早耳はCPUだけで動く 日本語の文字誤り率は3.8%
早耳(Hayamimi)は、GPUもクラウドのAPIも使わずにCPUだけで文字起こしをするソフトだ。メモリ2GB未満の環境でも、ライブ字幕・話者ラベル・翻訳字幕まで出せる。GitHubで公開されていて、コードはMITライセンスで0円で使える。
精度の売りは言語ごとの振り分けにある。発話ごとに言語を判定し、日本語・中国語・韓国語・広東語・英語はそれぞれ専用のモデルへ回す。欧州の24言語にも専用モデルがあり、それ以外の約1600言語はMetaのMeta Omnilingual ASRに任せる。
実際のテレビ放送の日本語で測った文字誤り率は3.8%だ。6コアのデスクトップCPUで実時間の10〜50倍の速さで動くという。日本語なら話し終えて約100msで確定文が出る。
字幕を後から清書する機能もある
2秒黙ると、直前の発話を読み直して清書版を作る。この清書で日本語の文字誤り率は15.5%から12.0%に下がった。固有名詞を当てやすくするホットワードや、後から語を差し替える置換辞書も付いている。
Macで20.6秒の会議音声を試した 続けて話すと冒頭2文が消えた
編集部が2026年10月11日にMac(Apple M4 Pro・メモリ24GB)で試すと、文と文の間を詰めて話した音声では最初の2文を確定文にできなかった。入れたのは日本語と英語だけの最小構成(約1.1GB)で、音声はmacOSの読み上げ機能で作った5文・20.6秒の会議の冒頭だ。
抜けたのは「本日の会議を始めます。来月の売上目標は三千二百万円です。」の2文だ。話している途中の仮の字幕には出ていたが、確定文と清書版の両方から消えた。同じ音声で3回流しても結果は変わらない。
文の間に1.2秒の無音を入れた音声(26.7秒)では、5文すべてが確定文に残った。確定までの時間は1文あたり79〜225msで、平均は122msだった。リポジトリの説明書にも、無音で区切れないほど詰めて話すと先頭の文が落ちることがあると書いてある。
| 条件 | 確定した文 | 確定までの平均 |
|---|---|---|
| 文の間を詰めた20.6秒(3回) | 5文中3文(3回とも同じ) | 435〜675ms |
| 文の間に1.2秒の無音(1回) | 5文すべて | 122ms |
数字の書き方も混ざった。間を入れた回では「3200万円」と算用数字になったが、日付は「十月20日」と漢数字と算用数字が並んだ。メモリの使用は最大1.69GBで、うたい文句の2GB未満に収まった。

0円の議事録づくりに使えるか 相手の声を拾えるのはWindowsだけだ
会議の議事録に使うなら、まずWindowsかどうかで使える範囲が変わる。PCから流れる音(オンライン会議の相手の声)を拾う機能と、自分のマイクと混ぜて1本にする機能はWindows専用だ。Macでは相手の声を拾う経路がまだ無い。
作者が試しているのもWindows 11で、macOSとLinuxは動く見込みとしている。編集部のMacではファイルを読み込む使い方は問題なく動いた。
AInformation調べでは、議事録・文字起こしのAIツールは45本ある。無料で試せるのは26本で、料金が分かったものの月額の中央は月2,371円だ。早耳はこれを0円で手元に置ける選択肢になるが、クラウド型と違って入れ方と話し方の手間は自分で負う。
試すなら1.1GBの最小構成から 文の終わりで一拍置く
試すにはPython 3.10以上とffmpegが要る。モデルを全部入れると約3.1GBになるので、日本語だけなら最小構成で足りる。日本語のモデルはApache-2.0で配られている。
- まず録音ずみのファイルで試し、抜けた文が無いか原稿と見比べる
- 話し手には文の終わりで一拍置いてもらう
- 金額と日付は漢数字と算用数字が混ざるので、置換辞書で表記をそろえる
- 相手の声まで取るならWindowsのPCで動かす
社外に音声を出せない会議ほど、手元のCPUで完結する早耳の値打ちは大きい。その分、抜けを見つける確認の手間は人の側に残る。
AInformation調べ議事録や文字起こしのAIツールはいくらで使えるか
| ツール | 月あたり | 無料 |
|---|---|---|
| Google WorkspaceGemini最安 | 800円/月Starter/年払い | × |
| ElevenLabs | $6/月スターター/約948円 | ○ |
| Notta | 1,185円/月プレミアム/年払い | ○ |
| Doraverse | $8/月Starter/年払い/約1,264円 | × |
| Happy Scribe | $8.5/月Basic/年払い/約1,343円 | ○ |
| LINE WORKS AiNote | 1,440円/月ソロ/年払い | ○ |
| TurboScribe | $10/月無制限/年払い/約1,580円 | ○ |
| Notion | 1,650円/月プラス/年払い | ○ |
2026年10月7日時点でAInformationが調べたもの。金額はそのツールを使える一番安い有料プランの月あたり。議事録や文字起こしのAIツール45本のうち、日本円で払えるのは11本、無料で試せるのは26本。表に出したのは画面が日本語のもの。外貨は1ドル158.04円で換算
- 文字誤り率
- 書き起こした文字が正解とどれだけ違うかの割合。3.8%なら100文字のうち約4文字が誤りという目安になる
会議の文字起こしを社外のクラウドに出せない会社は多く、手元のCPUで動く早耳はそこへ刺さる道具だとみている。ただし今回の試験のように、確定文から文が丸ごと抜けても画面には何も警告が出ない。議事録を任せるなら、録音も残して重要な会議だけ原稿と突き合わせる運用を決めておきたい。情報システム部門が配るなら、まずWindows端末に絞って入れ方を1枚の手順書にまとめるのが早そうだ。
- 早耳は無料で商用利用できる?
- コードはMITライセンスで0円で使え、日本語のモデルはApache-2.0で配られている。ただしモデルは言語ごとに配布元とライセンスが違うので、日本語以外も使うなら説明書のモデル一覧で1つずつ条件を見ておきたい。翻訳や話者ラベルのモデルも別の扱いになる。
- 早耳はMacで会議の議事録に使える?
- 録音ずみのファイルや自分のマイクの音なら、Macでも文字起こしできる。編集部のApple M4 Proでは最小構成の約1.1GBで動き、メモリの使用は最大1.69GBだった。ただしオンライン会議の相手の声を拾う機能はWindows専用で、Macではまだ使えない。
- 早耳で文字起こしすると文が抜けるのはなぜ?
- 文と文の間に無音が無いほど詰めて話すと、先頭の文が確定文から落ちることがある。編集部の20.6秒の試験では冒頭の2文が3回とも消えた。文の間に1.2秒の無音を入れると5文すべてが残ったので、話し手が文の終わりで一拍置くと抜けを減らせる。
この記事の出典
補助資料
- [1]GIGAZINEこの記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年10月11日
