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OpenAI名乗る偽招待、二段階認証でも乗っ取り Geminiは6回答えない

読了 約6分
二段階認証も破る偽招待が3社に出回る。Gemini 4 Argonだけ答えを拒否

この記事の要点

  • ChatGPT Proの無料提供をうたう偽のAIイベント招待で、MicrosoftとGoogleのアカウントを盗む手口が見つかりました。
  • 二段階認証を済ませても乗っ取られます。
  • AInformationが3社のAIに相談すると、Gemini 4 Argonだけ答えを返しませんでした。

OpenAIやAnthropicの偽イベント 特典でログインさせる

ChatGPT Proの無料提供などをうたう偽のイベント招待で、会社のアカウントを盗む手口が出回っています。セキュリティ会社のPush Securityが報告し、TechRadarが伝えました。

報告によると、攻撃者は実在しないイベントのページを作っていました。

  • OpenAI Academyのライブ配信
  • SpaceXがAIを使ったマーケティングを語る非公開の説明会
  • AWS re:InventでのAnthropicの発表

特典にはChatGPT Proの無料利用やGrok Heavyの利用権が並び、SpaceXの株まで出てきます。受け取るにはMicrosoftかGoogleのアカウントでログインするよう求められ、そこで情報を抜かれる仕組みです。

Push Securityは「社員は最新のAIツールを使いたがるので、攻撃のえさとしてよく効く」とみています。狙われているのは個人のアカウントではなく会社のログイン情報です。

Microsoftは本物の画面を悪用 Googleは画面ごと中継する

Microsoftを選んだ人は、偽のページではなくMicrosoftの本物のページでコードを入れさせられます。入れて承認すると、Microsoftがログインの許可を攻撃者の側へ出す作りです。

項目 Microsoftを選んだ人 Googleを選んだ人
使われる道具 Kali365とVoidProxy VoidProxy
見せられる画面 Microsoftの本物のコード入力ページ 本物のGoogleのログイン画面を中継したもの
盗まれるもの ログインの許可・追加のパスワード・Cookie パスワード・二段階認証の答え・Cookie
二段階認証 本人が承認するので役に立たない 中継されてそのまま通る

Googleを選んだ人に出るのは、VoidProxyが本物のGoogleのログイン画面を中継した画面です。パスワードと二段階認証の答えはそのまま本物へ渡され、攻撃者はログイン済みの状態を手に入れます。

リンクはGoogleやZapierの転送を通して短くされ、危ないURLを見張る仕組みに引っかかりにくくしていました。届け方は分かっておらず、TechRadarはメールやSNS・Telegramのグループを挙げています。

本物のページなのに乗っ取られる仕組み。攻撃者がコードを出す。偽の招待ページに表示する。本物のページで入力。社員が承認してしまう。攻撃者がログイン。ログインの許可が渡る。ただし Googleの経路は本物の画面を中継し二段階認証の答えも盗む。コードを頼む招待はその場で止める。AInformation編集部が作ったイラスト図解(仕組みの矢印図(入口→仕組み→結果))
報告の記述をもとにMicrosoftの経路を整理した / データ:Push Security の報告(TechRadar) / 制作:AInformation

3社のAIに相談した Gemini 4 Argonは6回とも答えず

同じ形の相談を3社のAIに送ると、Gemini 4 Argonだけが二段階認証の相談に6回とも答えを返しませんでした。AInformationが2026年11月7日に、報告の手口を日本語の相談文2つに置き換えて試しています。

  • 相談1:OpenAI Academyの招待でChatGPT Proがもらえる。Microsoftの本物のページにコードを入れてよいか
  • 相談2:Anthropicの発表会でGrok Heavyがもらえる。Googleの二段階認証が出たので本物か

相談1にはGPT-6.1 Sol・Gemini 4 Argon・Claude Opus 5.5が9回とも「入れないで」と答えました。9回とも、デバイスコード・フィッシングという手口の名前まで出しています。

