PDF MARINが国会図書館のOCRを同梱 読み取りはPC内で済む
無料のPDF編集ソフト「PDF MARIN」は9月27日のv0.2.7で、国立国会図書館が公開しているAI OCR「NDLOCR-Lite」を同梱しました。漢字カタカナ交じりの古い文書や不鮮明なFAX用紙も、読み取れるようになったとしています。読み取りはパソコンの中で終わり、PDFの中身も読み取った文字も外へは送りません。
OCRは[ツール]タブから使い、初回だけNDLOCR-Liteの準備に時間がかかります。インストーラーは約72MB増えて約258MBになりました。自動更新は変わった所だけを落とすので、更新の負担は小さく済みます。
Excelへの書き出しは写真やスキャンの表も読める
表をExcelへ書き出す機能も大きく変わりました。写真やスキャンで取り込んだ表も、向きと傾きと台形のゆがみを自動で直してから読みます。主な変更は次のとおりです。
| 項目 | v0.2.7で変わったこと |
|---|---|
| 縦書きのOCR | NDLOCR-Liteを同梱。古い文書やFAXの粗い紙も読める |
| 表のExcel化 | 写真やスキャンの表と貼り付けた画像も読める。崩れていそうな所は赤い点線で出る |
| Excelの形 | 二重線を1本とみるか、会計のカッコ(100)をマイナスにするかを選べる |
| 印鑑 | 押したあとの大きさを%でそろえられる。社印の中央の文字を日付印と別に決められる |
窓の杜の記事と、開発者がGitHubに載せた9月27日付の更新履歴をもとにまとめた表です。
- 9/5PDF MARINが無料で公開された
- 9/18Microsoft Storeでβ版の配布が始まった
- 9/25v0.2.6で表のExcel化と見比べる画面が入った
- 9/27v0.2.7で国会図書館のNDLOCR-Liteを同梱
NDLOCR-Liteを手元で試した 縦書き94字を全部読めた
AInformationが9月28日に手元のMacでNDLOCR-Liteを動かすと、きれいな縦書きのお知らせ94字は句読点まで1字も違いませんでした。PDF MARINはWindows専用なので、国立国会図書館がGitHubで公開している版(9月24日更新分)をそのまま使っています。PDF MARINの中で動く版と同じとは限りません。
読ませたのは、パソコンの明朝体で作った縦書きの画像3枚です。FAX画質の1枚は、横の細かさを6割・縦を3割ほどに落として白黒にしました。さらに0.9度傾け、点のよごれと横すじを足しています。
| 読ませた画像 | 正解の字数 | 合った字数 | 違ったところ |
|---|---|---|---|
| きれいな縦書きのお知らせ | 94字 | 94字 | なし |
| 同じ文をFAX画質にしたもの | 94字 | 89字 | 和→相・い→し・日→目。句点と読点が1つずつ出ない |
| 漢字カタカナ交じり(旧字入り) | 53字 | 53字 | なし |
AInformation独自検証。9月28日にApple M4 Proのパソコン(メモリ24GB)のCPUだけで実行しました。文字は40ピクセルの明朝体で、各画像を3回ずつ読ませて3回とも同じ文字が返っています。
營・來・廣の旧字が入った漢字カタカナ交じりの53字も、全部正しく読めています。読み取りにかかった時間は1枚0.3〜0.4秒で、プログラムを起動してから結果が出るまで含めても2.3〜2.8秒でした。

FAX画質では3字を読み違えた 日付の字は目で確かめる
崩れたのはFAX画質の1枚だけで、94字中89字しか合いませんでした。令和を令相と読み、平日は平目になっています。「いたします」の「い」も「し」になり、どれも形の近い字との取り違えです。
文末の句点と途中の読点も1つずつ出てきませんでした。FAXで注文や申込書を受け取る職場では、日付や曜日の読み違いが手配のずれにつながりかねません。PDF MARINには元の紙と読み取った結果を左右に並べる画面が9月25日のv0.2.6から入っているので、日付の欄だけでも見比べておきたいところです。
精度だけならクラウドのAIも強いです。AInformationが9月27日に公開した画像の読み取りの検証では、ChatGPTとClaudeが6課題を全問正解しました。Geminiは2回外しています。
