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ニチエツはGeminiで指示書を訳す 通訳では違う製品を作りかけた
横浜市の産業機械メーカーのニチエツは、ベトナム工場へ送る製品の指示書をGeminiで作っている。ITmedia NEWSのインタビューで中村高志社長が明かした。以前は通訳を通した訳が誤解され、工場が間違った製品を作りかけたこともあったという。
同社は2017年11月に創業し、金型交換装置や搬送ロボットを作っている。2019年にハノイに現地法人を置き、2025年にバクニン市の工場を動かし始めた。ベトナム工場は生産だけでなく研究開発の拠点も兼ねる。
主力の金型交換装置は、床に占める広さを従来品より30〜50%小さくした。人件費の安いベトナムで作ることで、値段も抑えている。それだけに設計の細かい意図が現地に届かないと、強みがそのまま崩れる。

- 2019ハノイに現地法人を設立
- 2025バクニン市の工場が稼働
通訳が外したのは技術の中身 Geminiには数式まで渡す
社長が挙げた原因は、通訳の技術知識の不足と訳す人の頭のフィルターだ。指示書にはどんな仕様にするか、どこに気をつけて作るかを細かく書く。語学に強くても技術を知らなければ、その細かさは抜け落ちる。
いまは日本語で設計意図と技術的なニュアンスを書き、数式も一緒に入力している。Geminiには技術用語に寄せたベトナム語で指示書を出させる。現地のエンジニアが直感で分かる文書を、前より早く渡せるようになったという。
| 項目 | 通訳に頼んでいたころ | Geminiで作るいま |
|---|---|---|
| 渡していたもの | 日本語の指示を通訳に説明 | 設計意図・技術的なニュアンス・数式 |
| 起きたこと | 誤解で違う製品を作りかけた | 現地のエンジニアが直感で分かる |
| やり取りの速さ | 意思疎通が遅れることがあった | 文書を早く共有できる |
使い道は訳すだけではない。開発で行き詰まったとき、新しい制御のアイデアを出す壁打ち相手にもしている。

使うのはWorkspaceの有料版 月800円のStarterから入れる
中村社長が使っているのは、Google Workspace上で動く有料版のGeminiだ。個人向けのアプリではなく、会社のメールや文書と同じ場所で使う形になる。
AInformationが料金ページを見た範囲では、Workspaceの一番安い有料プランはStarterで月800円(年払い)。GmailとドキュメントでGeminiが使える。Meetの自動メモと文字起こしまで欲しいなら、Business Standardの月1,600円(年払い)からになる。どちらも日本円で払える。
一方で記事には、何人で使っているかも月にいくら払っているかも出てこない。誤訳がどれだけ減ったかの数字も示されていない。効いたかどうかは社長の実感として語られている段階だ。
まねするなら日本語の原稿を厚く書く 訳文は現地で読み返す
海外の工場や外注先に指示書を送っている会社なら、まず1本だけ試すとよさそうだ。ポイントは仕様の文だけで終わらせず、なぜそうするのかと注意点まで日本語で書いて渡すこと。ニチエツが入れているのもそこまでの情報だ。
訳文は現地のエンジニア1人に読んでもらい、意図どおりに伝わったかを確かめておきたい。社長自身も、搬送ロボットの開発では実機の音や振動を見ながら顔を合わせて話すことが欠かせないと言っている。AIの訳文だけで現場が回るわけではない。
同社は国内で、装置のトラブルをオンラインで聞き取ってプログラムを直す仕組みを入れた。対象の製品では出張を8割以上減らしたという。この仕組みをベトナムや米国のほか欧州やインドへ広げる方針で、指示書の次は海外の保守がどこまで遠隔で回るかが試される。
- 金型交換装置
- プラスチック成型機やプレス機の金型を自動か半自動で運んで付け外しする装置。数十kgから数tの金型を安全に短時間で替える
現場で詰まるのは訳の精度より、誰が訳文を確かめるかだとみている。ニチエツは社長が元エンジニアで、日本語の原稿に設計意図まで書ける。多くの中小企業では、原稿を書く設計者とベトナム語を読める人が別にいる。導入するなら、訳文を現地のリーダー1人に読み返してもらう手順を先に決めておきたい。Workspace版なら原稿と訳文を同じドライブに残せるので、誤解が出たときにどの版で何を伝えたかを後から追えるのも効きそうだ。
- Geminiで技術文書をベトナム語に訳せる?
- 産業機械メーカーのニチエツは、ベトナム工場へ送る製品の指示書をGeminiで作っている。日本語で設計意図と技術的なニュアンスを書き、数式も一緒に入力して技術用語に寄せたベトナム語を出させる形だ。以前は通訳を通した訳が誤解され、工場が違う製品を作りかけたこともあった。いまは現地のエンジニアが直感で分かる文書を早く渡せるようになったと中村高志社長は話している。
- ニチエツが使っているGeminiはどの版?
- Google Workspace上で使う有料版のGeminiだ。個人向けのアプリではなく、会社のメールや文書と同じ場所で動く版になる。指示書づくりのほか、開発で行き詰まったときに新しい制御のアイデアを出す壁打ち相手にも使っている。何人で使っているかや月の費用は記事では明かされていない。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia NEWSこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月30日
