本文へ移動
NEWS
規制・社会

Google、SynthIDに追跡の批判 透かしの記録は保存し直すと0件だ

読了 約5分
64ビットの印を画像に埋め込む。SynthIDは消し直すと記録ゼロ

この記事の要点

  • ArtCraft創業者のブランドン・トーマス氏が、GoogleのSynthIDを「スパイマーク」と呼んで批判した。
  • 画像に64ビットの識別子を入れられ、追跡に使えるという。
  • AInformationが作ったGemini APIの画像には、SynthIDを付けたとする記録が入っていた。
この記事の数字11月8日時点
画像に入れられる識別子64ビット

SynthIDに「スパイマーク」の批判 画像に64ビット入る

AIの画像に入る見えない透かしは、利用者を追う道具にもなりうる。ArtCraft創業者のブランドン・トーマス氏がこう主張し、GIGAZINEが11月8日に伝えた。例に挙げたのはGoogleのSynthIDだ。

SynthIDは画像・音声・テキスト・動画に、人には分からない信号を埋め込む仕組みだ。トーマス氏によると、画像用のSynthID-Oは512×512ピクセルの画像に64ビットの識別子を入れられる。誤りを直すための72ビットも別に持つ。

この識別子を身元の台帳とつなげば、誰が作った画像かを追えるという。トーマス氏はこうした印をスパイマークと呼ぶべきだとしている。OpenAIなど多くの会社も、AI生成コンテンツの識別を目的にした仕組みを作っているという。

  • EXIFやID3のようなふつうのメタデータは、中身を見て消せる
  • スパイマークは画像の深い所に入り、利用者からは見えない
  • メタデータを消しても、一部を編集しても残る可能性がある
Google DeepMindのSynthIDの公式ページ
Google DeepMindのSynthIDの公式ページ / 出典:deepmind.google / 制作:AInformation

Geminiの画像にSynthIDの記録 OpenAIには無かった

AInformationが11月8日にAPIで画像を作り、ファイルの中身を読んだ。Geminiの画像には、SynthIDを付けたという記録が入っていた。指示は両社とも「白い机の上のノートパソコンと観葉植物の写真」にした。

項目 Gemini API(Nano Banana 2.1) OpenAI API(chatgpt-image-latest)
来歴の記録(C2PA) あり あり
記録の中の説明 Created by Google Generative AI./Applied imperceptible SynthID watermark. OpenAI Media Service API/chatgpt-image-latest
SynthIDの文字 あり 0件
利用者名・メールの文字 0件 0件
保存し直した後のC2PA 0件 0件

記録の中身はGeminiのほうが詳しく、見えない透かしを付けたことまで書いてあった。OpenAIの記録には、使ったモデル名と作った時刻が入っていた。どちらも画像ごとの番号はあったが、利用者名やメールの文字は無かった。

ただしSynthIDそのものが入っているかどうかは、手元の道具では確かめることができなかった。見えない信号は読む道具が無いと分からないからだ。今回見えたのは、ファイルの外側に付く記録だけである。

Gemini APIで作った画像のファイルを読んだ画面。赤枠のC2PAの記録にApplied imperceptible SynthID watermarkの1行がある
Gemini APIの画像の記録にSynthIDを付けたと書かれていた

保存し直すと記録は0件 見えない透かしは残る作り

画像を別のソフトで保存し直すと、両社の画像からC2PAの記録は消えた。手元のPythonで開いて保存しただけで、Geminiの画像は605,371バイトから177,119バイトになった。

トーマス氏の指摘どおり、外側の記録は簡単に外れる。一方でSynthIDは、編集しても残ることを狙った仕組みだ。会社の画像の扱いでは、この2つを分けて考えることになる。

  • AIで作ったと示したい画像は、C2PAの記録に頼ると加工で消える
  • 記録を外しても、見えない透かしまで消えたとは言えない
  • どの画像に何が残るかは、作ったサービスごとに違う