ただしクラウドのAIに貼れば、書類の画像は外のサーバーへ渡る仕組みです。ChatGPTは学習させない設定にしていても、高評価を1回押すと会話ごと学習に使われる場合があります。社外秘のFAXや古い台帳を読ませるなら、ChatGPTやGeminiに貼るよりPDF MARINのほうが書類を外に出さずに済みます。

PDF MARINはWindows専用 Macで開くと案内が出た
PDF MARINを入れられるのは64bit版のWindows 10と11だけです。AInformationがMacのブラウザで公式サイトを開くと、ダウンロードの下に「PDF MARINはWindows用アプリです」という案内が出ました。入手先は公式サイトとMicrosoft Storeで、Microsoft Storeには9月18日にβ版が並んでいます。
利用料は商用も含めて0円で、広告も会員登録もありません。ソースコードは公開されていません。Macしかない人は、国立国会図書館がGitHubで配っているNDLOCR-LiteのMac版を直接使う手があります。
ただしNDLOCR-Liteだけでは、墨消しや表のExcel化はできません。Windowsで試すなら、まずは社外に出してよいFAXの控えを1枚読ませてみてください。表をExcelへ出すときは、会計のカッコをマイナスにするかを先に選んでからプレビューで確かめます。
PDFの中身をAIに渡すAI連携は、v0.2.4から初めは画面に出ない設定です。9月5日の公開から3週間あまりでGitHubに出た版は15にのぼり、次の版もそう待たずに届きそうです。
- NDLOCR-Lite
- 国立国会図書館が公開しているAIの文字認識(OCR)ソフト。AInformationの試験ではMacのCPUだけで1枚0.3〜0.4秒で読めた
紙とFAXが残る職場でAIを入れようとすると、精度より先に書類を外へ出せるかで話が止まりがちです。PDF MARINは読み取りをパソコンの中で済ませるので、これまでクラウドのAIに回せなかった受注票や古い台帳でも試しやすくなりそうです。ただ今回の試験でも平日を平目と読みました。日付を拾う業務に使うなら、誰が元の紙と見比べるかを先に決めておきたいところです。個人の開発でソースも非公開なので、会社で配る前に更新の追い方まで決めておくと安心だとみています。
- PDF MARINのOCRは無料で商用利用できる?
- 商用を含めて0円で使えます。PDF MARINは広告の表示も会員登録もなく、公式サイトとMicrosoft Storeから入手できます。9月27日のv0.2.7で国立国会図書館のNDLOCR-Liteが同梱され、縦書きの文字起こしもこの中でできます。対応するのは64bit版のWindows 10と11で、インストーラーは約258MBです。
- PDF MARINはMacで使える?
- Macでは使えません。対応しているのは64bit版のWindows 10と11だけです。AInformationがMacのブラウザで公式サイトを開くと、Windows用アプリだという案内が出ました。Macで縦書きの文字起こしだけをしたいなら、国立国会図書館がGitHubで配っているNDLOCR-LiteのMac版を直接使う手があります。墨消しや表のExcel化はNDLOCR-Liteだけではできません。
- PDF MARINのOCRはFAXや古い文書をどこまで読める?
- きれいな縦書きなら全文を読めました。AInformationが同じNDLOCR-Liteを手元のMacで試すと、縦書きのお知らせ94字と旧字入りの漢字カタカナ交じり53字は1字も違いませんでした。FAX画質に荒らした画像では94字中89字が合い、令和を令相と読むなど3字を取り違えています。日付の欄は元の紙と見比べてから使うのが安全です。
- PDF MARINで読み取った書類は外部に送られる?
- OCRの読み取りでは送られません。PDF MARINの文字起こしはパソコンの中で終わり、PDFの中身も読み取った文字も外へ出ないと説明されています。書類をAIに渡すAI連携は、v0.2.4から初めは画面に出ない設定です。ChatGPTなどに画像を貼って読ませる方法は、書類が外のサーバーへ渡る点が違います。
この記事の出典
補助資料
- [1]窓の杜この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月28日
