼1回で証明は約19MB、24コアのCPUで照合に約17秒かかった。

項目 FlashProve 同じモデルを扱った既存の取り組み
証明する長さ 1024トークン 1000トークン
証明のサイズ 約19MB 93.6GB
かかった時間 毎秒約110トークンで作成 14.3時間

既存の取り組みより大きく軽くなったが、通常の推論と比べると70〜95倍のGPU時間を使う。対象はMoEモデルだけで、毎回いちばん確率の高い語を選ぶ貪欲法が前提になる。証明は応答を返したあとに作るので、改ざんを止める仕組みではなく後から見つける仕組みだ。

性能を上げた部分はClaudeが担い、コードの多くもAIが書いたという。人が全部を見きれないため、安全上の大事な性質は形式検証の言語Leanで数学的に証明して公開した。

FlashProveのGitHubの説明書。保存ずみの証明の照合はLinuxとg++ 13、証明の作成はNVIDIA H100が要ると書かれた表
FlashProveの説明書にある必要な機材の表 出典:github.com(2026年11月4日時点の画面)

FlashProveはMacで動くか 検証役の組み立ては最初の確認で止まった

AInformationは11月4日に公開リポジトリ(版0.16.0)を取り込み、いちばん軽い使い方である「保存ずみの証明を照合する」手順をMacで試した。説明書ではLinuxとg++ 13以上が条件で、組み立ては1〜2分とある。手元のMacで組み立ての命令を流すと、出力先のフォルダを調べる最初の段階で止まり、何も作られなかった。

説明書を読むと、条件はさらに重い。証明を作る側はNVIDIAのH100(80GB)を1基まるごと使い、CUDA 13.2を入れたLinuxが要る。実物のLlama 4 Maverickで試す手順は、メモリ330GBとディスク245GBが条件になっている。リポジトリの冒頭には「保守しない・投稿も受け付けない研究用」と書かれている。

つまり、いまのFlashProveは企業がそのまま入れて使う道具ではない。読んで仕組みを知る段階のものだ。

FlashProveで答えたモデルを確かめる流れ。指紋を公開。重みに対応する短い印。証明を作る。応答ごとにH100で作成。手元で照合。CPUで約17秒。ただし 1024トークンまで・MoEモデルだけ・改ざんは後から見つける。照合は軽いが証明を作るのは提供する側。AInformation編集部が作ったイラスト図解(仕組みの矢印図(入口→仕組み→結果))
FlashProveで答えたモデルを確かめる流れ / 制作:AInformation

Claude APIを仲介業者から買う会社 まず契約書のモデル名を見る

Anthropicが挙げる使い道は3つだ。評価機関が「試したモデルと実際に出ているモデルが同じか」を確かめること。推論のサーバーが乗っ取られたときに改ざんを見つけること。認められたモデルだけを使うよう求める規制に合っているかを確かめることだ。TechCrunchによると、Anthropicも他社も今のところ本番に入れる予定はない。

日本の会社に関係が深いのは1つ目の話だ。Claude APIやGPTを代理店や中継サービス経由で使っている会社は、請求書のモデル名と実際に答えたモデルが同じかを今は確かめられない。FlashProveが広まるまでは、契約書に使うモデル名と勝手に替えない約束が入っているかを見ておきたい。

あすからできることは、使っているAIサービスの一覧に「直接契約か、仲介経由か」の列を足すことだ。仲介経由のものから順に、どのモデルを使っているかの説明を求めるとよさそうだ。

この記事に出てくることば
貪欲法
文章を作るとき、毎回いちばん確率の高い語を選ぶやり方。FlashProveはこの方式を前提にしている
藤井俊太(AI導入コンサルタント)の見方

導入の現場で増えているのは、Claudeを直接ではなく代理店や中継サービス経由で使う形だ。請求の窓口が1つにまとまる利点はあるが、どのモデルが答えているかは相手の説明を信じるしかない。FlashProveはそこを数字で確かめる道を見せたが、証明を作るのは提供する側なので、仲介業者が自分から付けない限り利用者には届かない。広まるかどうかは、大手の発注者が契約の条件に証明を入れるかどうかで決まるとみている。

よくある質問
FlashProveは今すぐ会社で使える?
使えない。Anthropicは研究の途中経過として公開しており、リポジトリにも保守しない研究用と書かれている。TechCrunchによると、Anthropicも他社も本番に入れる予定はない。証明を作るにはNVIDIA H100が1基要り、扱える長さも1024トークンまでだ。
FlashProveでClaudeの応答を確かめられる?
今は確かめられない。試験に使われたのはMetaのLlama 4 Maverickで、Claudeの指紋や証明は公開されていない。証明は提供する側が作る仕組みなので、Anthropicや仲介サービスが証明を付けて返すようにならない限り、利用者の手元では照合できない。
FlashProveの照合はMacでできる?
説明書はLinuxとg++ 13以上を条件にしている。AInformationが11月4日に手元のMacで照合用のプログラムを組み立てたところ、出力先のフォルダを調べる最初の段階で止まり、何も作られなかった。試すならLinuxの環境を用意するのが早い。

この記事の出典

補助資料

  • [1]ITmedia AI+ITmedia AI+・補助的な二次資料・確認 2026-11-04この記事の元にした報道

出典の最終確認日:2026年11月4日

次に読む記事

SHARE

広告を載せており、そこから申し込みがあると紹介料を受け取ることがあります。

この記事に出てくるAIも、まとめて比べられます 508本のAIツールを、やりたいこと・料金・日本語対応で絞り込めるデータベースです。5日ごとに料金を取り直しています。 AIツールを探す

あわせて読みたいRELATED