NVIDIAが文字起こしAIを0円で公開 40言語で話者も分ける
NVIDIAは10月28日(現地時間)、文字起こしAI「Nemotron 3.5 Transcribe」をオープンモデルとして公開した。Hugging Faceで無償で配っていて、ライセンスはOpenMDW-1.1だ。開発に使ったデータセット「Granary v2」も同時に出している。
中身は総パラメーター数340億のMoEモデルで、実際に動くのはそのうち43億ぶんになる。1回に入れられる音声は最長1時間で、対応する言語は日本語を含む40言語だ。
売りは話者の識別にある。公開されたデモでは、1940年の映画「ヒズ・ガール・フライデー」の早口の掛け合いを、話した人ごとに分けて書き起こしていた。メモリの使用量を減らした量子化版も出す予定だという。

日本語は「Production-ready」 最上位の段に入らない
日本語の精度は、NVIDIAが付けた3段階のうち真ん中になる。段は上から「Leading(業界最高峰)」「Production-ready(製品化できる精度)」「Supported(対応はしている)」の3つだ。
編集部が公式のモデルカードの言語表を開いて確かめると、英語や韓国語は最上位のLeadingに入っていた。日本語はその1段下で、中国語(標準語)はさらに下のSupportedだった。同じ東アジアの言語でも、韓国語のほうが1段上の扱いだ。
モデルカードには、音声の内容を理解して答える機能や話し言葉での指示は英語でしか評価していないとも書いてある。日本語で頼めるのは書き起こしと翻訳までと見ておくのが安全だ。
外部の評価では、文字起こしの性能ランキング「Open ASR Leaderboard」の英語部門でオープンモデルの最高と出た。誤り率の指標「Artificial Analysis Word Error Rate Index」でも首位だった。こちらはVoxtral Small Transcribeと並んでの首位になる。ただしどちらも英語での順位で、日本語の順位ではない。
Nemotron 3.5 Transcribeの中身
| 項目 | 公式の値 |
|---|---|
| 公開日 | 2026年10月28日(現地時間) |
| 料金 | 無償(オープンモデル) |
| ライセンス | OpenMDW-1.1 |
| パラメーター数 | 総数340億・動くのは43億(MoE) |
| 1回に入る音声 | 最長1時間 |
| 対応言語 | 日本語を含む40言語 |
| 日本語の精度 | Production-ready(3段階の真ん中) |
| 量子化版 | 公開を計画中 |
議事録ツールに払う月2,237円が0円になるか 自前のGPUが条件
モデル自体は0円だが、議事録ツールの代わりにすぐ使えるわけではない。モデルカードはNVIDIAのGPUで動かすことを前提にしていて、アプリや画面は付いてこない。社内のサーバーに置いて、録音を流し込む仕組みを自分で組む必要がある。
AInformation調べでは、議事録・文字起こしに使えるAIツールは46本ある。料金が分かった38本の月額は中央で2,237円、真ん中の半分は月1,575円から月3,148円に収まった。日本円で払えるのは12本だけだ。人数分の月額を払っている会社ほど、自前で動かす値打ちが出る。
向いているのは、録音を社外のサービスに上げられない部署だ。顧客との面談や人事の面接では、音声そのものを外へ出したくない。そうした場面では手元で動くことが料金より効いてくる。

まず試すなら手持ちの1時間の会議録音で
試すときは、いま使っている議事録ツールと同じ録音を書き起こして並べるのが早い。見るところは3つある。
- 3人以上が話す会議で、話者の割り当てが合っているか
- 社名や製品名などの固有名詞を正しく書けているか
- 1時間を超える録音を、どこで切って入れるか
日本語が最上位の段に入っていない以上、固有名詞と数字は人が見直す前提にしておきたい。量子化版が出ればメモリの少ないGPUでも動かせるようになるので、社内で試す範囲はそこから広がりそうだ。

AInformation調べ議事録や文字起こしのAIツールはいくらで使えるか
| ツール | 月あたり | 無料 |
|---|---|---|
| Google WorkspaceGemini最安 | 800円/月Starter/年払い | × |
| ElevenLabs | $6/月スターター/約946円 | ○ |
| Notta | 1,185円/月プレミアム/年払い | ○ |
| Doraverse | $8/月Starter/年払い/約1,261円 | × |
| Happy Scribe | $8.5/月Basic/年払い/約1,340円 | ○ |
| PLAUD NOTE | 1,400円/月Pro/年払い | ○ |
| LINE WORKS AiNote | 1,440円/月ソロ/年払い | ○ |
| TurboScribe | $10/月無制限/年払い/約1,576円 | ○ |
2026年10月28日時点でAInformationが調べたもの。金額はそのツールを使える一番安い有料プランの月あたり。議事録や文字起こしのAIツール46本のうち、日本円で払えるのは12本、無料で試せるのは27本。表に出したのは画面が日本語のもの。外貨は1ドル157.63円で換算
- 話者の識別
- 録音の中で誰が話したかを聞き分け、発言ごとに話した人を割り当てる処理。会議の議事録で発言者を残すときに要る
企業の導入でつまずくのは、精度より置き場所だとみている。録音を外部サービスに上げてよいかで社内の承認が止まる会社は多い。手元で動くモデルはその壁を越えられるが、GPUの手配と保守を誰が持つかを決めないと試験で終わる。情報システム部門は、まず面談や面接など外に出せない録音の部署を1つ選び、今の議事録ツールと同じ録音で比べるところから始めるとよさそうだ。日本語が真ん中の段である点は、固有名詞の辞書をどこまで足せるかで評価が分かれる可能性がある。
- Nemotron 3.5 Transcribeは無料で使える?
- モデルは無料だ。NVIDIAが10月28日にオープンモデルとしてHugging Faceで無償公開し、ライセンスはOpenMDW-1.1になっている。ただし画面のあるアプリではないので、動かすGPUと仕組みは自分で用意する。AInformation調べでは議事録・文字起こしのAIツールの月額は中央で2,237円で、その分を自前の運用に置き換える形だ。
- 日本語の文字起こしの精度はどのくらい?
- NVIDIAの3段階の評価で、日本語は真ん中の「Production-ready」に入る。製品に使える精度という扱いで、最上位の「Leading」ではない。公式の言語表では英語と韓国語がLeadingで、中国語は1段下のSupportedだった。社名や数字の多い会議では人の見直しを前提にしたい。
- 1時間を超える会議の録音は書き起こせる?
- 1回に入れられるのは最長1時間までだ。2時間の会議なら1時間ごとに切って入れることになる。複数の話者を聞き分けて書き起こす機能はあるので、切ったあとも発言者は残せる。量子化版の公開も計画されているが、時期は書かれていない。
この記事の出典
補助資料
- [1]GIGAZINEこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月29日