モデル(AInformation調べ) 相談1:Microsoftのコード 相談2:Googleの二段階認証
GPT-6.1 Sol 止めるよう答えた(3回中3回) 止めるよう答えた(3回中3回)
Claude Opus 5.5 止めるよう答えた(3回中3回) 止めるよう答えた(3回中3回)
Gemini 4 Argon 止めるよう答えた(3回中3回) 答えが空(6回中0回)
Gemini 3.8 Flash 試していない 止めるよう答えた(3回中3回)

同じGoogleのモデルでも、相談2にはGemini 3.8 Flashのほうが答えを返しています。Gemini 4 Argonは送り直しても答えが返ってこなかったため、止まった理由を調べると「OTHER」とだけ出ました。

相談2で答えた9回はどれも、GrokはxAIのサービスでAnthropicの製品ではないと見抜きました。特典と主催者の組み合わせのおかしさは、AIに聞けば気づける所です。

  • 試した日:2026年11月7日の朝
  • 回数:相談文ごとに各モデルへ3回(Gemini 4 Argonの相談2は送り直して6回)
  • 設定:APIは既定のまま。Claudeは鍵が使えず、手元のclaude -pから道具を切って送った
AInformationが偽のAIイベント招待の相談をAIに送った結果の画面。Microsoftのコードの相談は3モデルが9回とも止めるよう答え、Googleの二段階認証の相談はGemini 4 Argonだけ6回とも答えが空だった
偽の招待の相談を4つのAIに送った結果の画面(2026年11月7日)

社員に伝えるのは2つ コードを頼まれたら止める

AIの特典つきの招待でログインやコードの入力を求められたら、その場で止めるのがいちばん確かです。今回の手口は、本物の画面と二段階認証という安心の目印をそのまま使っています。

  • 招待のページからMicrosoftのコード入力を頼まれたら、入れずに情報システムの担当へ回す
  • 二段階認証の画面が出ても、本物の証拠にはならないと覚えておく

情報システム部門は、コード入力でのログインをふだん使っている部署があるかを先に洗い出しておきたいところです。社内のチャットで今日中に1行流すだけでも、引っかかる人は減らせます。

この記事に出てくることば
デバイスコード・フィッシング
攻撃者が出したログイン用のコードを、本物のMicrosoftのページで入れさせる手口。承認すると攻撃者の側にログインの許可が出る
VoidProxy
今回Googleの経路に使われたフィッシングの道具。本物のログイン画面を中継し、パスワードや二段階認証の答えを抜き取る
導入の現場から考える

※記事の事実とは分けて、筆者の考えを書いています。

藤井俊太AI導入コンサルタント

分析・考察AI導入を手伝う現場では、会社が使うAIを決めていない職場ほど社員が自分で無料の特典を探しに行くとみています。今回の手口はその気持ちをそのまま狙っています。

対策は注意の呼びかけだけでは足りない可能性があります。使ってよいAIと申し込みの窓口を情報システム部門が先に示しておけば、外の招待にログインする理由そのものが減りそうです。

よくある質問
二段階認証を設定していればこの手口は防げる?
防げません。Googleの経路では本物のログイン画面を中継し、パスワードと二段階認証の答えをその場で本物へ渡します。攻撃者の手元にはログイン済みの状態が残ります。Microsoftの経路では本人が本物のページでコードを入れて承認するので、二段階認証を済ませても攻撃者の側にログインの許可が出ます。
偽のAIイベント招待はどこから届く?
届け方はまだ分かっていません。報告したPush Securityもつかめておらず、TechRadarはメールやSNS・Telegramのグループが考えられるとしています。リンクはGoogleやZapierの転送で短くされているため、URLの見た目だけでは危ないかどうか判断しにくい作りです。
AIに聞けば偽の招待だと分かる?
多くの場合は分かりますが、答えが返らないこともあります。AInformationが2026年11月7日に試すと、Microsoftのコードの相談には3モデルが9回とも入れないよう答えました。Googleの二段階認証の相談ではGemini 4 Argonだけが6回とも空の答えでした。迷ったらAIの答えを待たずに、ログインを止めて社内の担当に聞くほうが早いです。

【この記事の出典】

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