トーマス氏は、内部告発者や発言で迫害されたくない人にとって特に深刻だと述べている。投稿の出どころや広がった道筋を、後からたどれるようになるからだ。

OpenAI APIのchatgpt-image-latestで作った画像のファイルを読んだ画面。C2PAの記録にモデル名があり、SynthIDの文字は0件
OpenAI APIの画像の記録にSynthIDの文字は無かった

あすからできる確認3つ 作った先と匿名の画像を分ける

まずは社内でAI画像を作るサービスと、その画像の行き先を整理しておきたい。Geminiのように記録で透かしを明かすサービスもあれば、記録に書かないサービスもある。

  • 社外に出すAI画像は、どのサービスで作ったかを台帳に残す
  • AIで作ったと伝える必要がある場面は、記録でなく説明文で書く
  • 匿名で出したい画像は、AIの生成や編集に通さない

SynthIDの識別子に何が入っているかは、今回の記事にもGoogleの説明にも出てこない。画像の出どころを示す仕組みと追跡の仕組みは、同じ技術の表と裏になりつつある。

GeminiとChatGPTの画像に残る記録。Gemini。ChatGPT。来歴の記録。◎ あり。◎ あり。透かしの明記。◎ SynthIDと明記。× 書いていない。保存し直し後。× 記録は0件。× 記録は0件。見えない透かしの有無は別に残る。AInformation編集部が作ったイラスト図解(2本の対決(実アイコン大+◎△))
GeminiとChatGPTの画像に残る記録 / 制作:AInformation
この記事に出てくることば
SynthID
Googleが画像・音声・テキスト・動画に人には分からない信号を埋め込む仕組み。AIで作ったものかを見分けるのに使う
スパイマーク
利用者の知らないうちに作品へ埋め込まれ、追跡に使える見えない印。ArtCraft創業者が透かしと区別するために付けた呼び名
導入の現場から考える

※記事の事実とは分けて、筆者の考えを書いています。

藤井俊太AI導入コンサルタント

分析・考察会社でAI画像を使う側は、出どころを示す記録と見えない透かしを分けて扱う必要がありそうだ。広報やマーケの担当が画像を加工すると記録は外れるが、透かしまで外れたかは手元では分からない。

いちばん困るのは匿名で出したい画像を扱う人だ。記録を消して安心していても、SynthIDの識別子に何が入っているかは公開されていない。社内の決まりは、何が残るか分からない前提で作っておきたい。

よくある質問
SynthIDで画像を作った人の名前まで分かる?
名前そのものが入っているかは公表されていない。ArtCraft創業者のトーマス氏によると、画像用のSynthID-Oは512×512ピクセルの画像に64ビットの識別子を入れられる。この識別子を氏名や住所の台帳とつなげば、誰の画像か追えるというのが氏の主張だ。AInformationが11月8日に読んだGemini APIの画像の記録には、利用者名やメールの文字は無かった。
SynthIDは画像を編集すれば消える?
消えない可能性がある。トーマス氏は、見えない印は画像の深い所に入り、メタデータを消したり一部を編集したりしても残りうると指摘している。AInformationの手元の確認では、画像を保存し直すとC2PAの記録は0件になった。ただしSynthIDそのものが消えたかは手元の道具では確かめられなかった。
ChatGPTで作った画像にもSynthIDは入る?
11月8日にOpenAI APIのchatgpt-image-latestで作った画像では、記録の中にSynthIDの文字は無かった。記録にはOpenAI Media Service APIの名前とモデル名が入っていた。トーマス氏はOpenAIなど多くの会社も、AIで作ったものを見分ける仕組みを作っていると述べている。

【この記事の出典】

次に読む記事

広告を載せており、そこから申し込みがあると紹介料を受け取ることがあります。

この記事に出てくるAIも、まとめて比べられます 508本のAIツールを、やりたいこと・料金・日本語対応で絞り込めるデータベースです。5日ごとに料金を取り直しています。 AIツールを探す

あわせて読みたいRELATED