Gemini Notebookで新作開発 285円のカヌレが出た
ファミリーマートは、GoogleのAIツール「Gemini Notebook」を新商品の開発に使っている。9月22日には、AIを使って商品化したスイーツを数量限定で発売した。「おいものカヌレ~キャラメルソースがけ~」で、価格は285円だ。
ITmedia ビジネスオンラインの取材に、スイーツ部デザート担当の宮島悠氏が答えた。Gemini Notebookに入れた資料は次の4つだ。
- 直近数年間の販売実績と、発注数や売り上げのデータ
- 過去のキャンペーンで売れた商品と売れなかった商品の分析資料
- 消費トレンドをまとめた資料
- 目指す売り場や商品戦略の情報
これまでは担当者の経験と感性が案出しを支えていた。1回のキャンペーンで3〜4品を出すとき、案を出して絞るまでに約2週間かかっていたという。

- 9/22AIで開発したおいものカヌレを数量限定で発売
- 11/9ITmediaが開発担当者への取材を掲載
「100個出して」は似た案が並んだ 指示を5項目に組み直した
当初は100個のアイデアを出すよう指示したこともあった。数を増やすと似た案が並び、商品にしにくい案も混ざったという。そこで売れた商品の共通点と売れなかった要因を先に分析させ、理由つきの10案を出させる形に変えた。
指示は次の5つの項目に分けて書いた。
- 依頼の目的
- AIの役割
- 分析のステップ(売れた理由と売れなかった理由を先に調べる)
- 商品提案の制約条件(外せない条件)
- 出力条件(案の数と書き方)
条件には「論理的かつ情熱的な提案」に加え、「王道×新体験。あくまで芋をおいしく味わえるデザートであることがメイン」とも書いた。話題性だけでは売れ続けないため、味を想像できる王道に新しい体験を重ねる狙いだ。

同じ指示を2社のAIで試した 100案の根拠は2件以下
編集部は11月9日に、ファミマの2つの指示を架空のデータで試した。渡したのは架空のコンビニのさつまいもデザート8品の販売実績と、売り場の方針だ。
相手はGPT-6.1 SolとGemini 4 Argonで、APIに既定の設定のまま各3回送った。
| 独自検証(11月9日・各3回) | 100案を頼む指示 | 5項目で10案を頼む指示 |
|---|---|---|
| 出てきた案の数 | 6回とも100案 | 6回とも10案 |
| 資料の商品名と数字を理由に書いた案 | 1回あたり0〜2件 | 6回とも10件すべて |
| 形と味が同じ組み合わせの案 | 1回あたり13〜25件 | 1回あたり0〜3件 |
| 返答までの時間 | 30.1〜69.0秒 | 29.6〜41.6秒 |
いちばん差が出たのは根拠の書き方だ。100案の側は1行に名前と短い説明だけで、販売数や計画比に触れた案は6回で計4件だった。1行1案の答えからは、どの案を採るかの根拠を読み取ることができなかった。
100案の側では、6回ともタルトの案が25案ちょうどある。資料にある工場のライン4つへ、100案を割り振ったとみられる。同じ形のまま味だけを替えた案が続き、ファミマの言う「似たような案」がそのまま出た。
Geminiは売れなかったパフェを3回中2回出した
5項目の指示では、2社とも10案すべてに「焼き芋プリンの計画比134%」のような根拠を付けた。違いが出たのは、資料で計画比62%だったパフェの扱いだ。
- GPT-6.1 Sol:3回ともパフェを入れなかった。返答は36.0〜41.6秒
- Gemini 4 Argon:3回中2回、パフェを「リベンジ」として出し直した。返答は29.6〜30.2秒
売れなかったパフェを避ける固さでは、GPT-6.1 SolのほうがGemini 4 Argonを上回った。返答の速さはGemini 4 Argonのほうが上だった。
数え方:案の理由に資料の商品名と販売数か計画比が入った案を「数字を根拠にした案」に数えた。形と味は案の名前から機械で分けた。データは架空で、Gemini Notebookの画面ではなくAPIで試している。
Gemini Notebookは無料で試せる ソースは50件まで
Gemini Notebookは無料でも使える。AInformationが11月7日に調べると、1つのノートブックに入るソースは無料で50件だった。月725円のGoogle AI Plusなら100件、月2,900円のProなら300件だ。
- 売れた商品と売れなかった商品を、理由のメモつきで1つの資料にまとめる
- 指示を目的・役割・分析の順番・制約・出力の5つに分けて書く
- 案は10個にして、資料のどの数字を理由にしたかを書かせる
- 価格帯や作れる形など、外せない条件は数字で渡す
販売データは社外秘のことが多い。仕事用のアカウント向けには、GoogleはGemini Enterpriseを案内している。入れてよい資料の線を社内で決めてから、まず過去のキャンペーン1回分で試してみたい。
- Gemini Notebook
- Googleが出しているAIツール。利用者がアップロードした資料を情報源にして答えを作る。
※記事の事実とは分けて、筆者の考えを書いています。
分析・考察ファミマの話で大事なのは、AIに渡した資料の中身だ。売れた商品だけでなく、売れなかった商品の分析資料まで入れている。これが無いと、理由つきの10案を頼んでも根拠の片側が欠けそうだ。
社内でまねるときに止まりやすいのは、この失敗の資料づくりだとみている。担当者の頭の中にある「なぜ売れなかったか」を、1行ずつ書き出す時間を先に取っておきたい。
- Gemini Notebookは無料でどこまで使える?
- 無料のStandardでも使え、1つのノートブックにソースを50件まで入れられる。AInformationが11月7日に確かめた料金では、月725円のGoogle AI Plusで100件に増える。月2,900円のGoogle AI Proなら300件だ。ファミマのように数年分の販売データと分析資料を入れるなら、件数の上限を先に見ておきたい。
- ファミマはGemini Notebookにどんな指示を出した?
- 目的・役割・分析の順番・制約・出力の5項目に分けた指示だ。売れた商品の共通点と売れなかった要因を先に分析させ、理由を含めた提案を10個出させた。「王道×新体験。あくまで芋をおいしく味わえるデザートであることがメイン」のような条件も足している。当初100個を頼んだときは似た案が並んだという。
- 100案を頼むのと10案を頼むのでは何が違う?
- 編集部の試験では、案の理由に資料の数字が入るかどうかが大きく違った。架空の販売データでGPT-6.1 SolとGemini 4 Argonに各3回頼むと、100案の指示で数字を根拠にした案は1回あたり0〜2件だった。5項目で10案を頼む指示では、6回とも10案すべてが販売数や計画比を理由に挙げた。データは架空で、APIで試している。
【この記事の出典】
- ITmedia ビジネスオンライン(この記事の元にした報道)補助資料・2026年11月9日に確認
