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Suno製の40曲中36曲に印 人の録音42曲には出ない
テクノエッジの連載「CloseBox」の筆者が、AIで作った曲に残る癖を測る道具Blushを作った。10月30日に公開した記事で結果を明かしている。Sunoで作った40曲のうち36曲で、高域に「60ミリ秒離れた所とわずかに似ている」癖がはっきり出た。人の録音42曲と、2024年にUdioで作った53曲には1曲も出ていない。
測り方は単純だ。曲の6〜15kHzを取り出して音の大きさの起伏をならし、自分自身を少しずつずらして重ねる。Sunoの曲では拍と関係なく、60.0ミリ秒と120.0ミリ秒にきっちり山が立った。
山の高さはz値で表す。5を超えれば偶然とは言いにくいところ、Sunoの中央値は12と14だった。強い曲では30近くまで行く。人の録音の最大は6.8と5.4で、両方が5を超えた曲は無かった。
- 8/6Sunoが透かしとフィンガープリントの導入を発表
- 10/30テクノエッジの筆者がBlushの測定結果を公開
Sunoの透かしではない YuE2にも同じ印が出た
筆者は最初、Sunoが仕込んだ透かしを疑った。Sunoは2026年8月6日に透かしとフィンガープリントの導入を発表している。組んだ相手はAudible MagicとMusixmatchで、技術の中身は明かしていない。
ところがオープンな音楽生成モデルYuE2で作った曲にも、4曲中4曲で同じ形の山が出た。筆者の見立てでは、印の正体は48kHz・60ミリ秒刻みで音を組み立てる復号器の癖だ。20ミリ秒を1枠とする作りの3枠分にあたり、枠の継ぎ目の癖が一定の間隔で残るという。
同じ仲間でも見分けはつく。音量の起伏に出る「櫛」を見ると、Sunoは50Hz系列、YuE2は25Hz系列が強く出た。SynthIDを埋め込むと明言しているGoogle Flow Musicからは、この印は出てこなかった。

半音上げても印は残る 伴奏だけSunoでも区間で割れる
よくある加工では、印はほとんど消えなかった。筆者が試した8つの加工の結果は次のとおりだ。
| 加工 | 60ミリ秒の印 |
|---|---|
| MP3の128kbpsに圧縮 | 残る(64kbpsでは半分に弱まる) |
| 高域を6dB下げるEQ | 残る |
| 44.1kHzへ変換 | 残る |
| 音源分離で歌と伴奏に分ける | 両方に残る。歌のほうが強い |
| AudioSRで高域を補う | 残る |
| 半音上げるピッチシフト | 残る。56.6ミリ秒にずれるだけ |
| DAWのタイムストレッチ | ずれるだけで残る |
| ボコーダで波形を作り直す | 消えた |
筆者も「速度や音程を変えれば消える」と思い込んでいたと書いている。そこでBlushには、60ミリ秒の前後で山を探し直す仕組みを足した。消えたのはボコーダで作り直したときと、筆者が別に作った印を散らす処理をかけたときだけだ。
混ぜた曲も区間ごとに割り出せる。Sunoの伴奏と女性コーラスに、筆者がRVCで声を変えた歌を重ねた曲を測った。伴奏とコーラスは全区間に印が出て、リードの歌は女性の声の区間だけに印があった。
動画のBGMや配信する曲をSunoで作っている人には、都合の悪い結果だ。音程を変えたり人の歌を重ねたりすれば分からなくなる、という考え方は通らないとみておきたい。

Deezerは新着の5割超をAI曲と数える 配信前に見ること
AI曲の検出は、すでに配信の現場で動いている。Deezerは2025年1月から自社の検出器を使い、2026年6月には新着に占めるAI曲が5割を超えたと発表した。完全にAIで作った曲を含むアルバムには表示を付け、おすすめから外している。2025年の1年でタグを付けた曲は1,340万曲にのぼる。
Spotifyの方針は違う。2025年9月の方針では検出や表示を自分ではせず、レーベル側にDDEX規格でのAI使用の申告を求めている。Sunoは著作権の訴えも抱えており、自社の透かしの中身もまだ見えない。
AInformationも10月31日に、同じ測り方を手元で試そうとした。ところがログインせずにSunoの公開曲の一覧を開くと、音声の置き場所はどれも「forbidden」に置き換わっていた。音声ファイルを直接開いても403で弾かれ、試すことはできなかった。
AInformationが10月31日に料金ページを開くと、SunoのProは年払いで月1,200円だった。商用利用権が付くのはProからで、無料プランには無い。筆者はUdioに月10ドル(約1,573円)を払い続けていたことに気づき、解約したと書いている。Blushは筆者の手元のマシンで動き、1曲を10秒ほどで測る。一般には公開されていないが、記事に書いた情報だけで誰でも作れるはずだと筆者は見ている。
- 復号器
- 音楽生成AIが内部で扱う数の並びを、実際の音の波形に組み立て直す部分。デコーダとも呼ぶ
- z値
- 山が周りのばらつきの何倍飛び出ているかを表す数。Blushでは5を超えると偶然とは言いにくいとみる
会社の動画や店のBGMにSunoの曲を使っている所は、どの曲をいつ作ったかの一覧を今のうちに残しておきたい。今回の結果だと、伴奏だけSunoの曲でも区間ごとに割り出されるので、あとから取引先や配信先に聞かれても隠しようがない。困るのは、外注先が作った曲にSunoが混ざっていた場合だ。発注の段階で生成AIを使ったかを申告してもらう一文を契約に入れておくと、表示を求められたときに慌てずに済みそうだ。
- Sunoで作った曲は音程を変えればAI製と分からなくなる?
- 分からなくはならない。テクノエッジの筆者が作ったBlushで測ると、半音上げたSunoの曲でも60ミリ秒の印は56.6ミリ秒にずれただけで残った。MP3の128kbpsへの圧縮や44.1kHzへの変換、音源分離でも印は消えていない。消えたのはボコーダで波形を作り直したときなど2通りだけだった。
- Sunoの曲には透かしが入っている?
- Suno自身は2026年8月6日に透かしとフィンガープリントの導入を発表したが、技術の中身は明かしていない。Blushが見つけた60ミリ秒の印はそれとは別物だ。オープンな音楽生成モデルのYuE2で作った曲にも4曲中4曲で同じ形が出たため、筆者は復号器の作りに由来する癖だとみている。
- 配信サービスはAIで作った曲をどう扱っている?
- 対応はサービスで分かれる。Deezerは完全にAIで作った曲を含むアルバムに表示を付けておすすめから外しており、2025年の1年で1,340万曲にタグを付けた。Spotifyは2025年9月の方針で検出や表示を自分ではせず、レーベル側にDDEX規格でのAI使用の申告を求めている。
- Blushは誰でも使える?
- 使えない。Blushは筆者の手元のマシンで動いていて、1曲を10秒ほどで測るが一般には公開されていない。筆者は記事に書いた情報だけで誰でも作れるはずだとしている。プレイリストの中のAI曲を数えるだけなら、Deezerが2026年6月に無料のページを出している。
この記事の出典
補助資料
- [1]テクノエッジこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月31日
