2万1475人に配った損保ジャパン 平日は50%超が毎日使う
損保ジャパンがGemini Enterpriseを割り当てた2万1475人のうち、平日に毎日使う人は50%を超えました。6月26日時点の数字で、DX推進部の城市由佳理氏が講演で明かしています。導入は2026年1月で、対象は全従業員約2万人です。
毎週使う人の割合は約80%に達しています。人数にすると毎日約1万1900人、毎週約1万7000人です。配布率はリリース時の90%から6月末に99%へ上がりました。
城市氏が恐れていたのは、システムが止まることより「従業員に使ってもらえないこと」や「不適切に使われること」でした。だから追う数字もCPU使用率ではなく、使われ方に置いています。

- 1月全従業員約2万人にGemini Enterpriseを導入
- 6/26ライセンスの割り当てが2万1475人に
- 6月末配布率がリリース時の90%から99%へ
配るのは試験の合格者だけ 2万人の登録は毎日のジョブで回す
Gemini Enterpriseに登録できるのは、基本的なリテラシーを問うテストに合格した従業員だけです。人事の従業員名簿と研修の合格者名簿を突き合わせ、毎日動くジョブで登録しています。
つまずいたのは合格者名簿の置き場所でした。Google Cloudの環境をVPC Service Controlsで囲っていたため、その内側から名簿のあるGoogle スプレッドシートのAPIへ届かなかったのです。外部のプロキシを通し、守りを崩さずに自動でつなぎました。
エージェントの共有は標準機能で絞れない
従業員が自分でエージェントを作る市民開発も進めています。作成と共有は研修の合格者だけに認めるルールですが、標準機能ではそのとおりに権限を細かく制御できなかったといいます。それでも機能を一律に止めず、共有機能は従業員に開いたままです。
Model Armorは料金に込み 基本設定にマイナンバーは入らない
損保ジャパンが守りに使うModel Armorは、Gemini Enterpriseのアプリで使う分なら追加の料金がかかりません。ただし基本の設定のままでは、日本のマイナンバーを見張れません。AInformationが9月28日に公式の料金表と説明書を開いて確かめました。
Model Armorは質問と回答を検査するGoogle Cloudの機能です。損保ジャパンは主に4種類のフィルタをテンプレートで組み、プロンプトごとにガードレールを張りました。料金表ではGemini Enterpriseのアプリはすべてのエディションで込みです。自社のアプリにAPIでつなぐ場合は月200万トークンまで無料で、超えた分は100万トークンあたり0.10ドルかかります。
基本構成で選べるのはクレジットカード番号や米国の社会保障番号など6項目で、日本のマイナンバーは一覧に出てこなかったのです。説明書も基本構成は主に米国向けだと断っています。
マイナンバーを見張りたいなら、Sensitive Data Protectionのテンプレートを使う高度な構成に切り替えます。検出できる項目の一覧には、マイナンバーを指すJAPAN_INDIVIDUAL_NUMBERが載っていました。基本構成のまま配ると、この番号は素通りする可能性があります。
説明書はGemini Enterpriseのようなアプリでは、プロンプトインジェクションを見張るしきい値をHighにするよう勧めています。正しい質問まで止めてしまう誤検出を避けるためです。

まねるならエディションから 300人超は月30ドルからだ
300人を超える会社がまねるなら、Gemini EnterpriseはStandard / Plus(1ライセンス月30ドルから)が前提になります。Businessは月21ドルからと安いものの、使えるのは最大300人までです。使った分だけ払うPay-as-you-goは20シート以上が条件で、今は一部の会社にしか出ていません。
| エディション | 公式ページの目安 | 円にすると | 向く規模 |
|---|---|---|---|
| Business | 1ライセンス月21ドルから | 約3,309円 | 最大300人 |
| Standard / Plus | 1ライセンス月30ドルから | 約4,728円 | IT管理が要る組織 |
| Pay-as-you-go | シート料金0ドル・従量制 | 使った分だけ | 20シート以上(一部の会社のみ) |
料金はAInformationが9月28日に公式ページで確認し、円は9月25日の欧州中央銀行の参照値(1ドル157.59円)で換算しました。
試験と利用率の物差しを先に作る
損保ジャパンが見る数字は3つです。まず毎日と毎週の利用と継続率です。加えて公式のノートブックやエージェントの利用数と、部署ごとの利用状況を追っています。
部署ごとの数字だけでは見えない人もいます。AInformationが以前取り上げた福島県のMicrosoft 365 Copilotでは、使わない原因は部署ではなく個人にありました。数字は部署で追いつつ、使っていない人へ個別に声をかける段取りまで決めておくと安心です。
配る前に確かめることは2つです。社員が300人を超えるかでエディションを決め、検査項目にマイナンバーが入っているかを見ておきます。

- 市民開発
- IT部門ではない現場の従業員が、自分の業務に使う仕組みを自分で作ること。ここではAIのエージェント作りを指す
- VPC Service Controls
- Google Cloudの境界保護の機能。決めた範囲の外へデータが出ないように、クラウドの環境を囲って守る
全社導入の相談で多いのは「配ったのに使われない」と「勝手な使い方が怖い」の板挟みです。損保ジャパンは試験に通った人だけに配り、利用を部署ごとに追うことで両方に手を打ちました。まねるときに詰まりやすいのは、試験を誰が作り落ちた人をどう拾うかだとみています。人事と研修の名簿がつながっていない会社では、登録の自動化の前で止まりそうです。個人情報の検査項目も、配る前に法務と一緒に一覧で見ておきたいところです。
- Gemini Enterpriseの料金はいくら?
- 公式ページの目安では1ライセンス月21ドルからです。これはBusinessの料金で、使えるのは最大300人までです。それより大きい組織向けのStandard / Plusは月30ドルからで、9月25日の欧州中央銀行の参照値(1ドル157.59円)で約4,728円になります。20シート以上なら使った分だけ払うPay-as-you-goもありますが、今は一部の会社に限って出ています。
- Gemini EnterpriseでModel Armorを使うと追加料金はかかる?
- Gemini Enterpriseのアプリで使う分はかかりません。Model Armorの製品ページの料金表では、Gemini Enterpriseのアプリはすべてのエディションで料金に含まれるとしています。自社のアプリにAPIでつなぐ場合は別の料金で、月200万トークンまで無料です。超えた分は100万トークンあたり0.10ドルかかります。
- Model Armorでマイナンバーは検出できる?
- 基本構成のままでは検出の対象に入っていません。説明書が挙げる基本構成の6項目は、クレジットカード番号や米国の社会保障番号などです。マイナンバーを見張るには、Sensitive Data Protectionのテンプレートを使う高度な構成に切り替えます。検出できる項目の一覧にはJAPAN_INDIVIDUAL_NUMBERが載っています。
- Gemini Enterpriseでエージェントを作れる人を絞れる?
- 損保ジャパンの例では標準機能だけでは思いどおりに絞れませんでした。同社は研修の合格者だけにエージェントの作成と共有を認めるルールを作りましたが、標準機能ではそのとおりに権限を細かく制御できなかったといいます。それでも機能を一律に止めず、共有機能を従業員に開いたまま市民開発を進めています。
この記事の出典
補助資料
- [1]ITmedia AI+この記事の元にした報道
出典の最終確認日:2026年9月28日
